更新日:2025/12/29

マタハラとは|該当する行為例や企業が実施すべき対応策について紹介

マタハラとは|該当する行為例や企業が実施すべき対応策について紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

2017年にマタハラ防止措置が義務付けられるなど、国を挙げて対策が行われていますが、以前として多くの企業が対応に苦労しているのが現状です。この記事ではマタハラの定義、対象になり得る事例や防止措置の具体的な内容について解説します。

 

01マタハラとは

マタハラとは、「女性が妊娠や出産(マタニティ)を理由に、職場で肉体的・精神的な嫌がらせを受けること」です。「マタニティー・ハラスメント」を略して、パワハラやセクハラのように、マタハラと呼ばれています。マタハラの代表例として、妊娠を理由にして雇用形態の変更を要求したり、「育児や出産などにより、通常の勤務が難しい」という理由で解雇を迫ったりすることが挙げられます。

▶︎参考:日本労働組合総連合会|「マタハラ」ってなに?

一方で、出産や育児に関するハラスメントは男性も被害者となることがあり、「パタニティ(父性)ハラスメント」、通称「パタハラ」と呼ばれています。男性が育休を取ることによって降格となったり、人事考課で不利益な取り扱いをされたりすることが、このパタハラに該当します。

▶︎参考:厚生労働省|職場のハラスメント対策について
▶︎参考:厚生労働省|動画で学ぼう「パパの育児休業取得等ハラスメントの実態」

パタハラとの違いについて

マタハラは、妊娠や出産に関連する女性従業員が対象です。妊娠や出産を理由に不当な扱いを受けたり、退職を強要されたりするケースであるのに対し、パタハラは、育児休業や子育てを希望する男性従業員が対象です。育児休業の取得を妨げられたり、取得したことで職場で不利益な扱いを受けたりすることが典型的なケースです。また、男性が家事や育児に関わることを否定的に捉える職場文化もパタハラの一環とされています。どちらも、性別役割分担への固定観念や職場の理解不足が背景にあり、職場環境の改善が重要です。


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02マタハラに該当する行為

厚生労働省が平成29年7月に作成したパンフレット「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!」の7~11ページによると、マタハラは制度等の利用への嫌がらせ型と状態への嫌がらせ型の2つのタイプに分けることができます。それぞれについて詳しく解説します。

制度等の利用への嫌がらせ型

制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラとは、妊娠・出産・育児に関する制度等を利用しようとする労働者に、制度の利用を妨害したり、嫌がらせをしたりすることなどを言います。具体例として、以下のような言動が制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラに該当します。

  • ・時間外労働の免除について上司に相談した際に、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われる
  • ・育児休業の取得を相談した男性社員に対し、上司が「男のくせに育児休業をとるなんてあり得ない」と言う
  • ・上司が「自分なら育休は取らない、あなたもそうすべきだ」と言い、取得をあきらめざるを得ない状況に追い込む
  • ・短時間勤務や残業免除を利用する社員に対し、上司や同僚が「周りの迷惑を考えていない」と繰り返し言い、就業する上で看過できない支障が生じる状況にする

これらのマタハラに対して、対象となる制度又は措置、防止措置が必要となるハラスメントを以下で解説します。

対象となる制度又は措置

このハラスメントの対象となるのは、働く人が妊娠・出産・育児・介護をしながら仕事を続けるために、法律で認められた様々な制度や措置です。大きく分けて、「男女雇用機会均等法」と「育児・介護休業法」に基づくものがあります。

具体的には、産前休業や、医師の指導に基づく母性健康管理措置、体への負担を減らすための軽易な業務への転換、育児時間の確保などが含まれます。また、育児休業や介護休業はもちろん、子どもの看護や家族の介護のための休暇、残業を免除する所定外労働の制限、時間外労働・深夜業の制限、働く時間を短くする短時間勤務制度や始業時刻の変更なども対象です。

これらの制度は、労働者が仕事と家庭を両立するために不可欠な権利であり、これらを利用しようとすること、あるいは実際に利用したことを理由に嫌がらせを行うことは禁止されています。

防止措置が必要となるハラスメント

事業主が防止措置を講じるべきハラスメントは、主に以下の3つのパターンに分類されます。

  • ・不利益な取扱いを示唆するもの
  • ・利用の請求や取得を阻害するもの
  • ・利用したことによる嫌がらせ

不利益な取扱いを示唆するものとは、上司が「休みをとるなら辞めてもらう」「次の査定では昇進させない」など、制度の利用を相談・請求した労働者に対し、解雇や降格などの不利益な扱いを直接ほのめかすことです。これは上司による1回の言動でも該当します。

利用の請求や取得を阻害するものは、上司が「請求を取り下げろ」と命令したり、同僚が繰り返し「自分なら請求しない、あなたもそうすべきだ」と圧力をかけたりして、制度の利用をあきらめさせる行為のことを指します。また、利用したことによる嫌がらせとは、制度を利用した人に対し、上司や同僚が繰り返し「周りに迷惑をかけている」と責めたり、仕事を与えなかったり、逆に雑務ばかりを押し付けたりすることです。

ただし、客観的に見て、業務上の必要性に基づく言動(例:業務調整のために休業期間を確認する、代替案を相談するなど)はハラスメントには当たりません。

状態への嫌がらせ型

「状態への嫌がらせ型」とは、女性労働者が妊娠・出産したこと自体や、それに伴う健康状態などの「状態」に関する言動により、就業環境が害されるものを指します。

対象となる事由

対象となる事由として、まず妊娠したことや出産したことそのものが含まれます。また、産後の就業制限により働けなかったり、産後休業をしたりすることも対象です。さらに、つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全など、妊娠や出産に起因する症状によって、実際に労務の提供ができなかったり、労働能率が低下したりする場合も事由となります。このほか、法律の規定により坑内業務や危険有害業務に就けないことも含まれます。

これらの事由は、女性労働者の身体的な状況に直結するものであり、本人に非があるものではありません。正社員のみならず、パートや契約社員、派遣社員など、すべての女性労働者がこの保護の対象となります。

防止措置が必要となるハラスメント

事業主が防止措置を講じるべきハラスメントは、主に以下の2つのパターンに分類されます。

  • ・不利益な取扱いを示唆するもの
  • ・妊娠等したことにより嫌がらせ等をするもの

不利益な取扱いを示唆するものとは、女性労働者が妊娠などを報告した際、上司が「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」など、解雇や降格などの不利益な扱いを直接ほのめかすことです。このパターンは、ハラスメント行為者が上司である場合に該当し、たとえ1回の言動であってもハラスメントとみなされます。

妊娠等したことにより嫌がらせ等をするものとは、妊娠等をした女性に対し、上司や同僚が繰り返し、または継続的に嫌がらせをすることです。具体的には、「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と言って必要な情報を与えなかったり、逆に専ら雑務ばかりを押し付けたりすること、あるいは「忙しい時期を避けるべきだった」と責めることなどが挙げられます。

これらにより、働く人が能力を十分に発揮できなくなったり、仕事を続けることが困難になったりする(看過できない支障が生じる)状況を防ぐための措置が、事業主には義務付けられています。

 

03マタハラが生じた際の事業主や加害者の責任

マタハラ(妊娠・出産等に関するハラスメント)が生じた際、事業主や加害者は法的・社会的に重い責任を負うことになります。この章では、事業主・加害者それぞれが負うことになる責任、関連する法律について紹介します。

事業主の責任

事業主には、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に基づき、妊娠・出産・育児休業等の取得を理由とする不利益な取扱いを禁止する責任があります。特に均等法第9条第4項では、妊娠中や産後1年以内の解雇は、事業主がハラスメント以外の正当な理由を証明しない限り、原則として無効となります。また、防止措置義務に違反し、行政の勧告に従わない場合は、企業名が公表されたり、報告の拒否等に対して過料が科されたりすることもあります。

▶︎参考:e-GOV|雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
▶︎参考:e-GOV|育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

加害者の責任

加害者は、会社の就業規則に基づき、けん責、減給、出勤停止、さらには懲戒解雇などの厳正な処分を受ける対象となります。ハラスメントは個人の尊厳を傷つける許されない行為であり、職場での解決が困難な場合には、裁判を通じて損害賠償などの民事上の責任を問われるリスクも生じます。

 

04マタハラ訴訟の最新事例を2つ紹介

マタハラ訴訟がニュースとして話題になることも珍しくありません。ここではマタハラ訴訟の最新事例を2つ紹介します。

妊娠のタイミングが悪いと発言した大阪市住吉区の課長

2021年3月30日に、大阪市住吉区の男性課長がマタハラにより停職3カ月の懲戒処分を受けたことが発表されました。報道によると、妊娠を報告した女性職員に対して「タイミングが最悪。職場に迷惑がかかるのが分からないのか」などと発言していたとのことです。 同課長は、住之江区役所に勤務していた2017年から2018年にかけても、女性職員に対して妊娠して欲しい月を命令口調で伝えており、別の職員に対しては、パワハラも行っていたことが明らかになっています。

▶︎参考:朝日新聞デジタル 「妊娠のタイミング最悪」マタハラした課長処分 大阪市

出産後の保育士を解雇した社会福祉法人

2021年3月4日に、出産後の保育士を解雇した社会福祉法人は、一審に続き二審でも解雇の無効と、慰謝料30万円の支払いなどを命じられました。 神奈川県の30代女性保育士は、育児休暇をとっていた2018年3月に保育園への復職を拒否され、同年5月に解雇されていました。出産後1年未満の女性労働者の解雇は、男女雇用機会均等法にも違反しているとし、育休明け後の賃金や賞与の支払い義務もあるとされています。

▶︎参考:時事ドットコムニュース 二審も出産後の解雇無効 保育士マタハラ訴訟―東京高裁

 

05事業主が実施すべきマタハラ防止の対応策

マタハラ防止のために、事業主が実施すべき対応策には主に以下の5つがあります。

  • ・事業主の方針を明確化し周知・啓発する
  • ・相談窓口の設置
  • ・マタハラが生じた場合に迅速かつ適切に対応する
  • ・マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置を講ずる
  • ・マタハラに関する研修を実施する

この章では、これらの対応策について詳しく紹介します。

▶︎参考:職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!|厚生労働省

事業主の方針を明確化し周知・啓発する

事業主は、マタハラの内容やマタハラが行われた場合の処分などについて、明確な方針を定めなければなりません。特に意図せずに行われるマタハラのケースが多いため、マタハラに該当する行為は何かを、管理者を含む全労働者に周知・啓発する必要があります。 就業規則への明記はもちろん、社内報や会社のホームページを通して、労働者全員が事業主の方針を目にすることが推奨されています。定期的な社内ミーティングやセミナー開催によりマタハラに関する理解を深めることもいいでしょう。

相談窓口の設置

マタハラへの対応として、企業が相談窓口を設置することは非常に重要です。相談窓口は、妊娠や出産を理由とする不当な扱いや、職場でのハラスメントを抱えた従業員が安心して相談できる場を提供します。この窓口は、信頼性を確保するため、外部機関の活用や専門の担当者を配置することが望ましいです。また、匿名での相談が可能であることや、相談内容が守秘義務に基づいて扱われることを明確にする必要があります。さらに、相談があった場合には迅速かつ適切な調査と対応を行い、問題解決を図ることが求められます。相談窓口の設置は、従業員の不安を軽減し、職場環境の改善に寄与します。同時に、企業としての法令遵守やリスク管理の観点からも、不可欠な施策です。

マタハラが生じた場合に迅速かつ適切に対応する

マタハラが生じた場合に、事業主は迅速に事実確認をしなければなりません。そのためには、関係者や目撃者が事実を語れる環境を作る必要もあるでしょう。不当な処分を恐れて、事実が語れないような環境は望ましくありません。 事実確認ができたらすぐに被害者のケアをし、加害者には適切な措置を講じます。社内で問題を扱うのが難しい場合は、第三者機関に委ねることもできるでしょう。相談された内容の事実確認ができなかった場合も含めて、改めて社内報やホームページなどを通して、再発防止措置を取ることも必要です。

マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置を講ずる

マタハラの原因や、背景となる要因を解消する必要もあります。妊娠中の労働者は、つわりなど体調不良のため、通常通りに業務を遂行できない場合があります。周囲の労働者の業務負担が増えることで不満が出ることがないよう、業務分担の見直しが必要です。 妊娠した労働者にも、体調に応じて周囲とコミュニケーションを取りながら業務を行うこと、必要に応じてさまざまな制度が利用できることなどを周知するようにできます。さらに、普段から個々の労働者がさまざまな業務に対応できるようにするなど、欠員をカバーできる体制を作っておくことも効果的です。

マタハラに関する研修を実施する

マタハラが発生しない職場にするためには、マタハラとはどのような言動や行動が該当するのか、加害者がどのような処罰を受ける可能性があるのかを従業員に周知する必要があります。また、マタハラを相談された際の管理職や同僚の対応方針も同時に周知しなければなりません。特に、無意識にマタハラに該当するような発言や行動を取ってしまっている人も少なくないので、このような発言は該当するというユースケースを学ぶことは非常に効果的です。


 

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07まとめ

マタハラ対策は、快適な職場環境をつくるため、さらには優秀な人材の流出を防止するために必須です。また、うっかりした言動が、マタハラの対象になることもあるデリケートな問題でもあります。まずは事業主、管理者の意識を高め、無意識のうちにマタハラの加害者にならないように気をつけましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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