更新日:2026/01/21

常務取締役とは?役割や責任範囲、年収について解説

常務取締役とは?役割や責任範囲、年収について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

会社での役職はさまざまあります。常務や専務といった肩書は普段見かける機会は少ないですが、役職を理解していないと相手に失礼になってしまうこともあります。当記事では会社の役員の役職の解説を含め、常務取締役の役割や責任について解説します。

 

01常務取締役とは?

常務取締役とは、会社の経営方針を決定する「取締役」の一員でありながら、日々の実務も取り仕切る役職です。経営陣として会社の意思決定にも参加しつつ、経営陣と現場をつなぐ「パイプ役」としての役割も担います。

常務取締役は、会社法上の定めはありません。各企業が独自に設ける役職です。しかし、一般的には専務の下、平取締役の上に位置します。経営全体の視点と現場への深い理解の両方が求められるため、社内で長く実績を上げた人が選ばれる傾向にあります。


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02常務取締役の主な役割

常務取締役は「経営の補佐役」・「実務の実行・統括者」という2つの役割を担うことが多いです。この章では、これらの役割について、具体的にどのようなことをになっているのか紹介します。

1:経営の補佐役

常務取締役は、取締役会の一員として会社の経営方針を決定する立場にあります。その中でも、代表取締役社長や専務取締役を直接的に支える「経営の補佐役」としての役割を担うのが常務取締役です。主な業務として、取締役会や経営会議への参加を通じ、企業の長期的な成長を見据えた事業戦略の策定や資源配分の決定に深く関与します。

単に決定事項に従うだけでなく、社長の意向を理解した上で、実務経験に基づいた実現可能な計画の提案や、社内外との調整を円滑に進めるコミュニケーション能力も求められます。企業によっては、取締役会に提出する前の重要議案を審議・調整する「常務会」を設けている場合があり、そこでの活動を通じて迅速かつ的確な意思決定を支える中核的な役割を果たします。このように、経営層のトップに近い位置で、会社全体の舵取りをサポートする重要な責務を担っています。

2:実務の実行・統括者

常務取締役は、経営側と現場を繋ぐパイプ役としての役割も担います。取締役会で決議された戦略を具体的な業務へと展開し、実行を管理する「実務の統括者」です。一般的には、営業、開発、管理といった特定の事業部門を担当し、その部門における日常業務やプロジェクトが滞りなく進むよう指揮・監督を執ります。

具体的な業務範囲は広く、部門の予算管理や業績の進捗確認、現場への指示出しに加え、従業員の指導や人材育成、経営理念の浸透といった組織運営全般に関わります。また、現場に密着したリーダーとして、実務上の課題をいち早く察知し、解決に向けた調整を行う柔軟性も必要です。戦略の決定に関わる取締役としての顔と、現場を動かす実行者としての顔を併せ持ち、現場からの貴重なフィードバックを経営戦略の修正や改善に活かすことで、企業の持続的な成長に直接的に貢献する役割を果たします。

 

03常務取締役の序列

前提として、各企業ごとに序列は異なります。しかし、日本の多くの企業で一般的に採用されている序列は、上から順に以下の通りです。

  • 1:代表取締役会長
  • 2:代表取締役社長
  • 3:取締役副社長
  • 4:専務取締役
  • 5:常務取締役
  • 6:取締役(平取締役)

このように、一般的な序列において、常務取締役は専務取締役の下、平取締役の上に位置づけられます。常務という肩書きは、取締役の中でも特に重要な日常業務を担っていることを示しており、実務上の権限や責任の重さから平取締役より上位とされるのが通常です。

しかし、会社によっては「副会長」を設けていたり、専務や常務といった役職自体が存在しなかったりする場合もあります。また、企業文化や組織体制によって、特定の部門を担う常務取締役が強い影響力を持つなど、実際の力関係が異なるケースもあります。

 

04常務取締役と各役職・ポジションの違い

常務取締役と取締役は何が違うのか、常務執行役員と常務取締役は同じ「常務」がついているが何が違うのか。この章では、常務取締役とその他の役職やポジションの違いを紹介します。

取締役と常務取締役の違い

取締役と常務取締役には、違いはありません。常務取締役は「取締役」の1人で、各企業が社内で「常務」という肩書きを取締役に与えているに過ぎないのです。法的には「取締役」、社内としては「常務」という肩書き。これが常務取締役です。

「取締役」は会社法で定められている役職で、全ての株式会社で必ず置かなければいけません。最低1人以上必要で、取締役会を設置している場合には最低3人以上の取締役が必要と決まっています。3人以上の「取締役」がいる場合、全員の役職が「取締役」になり区別がつきにくいので、「常務」や「専務」といった肩書きを枕詞につけ、社内では異なる肩書きで呼称できるようにしているのです。

▶︎参考:e-GOV|会社法

常務執行役員と常務取締役の違い

常務取締役と常務執行役員は、名称は似ていますが、会社法上の立場や業務の権限において明確な違いがあります。

まず、常務取締役は前述したように、会社法に定められた「取締役」の一員であり、法的な役員です。そのため、会社との関係は「委任契約」に基づいています。一方で、常務執行役員は会社法上の役員(取締役・監査役など)ではなく、法的な身分は「従業員」です。したがって、一般の従業員と同様に会社と「雇用契約」を結んでいます。

このように、常務執行役員は取締役ではないので、経営の意思決定を行う取締役会への出席義務や議決権は持っていません。また、常務取締役の給与は「役員報酬」として扱われ、株主総会での決議によって決定されますが、常務執行役員は、法的には従業員であるため、その報酬は「給与」としての性質を持ちます。

執行役員と取締役の違い

執行役員は会社法上の規定はなく、あくまで社内ルールに基づいた役職です。そのため、執行役員と呼称されてはいるものの、法的な身分は「役員」ではなく「従業員」です。

また、業務内容も異なります。取締役は「経営陣としての意思決定」と、業務執行が適切に行われているかをチェックする「監督機能」を担います。さらに、取締役会の構成員として、議決権を行使する権限を持ちます。一方で、執行役員は取締役会が決定した方針や戦略に基づき、現場で実際の業務を遂行する「業務執行の責任者」です。そのため、執行役は議決権は持っていません。

 

05常務取締役の責任範囲

常務取締役は会社法上、取締役として扱われるので、会社に対して善管注意義務と忠実義務の2つの義務を負っています。この章では、常務取締役が担う責任範囲や2つの義務について解説します。

1:善管注意義務

善管注意義務とは「善良な管理者の注意義務」の略称です。取締役が能力や社会的地位、職責などから、一般的に期待される注意を持って、業務を遂行する義務を負うという意味です。

これは、会社法第330条および民法第644条の規定に基づき、会社と役員との委任関係から生じる法的な義務です。この義務の内容や範囲は、企業の規模や業態によって異なります。しかし、一般的に会社が大きければ大きいほど、取締役に課される責任も重くなります。もし取締役がこの義務を怠り、法令違反や業務執行上の重大な過失、あるいは不正行為があった場合には、会社に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

ただし、法令や内部規定を遵守し、適切な検討プロセスを経た合理的な意思決定に基づいて業務を遂行している限り、原則としてその判断に対する責任を問われることはありません。この善管注意義務は、職務を忠実に遂行し自らの利益よりも会社の利益を優先する「忠実義務」と共に、取締役が果たすべき重要な法的責務の1つです。

▶︎参考:e-GOV|会社法第330条
▶︎参考:e-GOV|民法第644条

2:忠実義務とは

忠実義務とは、会社法第355条に基づき、取締役が会社の利益のために職務を忠実に遂行しなければならない義務のことです。取締役は会社から経営を委任されている立場であり、自分自身の利益や第三者の利益よりも、常に会社の利益を最優先して行動することが求められます。この義務の具体的な内容として、会社法では以下の制限が設けられています。

  • 競業避止義務:取締役が、会社の事業と同じ分野の取引を自分や第三者のために無断で行うことを制限します。
  • 利益相反取引の制限:取締役と会社の間で利益がぶつかるような取引(会社が取締役の借金を保証するなど)を行う場合に、株主総会などの承認を義務付けます。

これらの義務は、取締役が会社の利益を犠牲にして私利を貪ることを防ぐためのものです。もし忠実義務を怠って会社に損害を与えた場合、取締役は損害賠償責任を問われる可能性があります。善管注意義務と並び、経営者として高い倫理観と責任感を持って職務にあたるための極めて重要な法的責務です。

▶︎参考:e-GOV|会社法第356条

 

06常務取締役に関するQ&A

この章では、常務取締役に関して頻出する質問をQ&A方式で紹介します。

Q.常務取締役になるには?

常務取締役になるためには、会社法に基づいた選任プロセスを経て、社内で実績を積み上げることが一般的です。常務取締役になるには、まず法的な「取締役」として選任される必要があります。「取締役」は株主総会の決議によって選任されます。オーナー会社であれば自身の投票のみで就任可能ですが、上場企業などでは高い専門性や実績が厳しく評価されます。

また、「常務」という役職は会社法上の規定ではなく、社内規定(定款など)に基づいています。そのため、一般的には、まず株主総会で「取締役」に選ばれ、その後に取締役会の決議によって「常務」という役付きの地位に任命されることが多いようです。

Q.常務取締役の呼び方は?

常務取締役の呼び方は、社内でのやり取りか、社外に向けたものかによって、以下のように使い分けるのが一般的です。

まず、社内での呼び方に関しては、基本的に「〇〇常務」や「常務」と呼ぶのが通例です。一方で、自社の常務を社外の人に紹介する場合は、敬称をつけずに名字を後に続け、「常務取締役の〇〇」や「常務の〇〇」と表現します。

さらに、他社の常務取締役を呼ぶ、または宛名にする場合は、ビジネスマナーとして「〇〇株式会社 常務取締役 〇〇様」のように、会社名・役職・氏名を正確に用いるのが適切です。

Q.常務取締役の英語表記は?

常務取締役の英語表記は、「Managing Director」が最も一般的に使われます。企業によっては、「Executive Director」が使われることもあります。

Q.常務取締役の年収は?

労務行政研究所が2023年に実施した調査によると、常務取締役の年収は以下の結果となっています。

  報酬月額(万円) 年間賞与(万円) 年間報酬(万円)
1,000人以上 214 471 3,039
300~999人 180 231 2,391
300人未満 138 421 2,077

このように、企業規模別で年収に大きな開きはありますが、一般的な会社員の年収と比較すると数倍の報酬となっています。

▶︎参考:WEB労政時報|2023年役員報酬・賞与等の最新実態


 

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07まとめ

会社内の序列は非常に分かりづらく、複雑です。ですが、あらかじめ業務内容や担当領域を知っておけば、役職は相手の立場が一目で分かるため、役に立つ情報となります。取引先の先方担当者が常務取締役であれば現場の従業員のことも理解しており、決定権ももっている人と見て問題ないでしょう。役職の知識をもって自社の役職を見直してみると、会社の体制も浮き彫りになります。活用できる知識として覚えておいてはいかがでしょうか。

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