ワークライフバランス導入における問題点とは?解決のための対策をご紹!

ワークライフバランスの導入が近年、様々な企業において課題になっていますがなかなかうまく導入できないというケースも多いようです。本記事ではワークライフバランスを導入する上で問題となるポイントや解決するための対策をご紹介していきます。
01ワークライフバランスとは
まず、ワークライフバランスの言葉の意味についてですがその名の通り仕事と生活の調和と直訳することができます。 しかし、ただ単にその二つのバランスを取るといった意味合いではなく近年では「仕事と生活、両者を相互に作用させ好循環をもたらしていくこと」と解釈されることが多いようです。 仕事と生活を切り離して考え、どちらも大事にしていくという単純なものではなく、快適に仕事をすることで私生活が充実化し、私生活が充実することでより仕事に意欲的に取り組むことができるようになる、という循環を指す言葉と言えるでしょう。
注目されている背景
一体なぜワークライフバランスが重要視され始めているのでしょうか? 背景には様々な社会問題が挙げられます。 代表的な例でいうと女性の社会進出があります。近年では女性が男性と同様に仕事を行い活躍することは珍しいことではありませんが、女性は男性とは違って出産や育児などのライフイベントによって仕事と生活のバランスが取れなくなってしまうことが多いです。 そんな中で女性にも変わらず活躍してもらうためには会社が十分に制度を整える必要があり、一定期間気兼ねなく休むことのできる育児休暇や産休などの整備が求められています。 他にも、多様化する働き方や少子高齢化の影響などによってワークライフバランスを導入していくことは企業にとって大きな課題となっているのです。
ワークライフバランス普及の現状とは
そんなワークライフバランスですが日本においてはまだ十分に普及されていないのが現状です。 以下に示すのは日本の有給休暇の取得率の推移ですがこれを見れば普及が進んでいないことがわかるかと思います。取得率は右肩上がりで上昇していっているもののその取得率はなんと50%少々しかないのです。有給休暇の制度があるにもかかわらず従業員の内、半分ほどの従業員しか有給休暇を取得できていないというはワークライフバランスが十分に導入されているとは言えないでしょう。
参考:就労条件総合調査02ワークライフバランスを導入する上での問題点とは
ワークライフバランスの導入が十分に進んでいない背景には3つの問題点があります。 以下でそれらの詳細について解説していきます。
経営層の理解が得られず導入自体が進まない
一つ目として経営層の理解が得られないことが問題点として挙げられます。 企業に勤める従業員単位ではワークライフバランスの導入が実現されることで自らの環境が変わっていくことになるためその重要性を理解しているケースは多いですが、そのことが経営層にも十分に理解されるとは限りません。 従業員にとっては時には会社の業績より自分がストレスなく快適に働くことの方が重要だと思うことも多いでしょう。しかし、経営層はそういうわけにはいかず、常に会社の業績を第一に考え経営判断をしていかなくてはいけません。 そうなると従業員に多少の無理を強いてでも業績を上げるための判断を重視することが多くなり仕事と生活の両立を考えている余裕がありません。 こういった現状が続くとなかなか経営層の理解を得ることはできないでしょう。
特別休暇が増えても実際に利用されない
また、経営層が必要性を理解し実際に特別休暇などの制度を整備したとしても実際に利用されないという問題点も挙げられます。 土日などの通常の休暇とは異なり特別休暇を取得することに抵抗のある従業員は多く、他の人に迷惑をかけてしまうのではないかという不安から、堂々と取得することができる人は多くありません。 また、実態として日々の業務に追われる一方で休暇を取る余裕などなく残業をせざるを得ないほど忙しいという人も多いため、単に制度として休暇があるだけでは利用されづらいのが現状です。
生産性が低下するリスク
ワークライフバランスを導入することで生産性が低下してしまうリスクも懸念点として存在します。 うまく導入することで本来であれば快適に仕事をすることが可能になり私生活の質も向上し、結果的に仕事の生産性向上につながりますが、全社的に考えた場合では単純に労働時間が減ってしまうことになります。 労働時間が減少しその分短い時間で成果を出すように社員が意識していけば良いのですが、業務効率の改善などの施策と合わせて行わないと、ワークライフバランスを導入することで却って生産性を低下させてしまうことにもなりかねないのです。
03ワークライフバランスをうまく導入するためのポイント
上記のような問題点によって導入が阻害されてしまうことの多いワークライフバランスですがうまく導入するためには3つのポイントがあります。 自社で導入を検討しているがなかなかうまくいかないといった場合はぜひ今から紹介するポイントを意識してみましょう。
導入するメリットを数値として可視化する
ワークライフバランスの導入は会社にとっていい影響を与えてくれるという漠然としたイメージはありますが実際に導入することで具体的なメリットが可視化されていない場合、うまく導入が進まないケースは多いです。 前述したように導入することによって却って生産性が低下してしまうということも起こりかねないので、特別休暇を新設することによる業務効率への影響や、リモートワークを導入することによってかかってしまうコストなどを可能限り可視化するようにしてください。 また、従業員調査などを用いて数値化しづらい満足度なども可視化することによって、より具体的にワークライフバランスを導入することによるメリットが見えてきます。 導入することのメリットが可視化することができれば経営層も自信を持って導入を推進していくことが可能になるので導入することによる影響は可能な限り数値化して可視化しましょう。
特別休暇の取得を会社全体で後押しする
また、特別休暇は制度だけ整備されても実際に取得されて初めて効果が出るものなので利用されなくては意味がありません。 社員が気兼ねなく特別休暇を取得できるように、取得に関する制度を明文化しましょう。また、四半期などのタイミングで社内において特別休暇がしっかりと取得されているかどうかを振り返ることも重要です。このように会社全体でワークライフバランス導入に向けて動いていくことが必要不可欠です。
hrテックを活用する
ワークライフバランスを導入することによる労働時間の減少という問題に関してはhrテックを有効活用していきましょう。 hrテックとは人事に関わる様々な業務をテクノロジーの力を借りて代替してくれるサービスやツールを指しますが近年では様々なツールが生まれておりうまく自社にマッチしたhrテックを活用することで業務効率が格段に向上することもあります。 ワークライフバランスの導入には業務効率の改善は欠かせないのでhrテックを有効活用し社内の業務を改善していきましょう。
04ワークライフバランスをうまく導入できている企業の事例
最後にワークライフバランスを工夫してうまく導入できている3つの企業の事例をご紹介します。
三桜工業株式会社の事例
三桜工業株式会社は東京都にある自動車部品を製造している会社ですが一部の部門において長時間労働が恒常化しておりそれを解決するために色々な取り組みに取り組んでいましたがあまり効果はなかったようです。 そこで「定時に帰ろうプロジェクト」を立ち上げ、社長自らがワークライフバランスの重要性を社員に積極的に情報発信していき、社内全体で方向を向くように徹底していきました。 その結果として、時間外労働の削減、年休取得率の上昇、業務の質の向上など多くの面で良い効果が出たようです。 また、数値面以外でもどのチームにおいてもチーム内のコミュニケーションが活性化され雰囲気が良くなっていったようです。
株式会社ツナグ・ソリューションズの事例
ツナグ・ソリューションズは都内のサービス業ですが会社の立ち上げ当初から特別休暇を精度として設けていました。 しかし、新しい従業員が増加するタイミングで制度の利用状況が悪化し制度自体は知られていたものの全く利用が進んでいないということが発覚しました。 これを受けて部長会の際に特別休暇の取得率の報告を義務付け、部門ごとにしっかりと取得するよう呼びかけていったようです。そこから少しずつ取得率が上昇していき今では100%近い取得率にまでなっているようです。
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05まとめ
ワークライフバランスの導入を進めていくにはまだまだ多くの問題点が残っています。 しかし、工夫次第ではその問題点を解決することはできますしワークライフバランスを導入していくことのメリットは計り知れません。 自社において何が課題となって導入がうまくいっていないのかを明確にした上でそれを解決できるように対処していきましょう。
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登壇者:越川 慎司様株式会社クロスリバー 代表取締役
ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。