公開日:2023/09/12
更新日:2023/10/13

262の法則とは?企業の成長に活かすポイントも解説

262の法則とは?企業の成長に活かすポイントも解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

「262の法則」とは、組織内の人材の比率について説明した法則です。当記事では、262の法則の概要を解説したうえで、人材育成に活用するメリットや階層ごとに有効なアプローチ方法について紹介します。

 

01262の法則とは?

「262の法則」とは、あらゆる組織や集団は、「2割の上位層」「6割の中位層」「2割の下位層」で構成されるという経験則です。 具体的な例を挙げると、営業マンの2割が成果の高い人材、6割が平均的な人材、残り2割が成果の低い人材といった事象です。 262の法則の留意点として、仮に成果の低い人材のみを切り離して、新しい組織や集団を構築しても、残された人材で2:6:2の比率を構成することが挙げられます。つまり、2割のローパフォーマーがいなくなったとしても、そのなかで新たに2:6:2のバランスが成り立つのです。そのため、262の法則とは、正しく付き合っていくことが求められます。

パレートの法則との違い

「パレートの法則」とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート氏が提唱した経験則です。「2:8の法則」や「80:20の法則」とも呼ばれ、「全体の成果の8割は、全体を構成する要素のうちの2割が生み出している」という考えです。262の法則は、パレートの法則の理論が派生したもので、パレートの法則とも合致していると言えます。

働きアリの法則との違い

「262の法則」と類似した法則として、「働きアリの法則」があります。262の法則では、どのような組織でも「上位層2割:中間層6割:下位層2割」で構成されることが提唱されています。一方で、働きアリの法則では、「よく働くアリが2割」「普通に働くアリが6割」「あまり働かないアリが2割」としています。 そのため、262の法則では、個々人が出した「結果(業績)」が重視されており、働きアリの法則では、「活動量(業務量)」が重視されていることが両者の主な違いとなります。

 

02262の法則を人材育成に活用する3つのメリット

262の法則をベースにした考え方は、エンゲージメントや組織のパフォーマンス向上に有効なため、人材育成にも活用することが可能です。262の法則を人材育成に活用するメリットは、以下の3つです。

  • 1.仕事に対するモチベーションを上げられる
  • 2.自社へのエンゲージメントが高まる
  • 3.組織全体のパフォーマンスが向上する

1.自社へのエンゲージメントが高まる

組織全体のエンゲージメントを高めるためには、中位層6割への働きかけが重要です。中間層6割に対し施策を講じて、エンゲージメントを高めることができれば、組織全体の業績ボリュームがアップします。これにより、結果的に上位層2割のエンゲージメントも大きく向上するのです。

2.仕事に対するモチベーションを上げられる

組織は、262の法則でのように構成されるという前提の元、各従業員に対して必要な支援や環境を提供できれば、仕事に対するモチベーションの向上にも期待ができます。また、従業員一人ひとりのスキルや適性にマッチしたマネジメントを行うことで、生産性の向上にも大きく寄与します。

3.組織全体のパフォーマンスが向上する

下位層2割の人材が持つ潜在的能力を引き出せれば、組織全体のパフォーマンスが向上する可能性もあります。また、中位層6割の人材についても能力を底上げできれば、企業としての大きな成長につながると期待できます。 262の法則に基づくと、下位層と中位層の能力を高めても、組織全体のなかでは上位層・中位層・下位層それぞれの人材割合は変化しないことになります。しかし、その割合が変わらなくても、それぞれの層における能力水準が高まれば、組織全体のパフォーマンスアップにつなげられるのです。

 

03階層ごとに有効なアプローチ方法とは?

262の法則をマネジメントに活用するためには、上位層、中位層、下位層のいずれもおそろかにせず、それぞれに適した施策を打つことが重要です。262の法則を組織マネジメントに効果的に活用するために、それぞれの層のアプローチ方法を確認していきましょう。

上位層2割へのアプローチ方法

上位層2割の従業員は、モチベーションを高くキープしてもらうことが組織全体の成果につながるため、そのための工夫を考える必要があります。具体的には、正当な評価を与えたり、能力・業績に見合ったインセンティブを支払うことで、モチベーションを維持できます。 また、上位層のモチベーションが低下してしまうことを防ぐためには、マネジメントに携わるポジションを与えて、マネジメント能力を高めることも有効です。マネジメント能力を向上させるためには、実務スキルだけでなく、問題解決能力や遂行力、ロジカルシンキングなどを鍛えることがポイントです。 そのほかにも、社内研修や外部セミナーを活用する、メンター制度やOJTを導入するなどの方法で、人材の育成を図りましょう。 ただし、マネジメント能力を高めることに注力するあまり、本人が志望していない業務などを割り振ることは、得策とは言えません。また、新しい業務に挑戦させることで本人の素質を活かせなくなることも考えられます。これまでと違う業務を担当させる場合は、本人の得意なことや苦手なこと、そしてキャリアプランを正確に理解し、適材適所を意識することが肝要です。

中位層6割へのアプローチ方法

多数派である中位層6割へのアプローチが、組織力強化には最も重要であると言えます。中位層は、組織の土台を支えている層であり、アプローチ次第では上位層に匹敵するほどの活躍をする人材が出てくることも考えられます。 明確な行動指針や業務目標を定めることで、従業員自身が少しずつスキルアップできる環境を整えましょう。 また、中位層だけでプロジェクトチームを作り、協力しながら業務を遂行させることもひとつの手です。中位層だけでチームを作ると、能力レベルが近い従業員同士で意見交換が活発になり、一人ひとりの能力を活かせる可能性が高まります。 さらに、チーム内で上位にいる従業員をリーダー的役割に置くことで、マネジメント力を高めると同時に、企業全体における上位層へ近づけられます。

下位層2割へのアプローチ方法

成果を出せていないからと言って、下位層の人材を切り捨ててしまうことは、組織全体の力を低下させることになります。業務成績が優れない原因を見極め、補うための取り組みを検討しましょう。 業務成績が優れない原因を考えるときには、それが本人のやる気の問題なのか、環境によるものなのかを見極める必要があります。本人のやる気の問題であれば、ヒアリングや1on1ミーティングなどを繰り返し、根気強く指導していかなくてはなりません。 また下位層は、キャリアプランが明確になっていない場合もあります。そのため、下位層のスキルを客観的に把握したうえで、目標や課題を与えましょう。 反対に環境が原因の場合は、本人の潜在的能力を活かせるポジションに配置したり、適切な目標を与えたりして、モチベーションを高める取り組みを行うと良いでしょう。

 

04262の法則を活用するポイント4つ

262の法則を人材マネジメントに活用する際には、以下の4つのポイントに留意する必要があります。

  • 1.まずは理想の組織像を明確にする
  • 2.定量的なデータに基づいて人材評価を行う
  • 3.360度評価制度も同時に導入する
  • 4.従業員が自分の階層を知ることがないようにする

後悔しないためにも、ここで262の法則を活用するポイントについて理解を深めましょう。

1.まずは理想の組織像を明確にする

まずは、組織の将来的なビジョンを見直し、理想の組織像を明確化します。この際、自社の経営課題や目指すべき姿、そのために必要な戦略など、より具体的に考えることが重要です。ここで曖昧な組織像を設定してしまうと、各従業員が指針とするべき考えが把握できず、期待通りの効果を得難くなってしまいます。

具体的には、「戦略を実現するために、組織全体としてどのような行動が求められているのか」といった、組織として共通で認識しておきたい軸をまず決定します。その軸に沿って、各階層に期待される行動や役割などの人材要件を定義する流れです。

2.定量的なデータに基づいて人材評価を行う

262の法則をマネジメントに活用する場合、従業員を何らかの判断基準に基づいて、上位層・中位層・下位層に振り分けるケースが多いものです。この際、マネジメント職が持つ印象や個人的な考えだけで階層を割り振ってしまうと、実態とかけ離れた評価になるおそれがあります。そのため、定性的な情報だけではなく、営業成績・業務成績など、定量的なデータも判断基準に含めることが重要です。

3.360度評価制度も同時に導入する

定性的な情報についても、実態とかけ離れることがないよう、「360度評価制度」を導入することをおすすめします。360度評価とは、上司・部下・同僚など、複数人の評価者が多面的に従業員を評価する手法です。 通常の人事評価は、直属の上司から部下といった一方向的な視点で評価されますが、360度評価では、複数人かつ異なる立場から意見を集めます。これにより、人事評価に公平性を付与できます。また、上司の評価能力のみに依存する従来の評価方法と比較して、360度評価は高い客観性を担保できる点も特長です。

4.従業員が自分の階層を知ることがないようにする

人材マネジメントで262の法則を活用する際は、働いている従業員自身が、262のどの階層に属しているかを知ることがないよう、注意してください。 例えば、上位層の従業員にのみインセンティブを渡すなど過度に優遇してしまうと、中位層以下のモチベーション低下を招いてしまいます。また、下位層の従業員が、自分の階層を知ってしまった場合、組織に必要とされていないと感じ、離職してしまうおそれもあります。 あくまでも、従業員一人ひとりを尊重することを忘れずに、適切なアプローチを行うことで、エンゲージメントや組織全体のパフォーマンス向上につなげられます。


 

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05まとめ

今回は、262の法則の概要や262の法則を人材育成に活用するメリット、活用時のポイントなどについてお伝えしました。262の法則を活用して組織マネジメントを行うことで、企業の更なる成長を期待することができます。組織に所属する従業員全員に同じ指導を行うのではなく、262の階層ごとに適切なアプローチを行い、エンゲージメントや組織全体のパフォーマンス向上を目指しましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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