ダイバーシティ研修とは?企業に求められる理由や主な内容について解説

ダイバーシティとは、直訳すると多様性という意味があります。この意味が転じ、幅広い人材を採用する考え方を指すようになりました。本記事ではダイバーシティの考え方やメリット、研修方法などについて紹介します。これからダイバーシティを導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
01ダイバーシティ研修とは
ダイバーシティ研修とは多様性への理解を深め、バックグラウンドや価値観、文化を尊重できるような組織づくりを目指す研修のことです。
労働人口の減少、価値観の多様化、企業のグローバル化は、現代の企業運営において重要な課題となっています。こうした背景を踏まえ、近年ダイバーシティ研修に取り組む企業が増えています。
02ダイバーシティ研修の目的
ダイバーシティ研修を行う目的は以下の4つです。
- 個人の先入観や偏見に対する意識改革
- セクハラやパワハラの予防
- 女性社員の働きやすさの向上
- イノベーション創出・生産性の向上
それぞれの目的を具体的に解説します。
個人の先入観や偏見に対する意識改革
ダイバーシティにおいて重要な多様性を認めるためには、それまで持っていた個人の先入観や偏見を変える必要があります。先入観や偏見を変えないことには、多様性の重要さに気付けません。企業をひとつのチームに見立て、チーム全体で成果を上げるためには、さまざまな考え方に気付く変化が第一歩といえます。
セクハラやパワハラの予防
セクハラというと、男性が女性に対して不適切な言動を行うイメージがありますが、LGBT の人に対して不適切な言動を行うのも、セクハラに含まれます。配慮のない行為により問題が発生した場合、企業に法的責任が問われる可能性があるのです。 パワハラ問題も同様であり、上司が部下に対して人格を否定する発言を繰り返し行うと、企業経営に悪影響を及ぼす事態は避けられません。これらの予防策として、ダイバーシティ研修の導入が進められています。
女性社員の働きやすさや課題の解消
女性社員は、結婚や出産など人生のポイントにおいて、働き方の選択を迫られる場面があります。ワークライフバランスを保った上で、働き方の選択肢を広げたり、働く上での課題を解消したりするために、ダイバーシティ研修が役立ちます。 ダイバー研修を受け、自らの多様性を受け入れることで、他人の多様性も受け入れられるようになるのです。その結果、出産や育児を理由としたハラスメントを防ぎ、女性社員が働く上での課題解消につながります。
イノベーション創出・生産性の向上
ダイバーシティを推進すると、多様な考えを持った人材が集まります。これにより、今まで考えがつかなかった斬新的なアイディアが生まれ、新しいイノベーションの創出が可能となり、ひいては生産性の向上にもつなげられます。 実際に、アメリカのシリコンバレーは、エンジニアや研究者たちの半数以上が、アメリカ以外の出身者で占められています。異なる視点を持った人材が集まると、新たなアイディアが生まれるでしょう。
03ダイバーシティ研修の内容
ダイバーシティ研修を進めるにあたって、重点を置いて取り入れたい内容は、次の7つです。
- 1:ダイバーシティについての基本的な理解
- 2:障がい者活躍推進研修
- 3:女性活躍推進研修
- 4:LGBTQ研修
- 5:外国人活躍推進研修
- 6:育児・介護・病気対応研修
- 7:ダイバーシティマネジメント(管理職向け)
すべての社員が、持っている能力を最大限に活かし、複雑化している消費者ニーズへ応えるために、各内容の詳細を事前に理解しておきましょう。
1:ダイバーシティについての基本的な理解
ダイバーシティ研修の骨格となる項目です。ダイバーシティを学ぶ前に、そもそもダイバーシティとは何か、どのような目的で行うのかなど、基本と概念を理解しておく必要があります。最初に概念を学び、ダイバーシティの更なる知識を深めることが必要です。
2:障がい者活躍推進研修
障がい者活躍推進研修は、企業における障がい者の雇用促進と、障がいを持つ従業員が働きやすい環境を整備するための研修です。この研修では、障がい者が持つ可能性を最大限に引き出し、障がい者と非障がい者が共に協力し合いながら働ける職場づくりを目指します。障がい者雇用の法的要件や配慮すべき点、障がい者の支援方法などについて学ぶことができます。
3:女性活躍推進研修
女性活躍推進研修は、企業内で女性が活躍できる環境を整備するための研修です。この研修では、女性のキャリア支援や管理職登用の促進、ワークライフバランスを考慮した働き方の推進方法を学びます。男女の平等な機会を提供するための具体的な施策や、女性特有の課題(育児や出産後の復職など)への理解を深め、職場内での性別による不平等を解消するための方法を学びます。
4:LGBTQ研修
LGBTQ研修は、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア)コミュニティに対する理解を深め、職場での多様性を尊重するための研修です。研修では、LGBTQに関する基本的な知識や理解を得るとともに、職場でのLGBTQに対する配慮方法や、差別やハラスメントを防ぐための具体的な対応方法を学びます。
5:外国人活躍推進研修
外国人活躍推進研修は、外国人社員が職場で活躍できるよう支援するための研修です。日本語能力や文化の違いに起因するコミュニケーションの課題に対処する方法を学びます。また、異文化理解を深め、外国人社員が安心して働ける職場環境の整備についても学びます。研修では、外国人労働者を迎えるためのマネジメントスキルや、多文化共生を推進するための方法が紹介されます。
6:育児・介護・病気対応研修
育児・介護・病気対応研修は、従業員が育児、介護、または病気による家庭の事情に直面している場合でも働きやすい環境を作るための研修です。この研修では、フレキシブルな勤務形態や休業制度、職場でのサポート方法について学びます。特に、育児や介護休暇の制度利用に関する理解を深め、仕事と家庭の両立支援を行うための具体的な施策について学びます。
7:ダイバーシティマネジメント(管理職向け)
ダイバーシティマネジメント研修は、管理職が多様性を活かしたチーム運営を行うための研修です。管理職は、チームメンバーの個々の違いを理解し、異なる価値観やバックグラウンドを持つ従業員同士の協力を促進する役割を担っています。この研修では、ダイバーシティの重要性や、多様な人材を活かすためのマネジメント手法、インクルーシブなリーダーシップの発揮方法について学びます。また、ダイバーシティを活かした戦略的な人材活用や、組織文化の変革についても取り扱われます。
04ダイバーシティ研修で使えるゲーム・グループワーク
ダイバーシティ研修ではゲームやグループワークは、参加者同士が異なる視点や価値観を理解し、多様性への理解を深めるために有効です。ここでは自己と他者の違いを客観的に把握したり、共通点を見つけたりすることで、相互理解を促進できるようなゲーム・グループワークを紹介します。
質問ゲーム
人数 | 4人〜 |
所要時間 | 1分〜 |
遊び方 |
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このゲームは初めてメンバーが集まる時など、メンバーの中の親交があまり深まっていない状態で行うことが効果的です。1分ほどの短い間に相手に質問し、答えてもらい、その人をいかに知ることができるかを競うだけのとても簡単なゲームです。このゲームを通じて、参加者同士が自分の考えや価値観をシェアすることで、他者の視点を理解しやすくなり、多様性の大切さを実感することができます。
十人十色
人数 | 3人〜 |
所要時間 | 20分〜 |
遊び方 |
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「他者の視座」に対する意識を喚起するきっかけとなる経験を提供するためにデザインされた、"ゆるやかな形式"のオープンソース・ゲームです。 チームの中にいる一人を対象者とし、「炭水化物なら米、パン、麺のうちどれが一番好きか」という問題を出して、好みや傾向を予想して当てるゲームです。このゲームは、個人の違いを理解することがダイバーシティの基盤であるということを強調し、多様性を受け入れる意識を高めることができます。参加者は自分の特性を自信を持って共有できるようになり、他の人の違いにも寛容になることを学べます。
NASAゲーム
人数 | 4人〜 |
所要時間 | 30分〜 |
遊び方 |
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「NASAゲーム」は「月に不時着してしまった宇宙飛行士」という設定で、320km離れた母船へ戻るために、手元のアイテムに対して優先順位を決めていきます。個人で優先順位をつけた後にチームで話し合いながら全員で1つの結論を導くという流れです。NASAによる模範解答に最も近い解答を出したチームが優勝です。チームでの話し合いで、それぞれのコミュニケーションの癖が出るため、フィードバックなど行うと効果的です。参加者が多様性を理解し、異なる価値観や意見を尊重しながら協力して問題解決を行うことを学ぶために有効です。
05ダイバーシティ研修を実施するときの注意点
ダイバーシティ研修は、ただ実施するだけでは効果が期待できません。次にあげる点に注意し、内容を充実させながら進行していくことが重要です。どのような注意点があるのか、詳しく解説しますので、研修内容を考える際の参考にしてください。
管理職・マネージャーを参加者のメインにする
現場でダイバーシティを推進するのは、管理職やマネージャーの役割です。そのため、参加者のメインを管理職・マネージャーに設定し、最初にダイバーシティの必要性について理解を深めるようにしましょう。そのうえで、具体的な取り組みを決める必要があります。 ダイバーシティの推進には、職場の人間関係を良好に保つことが必須です。こまめなコミュニケーションの重要性や、雇用形態ごとの仕事内容や役割を明確にする目的などを、管理職・マネージャーはしっかり理解しておかなくてはいけません。
ディスカッションタイムを設けて意見を出し合う
さまざまな価値観や考え方を受け入れるには、相手の意見を聞き、理解を深める必要があります。そのためには、研修の途中にディスカッションタイムを設けるのも、有効な研修の手段です。複数のシチュエーションを設定し、どのように対応するかを話し合うと、実際の場面でも活用できるでしょう。 日頃の業務中では、意見を出し合うチャンスが滅多にないかもしれません。研修の機会を利用して自分の考えを伝えましょう。
推進への取り組みを明確にした研修を設計する
ダイバーシティの推進を行う必要性や、推進への取り組みなどを明確にすると、研修の方向性が定まりやすくなります。例えば、育児休暇や介護休暇が申請しにくい状況を改善するために、管理職が制度の必要性に理解を示すといった内容です。 研修の内容を具体化するほど、 課題解決につながる研修が実施できます。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
06ダイバーシティ研修|Schoo for Business

Schooでは約9,000本の授業を保有しており、ダイバーシティ研修に関する授業も多く揃っています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。
研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
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ダイバーシティ研修に関するコンテンツ一覧
研修内容 | 時間 |
多文化チームで働く職場デザイン | 1時間 |
働く女性の健康 ライフステージごとの問題とセルフケア | 2時間40分 |
働く女性の健康 妊娠期・産後のからだとこころの変化 | 2時間10分 |
働く女性の健康 職場の全員が知っておきたい知識 | 2時間20分 |
女性が活躍できる組織作り | 2時間 |
アンコンシャス・バイアス - 無意識の偏見 | 45分 |
ダイバーシティ経営組織が勝てる理由 | 1時間 |
投資家が企業に求めるD&I - 人的資本から理解する | 50分 |
多様性社会を生きるライフキャリア論 | 40分 |
ありがちな偏見のワナ -脱出ワークショップ- | 60分 |
多様性で組織力をアップする これからの上司像 | 1時間34分 |
ダイバーシティマネジメントの考え方 | 1時間15分 |
ハラスメントを正しく知る- 全ビジネスパーソン向け | 1時間10分 |
コーチングスキル - ハラスメント対応・壁打ち | 1時間10分 |
ハラスメントへの「アサーティブ」な対応 - 全ビジネスパーソン向け | 1時間10分 |
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Schooのダイバーシティ研修カリキュラム例
Schooのダイバーシティ研修の特長は、約9,000本の授業による網羅性です。
管理職向けのダイバーシティマネジメントや全社員に向けた多様性への理解促進などSchooは業界でも最大級のコンテンツを保有しているため、これらのニーズに全て応えることができます。
参考例として、Schooを用いたダイバーシティ研修のカリキュラム例をご紹介します。
ダイバーシティマネジメント研修パッケージ
第1回 | ダイバーシティマネジメントの考え方 |
時間 | 50分×2コマ,30分×1コマ |
研修内容 |
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大企業から中小企業まで幅広く導入

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで幅広い企業にご導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
07まとめ
ダイバーシティの考え方を取り入れ、多様性を活かした働き方を促進するには、これまで紹介した点に心がけ、研修を行う必要があります。通常の業務に加えて、効率良く研修を行うためには、オンラインで研修を行うのもひとつの方法です。 どの研修方法を取り入れると、自社に適しているかを検討しながら、ダイバーシティの推進を進めていきましょう。