公開日:2021/04/30
更新日:2024/03/31

ナレッジマネジメントとは|定義から企業が行うメリットまで詳しく解説

ナレッジマネジメントとは|定義から企業が行うメリットまで詳しく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ナレッジマネジメントとは個人や企業が持つ知恵を企業全体で共有する経営手法のことを指します。転職市場が活発化し、企業が得た知識やノウハウを社内に効率良く残したり、継承したりするのが難しくなっている現在、競争力を維持するためにもナレッジマネジメントは企業にとって重要な手法だと言えるでしょう。この記事ではナレッジマネジメントとは何かから企業が行うメリットまで詳しく解説します。

 

01ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントとは、社員が持つノウハウや経験、また企業が持つ情報や知識を組織全体で蓄積・共有して、企業全体の生産性や市場での競争力、また企業価値を高めていく手法のことを言います。ナレッジマネジメントは、1990年代初頭に経営学者の野中郁次郎が、同じ経営学者竹内弘高との共著「知識創造企業」の中で提唱して、世の中に広まっていきました。

ナレッジマネジメントは企業側から見ると経営における管理領域の1つで、生産管理、販売管理(マーケティング)、財務管理、人的資源管理、情報管理に続く第6の管理領域とも言われます。ナレッジマネジメントを適切に行うことによって企業では新たな変革を促し、全体的な生産性の向上、または業務改善につなげることができるでしょう。

ナレッジマネジメントが生まれた背景

ナレッジマネジメントが生まれた背景を2つご紹介します。

1.日本の高度経済成長期を支えた要因の1つであるため

日本の企業、その中でも製造業のモノづくりは素晴らしいことが世界中に知られていても、欧米ではなぜ日本企業が成功したのかは謎とされてきました。 経営学者の野中郁次郎は、この謎に対して「組織的知識創造」の技能・技術を持ち合わせたのがその成功要因だと述べたのです。 知識を企業の資産と考えるナレッジマネジメントが生まれたのは、日本企業成功の謎を野中氏が理論的に解き明かしたことが背景にあったのです。

2.団塊の世代が定年を迎えたため

2000年代後半になると、団塊の世代が定年を迎え始めました。 これにより、各企業においてモノづくりのノウハウや経験をどのように組織で伝承するのかが改めて問われ、ナレッジマネジメントが注目され始めたのです。 業務の属人化を防ぎ、組織的なナレッジマネジメントを意識することで各企業は弱体化せず生き残ることができたと言えるでしょう。

 

02ナレッジマネジメントのメリット

ナレッジマネジメントのメリットは、主に以下の3つがあります。

  • 1.業務が効率化できる
  • 2.業務の属人化を防止できる
  • 3.企業としての競争力が高まる

人材の流動性が高まっている中で、それぞれの社員の持っている知識や経験を、会社の資産として蓄積・共有していくことは企業の持続的な成長につながります。この章ではナレッジマネジメントのメリットについて紹介します。

1.業務が効率化できる

個人が持つ経験やノウハウが、データベースやマニュアルなどの形式知として共有されることで、スムーズに業務が遂行できるようになるでしょう。 効率的な作業方法が共有されることで、企業全体の生産性向上にもつながります。

2.業務の属人化を防止できる

ナレッジマネジメントを行うことで特定の人しかできない業務がなくなり、知識やノウハウの継承もしやすくなります。 従業員の転職や不在に伴って業務が成り立たないという状態を防ぎ、組織としての活動を活発化させることができるでしょう。

3.企業としての競争力が高まる

ナレッジマネジメントにより個人のスキルアップが図れるため、組織としての能力も同時に拡大します。 部署間の情報共有が活発化することからセクショナリズムが解消され、新しいアイデアが浮かびやすくなるので企業としての競争力が高まるでしょう。

 

03ナレッジマネジメントのフレームワーク「SECIモデル」

ナレッジマネジメントを実践する際には、暗黙知を形式知へと変換する「SECIモデル(セキモデル)」と呼ばれるフレームワークを取り入れること効果的です。この章では、SECIモデルについて詳しく紹介します。

暗黙知と形式知とは

暗黙知とは企業において個人が仕事において蓄積してきた経験や技能・ノウハウなどを示し、言葉や数字で表現しにくいのが特徴です。また形式知も企業において個人が蓄積してきたという点では暗黙知と同じですが、こちらは言語化や図解化ができるのでデータやマニュアルとして共有されることが多いでしょう。 ナレッジマネジメントではこの暗黙知をできるだけ形式知へと変換し、組織で共有することを求められます。暗黙知を形式知へと変えることで、さらに高度な知識を生みだして組織全体を進化させることができます。

SECIモデルとは

ナレッジマネジメントを実践する際に使うフレームワークがSECIモデルです。 新たな知識や変革を生みだす経過を表す4段階、「Socialization(共同化)」「Externalization(表出化)」「Combination(連結化)」「Internalization(内面化)」の頭文字を取って名づけられました。 それぞれの段階について説明します。

1.Socialization(共同化)

共通体験を持つことで暗黙知の獲得や伝達を図ります。 OJTなどがこれに当たり、暗黙知で暗黙知を伝える段階だと言えるでしょう。

2.Externalization(表出化)

得られた暗黙知を共有できるよう形式知化します。 マニュアル化などがこの段階に当たり、企業として1つの財産となる知識が完成するでしょう。 ナレッジマネジメントの肝とも言える段階です。

3.Combination(連結化)

既に存在する形式知と新たな形式知を連結させ、組織内に存在しなかった新たな知識を生みだします。 企業にとって変革を起こす最初の段階と言えるでしょう。

4.Internalization(内面化)

連結された形式知が企業内で利用され、新たな暗黙知へと変わります。 個人が形式知を基に実践することで、新たな経験やノウハウが得られるでしょう。

 

04ナレッジマネジメントの仕組み構築に必要な要素

ナレッジマネジメントを成功させるには、マインド・プロセス・システムという3つの要素が重要となってきます。これらの、いずれかが欠けてしまうとナレッジマネジメントは持続的に運用されていきません。

1.マインド

ナレッジマネジメントに携わる社員全員が、ナレッジマネジメントの重要性と、自分にとっての利を正しく理解している状態をまずは作る必要があります。ナレッジマネジメントを全員で実施して、組織の成長に繋げるというマインドセットさえあれば、あとは仕組みで解決できることがほとんどとも言えます。

2.プロセス

業務としてナレッジマネジメントが組み込まれていることが、成功の秘訣です。ナレッジを提供する人がいて、それを活用する人がいて、さらにそのナレッジを管理する人がいる。これらのプロセスを組織的に行えるかどうかが継続の鍵となります。

3.システム

ナレッジマネジメントを成功させるには、システム=テクノロジーの活用も欠かせません。膨大に蓄積されたナレッジから適切なものを探すことができなければ、そもそも活用することもできません。

 

05ナレッジマネジメントを実施する際の注意点

ナレッジマネジメントは、企業の持続的な成長に欠かせません。しかし、多くの企業でナレッジマネジメントが上手く機能していないという現状があります。その理由として、ナレッジマネジメントを徹底して、継続させることが難しいという背景があります。この章では、ナレッジマネジメントを実施する際の注意点を紹介します。

1.事業を拡大すると運用しにくくなる

エンタープライズサーチなどの回避策はあるものの、事業を拡大し企業が大きくなるとナレッジマネジメントはその分だけ運用しにくくなります。 これは組織が大きくなった分だけナレッジマネジメントの重要性が社員に伝わりにくくなることと、共有するノウハウが多い年配社員が業務とマネジメントに手を取られ、ナレッジマネジメントに時間を割くのが難しくなるのが原因です。 また成果主義な会社においては、成果につながるノウハウを企業内で共有したくないと考える社員も出てくるでしょう。 機会損失や業務上の障害につながる可能性もあるので、グループウェアや電子掲示板などのツールを積極的に活用し、ナレッジマネジメントを止めない努力が大切です。

2.組織で浸透・普及するまでに時間がかかる

暗黙知を形式知に変換しにくい場合、ナレッジマネジメントを導入しても浸透しにくくなってしまいます。 例えばカスタマイズ部分が大きい商品やサービスの場合、提案時の留意点や必要書類などが都度異なるため、提案方法をマニュアル化したいとなった時にその時点でつまづいてしまいます。 このような場合可視化の手法やツールもあまり役に立たないため、ナレッジマネジメントの導入自体をあきらめてしまいかねません。 しかし場合分けや細分化してマニュアル化する、商品やサービスが入れ替わるたびにマニュアルを作り直すといった継続的な努力をすれば、ナレッジマネジメントを続けていくことができるでしょう。 ナレッジマネジメントは導入後、社内に浸透するまで根気よく続けることが重要です。


 

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07まとめ

ナレッジマネジメントは社員が持つノウハウや経験、また企業が持つ情報や知識を組織全体で蓄積・共有して企業全体の生産性や市場での競争力、また企業価値を高めていく手法ですが、日本初の経営理論としてさまざまな企業で活用されているとわかりました。 ナレッジマネジメントの考え方は、これまでもビジネスのあり方を大きく変化させてきたと言えます。 そして個人で稼ぐ人が増加し、インターネットを通じたグローバル化というビジネス環境の進化の中で、さらにナレッジマネジメントの新しい手法やツールは開発され続けていくでしょう。 ぜひナレッジマネジメントについて理解し、自分の所属する企業と自分自身のために、役に立つ知識やノウハウを積極的に共有してみてください。

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この記事を書いた人
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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