更新日:2025/10/02

部下からのハラスメントの事例や対応策について解説する

部下からのハラスメントの事例や対応策について解説する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

本記事では、部下からのハラスメントについての事例や対応策について解説しています。以前であれば、上司からのハラスメントが取り上げられ問題視されていましたが、現在では部下からのハラスメントの問題も大きく取り上げられる様になってきました。部下から受けるハラスメントにはどのようなものがあるかなどを解説していますので、自社におけるハラスメント対策に役立てていきましょう。

 

01部下からのハラスメント(逆パワハラ)とは

部下からのハラスメントは「逆パワハラ」と呼ばれ、上司が部下から受ける嫌がらせや攻撃的な言動を指します。厚生労働省が示すパワーハラスメントの定義の中でも、同僚や部下による行為はパワハラと同様に扱われています。例えば「業務遂行に必要な知識や経験を持つ部下に協力を拒まれるケース」や「部下の集団的な言動に抵抗できず精神的な苦痛を受けるケース」が該当します。逆パワハラも職場環境を大きく損なう要因であり、企業にとって適切な対処が求められています。

▶︎参考リンク:パワーハラスメントの定義について - 厚生労働省

部下からのハラスメント(逆パワハラ)になる条件

逆パワハラが成立する条件は、以下の3点に整理されています。

  • ・優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
  • ・業務の適正な範囲を超えて行われること
  • ・身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

これらの条件は、通常のパワハラと同様に「立場の優位性」「業務範囲の逸脱」「心身や環境への悪影響」の3点を満たすことで成立します。部下が持つ専門的な知識や立場を利用して上司に過度な圧力をかける場合も含まれるため、単なる意見の相違や指摘との線引きを明確にすることが重要です。

 

02部下からのハラスメント(逆パワハラ)が起きる要因

部下からのハラスメントが起きる背景には、組織や働き方の変化が影響しています。原因を正しく理解し、職場環境を整えることが逆パワハラの未然防止につながります。以下では主な要因について整理します。

上司のマネジメント能力の欠如

マネジメント力の不足は、部下との信頼関係を築けない要因となります。部下の能力が上司を上回る場合には、軽視や反発につながりやすく、指示を無視する態度や不適切な言動が生じることもあります。マネジメントスキルの欠如は、部下からのハラスメントを誘発する大きな要因です。

360度評価などの上司評価制度の影響

上司を部下が評価する制度が導入されると、部下の発言力が増す場合があります。評価を意識するあまり、上司が指導を控えたり機嫌を取るような行動に出ることで、上下関係のバランスが崩れやすくなります。その結果、部下の立場が強くなり、逆パワハラが起きる土壌を作ることにつながります。

ハラスメントに対する知識不足

自分の行動がハラスメントに該当するという認識が不足していることも要因です。例えば、気分で態度を変える、上司に対して過度に反発するなどの行為が、上司に精神的苦痛を与える場合があります。知識不足によって無自覚にハラスメントを行ってしまうケースは少なくありません。

年功序列・終身雇用の崩壊

従来の年功序列や終身雇用の仕組みが崩れることで、役職や年齢が必ずしも権威につながらなくなっています。この変化により、立場上は上司であっても実力や成果で比較されやすくなり、部下からの軽視や反発が生じる場合があります。組織構造の変化は逆パワハラを誘発する要因のひとつです。

優秀な若手の台頭

デジタルスキルや最新技術に明るい若手や、外部から転職してきた優秀な人材が増えています。その結果、管理職よりも専門的な知識やスキルで優れているケースが生まれ、上司の立場が相対的に弱く見えることがあります。こうした力関係の逆転は、部下による逆パワハラを助長する可能性があります。

 

03部下からのハラスメントの具体的事例

ここでは、部下からのハラスメントの具体的事例をご紹介します。自社に同様の状況がないか確認することで、問題が大きくなる前に対応できます。逆パワハラも早期に発見し、適切に対応することが重要です。

指示に従わない

上司の指示に従わず、繰り返し反発する行為は逆パワハラに該当する可能性があります。特定の上司に対して意図的に従わない行為が続く場合、業務の停滞や職場環境の悪化を招く恐れがあります。具体的な例は以下の通りです。

  • ・「そんな仕事はできません」と断る
  • ・「私の担当ではありません」と突き放す
  • ・部下同士が結託し「○○の言うことなんか聞かなくていいよ」と共有する

中傷する

事実無根の噂や悪意ある情報を広める行為は、上司の尊厳を傷つけ、信頼関係を大きく損ないます。放置すれば他部署や取引先にまで影響が及び、業務上の損失につながる可能性もあります。具体的な例は以下の通りです。

  • ・「あの上司はセクハラしているらしい」と根拠なく広める
  • ・「金銭を横領している」と虚偽の噂を流す

侮辱する

人前で上司を侮辱する発言もハラスメントにあたります。議論や意見交換とは異なり、相手の人格や能力を否定する発言は就業環境を著しく害します。具体的な例は以下の通りです。

  • ・「こんな簡単なことも知らないんですか」と見下す
  • ・「学歴が低いくせに偉そうに」と人格を攻撃する
 

04部下からのハラスメント(逆パワハラ)の対応方法

部下からのハラスメントが発覚した際には、迅速かつ適切な対応が求められます。初期対応を誤ると、被害者の心身への影響が深刻化し、組織全体の風土にも悪影響を及ぼす恐れがあります。ここでは代表的な対応方法を整理します。

上司や人事部門からの指導

逆パワハラが疑われる場合、当事者である上司ではなく、人事部門やより上位の立場の者が指導を行うことが効果的です。行為がハラスメントに該当することを明確に伝え、なぜそのような行為に至ったのか根本原因を追及する必要があります。再発を防ぐためには、原因の把握と改善策の実行が欠かせません。

社内通報制度の活用

早期発見の仕組みとして社内通報制度を整えることが有効です。被害者本人だけでなく、周囲の社員も通報できる仕組みを用意することで、隠れたハラスメントを見逃さずに対応できます。通報があった場合の対応フローをあらかじめ定めておくことが重要です。

アンケートによる情報収集

通報制度の利用に抵抗を感じる社員もいるため、無記名のアンケートを定期的に実施することも有効です。率直な意見を収集することで、潜在的な逆パワハラを把握し、早期対応につなげることができます。

記録を残す

ハラスメントに関するやり取りや調査結果は必ず記録に残します。これらの記録は、再発防止策の立案や訴訟リスクに備えるうえで重要な証拠となります。アンケートや面談記録も含め、一定期間保存することが望まれます。

人事部門に相談する

被害を受けたと感じた場合は、早めに人事部門へ相談しましょう。被害者が過剰に我慢することで、心身の健康を害する恐れがあります。人事部門は守秘義務を徹底し、相談内容が周囲に漏れないよう配慮する必要があります。

労働局などの専門家へ相談する

社内での解決が難しい場合は、労働局や社会保険労務士などの専門機関に相談する方法があります。特に「総合労働相談コーナー」では、労働問題全般に関する相談を無料で受け付けています。第三者の視点を取り入れることで、公平かつ適切な解決策を得ることが可能です。

▶︎参考リンク:総合労働相談コーナー|厚生労働省

弁護士に相談する

労働局や社内での対応で解決が難しい場合、弁護士への相談が必要になることもあります。最終的には訴訟という選択肢もあり、実際に逆パワハラをめぐって争われた判例も存在します。以下に代表的な事例を紹介します。

産業医科大学の逆パワハラ事件

産業医科大学の教授が部下から集団的に謝罪を強要され、外部でも誹謗中傷を受けた事件です。教授は部下と大学を相手取り損害賠償請求を提起しました。これは「部下からの集団的な言動が優越的な関係にあたる」と判断され、逆パワハラの典型例として注目されました。

▶︎参考リンク:部下からのハラスメントとは?事例や原因、対処法を解説

日本電信電話事件

大阪地裁(1996年7月31日判決)で争われた事案です。職員が上司や同僚に嫌がらせや恐喝、強要、暴力行為を繰り返した結果、諭旨解雇処分を受けました。裁判所は懲戒事由が十分にあると認め、職員の訴えを棄却しました。逆パワハラに関する判例として、企業の解雇判断が有効とされた重要な事例です。


 

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■資料内容抜粋
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05ハラスメント研修|Schoo for Business

Schoo for Business

Schoo for Businessでは、約9,000本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。ハラスメント防止研修に関するコンテンツはもちろんのこと、管理職向けのコミュニケーション研修に活用できるコンテンツも多く揃っています。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 9,000本
※2023年3月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,500円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております

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ハラスメントに関するコンテンツ一覧

研修内容 時間
ハラスメントへの「アサーティブ」な対応 - 全ビジネスパーソン向け 1時間40分
ハラスメントの対処法 - 管理職向け 1時間40分
ハラスメントを正しく知る- 全ビジネスパーソン向け 1時間20分
コーチングスキル - ハラスメント対応・壁打ち 1時間55分
改正パワハラ防止法の対応 - 人事向け 55分
パワハラと業務指導 線引きの考え方 -管理職向け 1時間
安全な組織をつくるためのLGBTQ+対応 管理職向け 1時間40分
セクハラちゃんと理解していますか? 30分
「これってハラスメント?」と思ったら -第三者のあなたにできること 30分

ハラスメント防止研修のカリキュラム例

この章では、Schooが保有する9,000本の授業の中から、ハラスメント防止研修におすすめの授業を3つ紹介します。

「ハラスメントを正しく知る- 全ビジネスパーソン向け」

ハラスメントを正しく知る- 全ビジネスパーソン向け

第1回 ハラスメント対策の必要性/パワハラの要件と判断基準
時間 30分
研修内容
  • ・ハラスメント対策の必要性
  • ・ハラスメントに適用されうる措置
  • ・パワハラの要件と判断基準
第2回 セクハラ、SOGIハラ、マタハラ、その他のハラスメント
時間 30分
研修内容
  • ・ハラスメント行為の全体像を知る
  • ・セクハラ
  • ・SOGIハラ
  • ・マタハラ
  • ・その他のハラスメント
第3回 ハラスメントのない職場を目指す 一人ひとり違うことを理解する
時間 20分
研修内容
  • ・無意識のハラスメントに注意する
  • ・様々な違いを認識して受け入れる
  • ・人にはそれぞれ個性がある
  • ・皆がイキイキ働いている職場とは
 

このコースでは主に職場で問題になるパワーハラスメント、セクシャルハラスメント、SOGIハラスメント、マタニティハラスメントについて、その内容とどういった言動がハラスメントに当てはまるかについて、法令や判例にそって解説しています。 また、ハラスメントの原因になり得る無意識の偏見や価値観の違いについても取り上げ、予防のために心がけるべきポイントについても紹介しています。

  • 社会保険労務士法人グラース 代表

    特定社会保険労務士、ハラスメント防止コンサルタント。ダイバーシティ(仕事と育児・介護の両立、多様な働き方、テレワーク導入、女性活躍、ハラスメント防止等)を専門領域としてコンサルティング、研修を多数実施。厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル作成事業」検討会委員をはじめ、多くの公的委員、調査に加わる。

「ハラスメントの対処法 - 管理職向け」

ハラスメントの対処法 - 管理職向け

第1回 ハラスメントへの管理職としての関わり方
時間 25分
研修内容
  • ・職場トラブルの相談件数の推移と「いじめ・嫌がらせ」が増えた背景
  • ・管理職とハラスメント
  • ・安全配慮義務
  • ・パワハラ防止法
  • ・ハラスメントが与える影響
第2回 パワハラの判断基準と相談を受ける際のポイント:ケーススタディ
時間 20分
研修内容
  • ・事例:パワハラの現場
  • ・パワハラの類型、判断基準
  • ・事例:相談を受けたときの対応
  • ・相談を受けたときに心がけるポイント
第3回 ハラスメントが起きたときの対応方法
時間 30分
研修内容
  • ・相談された場合の初期対応(傾聴・分解・確認)
  • ・自分が当事者だと言われた場合の初期対応のポイント
  • ・問題が大きくなる切り返し、収束する切り返し
第4回 ハラスメントが起きやすい職場の特徴と対策
時間 25分
研修内容
  • ・なぜハラスメントが起きるのか
  • ・ハラスメントが起きやすい職場の特徴
  • ・ハラスメントが起きない職場づくりのポイント
 

このコースでは、組織、チームの管理職やリーダーとして知っておくべき、ハラスメントが発生した際のメンバーへの対処方法とその防止策について解説しています。

  • 株式会社Niesul(ニースル)代表取締役/社会保険労務士

    大学卒業後、機械メーカー、コンサルティング会社を経て2010年にニースル社労士事務所を立ち上げ。以来、200社を超える社内制度づくり・働き方改善に関わる。 本音を言える場づくりを大切に、経営者・社員と「ともに」社内制度を作る参加型プロジェクト「みんなでつくる就業規則づくり」、ハラスメント防止のための研修など多数実施。 著書に『「社会人になるのが怖い」と思ったら読む 会社の超基本』がある。YOUTUBE「世界一わかりやすい就業規則」チャンネルを発信中。

「改正パワハラ防止法の対応 - 人事向け」

改正パワハラ防止法の対応 - 人事向け

第1回 企業に科せられた10項目の措置義務への対応(前半)
時間 25分
研修内容
  • ・パワハラ防止法の制定経緯、概要
  • ・パワハラ防止指針で企業に義務付けられた10項目の措置義務
  • ・各措置義務の解説 〜事業主の方針の明確化及びその周知・啓発〜
  • ・①パワハラの内容及びパワハラ禁止の方針明確化と周知
  • ・②パワハラ行為者への厳正な対処の方針明確化と周知
第2回 企業に科せられた10項目の措置義務への対応(後半)
時間 30分
研修内容
  • ・各措置義務の解説〜相談(苦情を含む)への適切な対応に必要な体制の整備〜
  • ③相談窓口の設置・周知
  • ④相談窓口担当者が適切に対応できる体制整備
  • ⑤事実関係の迅速かつ正確な調査
  • ⑥被害者への配慮
  • ⑦行為者(加害者)への適正な措置
  • ⑧再発防止措置
  • ⑨申告者・行為者のプライバシーの保護等
  • ⑩申告・調査協力を理由とした解雇等の不利益取扱いの禁止
 

このコースでは2020年に施行された「改正 労働施策総合推進法」(パワハラ防止法)に基づき、2022年4月1日からすべての企業に科せられた10項目の措置義務への対応について2コマに分けて解説しています。

  • 高井・岡芹法律事務所 弁護士

    2004年早稲田大学卒業。2007年東京弁護士会登録。2011年経営法曹会議会員。企業側弁護士として、労働問題の解決に取り組む。中でもハラスメント等の問題社員対応、職場のLGBTの問題を専門とする。単著として『1冊でわかる!改正早わかりシリーズ パワハラ防止の実務対応』(労務行政)、共著として『知らないでは済まされない!LGBT実務対応Q&A―職場・企業、社会生活、学校、家庭での解決指針―』(民事法研究会)などがある。

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Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで3,500社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。

導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。

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06まとめ

本記事では、部下からのハラスメントをテーマに事例の紹介などを行っています。部下からのハラスメントについては、大きな社会的問題として取り上げられており企業として対応をする必要があるハラスメントです。本記事を参考に今後の予防策の構築を実施していきましょう。

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