公開日:2023/10/19
更新日:2023/10/23

ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは|その重要性や構築方法・企業事例について解説

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ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは、ビジネスや社会においてますます注目される重要な概念です。当記事では、ソーシャルキャピタルの定義、その重要性、構築方法、そしていくつかの企業事例について詳しく解説します。

 

01ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは

「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」は、人と人の関係性を資本として捉える考え方です。人々がお互いにつながっていることで、社会全体の効率性が高まることができます。この関係性には、信頼や共有のルール、ネットワークなどの要素が含まれます。ソーシャルキャピタルを持つことで、個人や組織は他の人々と信頼関係を築き、協力することができます。 また、ソーシャルキャピタルにより、ネットワークを通じて他の人々と繋がることで、情報やリソースを共有しやすくなり、組織やコミュニティの連携を強化することができます。ソーシャルキャピタルは社会の発展に寄与し、持続可能な関係の構築にも重要な役割を果たすということで近年注目されている考え方です。

人的資本との違いとは

ソーシャルキャピタルと人的資本はしばしば混同されますが、異なる概念です。人的資本は個人のスキルや知識に焦点を当て、教育や経験を通じて獲得されます。一方、ソーシャルキャピタルは社会的なつながりと関係性に焦点を当て、信頼やネットワークを通じて構築されます。人的資本とソーシャルキャピタルは相互補完的で、両方が成功に寄与します。

 

02ソーシャルキャピタルが重要視される背景

なぜソーシャルキャピタルがますます重要視されるのでしょうか?その理由はいくつかあります。 まず、ソーシャルキャピタルを持つことで、個人や組織の信頼性が高まるでしょう。信頼のある関係を築くことで、取引先や顧客からの信頼を獲得しやすくなり、長期的な事業の成長につながります。 次に、ソーシャルキャピタルは情報共有を促進するためです。信頼できるネットワーク内で情報が円滑に流れるため、市場の変化や機会を迅速に把握することができます。 さらに、ソーシャルキャピタルがあれば、問題解決や協力が容易になります。困難な状況に直面した際、信頼のおける人々と連携して解決策を見つけ出すことができるでしょう。

 

03ソーシャルキャピタルの3つの構成要素

ソーシャルキャピタルは、主に次の3つの構成要素から成り立っています。

  • 1.信頼
  • 2.規範
  • 3.ネットワーク

1. 信頼

信頼はソーシャルキャピタルの基盤です。信頼があれば、人々は他者に依存し、協力しやすくなります。組織内外での信頼関係の構築が、持続可能なビジネスにおいて不可欠です。 また、信頼はビジネスの成功にも密接に関連しています。信頼があると、顧客やパートナーはより長期的な関係を築きたいと考えるようになるでしょう。これにより、ビジネスは継続的な収益を生み出すことができます。

2. 規範

規範は、社会的なルールや価値観を指します。ソーシャルキャピタルを持つネットワーク内で共有される規範は、行動の指針となり、協力と調和を促進します。 規範は、社会の安定と発展に不可欠です。人々が共有するルールや価値観に基づいて行動することは、社会的な結束を高め、相互の信頼関係を築くことにつながります。また、規範は個人の行動を制約するだけでなく、社会全体の利益を最大化するための指針となるでしょう。 ソーシャルキャピタルを持つネットワーク内で共有される規範は、さまざまな形で表現されます。例えば、言葉や行動の規範、共通の目標に向かって協力する規範などがあります。これらの規範は、人々が互いに理解し、尊重し合うことを促し、ネットワーク全体の協力と調和を生み出すことにつながるでしょう。

3. ネットワーク

ネットワークは、人々や組織が互いにつながり、情報やリソースを共有する手段です。強力なネットワークを構築することで、情報の収集や問題の解決を迅速に行うことができます。 ネットワークは、ビジネスや個人活動においても非常に重要です。例えば、ビジネスの場合、ネットワークを通じて新しいビジネスパートナーや顧客を見つけることができます。また、ネットワークを通じて情報やアイデアを共有することで、自身の知識やスキルを向上させることができます。 さらに、強力なネットワークを持つことは、キャリア形成にもつながるでしょう。ネットワークを通じて、新しい仕事の機会を見つけることができたり、専門知識を持つ人々とのつながりを築くことができます。

 

04ソーシャルキャピタルのメリット

ソーシャルキャピタルを持つことには多くのメリットがあります。

  • ・事業や運営が円滑になる
  • ・社員の定着化や離職率の低下に影響する
  • ・職場の心理的安全性を高めることができる

事業や運営が円滑になる

ソーシャルキャピタルが高い組織は、内外の関係者との円滑なコミュニケーションを可能にし、問題解決を迅速に行うことができます。このため、事業運営がスムーズに進行し、企業競争力を高めることができるでしょう。 その結果、事業運営がスムーズに進行できることや、競争力の向上につながることが期待されます。関係者間の信頼関係が築かれ、情報共有や意思決定が円滑に行われるため、業務の進行が効率的になります。

社員の定着化や離職率の低下に影響する

ソーシャルキャピタルが豊富な組織は、社員が安心感を持ち、長期間の雇用を維持しやすくなります。これにより、社員は組織に忠誠心を持ち、仕事に対するモチベーションも高まるでしょう。 また、チーム内の協力や情報の共有も活発化し、生産性が向上します。さらに、社員同士の信頼関係が築かれ、コミュニケーションも円滑に行われます。結果として、離職率が低下し、組織の安定性が向上し、組織全体の成果も向上するでしょう。

職場の心理的安全性を高めることができる

ソーシャルキャピタルの存在により、職場の心理的安全性が向上します。心理的安全性とは、メンバーが自分の意見やアイデアを自由に表明し、リスクや恐れを感じることなく意見交換やフィードバックを行える環境を指します。 メンバーは自分自身を開示し、ミスや失敗を恐れることなくチーム内でのコミュニケーションや協力を行うことができるようになります。

 

05ソーシャルキャピタルを高める方法

ソーシャルキャピタルを高めるためには、以下の方法が有効です。

  • ・働き方や環境の整備
  • ・ジョブローテーションの実施
  • ・社内交流イベントや福利厚生の整備
  • ・メンター制度の導入

働き方や環境の整備

フリーアドレスやABW(Activity-Based Working)の導入など、部署にとらわれず個人が働く場所を選び、コミュニケーションが促進しやすい環境を整備することが重要です。 柔軟な働き方を促進するために、リモートワークやフレックスタイム制度の導入も検討すると良いでしょう。これにより、個々人のライフスタイルや仕事のスタイルに合わせた働き方が可能となり、ワークライフバランスの向上にも繋がります。

ジョブローテーションの実施

ジョブローテーションは、組織内の社員が異なる部門やプロジェクトで経験を積むことを目的とした取り組みです。この取り組みにより、社内のネットワークが強化され、さまざまな視点を持つ社員が育成されます。 さらに、異なる部門やプロジェクトでの経験を通じて、社員は幅広い知識やスキルを習得することができます。ジョブローテーションは、社員の成長と組織の発展にとって重要な役割を果たすでしょう。

社内交流イベントや福利厚生の整備

レクリエーション、交流イベント、シャッフルランチ、総会でのワークショップなどを通じて、社員同士の交流を促進します。 具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。

  • ・社員同士の交流を深めるためのテーマパーティーやアクティビティの実施
  • ・社内ランチのシャッフルシステムの導入による異なる部署間の交流の促進
  • ・総会や会議において、参加者がアイデアや意見を共有するためのワークショップの開催

これらの取り組みを通じて、社員同士のコミュニケーションを活発化し、職場の雰囲気をより良いものにすることを目指します。

メンター制度の導入

メンター制度を導入することで、組織内での知識や経験の共有を支援し、ソーシャルキャピタルを育成します。 また、組織のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。メンターが新入社員や若手社員に対して適切な指導やアドバイスを提供することで、彼らの成長と能力開発を促進します。これにより、組織全体の能力が向上し、競争力を高めることができるでしょう。組織内の知識共有や経験の育成、パフォーマンス向上、離職率の低下、イノベーション力の向上など、さまざまな側面で組織を強化することができます。

 

06ソーシャルキャピタルの活用事例

以下は、ソーシャルキャピタルを活用している企業の事例です。

  • ・住友ゴム
  • ・積水化学

住友ゴム

住友ゴムでは、ソーシャルキャピタルの向上に積極的に取り組んでいます。 例えば、お客様に対しては、お客様相談室やサービス窓口を通じて問い合わせや苦情に応じ、ホームページや展示会などで情報を提供しています。タイヤ事業、スポーツ事業、産業品事業において、お客様との対話を通じて関係を築いています。 地域社会への貢献にも注力しており、地域イベントへの積極的な参加や社会貢献活動、NGO・NPOとの協働を通じて、地域社会との関係を深めています。さらに、住友ゴムCSR基金の助成や教育プログラムの実施を通じて、地域社会への支援を行っています。 これらの取り組みを通じて、住友ゴムは社会関係資本を向上させ、ステークホルダーとの良好な関係を築き、企業価値の向上を追求しています。ブランド力向上も戦略の一環とし、特に「ダンロップ」ブランドの価値向上に注力しています。

▶︎参考:社会関係資本_住友ゴム

積水化学

積水化学グループは、ソーシャルキャピタルの向上に注力しており、以下の取り組みを通じて社会との関係を強化しています。 社会貢献活動においては、「環境」「次世代」「地域コミュニティ」の3つの分野で積極的な取り組みを行っており、森林保全や生物多様性の保全、緑地化活動などを通じて社会と共に生きる企業市民としての役割を果たしています。 CS品質経営も重要な要素であり、お客様の声を活用して「CS品質経営」を推進し、「指名され続ける品質」の実現を目指しています。重要品質問題の発生防止にも注力し、未然防止手法の研修や品質問題の分析を行っています。 最後に、お客様の声を活用し、お客様の「見えないニーズ」を発掘し、全従業員へのCS品質風土の醸成や全社事業展開の理解促進に貢献しています。積水化学グループはこれらの取り組みを通じて、社会関係資本を向上させ、ステークホルダーとの信頼関係を築き、持続可能なビジネスを推進しています。

▶︎参考:社会関係資本_積水化学


 

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07まとめ

この記事では、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)について解説しました。ソーシャルキャピタルは、組織や個人の成功において重要な要素であり、信頼、規範、ネットワークの構築を通じて成果を上げることができます。 ソーシャルキャピタルの重要性は、組織内におけるチームワークやコラボレーションの向上、職場の心理的安全性の確保、社内外の関係構築などに現れます。ソーシャルキャピタルを高める方法としては、働き方や環境の整備、ジョブローテーションの実施、社内交流イベントや福利厚生の整備、メンター制度の導入などがあります。 また、ソーシャルキャピタルを活用している企業の事例として、住友ゴムと積水化学を紹介しました。これらの企業は、顧客との対話や関係構築、地域社会への貢献、従業員とのコミュニケーションなどを通じてソーシャルキャピタルを向上させ、企業価値の向上を実現しています。 ソーシャルキャピタルの重要性を認識し、積極的に構築していくことは、組織や個人の成長と持続可能な成功にとって重要です。今後のビジネス環境での競争力を高めるために、ソーシャルキャピタルの概念を活用し、関係構築に努めましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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