人権研修の必要性・テーマ・カリキュラム例を紹介

人権の問題については、新聞やニュースでも数多く取り上げられています。現在では、企業における人権研修も開催されていますが、なぜ企業において人権研修が必要なのでしょうか。本記事は、以下の文献を参考に作成しております。
- 01.人権研修の重要性
- 02.人権研修で取り扱うテーマ
- 03.人権研修の実施方法
- 04.人権研修の効果を高めるポイント
- 05.人権研修|Schoo for Business
- 06.まとめ
01人権研修の重要性
人権研修の実施は、企業の価値を守るために不可欠です。ハラスメントや差別などの人権問題への対応は、企業の価値に大きく関わり、社会的責任(CSR)の観点からも人権尊重の考え方を研修に採り入れる企業が増えています。
また、オンライン学習サービスSchooの『「人権」はビジネスパーソンのライセンス』という授業で、法学者の谷口真由美先生は、人権は「社会で生きるライセンス」と表現しています。
人権に関連する知識は、OSのようにアップデートし続けなければ、現代社会では通用せず「強制終了」されてしまいます。人権は道徳や優しさだけで解決するものではなく、学びを通してのみ理解できるものです。そのため、人権研修は、法的リスクの回避や組織の心理的安全性を高めるためにも極めて重要です。
▶︎参考:法務省|企業における人権研修~企業の人権研修担当の方々へ~
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法学者 / 大阪芸術大学客員准教授
大阪府出身。法学者。専門は国際人権法、ジェンダー法、憲法など。大阪芸術大学の客員准教授。「全日本おばちゃん党」を立ち上げ、社会問題を“大阪のおばちゃん目線”で追求し、テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍してきた。2019年6月、日本ラグビーフットボール協会理事に就任。2020年1月にラグビー新リーグ準備室長に就任。その後新リーグ審査委員長も兼任するが、2021年2月に準備室長は退任。6月には協会理事、新リーグ審査委員長も退任。
02人権研修で取り扱うテーマ
次に、企業で人権研修を行う時に取り組んでいきたいテーマをご紹介していきます。人権研修のテーマには以下があります。
- 1:ビジネスと人権
- 2:パワーハラスメント
- 3:セクシュアルハラスメント
- 4:LGBTQ
- 5:ダイバーシティ
- 6:同和問題(部落差別)
- 7:障害のある人
人権研修と一言でいってもテーマとすべき内容は複数あります。自社において、どのテーマを優先的に実施するべきかの検討を行った上で、計画的な研修を実施していきましょう。
1:ビジネスと人権
「ビジネスと人権」は、企業活動が人権に与える影響を理解し、責任を果たすための重要なテーマです。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」では、企業に対し、尊重すべき人権やその侵害リスクを評価し、対策を講じる義務が求められています。研修では、具体的な事例や対策を通じて、社会的責任と企業価値の向上を目指します。
▶︎参考:国際連合広報センター|ビジネスと人権に関する指導原則
2:パワーハラスメント
パワーハラスメント(パワハラ)は、職場での不適切な権力の行使による精神的・肉体的被害を指します。例えば、叱責の頻度や内容が過剰である場合や、孤立を意図した業務指示などです。研修では、パワハラの定義や具体例、法的なリスク、対策を学びます。職場全体で予防意識を共有し、風通しの良い環境を築くことが重要です。
▶︎参考:厚生労働省|ハラスメントの定義
▶︎参考:政府広報オンライン|NOパワハラ なくそう、職場のパワーハラスメント
3:セクシュアルハラスメント
セクシュアルハラスメント(セクハラ)は、性に関連する発言や行為で相手に不快感を与える行動を指します。研修では、セクハラの具体例や被害を受けた際の対応策、法的な影響を学びます。すべての社員が自覚を持ち、性別にかかわらず尊重し合える職場を作ることを目指します。
▶︎参考:厚生労働省|ハラスメントの定義
4:LGBTQ
LGBTQに関する研修は、性的指向や性自認に関する多様性を理解し、偏見や差別をなくすことを目的とします。研修では、多様性を尊重するための知識を提供し、すべての社員が安心して働ける環境作りを推進します。
▶︎参考:法務省|性的マイノリティに関する偏見や差別をなくしましょう
▶︎参考:法務省|多様な性への理解と対応ハンドブック
5:ダイバーシティ
ダイバーシティ研修は、多様な背景や価値観を持つ人材が力を発揮できる職場を構築するための取り組みです。性別、年齢、国籍、宗教などの多様性を尊重し、チームの生産性を向上させる方法を学びます。具体的には、偏見をなくすマインドセットや、異文化コミュニケーションのスキルを強化する内容が含まれます。
6:同和問題(部落差別)
同和問題(部落差別)とは、日本社会の歴史的過程で形成された身分差別が原因で、一部の人々が特定の地域出身であることを理由に、結婚・就職・日常生活などで現在も差別を受けるという、日本固有の重大な人権問題です。江戸時代の身分制度に起源を持ち、1871年の「解放令」で法的な身分は廃止されたものの、差別意識や慣習が残り、現代でも「同和地区」出身者への差別が続いています。この問題の解決に向けた取り組みとして、2016年に「部落差別解消推進法」が施行され、国や自治体は差別解消の取り組みを強化しています。
7:障害のある人
人権研修における「障害のある人」のテーマは、障害のある人が直面する差別や偏見の解消、共生社会の実現を目指し、障害の理解、合理的配慮の必要性、権利擁護の観点から行われます。具体的には、障害の多様性(身体、知的、精神など)を学び、職場や地域での具体的なハラスメント、排除、情報アクセスの壁などの事例を通して、インクルーシブな対応(個別の判断、サポートの提供)を実践的に考える内容が中心となります。
▶︎参考:法務省|障害のある人と人権
03人権研修の実施方法
人権研修の実施方法は以下の3つの手法があります。
- ・集合研修
- ・オンライン研修
- ・eラーニング
特定の場所に受講者を集める集合研修や自宅やオフィスから受講できるオンライン研修、自分のペースで受講可能なeラーニングが代表的な手法です。それぞれの形式には長所と短所が存在するため、特性を理解した上で研修方法を検討する必要があります。それぞれを具体的に説明します。
集合研修
集合研修は、特定の場所に受講者を集めて実施する形式です。講師が直接指導するため、対話型で疑問をその場で解消しやすい点が特長です。例えば、グループディスカッションやロールプレイングを通じて、相互理解を深めることができます。また、受講者間の交流を促進し、共通意識を醸成する効果も期待できます。ただし、全員のスケジュール調整が必要で、場所や時間に制約があるため計画的な運営が求められます。
オンライン研修
オンライン研修は、インターネットを利用して講師と受講者がリアルタイムで繋がる形式です。自宅やオフィスから受講できるため、移動の手間がなく、全国規模での実施も可能です。双方向のコミュニケーションが取れる点は集合研修と共通していますが、技術的トラブルや参加者の集中力維持が課題です。質疑応答やグループワークを取り入れることで、学習効果を高める工夫が重要です。
eラーニング
eラーニングは、オンデマンド形式でいつでもどこでも学べる研修方法です。個別のペースで受講可能なため、忙しい社員でも無理なく学習が進められます。一方で、受講者のモチベーション維持が課題となりやすく、進捗状況を管理し、適切にフォローアップする体制が必要です。
04人権研修の効果を高めるポイント
人権研修の効果を高めるポイントは以下です。
- 1:知識のインプットだけにしない
- 2:実例で当事者意識を高める
- 3:定期的に研修を実施する
人権研修におけるテーマはアップデートされるため、1回きりの研修ではなく定期的に行う必要があります。また、グループディスカッションの開催など知識のインプットだけでなくアウトプットする機会も設けましょう。
知識のインプットだけにしない
人権研修を効果的にするには、知識のインプットに留めず、実際の行動につなげる仕組みを導入することが重要です。例えば、ケーススタディを通じて職場で起こりうる状況をシミュレーションし、具体的な対応策を考えさせる方法があります。また、受講者同士のディスカッションやロールプレイを取り入れることで、学んだ内容を自らの業務に応用できる実践的なスキルを身に付けられます。これにより、理解が深まり、日常的な行動に変化を促すことが可能です。
実例で当事者意識を高める
実際に起こった事例を取り上げることで、受講者の当事者意識を高められます。たとえば、過去のハラスメント事件や人権侵害に関する具体的なケースを紹介し、問題点や防止策を話し合う場を設けます。身近な例を使うことで、抽象的な話に終わらず、現実感を持たせることができます。これにより、受講者は自分ごととして捉えやすくなり、実践への意識が向上します。また、共感や意識改革を促す効果も期待できます。
定期的に研修を実施する
人権研修は一度きりではなく、定期的に実施することが重要です。継続的な取り組みにより、受講者の知識が風化するのを防ぎ、常に最新の情報や事例に触れる機会を提供できます。また、研修のたびに新たな気づきを得られるよう、内容をアップデートしたり、異なる視点を取り入れたりする工夫が求められます。定期的な実施を通じて、人権意識を職場全体に浸透させ、組織文化として根付かせることが可能になります。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

05人権研修|Schoo for Business
Schooでは約9,000本の授業を保有しており、人権研修に関する授業も多く揃っています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。
研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
| 受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
| アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年3月時点 |
| 研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
| 費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
| 契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
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人権研修に関するコンテンツ一覧
| 研修内容 | 時間 |
| アンコンシャス・バイアス - 無意識の偏見 | 45分 |
| ダイバーシティ経営組織が勝てる理由 | 1時間 |
| 投資家が企業に求めるD&I - 人的資本から理解する | 50分 |
| ありがちな偏見のワナ -脱出ワークショップ- | 60分 |
| 多様性で組織力をアップする これからの上司像 | 1時間34分 |
| ダイバーシティマネジメントの考え方 | 1時間15分 |
| ハラスメントを正しく知る- 全ビジネスパーソン向け | 1時間10分 |
| コーチングスキル - ハラスメント対応・壁打ち | 1時間10分 |
| ハラスメントへの「アサーティブ」な対応 - 全ビジネスパーソン向け | 1時間10分 |
| 変わるビジネス新常識 -谷口先生なぜいまビジネスと人権なんですか?- | 1時間5分 |
| 安全な組織をつくるためのLGBTQ+対応 管理職向け | 1時間40分 |
| パワハラと業務指導 線引きの考え方 -管理職向け | 1時間 |
| 多様性への理解で遅れをとる日本 | 45分 |
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Schooの人権研修カリキュラム例
Schooの人権研修の特長は、約9,000本の授業による網羅性です。
参考例として、Schooを用いた人権研修のカリキュラム例をご紹介します。
| 第1回 | 変わるビジネス新常識 -谷口先生なぜいまビジネスと人権なんですか?- |
| 時間 | 65分×1コマ |
| 研修内容 |
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| 第2回 | 安全な組織をつくるためのLGBTQ+対応 管理職向け |
| 時間 | 48分×1コマ,61分×1コマ |
| 研修内容 |
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| 第3回 | パワハラと業務指導 線引きの考え方 -管理職向け |
| 時間 | 25分×1コマ,35分×1コマ |
| 研修内容 |
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大企業から中小企業まで幅広く導入
Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで幅広い企業にご導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
06まとめ
本記事では、人権研修をテーマに企業が求められる人権保護をどう実現するかについて解説しています。差別や偏見の問題は今なお残っており、様々な場面で議論されています。企業において従業員の人権を守ること、差別や偏見をなくす活動を行うことは企業責任であり、企業の信頼にも大きく影響するテーマです。本記事を参考にぜひ人権研修を行い企業価値を高めてください。