宿泊研修とは|目的やメリット、事例を紹介

宿泊研修とは、研修参加者と講師や運営スタッフが数日間、研修会場に泊まり込んでおこなう研修です。日常の業務環境を離れ集中して受講できるため、短期間で成果を上げやすい特徴があります。 この記事では、宿泊研修の目的やメリット・デメリット、成功させるためのポイントと実施事例を解説します。
- 01.宿泊研修とは
- 02.宿泊研修の目的
- 03.宿泊研修のメリット
- 04.宿泊研修のデメリット
- 05.宿泊型が適している内容
- 06.宿泊研修を成功させるポイント
- 07.宿泊研修の事例
- 08.まとめ
01宿泊研修とは
宿泊研修とは、日常業務を完全に離れ、数日にわたり研修会場に泊まり込む研修を指します。研修参加者はもちろん、講師や運営スタッフも宿泊し、寝食を共に同じ時間を共有するため、密度の高い関わりを持つことができます。 コロナ禍により中断する企業が多いなか、沈静化しつつある昨今、再開に踏み切る企業も出てきているようです。しかし、集中した学習環境が確保できる反面、宿泊をともなうことに懐疑的な目を向ける参加者もいるなど、開催にあたっては一定の事前調整が必要な場合もあります。
02宿泊研修の目的
宿泊研修を実施する目的は、大きく下記の3点に集約できます。
- ・より研修に集中するため
- ・短期間で高い効果を上げるため
- ・参加者の親睦を図るため
日常業務から切り離すことができるため、集中した受講環境を確保できます。必要なカリキュラムを凝縮して伝えられるので、短期間で高い学習効果を期待できる手法です。研修時間以外も時間を共有するため、親睦を図りたい場合にも適しています。
03宿泊研修のメリット
普段とは環境を変え、参加者が同じ空間で長い時間を過ごすことでしか得られないメリットがあるのが宿泊研修です。 具体的には以下の3点が挙げられます。
- ・研修に集中できる
- ・受講者の結束が高まる
- ・相互理解が深まる
- ・参加者のリフレッシュ効果が期待できる
研修に集中できる
宿泊することのメリットは、日常業務から切り離し研修に集中できる環境を確保できることです。数日間にわたり日帰りで研修を実施した場合、研修期間であっても自宅に戻ることにより、完全に研修に集中することは難しくなります。会場までの往復の時間も必要になるため、研修時間にも制限が生じます。 集中力を切らさずに、カリキュラムに向き合えることが、宿泊研修の大きなメリットです。
受講者の結束が高まる
寝食を共にすることの効果は、計り知れないものがあります。研修時間以外も同じ時間を共有するため、コミュニケーションの質と量が格段に向上するからです。 同じ食卓を囲み同じものを食べ、場合によっては相部屋で寝て、懇親会などの酒席を共にすることもあります。参加者どうしに絆が生まれ結束が高まることで、研修後の日常業務にもよい影響が及ぶでしょう。
相互理解が深まる
共有する時間が増えることにより、普段では見ることのできない同僚の一面を垣間見られます。また、グループワーク等で頻繁にディスカッションを重ねる機会も多く、同僚の性格や思考の傾向を深く知ることができるでしょう。 短期間で相互理解が深まることにより、風通しのよい人間関係の構築につながっていくのです。
参加者のリフレッシュ効果が期待できる
日常業務から離れることで、気持ちの切り替えやリフレッシュできる点もメリットです。とくに日々の業務で行き詰まりを感じていた参加者は、研修への参加をきっかけに気分を変えて、日常業務に戻れたりもします。 カリキュラムに半日程度のレクリエーションを入れるなどすると、リフレッシュでき、研修自体の成果も高まるでしょう。
04宿泊研修のデメリット
一方で、宿泊研修にはデメリットもあります。宿泊により、日常業務やプライベートの用事がストップすることに、抵抗を覚える参加者が出てきてしまうことです。こうした参加者は宿泊することに懐疑的であり、研修自体にも積極性を発揮しなくなってしまいます。 参加者の多い大がかりな研修の場合は、参加者や講師のスケジュール調整も難しくなります。そのほか、宿泊により運営側の負荷が増加したり、通常の研修よりもコストがかかったりというデメリットも把握しておきましょう。
05宿泊型が適している内容
宿泊研修が適しているのは、同じ立場で同じスタートを切る参加者に対するカリキュラムです。短期間で必要なスキルを学んだり、新しい立場に必要なマインドセットを共有したりといった研修に適しています。 具体的には以下に挙げるような研修です。
- ・新入社員研修
- ・新任管理職研修
- ・リーダーシップ研修
新入社員研修
宿泊の効果を期待できる研修の代表的なものです。同じスタートラインに立つ同期入社の社員が、寝食を共にして短期間で学生気分を捨て、社会人としての心構えをつくっていきます。 同期入社の絆が深まることにより良好なネットワークが形成され、その後のコミュニケーションによい影響を及ぼします。仕事で悩みが生じたときに、相談できる同期の存在は大変な励みになるものです。
新任管理職研修
新たに管理職に昇任する社員を集めた、宿泊型の新任管理職研修も効果的です。いわば、管理職としての同期ともいえる参加者が集まり、管理職に必要なマインドやスキルを学んでいきます。 管理職に昇任することによる不安を共有し、連帯感を高められます。新入社員研修同様、良好なネットワークが形成され、横のつながりが深まるでしょう。
リーダーシップ研修
リーダーシップ研修も、宿泊研修として実施すると高い成果が得られやすいカリキュラムです。指導力や統率力が必要となる役職やポジションを担う人材を集めておこないますが、宿泊型にすることで特別感が高まります。 リーダーシップの重要性を再認識し、モチベーションを高めて、それぞれの職場に戻ることになるでしょう。複数の部署のリーダーが一堂に会し、寝食を共にすることで連帯感が生まれ、組織力の強化につながります。
06宿泊研修を成功させるポイント
ここでは宿泊研修を成功させるためのポイントを解説します。長時間を過ごすため、可能な限り快適な環境を用意することが、研修効果を高めるための大切な要素になります。 宿泊研修のひとまずの成功は、参加者がプライベートを制限されてでも参加してよかった、日々の業務に役立つと感じてもらうことです。 そのためには、以下のポイントに気をつけるとよいでしょう。
- ・適切な会場・宿泊施設を選ぶ
- ・宿泊研修ならではのカリキュラムを組む
- ・リフレッシュできる要素を取り入れる
適切な会場・宿泊施設を選ぶ
研修効果を高めるには、会場や宿泊施設の選択は大きなポイントになります。人は環境に左右される側面があるためです。会場の立地は目的にあった場所を選びます。都心がよいのか、自然の多い場所がよいのか、カリキュラムにあわせて選択するとよいでしょう。 会場の広さや設備(照明・スクリーン・プロジェクター・空調・Wifiの有無)も、必要なものが完備されているか確認します。宿泊する部屋も、個室がよいのか相部屋がよいのか、よく検討しましょう。食事は参加者のテンションに関わる大切な要素です。可能な限りおいしい食事を提供してくれる施設が望ましいといえます。
宿泊研修ならではのカリキュラムを組む
宿泊研修ならではのカリキュラムを組むことが大切です。ボリュームや内容の深さなど、宿泊研修でしか実現できないものにする必要があります。短期集中でしか実施できない内容や、終了後に成長が実感できることが望ましいでしょう。 宿泊をともなうことは、参加者にも大きな負担となります。苦しさがあっても、最終日に苦しさを昇華できるような演出があるとよいでしょう。
リフレッシュできる要素を取り入れる
宿泊研修はカリキュラムのボリュームがあり、施設に泊まり込むため通常の研修よりも疲労度は高くなります。疲労度が高まると学習効果が低くなるため、リフレッシュできる要素を盛り込むことが大切です。 自然の多い場所や温泉のある施設などは、リフレッシュ効果を期待できます。研修の日数が長い場合は、途中で半日程度のレクリエーションをおこなうなど、イベント性のある催しをはさむとよいでしょう。
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07宿泊研修の事例
実際に企業でおこなわれている、ユニークな宿泊研修の事例を紹介します。いずれも宿泊することによる、非日常の体験が研修効果を高めています。
- ・座禅合宿研修(日置電機株式会社)
- ・3日間無人島サバイバル研修(日清食品ホールディングス株式会社)
- ・1週間の英国研修(株式会社ハブ)
詳しく見ていきましょう。
座禅合宿研修
電気計測器メーカーである日置電機株式会社は、1ヵ月間にわたる新入社員研修のうち、2泊3日でお寺に泊まり込む「座禅合宿研修」をおこなっています。朝は5時に起床し、朝食と片づけを経て研修カリキュラムに移りますが、1日に何度か座禅の時間が設けられています。 お寺という非日常の空間は、学生から社会人への気持ちの切り替えに、よい影響を及ぼすのでしょう。適度な緊張感のなか、共同生活をしてさまざまなミッションをこなすことにより、団結力や仲間意識を高める効果が期待できるようです。
3日間無人島サバイバル研修
日清ホールディングス株式会社の名物的な研修に「3日間無人島サバイバル研修」があります。新任管理職に抜擢されたエリート社員を対象に、3日間を無人島で過ごさせるというものです。 スマートフォンや時計は没収され、野営するための最小限の食料と備品が与えられます。基本的に無人島に滞在中は単独行動が求められます。極限状態で自身だけを頼りに行動することで、決断力や行動力といった、リーダーに必要な資質を身につけることが目的です。
1週間の英国研修
英国風パブ「HUB」を運営するハブ株式会社は「本場を知る」ことを目的に、1998年の創業時より、内定者全員に対し約1週間の英国研修を実施しています。さらに、2006年からは入社式も、英国のパブでおこなうようになりました。 日本国内で「HUB」を広めていくために英国との違いを肌で実感し、考えを深めることが重要であると考え、本場のパブに触れる機会を設けているのです。
08まとめ
宿泊研修は短期集中で高い効果を得られる研修スタイルです。しかし参加者のなかには、億劫に感じたり、抵抗を覚えたりする人も一定数いることは否めません。研修全体の効果を高めるには、こうした人たちをいかに巻き込むかがカギになります。 会場の選択からカリキュラムの作成まで、かなり綿密な準備が必要になるでしょう。運営側にもそれなりの負荷はかかりますが、成功したときは絶大な研修効果が期待できます。実施の際には、十分な準備期間をもって臨むようにしましょう。