公開日:2021/06/30
更新日:2022/05/26

法務とは?企業経営に欠かせない法務の知識とこれから必要な知識を解説

法務とは?企業経営に欠かせない法務の知識とこれから必要な知識を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

近年、「法令順守」「コンプライアンス」という言葉が盛んに使われています。企業の不祥事が相次いで発覚して企業が破綻するケースが生じていることが原因です。企業経営において法務の知識は法令順守だけの問題ではなく、リスク管理において必要不可欠となっています。ですが、法務とひとことで言っても非常に範囲が広いものです。企業に必要な法務とはどのような知識なのかを解説します。

 

01法務とは?

そもそも法務とは法律や司法に関する事務や業務全般の総称です。企業において行われる法務は「企業法務」と呼ばれます。そのほかには複数の国にまたがる法務は「国際法務」、日本から見た海外の法務は「海外法務」、外国人を対象にした法務は「渉外法務」と呼ばれます。当記事では「企業法務」について詳しく解説します。企業法務と言っても業務内容は多岐にわたります。

企業法務とは?

企業の設立、取引、人事、労務、解散に至るまでの活動は法律と密接に関わっています。企業経営上、企業法務は非常に重要な役割を担っているといえるでしょう。従来企業法務は総務部や企画部の一部門としての業務でした。しかし法務業務の重要性が認識されるとともに、独立した「法務部」を設置する企業が増えてきています。企業法務には異なる特徴をもった三種類の法務があります。「臨床法務」と「予防法務」と「戦略法務」です。 「臨床法務」は法務トラブルへの対応や裁判を含めた法的対応などを行います。 「予防法務」は事前にトラブルを防ぐための対応です。 「戦略法務」は企業経営上の重要な意思決定に関わる法律事務を行います。 現在でもかつてと同じく、「臨床法務」は高い重要性をもっています。しかし、昨今の相次ぐ企業の不祥事をうけ「予防法務」の重要性も高まっています。また、企業の買収や合併などが増えて、次なる戦略を考えるうえでも「戦略法務」は欠かせなくなっています。

 

02企業経営に欠かせない法務について

企業経営を行う上で多くの法律の知識が必要になります。企業経営上の法務については法務部が担うことが多いでしょう。しかし、法務部に任せきりではなく経営者や管理職もある程度の知識を有することが必要です。そのため、まずは法務部の業務内容を把握しておきましょう。

法務部の役割と業務内容

一般的に法務部の業務は「社内」「社外」への対応で分けることができます。社内の法務はコンプライアンスの管理や法律相談などの業務により、健全な企業経営を行うための業務です。社外の法務は契約書の締結や訴訟などのトラブル対応により企業利益の確保やリスク管理などを行う業務です。 また、攻めの法務と守りの法務の二つの役割も同時に担います。 法律を扱う部署ではあるものの、法務部は自社の部署です。自社の利益のために業務を行う必要があります。そのため法務部員には企業の利益追求と法的に適切な活動の双方を踏まえた判断が必要となります。 攻めの法務とは企業活動の目的遂行のため、法的な手段を使った戦略で企業活動を後押しすることです、一方で守りの法務は社外や社内の法的なトラブルを未然に防ぎ、企業活動のリスクヘッジを行うことです。

契約・取引に関する法務

取引先との契約書類などを作成したり確認したりする業務です。契約や取引に関する業務は、法務部の業務のなかでも比重が高い業務でしょう。契約を結ぶ際には、のちのトラブルを防ぐためにも契約書の作成と内容確認は欠かせません。契約書を作成する際には抜け漏れなく作成する必要があります。契約書を確認して自社にとって不利な契約を結ぶことがないように、厳密な精査が必要です。

機関法務

株主総会や取締役会などの会社内部の機関が適法に行われるように運営する業務です。会社法を中心とした法律知識が必要になります。そのほかにも株式の発行や分割、グループ企業の組織再編やM&A、子会社の設立などの業務にも深く関わっています。

紛争訴訟などのトラブル対応

顧客や取引先との間で紛争や訴訟が起こった場合に、トラブル対応を行います。契約書の確認を行い、トラブルを未然に防ぐことも法務部の役割です。しかし予期せぬトラブルは起こってしまいます。訴訟対応は法務部のみで対応することもあれば、法律事務所と連携することもあります。その際の外部の弁護士との連携も法務部の業務です。

コンプライアンスの周知徹底

社内の法令順守(コンプライアンス)も法務部の業務です。自社の適正な体制を作るだけではなく、周知して徹底させなければなりません。社内規定などを作成し、社内ルールを明文化するだけでは足りないのです。研修や内部通報の窓口などを作ることにより、徹底して運用していく必要があります。

法律相談

社内の法律のプロとしてほかの社員のサポートを行います。業種や業界によって必要な法律の知識は異なります。業種や業界の異なる企業と取引する営業社員からは、他業界の法律に関しての相談が多くなるでしょう。また、人事部門へは労働法関係が大きく関係してきます。税務関係では知財法関係が大きく関わってきます。そのため、法務部は幅広い法律知識が求められます。

行政機関関係

行政機関に許認可を得るために届け出をする業務です。法務部だけでなく、各部署がそれぞれに行っているケースもあります。ほかの部署が行う場合であっても書類の確認やアドバイスを求められることもあるでしょう。

法務部に求められるスキル

法務部には高い専門知識のほかにコミュニケーション能力も必要になります。法務に関する知識を確認するためには資格が有効です。法務に関する資格はビジネス実務法務検定など実践で活用できる資格が多くあります。法務で第一線で活躍する人材を採用したい場合には資格の有無を確認することは必須でしょう。

高い専門知識

法務の仕事には専門知識が不可欠です。そして法制度は日々改正されています。常に最新の法令を理解するために学び続ける必要があります。また、知識をもっているだけでなく、文書作成力や調査力など知識を活かす能力も求められます。

コミュニケーション能力

会社に所属する法務社員は会社の利益のために働きます。そのため、企業の利益と法的に適正な活動のどちらも踏まえた判断が求められます。社内の事情と法律を照らし合わせて適切に伝えることが必要となります。 また、社内のコンプライアンスに関してもコミュニケーション能力は欠かせません。社内規定を作るのが目的ではなく守ってもらうのが目的です。難解な法務の知識を相手の立場に立って説明し、理解してもらうことが大切になります。

 

03これからの法務部に必要なのはリーガルテックの知識

新型コロナウイルスの影響で話題に上がった「ハンコ不要論」を筆頭に法務の業務にもテクノロジーが導入されてきています。テクノロジーの活用で今まで煩雑であった法務業務の利便性が今後ますます簡略化されていきます。

リーガルテックとは?

リーガルテックとは「法律(リーガル)」と「技術(テクノロジー)」を組み合わせた言葉です。矢野経済研究所では「法律サービスの利便性を向上させるために開発されたITを活用した製品やサービス」と定義しています。リーガルテックの発祥はアメリカです。訴訟大国といわれるアメリカでは、企業法務以外でもリーガルテックが活用されています。 日本のリーガルテック導入は世界と比べて遅れていますが、昨今の働き方改革の動きに合わせるためには、リーガルテックの知識は必要不可欠です。ハンコを押すためだけに出社することが一時話題に上がりましたが、リーガルテック導入によって無駄な出社を抑えることもできます。また一人当たりの生産性を高めることにもリーガルテックは貢献します。契約書の作成や郵送といった人の手間がかかる業務を改善し、人件費の削減や業務効率の向上、人材確保などの効果をもたらします。

リーガルテックの市場規模

リーガルテックは既に世界で1.8兆円規模の市場をもっているとされており、多数のスタートアップ企業が参入しています。2010年ごろから大手企業がリーガルテック事業に参入を始め、急激に市場が広がってきました。日本は参入が遅れ、2014年ごろからリーガルテックに取り組む企業が増え始めました。日本においても市場は拡大していますが、世界と比べて遅れをとっているのが現状です。日本国内におけるリーガルテックの市場規模は2018年で228億円です。2023年には353億円になると予測されており、今後拡大していく分野です。

リーガルテックのサービス事例

日本国内で利用可能なリーガルテックを紹介します。今後も新たなサービスが展開されることが予想される市場です。既に複数の企業が参入しており、さまざまなサービスがありますが、自社の必要性に合わせて慎重に検討することが大切です。

弁護士ドットコム

弁護士ドットコム株式会社が運営する法律相談のポータルサイトです。18,600人以上の弁護士が登録しており、一般ユーザーが質問を投稿することができます。また、弁護士や法律事務所を探すことも可能です。

CLOUDSIGN

こちらも弁護士ドットコム株式会社が運営するサービスです。契約の締結をクラウド上で行うことができます。契約書の締結や保存が全てクラウド上で完結します。契約書の作成や締結が簡潔になり、保管にも役に立つツールです。

GMOサイン

GMOグローバルサイン・ホールディングスが運営する電子契約サービスです。署名方法は電子署名と身元確認済み高度電子署名の両方に対応しており、相手に合わせた使い分けができるのが特徴です。信頼性と安全性に定評があります。

Grafferスマート申請

株式会社グラファーが運営するデジタル行政プラットフォームです。さまざまな行政関係の手続きをスマートフォン一つで行える行政サービスです。

I-CON登記

GVA TECH株式会社が運営する法人登記の必要書類を自動で作成するサービスです。変更登記申請書類の作成や郵送申請、登記反映後の登記簿謄本の取得など登記に関する業務をサポートします。

 

04法務業務はアウトソーシングするのも一つの手

中小企業にとって法務部は必須ではありません。法務業務を行える人材は専門知識が求められるため、ほかの職種と比べ給料水準が高くなりがちです。日常的に法務業務が必要にならないようであれば、外部の専門機関にアウトソーシングすることも一つの手段です。 法務業務をアウトソーシングすることで、一定の専門性が保障されている機関に安心して任せることができます。また、特定の分野に強みをもつ専門家に依頼することで、専門性が高く自社の業務にあった質の高いアウトプットも期待できます。しかし、外部の専門家へのアウトソーシングは費用が高額になりがちです。そのためすべての作業を依頼するのではなく、自社でまかなえる業務は自社で行うことが有効です。上記で紹介したリーガルテックを活用することで費用を抑えることもできます。


 

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05まとめ

変化の激しい現代では、働き方や新しい技術に適応するために法律は年々改正されていくでしょう。過去の知識が役に立たないことも多くなってきます。かといって、法務の知識をゼロから学び始めてもキリがありません。法務の専門家を採用する、アウトソーシングする、リーガルテックを活用するなど法務への関わり方自体を見直してみてはいかがでしょうか。

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