研修で女性活躍を推進!効果的な方法と注意点を解説
日本における女性の労働環境は、今後大きく改善されるといわれています。こうした変化に影響を与えるのが、女性活躍推進法です。本記事では、女性の活躍が推進されている理由や背景、また効果的な方法と注意点について解説します。担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.女性活躍推進が求められる理由
- 02.女性活躍推進法と企業の義務
- 03.女性活躍推進の現状
- 04.女性活躍推進における課題
- 05.女性活躍推進に必要な研修
- 06.女性活躍推進研修|Schoo for Business
- 07.まとめ
01女性活躍推進が求められる理由
女性活躍推進は、働き方改革におけるダイバーシティ構想の柱のひとつです。また、少子高齢化のために人手不足が続いている現状の打開策としても注目されています。ここでは企業に女性活躍推進が求められる理由について紹介します。
人手不足・労働力不足の解消
我が国は少子高齢化の進展により、2011年以降は人口減少社会に突入しています。その結果、いわゆる「働き手」となる労働力人口が今後大幅に減少していくと予測されています。
このまま労働力人口が減少すると、我が国の活力や成長が失われるだけでなく、企業にとっては「人手不足」の問題が深刻化し、事業継続への支障も生じかねません。そこで政府は、下記のの3つの対応策を掲げました。
- ・出生率を高めて将来の働き手を増やす
- ・労働生産性を高める
- ・働き手を増やす
上記の「働き手を増やす」において、女性や高齢者の労働を政府は促進しています。生産年齢人口の減少を迎える中で、女性が働きやすく、活躍できる社会をつくることは、日本全体の労働生産性を高めるために必要不可欠と言えるでしょう。
ダイバーシティへの対応
雇用に対する考え方や価値観・消費の多様化、さらにはグローバル化に対応した企業の増加により、日本でもダイバーシティの推進が進められています。
実際に厚生労働省や経済産業省からも、ダイバーシティ推進に向けた法令や政策などが次々と打ち出されているのです。多様性を活かした働き方の促進は、今後さらに注目が集まると予想されています。
人的資本開示
2023年3月31日以降に終了する事業年度に係る有価証券報告書から、人的資本開示が義務化されました。義務化の対象となるのは、金融商品取引法第24条において「有価証券報告書」の発行が求められている約4,000社の上場企業です。
国内外の投資家が注目する人的資本の開示内容において、女性の管理職比率や育休の取得率などは重要な指標となっています。
そのため、多くの企業で2030年までの女性管理職比率を高めるための施策が実施されています。
02女性活躍推進法と企業の義務
2016年4月に施行された女性活躍推進法は、「働きたい女性が活躍できる労働環境の整備を企業に義務付けることで、女性が働きやすい社会を実現すること」を目的として、施行されました。ここからは従業員が101名を超える事業所に現在義務付けられている女性活躍推進法の項目について解説します。
基礎4項目の分析と調査
まず初めに行うのが「基礎4項目の分析と調査」です。この調査では、下記4つの必ず把握すべき基礎項目を元に自社の女性社員の雇用率や勤続年数などを分析・調査します。(非正社員の場合は※部分の3つ)
A. 採用した労働者に占める女性労働者の割合(目安:20%以上)※ =直近の事業年度の女性の採用者数(中途採用含む)÷直近の事業年度の採用者数(中途採用含む)×100(%)
B. 管理職に占める女性労働者の割合(目安:20%以上) =女性の管理職数÷管理職数×100(%)
C. 男女の平均継続勤務年数の差異(目安:70%以上)※ =女性の平均継続勤務年数÷男性の平均継続勤務年数×100(%)
D. 労働者の各月の平均残業時間数等の労働時間の状況(目安:45時間未満)※ =「各月の対象労働者の残業時間数の合計」÷「対象労働者数」
女性活躍に関する情報の公開
女性活躍推進法では、「女性の活躍に関する情報の公表」も取り決められています。こちらは、各社の現状を公表するために行うものです。常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、情報公表項目について、下記の各区分から1項目以上を公表する必要があります。
- A.職業生活に関する機会の提供に関する実績
- B.職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
その際には、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社サイトに掲載して、外部からも内容が確認できるようにしなければなりません。
女性の職業生活における活躍推進への支援措置
国は、女性の職業生活における活躍を推進するため、職業指導、職業紹介、職業訓練、創業の支援その他の必要な措置を講ずることに努めています。具体的には、女性の活躍推進に関する状況が優良な企業は「えるぼし認定」や「なでしこ銘柄」を受けられます。
これらの認定を受けると、行政の総合評価落札方式又は企画競争による公共調達で加点評価されるほか、日本政策金融公庫から低利融資を受けられるのです。 また、これらの認定を受けることは、女性に優しい会社であることの証明にもなるため、企業イメージの向上に効果的です。
03女性活躍推進の現状
女性管理職の割合は、社員数が1,001名以上を超える大企業でも10%未満が6割というのが現状です。一方で、女性活躍推進・女性登用に向けた施策については、大企業では実施が進んでいるものの、中小企業では3割程度しか実施されていません。
この章では、女性活躍推進法や人的資本開示の流れがある中で、女性活躍推進は現状でどの程度進んでいるのかをHR総研の調査データをもとに紹介します。
▶︎参考:HR総研:ダイバーシティ経営に関するアンケート 結果報告【女性活躍・価値観・キャリア志向】
女性管理職の割合
HR総研が実施した調査によると、従業員数別の女性管理職の割合は以下のとおりです。
1,001名以上のいわゆる大企業でも、女性管理職が5%未満という企業は約4割ほどという結果となっています。300名以下の中小企業になると、女性管理職が5%未満という企業は約6割ほどとなり、まだまだ女性を管理職に登用するという企業は多くないことがわかります。
女性活躍推進・女性登用に向けた施策の実施割合
従業員数別に見た際の女性活躍推進・女性登用に向けた施策の実施有無は以下のような結果となっています。
1,001名以上の企業では約8割が実施していると回答しており、人的資本開示やダイバーシティへの対応が影響していることが伺えます。一方で、300名以下の企業では約3割ほどしか実施されておらず、大企業のように女性活躍に注力するようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。
女性活躍推進・女性登用に向けて実施している施策
女性活躍推進・女性登用に向けて実施している施策は、以下のような結果となっています。
このように、主に働き方に対しての支援が上位に位置していることがわかります。一方で、管理職に登用するためのキャリア支援に関しては32%という結果となっており、まだまだ育成という観点での支援は道半ばということが伺えます。
04女性活躍推進における課題
HR総研の調査によると、女性活躍推進・女性登用に向けた課題は以下のような結果となっています。
最も多くの人が課題に感じているのが、女性ロールモデルの欠如で36%。次いで、女性の意識・就労感や風土・社風などが上位に位置しています。この章では、上位に位置している課題3つに対して、詳しく紹介します。
▶︎参考:HR総研:ダイバーシティ経営に関するアンケート 結果報告【女性活躍・価値観・キャリア志向】
女性のロールモデルの不在
先述したように、1,001名以上のいわゆる大企業でも、女性管理職が5%未満という企業は約4割ほど。300名以下の中小企業になると、女性管理職が5%未満という企業は約6割ほどとなっており、一般社員がロールモデルを見つけにくい現状にあることは疑いようがありません。
女性管理職のロールモデルがいないことは、女性社員が自分のキャリアプランを考える際にネガティブに働き、昇進のチャンスがあった際の不安要因となります。また、ロールモデルがいれば、家庭と仕事の両立について相談する相手が見つけやすくなり、管理職に登用された後も安心して働ける環境を作りやすいでしょう。
男性目線の価値観の浸透
「女性は家に入るべきだ」という男性中心の考え方や、出産・妊娠を踏まえて上司が女性に重要な仕事を任せない慣習は、多くの企業で色濃く残っています。
このような判断は結果として女性の成果・経験・知識不足を生じ、女性社員の不足を招きます。
仕事と家庭を両立しづらい企業風土
女性の多くは出産・育児といった要因で、キャリアを中断するか判断を迫られることが多いでしょう。育児に関しては、男性も育休取得をして、夫婦で一緒に行うという家庭も徐々に増えてきてはいますが、まだまだ男性だけ育休をとって、女性は仕事に戻るという家庭はあまり見られません。
仕事と家庭を両立しづらい企業風土が根付いている企業もあり、「管理職になったらプライベートを犠牲にしなければならない」と考えている女性社員は決して少なくありません。
05女性活躍推進に必要な研修
一口に、女性の活躍を推進する研修と言っても、研修の目的や身に付けたいスキルによってプログラムは異なります ここからは、現在多くの企業で導入されている女性活躍推進を促進する研修を紹介します。それぞれのプログラムで身に付けられるスキル・対象者も異なりますので、ぜひ参考にしてください。
意識改革に関する研修
女性活躍推進を妨げる理由に、組織風土や文化があります。これらを改革していくためには、全ての社員が意識を変えていく必要があるでしょう。
全ての社員が意識改革の対象にすべきですが、最も注力すべきは経営層や管理職です。当たり前ですが、上が変わらなければ組織は変わりません。まずは経営層や管理職が女性が活躍できる組織にするという意識を持たなければ、多くの施策は空虚なものとなってしまうでしょう。
女性リーダー・女性管理職研修
女性リーダー・管理職に対する研修では、近い将来組織の中核となることを想定した、長期的なキャリア構築の重要性や、後輩指導に対する不安を解消するために身に付けておくべきスキルについて体系的に学びます。
研修を通じて、自分にふさわしい「リーダーの姿」を見つけたり、リーダー・管理職に必要なスキルを強化したりして活躍の場を広げることで、組織全体で女性リーダー・管理職の育成を進められます。
産休・育休から復帰する人に対しての研修
産休や育休からの復帰は、多くの悩みが伴います。仕事と家庭の両立ができるのか、長く離れてしまったために仕事についていけるのか、このような悩みを抱える人は多くいるでしょう。
そのため、産休や育休から復帰する人に対してのオンボーディング支援として、研修を実施する企業も増えてきています。このような機会を設けることにより、産休や育休を取得するか迷っている人に安心感を与えるという効果も期待できます。
また、同時期に復帰する人同士で繋がることで、社内で育児の相談相手が見つかります。多くの悩みやストレスと闘いながら、育児に勤しむ女性にとって相談相手が同じ環境にいるというのは心強い支援となるでしょう。
女性社員向けのキャリア研修
結婚・出産・育児などを踏まえたキャリア研修は、社員それぞれのキャリア形成を支援する上で非常に重要な役割を果たします。
特に若手女性社員において、いつ子供を産むかはキャリア形成に大きく関わります。男性も育休でキャリアを停止することはありますが、出産で強制的にキャリアを停止される女性とは、悩みの深さが根本的に異なるでしょう。
社内で出産や育児を経て活躍している女性社員に研修講師を依頼し、悩みを相談する場も同時に設けると良いかもしれません。
この際に重要なことは、管理職という道を歩みたくない人も尊重するということです。どのようなキャリアを選択するかは、個人に委ねられる時代となってきています。女性管理職の比率を指標にしてしまったがために、管理職になるべきという前提でキャリア研修を実施してしまうと、管理職にはなりたくないけど働き続けたいという女性には居心地の悪い職場となってしまうでしょう。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
06女性活躍推進研修|Schoo for Business
Schooでは約8,000本の授業保有しており、女性活躍推進研修に関する授業も多く揃っています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。
研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
Schoo for Business |
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受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 8,000本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,500円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schoo for Businessの資料をダウンロードする
Schooの女性活躍推進研修の特長
Schooの女性活躍推進研修の特長は、約8,000本の授業による網羅性です。
女性活躍推進は、経営層や管理職の意識改革、女性管理職候補の育成、キャリア支援など、複合的に取り組まないと前進しません。Schooは業界でも最大級のコンテンツを保有しているため、これらのニーズに全て応えることができます。
参考例として、女性活躍推進研修に利用できるSchooの授業を一部ご紹介します。
ダイバーシティマネジメントの実践方法
この授業では、職場における多様な属性をもつメンバーの個々の力を活かしながら、組織力を高めるためのアプローチ手法、「ダイバーシティマネジメント」について学びます。 組織を束ねるマネージャーやリーダーたちが多様性について理解を深め、マネジメントをする上での留意点や効果的な関わり方を把握し、ダイバーシティマネジメントを実践できるようになることを授業のゴールとしています。
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(株)クオリア代表/プロフェッショナルファシリテーター
都市計画コンサルタント会社、NPO法人理事、会社経営等を経て、株式会社クオリアを設立。 長年女性の能力開発、キャリア開発、組織活性化などのコンサルティングを実践。 1996年、米国訪問時にダイバーシティのコンセプトと出会い、以降、組織のダイバーシティ&インクルージョン推進を支援している。意識や行動変容を促進するプログラムには定評があり、アンコンシャス・バイアストレーニングや女性のリーダーシップ開発など高い評価を得ている。 2017年、世界94ヶ国1400人の女性リーダーが集うGlobal Summit of Women(GSW)東京大会の招致に関わり、実行委員を務めた。また、2019G20大阪の公式エンゲージメントグループW20運営委員会委員として政策提言に携わった。 国際ファシリテーターズ協会認定プロフェッショナルファシリテーター(CPF) Standing in the fire認定(2015年)ダイバーシティスペシャリスト。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
まじめすぎる女性のためのキャリア処方箋
女性がキャリアに対して抱えがちな「不安」や「もやもや」を、当事者の目線でフラットに言語化し、その課題に対する処方箋(考え方やアクションプラン)を考えていく授業です。
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株式会社ヒキダシ代表取締役社長
1991年新卒でリクルート入社。キャリアの中心は人材育成。結婚→退職→転職→海外帯同→家出→無職→離婚からの転職→大学院→独立…等公私とも多彩な経験を経て2016年ミドル・シニアのキャリア支援を柱とする㈱ヒキダシを設立。50代向けキャリア研修講師や、個人向けにはキャリアの壁打ち(人生相談)を行なっている。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
女性がリーダーへ踏み出すためのマインドセット
管理職のオファーをもらった女性が、「自信が無いから…」といった様々な理由で断るケースは少なくありません。しかし女性が自身の能力を低く見積もったり、業務経験を積みにくかったりするのは、社会構造や企業構造によってそうなってしまっている場合があります。この授業では、ジャーナリスト・前Business Insider Japan統括編集長・元AERA編集長の浜田敬子氏をお迎えし、女性がいかに「やりたいことをやる」ためのマインドを獲得すればいいのか、学んでいきます。
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株式会社ヒキダシ代表取締役社長
1989年に朝日新聞社に入社。前橋支局、仙台支局、週刊朝日編集部を経て、99年からAERA編集部。記者として女性の生き方や働く職場の問題、また国際ニュースなどを中心に取材。米同時多発テロやイラク戦争などは現地にて取材をする。2004年からはAERA副編集長。その後、編集長代理を経て、AERA初の女性編集長に就任。編集長時代は、オンラインメディアとのコラボや、外部のプロデューサーによる「特別編集長号」など新機軸に次々挑戦した。 2016年5月より朝日新聞社総合プロデュース室プロデューサーとして、「働く×子育てのこれからを考える」プロジェクト「WORKO!」や「働き方を考える」シンポジウムなどをプロデュースする。2017年3月末で朝日新聞社退社。2017年4月より世界17カ国に展開するオンライン経済メディアの日本版統括編集長に就任。2020年12月末に退任。 「羽鳥慎一モーニングショー」や「サンデーモーニング」などのコメンテーターや、ダイバーシティーや働き方改革についての講演なども行う。著書に『働く女子と罪悪感』(集英社)。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
大企業から中小企業まで3,200社以上が導入
Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで3,200社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
07まとめ
今回は女性活躍推進法について、実施義務から目的・メリットまで、多岐にわたる内容を紹介しました。女性活躍推進法は、女性が自身のライフプランや目標に合わせて柔軟に働ける社会を実現するための第一歩です。 世界基準だとまだまだ遅れを取っている日本の職場制度ですが、今後さらに女性の活躍を推進する企業が増えていくことは間違いないでしょう。 ぜひ、本記事を参考に女性活躍推進法への取り組みや、女性社員向けの研修を実施し、全社員が働きやすい職場環境作りに努めましょう。