総務部はどんな仕事なのか?総務部の業務内容や必要性、今後の総務部についてを解説
総務部は会社経営において必要な業務を担っています。しかし、一部では「総務部は社内の雑用係」「総務の仕事なんて誰にでもできる」という意見もあります。実際に総務部の業務内容は雑用なのでしょうか。総務部の業務内容や必要性、新しい時代の総務部について解説します。
- 01.総務部とは?
- 02.総務部に求められるスキル
- 03.総務部=雑用係を抜け出すために
- 04.新しい時代の総務のあり方
- 05.まとめ
01総務部とは?
総務部とは企業や団体などにおいて、組織全体に関する事務全般を扱う部署です。その業務領域は非常に広く多岐にわたっているため、目的や意義が見えにくい部署でもあります。人事部、経理部、法務部、広報部などは総務部から派生した部署です。組織の運営において重要な役割を果たしていますが、社内で担当する部署がない事務作業が必然的に総務部に回されて、幅広い業務をなんでも行うため雑用係とみなされがちです。では総務部は具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。
総務部の仕事内容
総務部の仕事は多岐に渡ります。ここでは、総務部の仕事一つ一つをご紹介します。
備品、消耗品、固定資産などの管理
パソコンや電話機、名刺、コピー用紙などの備品を管理します。備品に不具合が生じた場合の修理対応や補充等の業務です。
保安、防災
オフィスビルの防災管理や避難訓練などの企画は多くの場合総務部の業務です。
福利厚生業務
健康診断や休暇制度、それらにかかる費用の補助などを総務部が担当します。
施設管理
社員が安心して業務ができる職場を維持することも総務部の仕事です。清掃業者への依頼や空調の管理、施設メンテナンスの手配などの業務が含まれます。
文書管理
会議資料や稟議書、社員名簿などの重要書類を作成、管理します。
社内行事の企画、運営
入社式や社員旅行、忘年会などのスケジュール作成や会場の手配なども総務の仕事です。
総務部の重要性
上記で記した仕事内容だけを見ると、業務内容が細かい雑務になりすぎて、重要な成果を上げていない部署だと思われがちです。しかし総務部があることにより全社的な活動を促進することが可能になるのです。
全社的コミュニケーションを可能にする
経営計画や経営戦略の策定などを全社に連絡、調整し、業務事項を全社に通達することで経営陣と現場社員との橋渡しを行います。
他部門の円滑な運営を可能にする
各部門がスムーズで効率的に業務を遂行するためにサポートを行っています。上記で記した業務を一つひとつ部署間で割り振ることは非効率です。総務部が行っている業務は社内各部門の円滑な業務運営につながっています。
全社的活動を促進する
会社規模が大きくなるほど、部門間の関わりは少なくなります。各部門を横断的にサポートしている総務部だからこそ社内を把握して、全社が連動した活動を行うことが可能なのです。
柔軟な対応を可能にする
変化の激しいビジネスにおいて、既存の部署割では割り切れない未知の業務が発生します。あふれた業務を総務部が拾いサポートすることで、円滑に変化に対応することが可能になります。
02総務部に求められるスキル
総務部の業務内容と重要性について解説してきましたが、その仕事内容は誰にでもできる仕事だと思われていることも多いでしょう。 ですが、総務部の仕事は専門性と業務領域の広さがほかの部署とは大きく異なります。総務に係る専門的な知識や社内に関する知識、社外取引先の知識などの専門知識も必要です。 また、総務が担う仕事を大きく二つに分けると「誰もやらない仕事」と「誰もできない仕事」に分けられます。「誰もできない仕事」こそ重要でスキルが大いに求められるのです では具体的に総務部に必要なスキルはどのようなものなのでしょうか。
総務の仕事を円滑に進めるために必要なスキル
専門知識を身につけるスキル
総務に必要な専門性は、経験することで身につく知識が多くあります。自社に合った独自の制度や取引先への知識など、書籍や講習などでは学べない知識が必要です。そのため、柔軟に新たな業務に対応するたび、自身で経験と知識を身につけ行動しながら学んでいくことが求められます。
気づくスキル
総務の重要な役割は全社的なサポートです。外から各部署を俯瞰的に眺める部署である総務部には、間違いや効率の悪い点などに気づいて指摘することも求められます。各部門のなかでは最適な選択であっても、ほかの部門に悪い影響をもたらす選択は日常的に起こり得ます。各部署を横断的にサポートする総務部にしか気づけないこともあるでしょう。
新しいことへの対応力
前述のように総務に任される仕事のなかには、どの部署に割り振ることができない未知の業務があります。新しいことに臆せずに臨機応変な対応ができるスキルが求められます。
基本的な事務スキル
ほかにも、下記のような基本的な事務スキルが求められます。 ・事務処理能力 ・スケジュール管理能力 ・パソコンスキル
総務部に求められる資格
総務部で働くために資格は必須ではありません。なぜなら前述のとおり総務部に求められる知識は「誰もできない仕事」に対するスキルであり、書籍や講座等で学べないような自社独自の専門知識でもあるからです。しかし、そのようなスキルや知識を身につけるためには前提となる知識が必要となることは確かです。総務部にとっては資格の保有が大事なのではなく、資格の勉強を通じて得た知識が重要になります。以下に総務部の業務に活かせる資格を紹介します。 ・中小企業診断士 ・社会保険労務士 ・衛生管理者 ・ビジネス・キャリア検定 ・人事総務検定
総務部に向いている人材とは?
総務部の業務は単純作業で誰にでもできる業務もあれば、誰にでもできるとは限らない、専門性が高い業務もあります。一般的に総務部の業務はハッキリとした成果を生み出さないことが多く、裏方であると認識されがちです。そのような総務部に向いている人の特徴は下記の通りです。 ・縁の下の力持ちとして人を支えることにやりがいを見いだせる ・複数の物事を同時並行で進めていける ・協調性がある ・社内での顔が広く、コミュニケーション能力が高い 総務部で扱う日常的な業務には、売り上げ的な成果を生み出さないものや単純作業などが多くあります。そのため、裏方のサポート業務にやりがいを見いだせる人材でなければ定着しない可能性があります。縁の下の力持ちとして社内全般を支えることにやりがいを感じる人材こそが総務部に向いています。
03総務部=雑用係を抜け出すために
総務部が日常的に行う業務は「誰もやらない仕事」です。そのため、総務部は雑用係と思われがちです。しかし、総務部を雑用係という位置づけに置いてしまうことは良くないでしょう。本来、総務部が行うべき業務ではない領域までも他部署が押し付けてしまっていることも考えられます。そうならないためにも、総務の仕事について社内で正しく理解しておく必要があります。
総務部の仕事は理解されづらい
前述のように総務部の業務はその業務単体では、目に見えた成果を生み出さないものが多くあります。また各部署の業務を広く浅くサポートしているとも思われ、簡単な業務ばかりをやっていると考えられてしまうでしょう。 ですが、総務部がなくなると経営や各部署の業務は滞ってしまうことは間違いありません。社内に総務部の業務内容を理解してもらうことは総務部社員のモチベーション向上だけでなく、社内全体の取り組みを把握することにもつながります。総務部の業務を体験してみる、社内で表彰制度を設ける、社内報などで発表するなどの取り組みによって理解を促すことが大切です。
総務の仕事は誰にでもできるという誤解
総務部の仕事にはスキルと適性が求められるのですが、仕事内容と共にそのスキルや適性は理解されづらいものです。そのため、総務部の社員はほかの部署から低い評価をされてしまうこともあります。しかし、実際に社内の優秀な人が総務部に集まっていることも多々あります。総務部を正しく理解してもらうためには、総務部よりも上の立場である経営層が総務部を評価して公表することが大切です。
04新しい時代の総務のあり方
総務のあり方もビジネスの変遷とともに変わってきました。新しい総務の形を紹介します。
総務部を必要としないホラクラシー組織
ホモクラシー組織とは社内に役職や階級といった上下関係が存在しない、フラットな組織のことを示します。ホモクラシー組織では各社員に担当する業務と権限が与えられます。誰がやるべきかわからない業務でさえも各社員にすべて割り振り権限を与えることで、曖昧な業務をなくして総務部を設けないことが可能です。ホモクラシー組織のなかでも従来の総務部が担当していた業務がなくなるわけではありません。ですが、明確に各個人に任せることで線引きをし、部署としての総務部を撤廃しているのです。また、そのような組織では従来の総務部が受けもっていた雑務全般をアウトソーシングことも多く、社員の生産性を上げることにも注力をしています。
企業の成長を支える戦略総務
戦略総務とはルーティン化した日々の業務だけでなく、企業が抱えている課題を解決するために能動的に提案していく総務です。総務部には全社を通しての知識が蓄積されています。そのため、総務部にさらなる裁量権を与え全社的な決定にまで能動的に関わらせることにより、最適な経営判断を行うことが可能になります。現場と経営陣をつなぐ役目としての総務部を、単なる雑務の処理としての役割で忙殺させることは、社内リソースの無駄遣いでもあります。スキルや知識を兼ね備えた総務部を有効活用するためには、日々の業務をアウトソーシングすることや、効率化できるツールを導入することが必要です。
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・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
05まとめ
総務部は、実は社内において重要な役割をもっていることを解説してきました。ですが、まだまだ総務部の知識やスキルを最大限有効活用できている会社は少ないでしょう。これを機に自社の総務部の業務を見直してみてはいかがでしょうか。