研修の時間が無駄になる理由|効果的な研修のポイントや方法を紹介
社員研修を実施しても受講者に「時間の無駄」と思われてしまうことがあります。コストと時間を費やし、受講者も時間を割いて出席しているにもかかわらず、不幸な結果であるといわざるを得ません。 この記事では、研修が「時間の無駄」といわれてしまう理由と、時間の無駄といわれないための効果的な研修のポイントや方法を解説します。
- 01.研修の時間が無駄になる理由
- 02.効果的な研修のポイント
- 03.研修の効果を高める方法
- 04.まとめ
01研修の時間が無駄になる理由
研修が時間の無駄といわれてしまうのには、受講者の学習意欲を高められていないことが原因にあるようです。研修は時間とコストをかけて実施する以上、必ず意義のあるものにしなければなりません。 まずは、受講者の学習意欲がなぜ高まらないのか、原因を確認していきましょう。考えられるのは、以下に挙げる4つの理由です。
- ・受講者に研修の目的が浸透していない
- ・現場の業務と研修内容がリンクしていない
- ・受講者のレベルと研修内容がマッチしていない
- ・知識のインプットのみに終始している
受講者に研修の目的が浸透していない
研修が時間の無駄といわれてしまう理由の一つに、研修の目的が受講者に浸透していないことが挙げられます。そもそもなぜ、この研修を受けなければならないのか、その理由を理解できていないのです。 これは、運営側が明確に伝えていなかったり、そもそも曖昧であったりすることが原因です。なぜこの研修に参加してもらっているのか、この研修を受けることでどのようになって欲しいのかが理解できていなければ、熱心な受講態度は望めません。
現場の業務と研修内容がリンクしていない
研修内容と現場の業務が、あまりにかけ離れている場合、受講者は研修に興味を示さなくなります。研修で学ぶ内容は「業務に関係ないから無駄」と思われてしまうのです。 研修で学ぶ内容は必要な知識でも、すぐに実践できなかったり、知識として業務に活用できるまでにある程度の時間を要するものが多いでしょう。なぜ学ばなければならないか、理由をきちんと説明することが必要です。
受講者のレベルと研修内容がマッチしていない
受講者のレベルを考慮せずに研修内容を組み立てた場合に、時間の無駄と思われてしまうことが多いようです。受講者がすでに習得している内容であれば「いまさら学んでも意味がない」と思われてしまいます。 反対に難易度が高すぎる場合も内容が理解できなければ、無駄な時間となってしまうでしょう。これは、定期的に実施している研修で起こりやすいミスです。「毎年やっている研修だから」と、内容を見直すことをしないために起こりがちです。
知識のインプットのみに終始している
研修の組み立てに問題があるパターンです。講義型の研修を長時間実施し、知識のインプットだけに終始した場合に起こります。 一方的に話を聞くだけの研修は、退屈で面白味がありません。また一度に頭に入る知識の量も限られています。詰め込み型の研修は、時間の無駄と思われるリスクが高いのです。
02効果的な研修のポイント
研修が時間の無駄といわれてしまう理由は、受講者のニーズに沿っていない研修を実施していることにあるようです。効果的な研修にするためには、以下のポイントを押さえたカリキュラム設計をおこないましょう。
- ・研修の意図・目的を明確にする
- ・適切なカリキュラムを設定する
- ・効果的な教材を準備する
研修の意図・目的を明確にする
研修の必要性と、目指すべきゴールを言語化し、受講者に分かりやすく説明できる準備をしなくてはなりません。 まずは、講師をはじめとした運営スタッフが、研修の意図と目的を明確にして共有することが必要です。研修で解決しなければならない課題を明確にしたうえで、研修後の受講者にどのような状態になって欲しいのか、求める研修効果を設定しましょう。
適切なカリキュラムを設定する
研修のゴールに到達できるよう、逆算したカリキュラムを設定します。重要なポイントを押さえ、そこがぼやけないように全体のボリュームを調整します。研修を運営する立場の人は、伝えたい思いが強く、ついたくさんの要素を詰め込んでしまいがちです。 受講者のスキル・知識レベルを考慮して、興味を引くような内容で設計することが大切です。
効果的な教材を準備する
研修で投影するスライドや、配布するレジュメの準備は念入りにおこないましょう。見やすいレイアウトや色使い、字の大きさなど受講者に配慮することも必要です。 研修資料はシンプルで分かりやすいものにすることが鉄則です。文字数を多くしすぎず、情報を詰め込みすぎないようにしましょう。たとえばスライドを用いる場合は、1枚につき1メッセージ程度を心がけると見やすく理解しやすい資料になります。
03研修の効果を高める方法
受講者が研修の効果を実感できることが望ましい状態です。「参加することが楽しみ」と思ってくれることが理想ですが、なかなか難しいのではないでしょうか。まずは、研修終了後に「参加してよかった」と感じてもらえるレベルを目指すとよいでしょう。 そのためには、研修効果を高める取り組みが必要です。以下7つの方法を実施しましょう。
- ・研修前に目的とゴールを共有する
- ・参加者の心理的安全性を確保する
- ・現場との協力体制を構築する
- ・アウトプットが必要なカリキュラムにする
- ・講師のファシリテーションスキルを磨く
- ・現場と連携したフォローをおこなう
- ・効果測定の方法を明確にしておく
研修前に目的とゴールを共有する
研修は企画段階から、研修を実施する理由(目的)と求める研修効果(ゴール)を定義し、運営スタッフで共有することが鉄則です。そして、研修の冒頭で受講者に向けて、分かりやすく発信しましょう。 受講者に現在の状態・課題を説明し、改善の必要があることを伝えます。そのために研修が企画され、どのように変化して欲しいのか具体的かつ分かりやすい形で共有することが大切です。
参加者の心理的安全性を確保する
研修の場を活気のある雰囲気にするためには、受講者の心理的安全性を確保することも必要です。受講者のなかには研修自体に身構え、警戒している人もいます。そうした人は、発言も少なく、発言したとしても当たり障りのない内容に終始するでしょう。 この研修の場では、どのような意見も批判・否定しないことをルール化すると、受講者は安心して発言するようになります。発言が活発になることにより、受講者の参加意欲も高まるでしょう。
現場との協力体制を構築する
研修の内容が現場の実情を反映できるように、現場との協力体制を構築することが重要です。カリキュラムが的外れにならないように、事前に現場が抱えている課題をヒアリングするとよいでしょう。 会社からの発信とインプットを中心とする内容の場合は、研修実施の意義や目的を現場と共有しておきます。研修内容を事前に発信して、現場の協力を仰いでおく必要があります。
アウトプットが必要なカリキュラムにする
カリキュラムの構成にも工夫が必要です。講義形式の研修が長時間続くと情報量が多くなりすぎ、受講者はキャパオーバーとなってしまいます。適度にアウトプットが必要なカリキュラムを挟むことで、退屈しないで受講できるでしょう。 講義形式の研修だけでなく、グループワークやロールプレイを取り入れた研修設計にします。ただ頭で理解するだけでなく、実践できる状態にするためにもアウトプットの機会が必要です。
講師のファシリテーションスキルを磨く
講師のスキルが研修の効果を左右するといっても過言ではありません。ユーモアや、たとえ話の分かりやすさがある講師は、受講者の聞く姿勢を引き出します。グループワークの際には、場をコントロールするファシリテーションスキルが必要です。 社内講師が研修を運営するのであれば、ファシリテーションスキルをはじめとした、講師としてのスキルアップを支援することが必要です。社外講師の場合は、自社の受講者にマッチした人選を再検討しましょう。
現場と連携したフォローをおこなう
研修後も現場との連携は必要です。研修後の受講者の様子や、学んだことが現場で活かされているかの確認機会を持つようにします。「受けて終わり」の無駄な研修だったと思われないためにも、研修後のフォローをおこなうようにしましょう。 現場と協力しながら、後日フォローアップ研修を実施することも検討します。研修内容を日常業務に反映しているか、成果が出ているかを確認し共有する場を設けるためにも、実施することが望ましいでしょう。
効果測定の方法を明確にしておく
求める研修効果が定義されたら、それがどれくらい達成できたのか、効果測定の機会を必ず設けるようにします。求める研修効果が理解度のアップなのか、行動変容なのか、意識の変容なのかによって測定の方法は違います。 研修効果の定義をする際には、セットで効果測定の方法も決めておきましょう。アンケートや現場へのヒアリング、テストの実施などが具体例です。学習効果を可視化するために、学習管理システム(LMS)の導入も視野にいれましょう。
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・自己啓発への活用方法 など
04まとめ
無駄で意味のないと思われてしまう研修は、運営側・受講者双方にとっても避けるべきものです。そのためにも、研修を運営する側はカリキュラムの設計から当日の準備まで、入念におこなう必要があります。 研修は受講者や現場が抱えている課題が、解決できるものであることが理想です。そのためには現場の協力が不可欠です。無駄といわれる研修にならないために、連携を深めていきましょう。