公開日:2021/05/28
更新日:2023/01/22

企業に求められる人権研修の必要性と内容について解説していく

企業に求められる人権研修の必要性と内容について解説していく | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

人権の問題については、新聞やニュースでも数多く取り上げられています。現在では、企業における人権研修も開催されていますが、なぜ企業において人権研修が必要なのでしょうか。本記事は、以下の文献を参考に作成しております。

 

01人権の定義とは

人権と一括にっていっても、その定義や各状況で求められる点は非常に複雑で、多岐にわたるといってもいいでしょう。人権については、世界各国でそこにまつわる問題に関して議論が繰り返されています。まず、人権とは何なのか、また企業に求められる人権の定義について解説します。

企業に求められる人権とは

世界人権宣言第1条には、人権について以下の様に宣言されています。

「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等である。 人間は、理性と良心を授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」

世界人権宣言で発信されたことにより、世界規模の人権保護の動きが活発化しています。日本国内の企業においても、人権平等さに関するテーマでの論議が実施されています。企業においては、長時間労働や職場でのセクハラ、パワハラを始め性別での差別なども問題は多く発生しており、企業として業務に従事する従業員の人権を守ることは重要な経営見ミッションとなっています。


参照元:人権のための連合「世界人権宣言 第1条」
 

02企業に人権尊重が求められ始めた背景

企業で人権尊重が求められ始めた背景には、様々な宣言が関係しています。近年、様々な宣言が行われ人権尊重に対する関心が高まったことを受け、企業にも人権尊重が求められる動きとなっています。特に現時点での活動に影響を与えていているのが以下の3つの宣言です。

  • ・平成23(2011)年)「OECD多国籍企業行動指針」
  • ・平成27(2015)年 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」
  • ・令和2(2020)年 「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」

この宣言により、企業における人権保護の動きに影響を与え、人権研修の必要性を強めています。

参考:厚生労働省|OECD多国籍企業行動指針
参考:国際連合広報センター|持続可能な開発のための2030アジェンダ
参考:『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)

 

03企業が人権を守るべき理由

企業が人権を守るべき理由について解説します。企業はなぜ人権を守る必要があるのでしょうか。人権を守る理由を理解することで、自社における人権保護の活動に焦点をあて目的に向かう施策を構築することができます。近年、多くの団体が人権保護、人権尊重や差別撲滅の宣言をしています。このような動きの中で、企業がビジネスを行い発展していく上では、人権を守る取り組みが必須となります。現在発表されている主要な声明文や取り組みについてご紹介していきます。自社の取り組みを実施する上で、参考にしてください。

企業の社会的責任

企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)を求める声が増え、考え方が定着しつつある中、社会的公平性、環境だけではなく人権に対しての配慮への取り組みも必要とされています。企業での取り組みを通して、ステークホルダーに対して責任ある行動を取ること、説明責任を果たしていることが必要です。現在では、無責任な行動を取ることで非購買運動や風評被害の拡散が行われます。企業が社会的責任を果たすことは義務ではなく企業経営を行う上で必要不可欠な活動になったと理解しておきましょう。

ISO2600

日本国内でも取得企業が多い国際標準化機構(ISO)は、平成22(2010)年1月に、企業だけでなく全ての組織にとってのSR(Social Responsibility=社会的責任)に関する手引となる、国際規格「ISO26000」を発行しています。この中には、人権に関すること記載されており、多くの日本企業が指針とて行動指針に組み込んでいます。ISO2600の発信により、ISOの取得を実施している企業は従来のISO以外にもISO2600の理解を深める必要があると考えています。

国連グローバル・コンパクト

平成11(1999)年1月、当時の国連事務総長アナン氏は、「世界経済フォーラム」の席で国連と企業との間に新たな関係を築く提案を発表しています。

企業は、国際的に宣言される人権の保護を指示、尊重し自らが人権侵害に加担しないように確保すべきである。この発表により、国際的な視点でも人権尊重が重要だと捉え、大手企業、外資企業を中心に企業における人権尊重の仕組みを構築しています。

SDGs

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための 2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標の中には人権についての目標も定められており、すべての国々の共通目標となっています。SDGsは、国内でも多くの企業が取り組みを開始しており、様々なメディアでも取り上げられています。この活動に参加すること、参加表明を行うことで自社従業員の行動の変化や企業責任を果たしていることによる信用の獲得を目指します。

 

04企業で行う人権研修テーマ

次に、企業で人権研修を行う時に取り組んでいきたいテーマをご紹介していきます。人権研修と一言でいってもテーマとすべき内容は複数あります。自社において、どのテーマを優先に実施するべきかの検討を行った上で、計画的な研修を実施していきましょう。

パワーハラスメント

企業における人権研修テーマとしても検討されることの多いパワーハラスメントの研修では、職場におけるパワーハラスメントの事例を交えて研修を行います。パワーハラスメントとは、「優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害される」と定義されます。職場において、パワーハラスメントを行うことは、対象となる方の人権を無視した行為を行うことになり、相手のメンタル面にも影響を及ぼす問題ある行為であることを説明していきましょう。

セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントとは、「性的嫌がらせ」という意味を持つ人権問題です。従来では男性から女性に対して行われていたセクシュアルハラスメントですが、現在では女性から男性に対しても性的嫌がらせを受けた事例もあります。セクシュアルハラスメントは、性差別の代表的なハラスメントとも言われて、どのような行為がセクシュアルハラスメントに該当するのか、何を注意しなければいけないかをテーマに盛り込んで研修を行うようにしましょう。

【関連記事】セクシャルハラスメントとは?職場における防止策を紹介

LGBTQに対する差別と偏見

日本では、風土作りが未完了と言われているLGBTQに対する差別と偏見についての研修は、外部機関でもまだまだ数少ないテーマです。LGBTQとは、性的少数(セクシュアルマイノリティ)の人たちの総称で、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)、クィア(Queer)の頭からなる用語です。日本国内においては、まだまだ偏見の目が多くLGBTQを隠して生活している人も多くいるため、偏見の目を持って接する人が多い人権問題です。企業においても、今後も多くの人材を採用していく中では、LGBTQに対する偏見をなくし一人の人間として接することが必要です。

障がいのある人に対する差別と偏見

日本国内に昔からあり、現在も残る差別と偏見が障がいがある人に対しての人権差別です。身体的、精神的な側面で健常者とは異なるために差別や偏見を受けてきましたが、現在では能力の高さなども評価され活躍している方も大勢います。先入観で可哀そうという言葉を使うこと自体でも差別になるという点を含め理解を促すことが必要です。

同和問題

同和問題とは、日本社会において身分階層構造に基づく差別です。今なお残る問題で、「経済的」「社会的」「文化的」に低い地位であるとされ日々の生活において差別を受けてきました。この問題への取り組みは以前から行われていますが、偏見により小さな頃から押し込まれる風土を背景に今なお残る人権問題です。この問題については、労働局を始め多くの機関で問題定義やセミナーなどを開催しています。こうした外部のセミナーも利用し偏見をなくすことを重点においた研修を行うことが必要です。

 

05人権を守る企業になるために行うこと

人権を守る企業になるためには、どのようなことをしたらいいのでしょうか。企業として人権問題に取り組んでいく上で、必要となることを解説していきます。企業責任として課題を捉え、全社として取り組むことが必要です。

企業としての人権宣言を制定する

企業として、人権宣言を作成し発信することで従業員を始めサービスを利用する人への周知を図っていきます。人権宣言は、会社における指針となります。従業員は指針を元に行動し、社外の人は企業の取り組み姿勢を理解することが可能です。企業において人権宣言を行うことは、人権を守ることを宣言し遵守することが必要になります。その結果、人権を守っていなければ社内外からの批判をあびるだけではなく、企業運営にも影響するほど重要な宣言です。人権について真摯な態度で取り組み続けるための宣言を行うことで、企業は責任を果たす義務を持ちます。

人権に関する研修による理解促進

人権を守る活動は人権宣言を行うことでは完成しません。本記事で紹介している人権研修テーマを参考に従業員全てに対し人権に関する理解を促進し行動してもらう必要があります。人権を守る活動は、研修を行ったら守られるということでもなく、従業員一人一人行動が大事です。研修を通して問題の理解、行動の理解を行い実践していける風土作りが必要です。


 

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人権に関するSchooの講座を紹介

Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、人権に関する授業を紹介いたします。

LGBT入門——性における認識をアップデートする

この授業では、LGBTをはじめとする性の多様性に対する思い込みや偏見を解消し、正しく理解するための視点を学びます。

 
  • ライター/一般社団法人fair代表理事

    愛知県名古屋市生まれ。明治大学政治経済学部卒。政策や法制度を中心としたLGBTに関する情報を発信する一般社団法人fair代表理事。ゲイであることをオープンにしながら、HuffPostや現代ビジネス、Forbes、Yahoo!ニュース等でLGBTに関する記事を執筆。教育機関や企業、自治体等での研修・講演実績多数。

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「人権」はビジネスパーソンのライセンス

この授業では、近代社会の基本的ルールである人権問題がなぜ今、これほどにビジネスにおいて注目されているのか。その歴史的背景にはなにがあるのか。​​​​​​「知らなかった」では済まされない「ビジネスと人権」のグローバル社会の常識に乗り遅れた企業はどんなリスクを背負うことになるのでしょうか。などを学ぶことができます。

 
  • 法学者 / 大阪芸術大学客員准教授

    大阪府出身。法学者。専門は国際人権法、ジェンダー法、憲法など。大阪芸術大学の客員准教授。「全日本おばちゃん党」を立ち上げ、社会問題を“大阪のおばちゃん目線”で追求し、テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍してきた。2019年6月、日本ラグビーフットボール協会理事に就任。2020年1月にラグビー新リーグ準備室長に就任。その後新リーグ審査委員長も兼任するが、2021年2月に準備室長は退任。6月には協会理事、新リーグ審査委員長も退任。

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投資家が企業に求めるD&I - 人的資本から理解する

この授業では、企業の「人的資本」について、投資家が何を期待しているのかを学び、「企業のダイバーシティの推進」や「情報開示」がなぜ求められているのか、理解を深めます。

 
  • SDGインパクトジャパン 代表取締役Co CEO

    国際機関、財団及び戦略コンサルタントとして、ビジネスを通じたSDGsの実現に携わる。日本の金融機関及び世界銀行で官民連携推進やプロジェクトファイナンス、政治リスク保証等の業務に関わったのち、2017年に当時アジア最大規模のインパクトファンド「アジア女性インパクトファンド」を創設。その後ファーストリテイリングにてダイバーシティのグローバルヘッド、人権事務局長、サステナビリティ広報部長を務め、2021年にSDGインパクトジャパンを設立。共同創業者兼CEOとしてESG及びインパクトベンチャーファンドの設立運営に携わる。東京大学経済学部卒、タフツ大学フレッチャー校修士(環境、金融)。国際協力機構海外投融資リスクアドバイザー、SMBC日興證券ESGアドバイザリーボード、明治ホールディングスESGアドバイザリーボード、W20日本デレゲートなどを務める。

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07まとめ

本記事では、人権研修をテーマに企業が求められる人権保護をどう実現するかについて解説しています。差別や偏見の問題は今なお残っており、様々な場面で議論されています。企業において従業員の人権を守ること、差別や偏見をなくす活動を行うことは企業責任であり、企業の信頼にも大きく影響するテーマです。本記事を参考にぜひ人権研修を行い企業価値を高めてください。

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