公開日:2023/10/16
更新日:2023/10/18

研修転移とは|研修を現場で活かすために企業が取り組むべきことを解説

研修転移とは|研修を現場で活かすために企業が取り組むべきことを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

コストと時間をかけ社員研修を実施しても、思うような効果が得られないと課題を抱える企業は多いのではないでしょうか。いわゆる「やりっぱなし」の研修となっているのかもしれません。「やりっぱなし」の研修を「役に立つ」研修に変えるには、研修転移の考え方に注目する必要があります。 この記事では、研修転移の概要とメリットや課題、研修転移を実現し現場で活かされる研修にする方法を解説します。

 

01研修転移とは

研修転移とは、研修で学んだ知識やノウハウが実践され、成果につながることを指します。研修転移が起きるには、まず研修で学んだことにより参加者に行動変容が生じることが前提にあります。参加者の業務行動がよい方向に変化することで、成果が生まれてくるためです。 そして、その変化した行動が定着し成果が持続していくためには、講師をはじめとした研修運営スタッフと、現場との連携が大切になってくるのです。

 

02研修転移が必要とされる理由

研修転移が必要とされる理由には、より実行性の高い人材育成が求められるようになったことが挙げられます。VUCAという言葉に象徴されるように、先行きが不透明な時代では、従来の組織構造やビジネスモデルが通用しなくなりつつあります。 こうした、不透明な時代に事業を継続して発展させるには、変化に対応し柔軟に新しい価値を生み出せる人材を育てなくてはなりません。効果的な研修を実施して、受講者の意識と行動を変化させ、自走できる人材を育成する必要があるのです。

 

03研修転移のメリット

研修転移が成功し、多くの受講者の行動が変化すれば、組織全体によい影響を波及させることができるでしょう。研修効果が持続すれば、組織風土も改善されていきます。 具体的には、以下に挙げるようなメリットが考えられます。

  • ・業績が向上する
  • ・モチベーションが向上する
  • ・自律型人材が育成される

それぞれ、詳しく解説します。

業績が向上する

研修転移が成功し、多くの受講者が成果に直結する行動をとるようになれば、業績の向上が見込めます。売り上げ増につながる売り方や、効率的な管理の方法など、より実務に即したノウハウを研修で教え、実践がなされた場合は短期間で業績が向上するでしょう。 マネジメントスキルや部下育成の方法などの研修の場合は、すぐに効果は表れません。しかし受講者が研修内容を確実に実践することにより、組織がうまく回り人が育つ環境が出来上がります。間接的に業績向上につながるのです。

モチベーションが向上する

研修の学びが成果につながることが実感できれば、成功体験としてモチベーションの向上に作用します。学ぶことに対する意欲が高まり、新たなスキルの習得にも積極的になっていくでしょう。 成長意欲が高まり、成長するための具体的な行動をとるようになります。こうした流れができれば、その人の部下や同僚にもよい影響が及ぶでしょう。組織全体の学びに対する意欲が高まれば、さらにモチベーションが向上するといった好循環が生まれます。

自律型人材が育成される

学びが実践に活かされ成果につながる経験を重ねることは、チャレンジする姿勢にもつながります。成功体験を重ねることで、自信を深め自発的な行動が促されるためです。 自身の頭で考え行動を起こせる自律型人材こそが、新しい価値を生み出せます。こうした人材が多く育ち、事業の第一線を担うことで組織体制が盤石になり、持続的な発展につながるのです。

 

04従来の研修における課題

研修転移が成功することにより、さまざまなメリットが生じます。しかし、研修転移が成功せず効果が持続しないのは、これまでの研修に何らかの課題があるからにほかなりません。 研修効果は、時間の経過とともに薄れていきます。研修実施から1年後に学んだことが実践されている割合は、実に1割程度であるという調査結果もあるほどです。 従来の研修における課題として考えられるのは、以下に挙げる3点です。

  • ・受講者の記憶に定着しない
  • ・実践の場が用意できていない
  • ・モチベーションを持続できない

受講者の記憶に定着しない

「やりっぱなし」の研修では、受講者の記憶に知識が定着しません。研修を実施した(受講した)ことに満足し、振り返りの機会を持たないことが大きな原因です。 研修を実施した直後は受講者の記憶にとどまっていても、その後の働きかけが何もなければ、記憶は薄れていく一方です。行動変容につながることもありません。とくに、参加が強制されるような研修では、限定的な学習効果しか見込めません。

実践の場が用意できていない

研修で学んでも実際の職場で実践できなければ、知識は定着せず行動変容も起きません。実践できないことを教えられた受講者は「机上の空論」「理想論」を押し付けられたというネガティブな反応を示すこともあります。 研修での学びを実践させるには、実務とうまく連動することが必要です。この課題は、現場と研修運営側の連携した取り組みで解決を図らなくてはなりません。

モチベーションを持続できない

研修後に一時的にモチベーションを上げることはできても、長期間持続することは困難です。とくに単発の研修においては、効果は限定的にならざるを得ません。モチベーションを持続させるためには、定期的な研修を実施することも一つの方法です。 それが難しければ、やはり現場での実践が必要になってきます。「学んだことを現場で実践してみたい」と強く思い、上司にかけあうくらいの動機付けをしなくてはなりません。

 

05研修転移を実現する方法

「やりっぱなし」の研修にしないためには、研修の実施直後や一定の期間が経過するごとに、効果検証を必ず実施しましょう。検証をおこなわないことには、研修転移か起きているかすら確認できません。 そして、研修の目的・ゴールは、研修運営スタッフ・受講者・現場の管理職の3者で共通認識としておきます。研修のゴールは、あくまで受講者の行動変容です。研修後、どのように行動が変化したか、検証できる仕組み作りもあわせておこないましょう。 研修転移を実現する方法を、以下に5つ解説します。

  • ・研修の目的・目標を明確に伝える
  • ・研修の内容を具体的な行動計画に落とし込む
  • ・現場との連携を強化する
  • ・高い頻度でフィードバックをする
  • ・研修効果を管理する

詳しく確認していきましょう。

研修の目的・目標を明確に伝える

研修の目的や目標を明確にし、受講者と現場に伝えるのは、講師をはじめとした研修スタッフの重要な役割です。研修を受けることにより、どのような状態になって欲しいのかゴールを明確に示します。 研修の目的が明確でなければ、その後の効果検証も曖昧なものになります。目指したい行動変容がどのようなものか、分かりにくくなってしまうためです。目的・目標がはっきりしない研修は、実施して満足するだけの実効性のないものになると肝に銘じておきましょう。

研修の内容を具体的な行動計画に落とし込む

研修の内容と具体的な行動計画にリンクさせるのは、研修講師の役割です。研修のゴールを明確にしたら、それを現場で実現するための行動計画を作成するプロセスを盛り込むとよいでしょう。 計画を作成する際は、実現までの具体的な期日を設けることが大切です。「いつまでに」どのような状態になっているか、そのために「やるべきこと」を段階的に決めて進捗を確認できる計画を作成します。

 

現場との連携を強化する

行動計画を作成したら、それが実践されているか、確認するのは現場の上司の役割です。また、研修運営側は進捗を確認し、タイムリーにアドバイスをしなくてはなりません。 研修運営スタッフは、研修内容と目指したいゴールを受講者の上司と共有しておく必要があります。行動計画を実践できる環境作りが、研修転移がうまくいくためのもっとも大切な要素となるためです。そのためには、研修運営側と現場との密な連携が欠かせません。

高い頻度でフィードバックをする

研修転移が成功するためには、日々の業務のなかで高い頻度でフィードバックをすることが大切です。これは受講者の上司が担うべき役割です。行動計画の進捗や、うまくいっていること、そうではないことを、客観的にフィードバックします。 1on1の実施などが具体的な方法になるでしょう。上司が関心を持ちサポートする姿勢を示すことは、モチベーションの維持に効果的です。自身の成長を気にかけてくれる上司の存在は、心強いものです。

研修効果を管理する

研修転移を実現するために、研修効果を測定し管理することは、研修運営スタッフの大切な役割です。現場の上司への定期的なヒアリングや視察により、行動計画の実践状況を把握していきます。 優れた行動変容や具体的な成果が確認されれば、ほかの受講者と所属する現場にも共有しましょう。効果測定を確実におこない管理し、次の研修に活かすことが「やりっぱなし」の研修にしないための重要なポイントです。


 

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06まとめ

先行きが不透明なビジネス環境においては、自分の頭で考え自走できる人材の育成が急務となっています。そのためには、実効性の高い人材育成にシフトしていく必要があります。研修転移の考え方を意識した取り組みは、必須のものとなっていくでしょう。 研修で学んだ内容が確実に実施されるためには、現場の理解と協力が不可欠です。研修転移を成功させるためにもっとも大切なことは、研修運営側の「現場を巻き込む力」にあるといえるでしょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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