プロセスマネジメントとは?メリット・注意点や流れについて解説
業務効率化や生産性アップを図る方法の一つとして、プロセスマネジメントという手法があります。本記事ではプロセスマネジメントのメリットや注意点、基本的な流れについて解説しますので、人事部や管理職の方は参考にしてください。
- 01.プロセスマネジメントとは?
- 02.プロセスマネジメントを導入することのメリット
- 03.プロセスマネジメントを導入する際の注意点
- 04.プロセスマネジメントを導入する流れ
- 05.まとめ
01プロセスマネジメントとは?
プロセスマネジメントは、業務の結果ではなくプロセスに焦点を当てたマネジメント手法です。業務の結果はその過程から生み出されるため、その過程を最適化することで結果として成果も最大化できるという考えに基づきます。
営業職を例に挙げて説明します。例えば最終的な契約件数や売上だけを管理していた場合、各営業パーソンの結果の差が何によって生まれているのかの把握は難しくなります。一方プロセスマネジメントの場合は、問い合わせ、ヒアリング、提案、見積もり、契約というように段階ごとに分けて、各々のプロセスでの良し悪しを判断します。このようにプロセスごとに評価することで、どのプロセスに問題があるかを明らかにすることが可能になるのです。
プロセスマネジメントが注目されている理由
プロセスマネジメントが注目される背景には、生産性の向上があります。日本ではかねてより他国と比較したときの生産性の低さが課題視されており、実際に公益財団法人 日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較 2022」ではOECD加盟38カ国中27位と決して高い数値ではありませんでした。
日本は今後人口が減少していく中で、労働力の確保や企業競争力の維持向上が大きな課題になっています。そのため、これまで生産性改善は製造業などを中心に扱われることが多かったものの、営業職などのホワイトカラーの業務においても業務プロセスを最適化し、より生産性を高めていくことの必要性が高まっています。
02プロセスマネジメントを導入することのメリット
プロセスマネジメントを導入することには、以下のようなメリットがあります。
- 1.プロセスが見える化する
- 2.業務の課題を把握しやすくなる
- 3.業務の属人化を防ぐことができる
- 4.システムエラーやトラブルを未然に防ぐ
- 5.社員のモチベーションアップに繋がる
1.プロセスが見える化する
プロセスマネジメントを導入することで、プロセスを見える化しやすくなります。各プロセスごとに業務フローを洗い出すために、マネジメント職や管理職自身が直接関わらない業務も正確に状況を把握できます。そのため、上手くいってないプロセスがあれば、そこを改善するためにアドバイスしたり打ち合わせを行なったりすることが可能です。
2.業務の進捗を把握しやすくなる
プロセスマネジメントによって業務フローを整理することで、各フローの進捗を把握しやすくなります。各人が何にどの程度時間をかけているか分かると、それぞれの課題や改善ポイントが浮き彫りになります。また、全体の効率悪化につながるポイントも見定めやすくなるため、例えば業務支援ツールを導入するなどの意思決定も行いやすくなります。
3.業務の属人化を防ぐことができる
プロセスマネジメントを行うことは、業務の属人化を防ぐことにも繋がります。業務プロセスを棚卸しする際には、それぞれのプロセスであるべき行動や進め方を明確にすることになります。そのため、プロセスマネジメントを通じて各業務フローの型化が進み、個人個人の経験や勘によらない運営が可能になるのです。
4.システムエラーやトラブルを未然に防ぐ
プロセスマネジメントを行うことは、トラブル防止にも繋がります。業務が属人化された状態だと、その担当者が何かミスをした際に誰も気が付かない状態になってしまいます。例えば、システムからエラーが発生しているのに他の担当者が気がつかず、被害が拡大してしまう、といったトラブルが起こるかもしれません。プロセスマネジメントで業務フローの型化ができれば、エラー箇所の特定や課題が明確化しやすくなります。
4.システムエラーやトラブルを未然に防ぐ
プロセスマネジメントを行うことは、トラブル防止にも繋がります。業務が属人化された状態だと、その担当者が何かミスをした際に誰も気が付かない状態になってしまいます。例えば、システムからエラーが発生しているのに他の担当者が気がつかず、被害が拡大してしまう、といったトラブルが起こるかもしれません。プロセスマネジメントで業務フローの型化ができれば、エラー箇所の特定や課題が明確化しやすくなります。
5.社員のモチベーションアップに繋がる
プロセスマネジメントを行うことで、社員のモチベーションアップにも繋がります。なぜなら、各業務フローごとに目標値を設定できるためです。業務の最終目標だけを気にしていると、過程がおざなりになってしまうことはあります。例えば、営業の契約数だけに目を向けていると、契約の前段階の見積もりや提案に身が入らなくなってしまいがちです。過程もきちんと評価対象に入っていると分かることで、社員は気を引き締めることができます。
03プロセスマネジメントを導入する際の注意点
プロセスマネジメントを導入したものの、業務効率化に繋がらない。このような場合、プロセスマネジメントのやり方に問題がある可能性があります。プロセスマネジメントを導入する際は、次の4つの注意点を意識することが大切です。
- 1.プロセスマネジメントが向かない仕事もある
- 2.プロセスの整理にはある程度工数がかかる
- 3.プロセスを整理しただけで満足してはいけない
- 4.マネージャー・管理職の負担も増える
1.プロセスマネジメントが向かない仕事もある
プロセスマネジメントが向かない仕事もあるので注意が必要です。ある程度作業の流れが 固定されている業務でないと、プロセスを整理したところで役に立ちにくいです。例えば、システム開発や営業活動、工場での検品作業など、パターンがある程度決められ、かつ繰り返させる仕事には、プロセスマネジメントは役立ちます。逆に、株式上場の手続きなどの1回しかないような仕事のプロセスを分析したところで、役立つ可能性は低いでしょう。
2.プロセスの整理にはある程度工数がかかる
プロセスマネジメントにはある程度時間がかかります。特に初めて実行する場合、担当者に業務内容についてヒアリングしたり、使っている業務ツールについて調べたりしなくてはならないため、多くの時間を取られます。そのため、「時間をかけてでもプロセスマネジメントをすべきなのか」という点は考える必要があるでしょう。
3.プロセスを整理しただけで満足してはいけない
各業務のフローをまとめる、というのはプロセスマネジメントの前段階に過ぎません。各プロセスごとに目標値を設定し、実際の効果検証を行わなくては意味がないと言えます。フローチャートなどに綺麗にまとめると、それだけで達成感が出てしまいがちなので注意が必要です。業務フローを整理した後は、しっかりPDCAを回して適宜改善する必要があります。
4.マネージャー・管理職の負担も増える
先ほど解説したように、プロセスマネジメントではしっかり効果検証を行う必要があります。各プロセスごとに効果検証を行わなくてはいけないため、管理の仕方によっては管理職の業務量が増えてしまう可能性があります。そのため、管理職の業務効率化、という点も考える必要があるでしょう。例えば、業務管理ツールを活用して効果検証しやすくなる、などです。
04プロセスマネジメントを導入する流れ
プロセスマネジメントを導入する場合、以下のような流れに沿って実行すると良いでしょう。以下の6つの工程について解説します。
- 1.業務の基本事項を洗い出す
- 2業務の聞き取り調査を行う
- 3.業務プロセスをフローチャートなどにまとめる
- 4.プロセスごとに目標を設定する
- 5.実際にプロセス通りに業務をこなしてみる
- 6.業務の課題や改善点を洗い出す
1.業務の基本事項を洗い出す
まず業務の基本事項を洗い出します。具体的には次のような項目を書き出していくと良いでしょう。
- ・業務名
- ・業務の目標
- ・業務の評価項目
- ・業務メンバー
- ・納期
- ・目標とする品質
- ・想定されるリスク
2.業務の聞き取り調査を行う
次に、担当者に業務内容について聞いてみる必要があります。業務の聞き取り調査を行う方法としては、「1to1でミーティングを行う」「作業内容を箇条書きで簡単にまとめてもらう」「アンケートを作成して答えてもらう」などが挙げられるでしょう。ただし、「担当者 にフローチャートを書いてもらう」など担当者の負担が増えすぎるような方法は避けた方が良いです。
3.業務プロセスをフローチャートなどにまとめる
次に、担当者から聞いた内容を元に、業務プロセスをまとめます。まとめる方法としては、フローチャートや作業手順書などが挙げられます。フローチャートは作業手順が視覚的に分かりやすくなるメリットがありますし、作業手順書は各作業のポイントや注意点などを細かく記載できるメリットがあるでしょう。
4.プロセスごとに目標を設定する
業務プロセスをまとめたら、各プロセスごとに目標値を設定します。例えば営業職なら 「問い合わせ件数10件」「見積もり件数5件」など、具体的な目標を書き込んでいきます。目標値はPDCAサイクルを繰り返しながら微調整していくのが望ましいでしょう。
5.実際にプロセス通りに業務をこなしてみる
目標を決めたら、担当者に目標値を意識したうえで実際に業務をしてもらいます。管理職の方は各プロセスごとに業務監視を行い、評価をしていく必要があります。担当者の人数が多いと管理業務が膨大になるので、業務管理ツールを導入して効率化を図ったり、管理職の補佐役を設けたりする必要がある可能性もあるでしょう。
6.業務の課題や改善点を洗い出す
業務フロー通りに業務を一巡させたら、各プロセスの達成度や業務量について担当者と話し合います。「もっと効率化できるプロセスはないか」「目標値は適正か」などを話し合い、業務フローや目標値の再設定を行います。
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■資料内容抜粋
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・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
05まとめ
プロセスマネジメントを導入することは、業務効率化、ひいては人件費削減に繋がるメリットがあります。結果だけを見ても、業務の本当の課題や問題点は見えてこないものです。プロセスマネジメントを導入し、結果だけでなく過程も評価できる環境を構築することが大切です。