公開日:2021/07/13
更新日:2022/05/26

CMOとは?役職の意味から求められる役割まで詳しく解説

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海外では近年CMOの存在感が増し、企業において先進的なマーケティングを主導する役割を果たしています。この記事では、日本における時価総額上位300社でもまだ0.3%しか任命していないCMOとはどのような役職なのか、また求められる役割とは何かを詳しく解説します。

 

01CMOとは?

CMOとはChief Marketing Officerの頭文字を取った言葉で、日本語訳すると「最高マーケティング責任者」のことです。 SNSなどの普及で消費者行動モデルは大きく変化し、モノづくりで企業競争力が高められた時代は終わりとなり、マーケティングが企業競争力に大きな影響を与える時代となりました。 このような時代に経営戦略と一体化したマーケティング戦略を部署を横断して立案し、検討することのできるCMOは企業にとってますます重要な存在になってきていると言えます。

CMOの責任の領域について

CMOの責任の領域とはどのようなものなのでしょうか。 3種類ご紹介します。

マーケティング戦略の領域

CMOは経営資源を使って、企業の商品やサービスを最も効率良く売るための仕組みを構築します。 売上に責任を持つ場合と持たない場合がありますが、売上に責任を持つ場合はマーケティングリサーチ、商品開発、広告、バリューチェーン(商品やサービスが顧客に提供されるまでの一連の活動)に至るまで幅広く関与することになるでしょう。 また、売上に責任を持たない場合は認知の獲得やリードジェネレーション(見込み顧客を獲得するまでのマーケティング活動)などに関与して、セールス部門へとつなぐ役割を果たします。

自社のマーケティング・エクセレンス開発の領域

自社のマーケティングにおける強みを開発するのもCMOの責任領域です。 具体的には、新たな経営資源とも言えるデータを管理するデータマネジメント、属人化しやすいマーケティングの手法を、社内で効率良く共有するためのナレッジマネジメントなどを行うこととなるでしょう。 技術開発だけに留まらず、人材開発・育成といった側面も含まれるのが特徴的と言えます。

顧客コミュニケーションの領域

SNSやスマホなどの普及により、顧客は企業が提供する商品やサービスを購入するだけではなく、積極的に情報発信や情報収集をするようになったと言えるでしょう。 そのため、商品やサービスの機能、価格での差別化は年々難しくなり、どれだけ顧客に共感されるブランドイメージを作れるかが重要になってきています。 具体的には、CMOは顧客だけではなく従業員・投資家・社会に対しても、企業の姿勢やブランドの思想を伝えるブランドマネジメントを行います。

 

02CMOが生まれた背景

昭和から平成まではAIDMAモデル、インターネットの普及によるAISASモデルといった消費者行動モデルで語られてきた消費者の購買行動ですが、近年SNSの普及によりSIPSという「共感」を入り口とした消費者行動モデルへと変化してきています。 モノづくりだけでは商品やサービスを売ることができなくなったのはもちろんのこと、各企業はどれだけ顧客に「共感」されるブランドイメージを構築し、それをSNSを用いて拡散できるかに力を注ぐようになりました。 企業のあらゆる部署が市場を意識し、全社が一体となってマーケティング戦略に取り組まないと生き残ることのできない時代になったからこそ、CMOという役職が生まれたと言えるでしょう。

 

03CMOの役割

CMOの具体的な役割とはどのようなものでしょうか。 3つご紹介します。

経営戦略をマーケティング戦略に落とし込む

CMOは企業のマーケティングにおける責任者というだけではなく、経営層の一員としての役割も持ちます。 そのためCMOは、経営戦略をマーケティングに落とし込み、人、モノ、資金、情報・知識、ブランドといった、経営資源を適切に用いて企業のマーケティング活動を最適化する必要があるのです。 現場のマネージャーやチームメンバーが同じ方向を向いて仕事をするためにも、CMOは経営戦略を理解し、それを現場のマーケティングに反映し続ける事が重要だと言えるでしょう。

部署を横断して一貫性のあるマーケティング戦略を主導する

企業のブランド力を向上させ、顧客に提供する価値を最大化するためにはマーケティング部門だけではなく、社内の部署を横断して一貫性のあるマーケティング戦略を行う必要があります。 例えば、カスタマーサービス部門が拾い上げた顧客のニーズを開発部門が活かして製品開発をし、マーケティング部門が宣伝活動を行うといった連携を主導するのがCMOの役割であるということです。

社内外のステークホルダーと良い関係を築く

CMOは企業のマーケティングの顔として認識されるため、社内の他部署、PR会社、事業パートナー企業、競合他社、株主といったさまざまなステークホルダー(利害関係者)と、一貫性のあるコミュニケーションをすることが求められます。 多くの人がプロジェクトに関わっていることを理解し、その人たちと良い関係を築く努力をすることが大切であるということです。

 

04CMOに求められるスキル

CMOに求められるスキルとはどのようなものでしょうか。 3つご紹介します。

データを最大限に活用して意思決定できる能力

CRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)や、BI(Business Intelligence=大量のデータを分析・加工してビジネスにおける意思決定に役立てること)ツールの発達で、マーケティングに必要なデータの収集は以前より容易になったと言えるでしょう。 CMOがこれらのデータから必要なものを抽出し、どれだけ迅速に判断の材料とすることができるかで、経営の意思決定のスピードが変わるのです。 このことからCMOにはデータを最大限に活用し、意思決定につなげる能力が求められます。

顧客に対する共感力

SNSの普及により、消費者行動モデルはSympathize(共感する)→Identify(確認する)→Participate(参加する)→Share&Spread(共有・拡散する)の4段階を経るSIPSモデルへと変化してきています。 顧客に購買行動を起こさせるためには、まず「共感」を引き起こす必要があるため、CMOには顧客を理解し顧客の声を代弁する能力が求められるのです。 一般的に企業は顧客への共感力が足りないとされますが、CMOは企業の中に居ながら顧客の気持ちを理解するという高度なスキルを駆使し、それを企業のマーケティング戦略に活かす必要があるということです。

リーダーシップ能力

CMOはマーケティングのエキスパート集団を率いて、企業の課題解決に取り組まなけれなならないため、高いリーダーシップが求められます。 社内においては、マーケティングエキスパート集団と信頼関係を築いて定着させ、経営戦略に基づいたマーケティング戦略を同じ方向を向いて実行しなければなりません。 また社外においても企業のブランドイメージを定着させ、ブランド力を向上させるために適切な情報収集と発信を続ける必要があるのです。 CMOには、社内・社外において能動的にチームを率いるリーダーシップ能力が不可欠と言えるでしょう。

 

05日本でCMOが定着しにくい理由

企業のマーケティング戦略を実行する上で重要な役割を担うCMOですが、日本で定着しにくい理由はどのようなものなのでしょうか。 2つご紹介します。

経営者としての視点を持ったマーケターが少ないため

日本ではマーケティングを、広告やSNSマーケティングなどの実務を行う仕事として捉えているため、経営戦略に基づくマーケティング戦略を考えるといった視点を持つマーケターが育ちにくい環境にあると言えるでしょう。 CMOは、本来マーケティングの観点から経営課題を解決するのがその役割であるため、日本の企業が組織を横断し、全社一丸となってマーケティングに取り組むことの大切さに気づかなければ、なかなか役職として定着するのは難しいと言えます。 今後、グローバル展開する国内企業が少しずつ増加する中で、世界の市場で競合他社に打ち勝つためには、高い意識でマーケティングに取り組むことや、継続したマーケティング活動を行うことが必須と捉えられるようになるでしょう。 日本企業が時間をかけて世界市場へと進出していく段階において、経営者目線を持って意思決定できるCMOの存在が少しずつ根付いていくと考えられます。

マーケティング部門を受動的な立場に位置付けているため

日本では、まず技術部門が売れる良い商品やサービスを作る能動的な部門とされ、マーケティング部門は企業が顧客に商品やサービスを売る仕組みを作る、受動的な仕事をする部門と位置付けてしまいがちです。 しかし、消費者行動モデルが「共感」から開始される現在では、マーケティング部門を「顧客の購入したい気持ちを作る部門」と捉えるのが望ましいのではないでしょうか。 これまでのようにマーケティング部門をバックヤードと位置付けていたのでは、企業が顧客の「購入したい気持ち」を作ることはできません。 多様化する顧客のニーズを捉えること、ベネフィット(商品やサービスをターゲット顧客が手にした時に得られる悩みの解決や欲求の満足のこと)が提供できる商品や、サービスの開発をすること、ブランディングや広告戦略を練ることなど企業活動の1つ1つにマーケティングの目線を持つことが重要だと言えるのです。 顧客の「購入したい気持ち」を作るためにまずマーケティングを再定義し、今までの受動的な枠組みを取り払って考えることが、CMOを日本企業に根付かせることの第一歩となるでしょう。


 

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06まとめ

CMOとは、「最高マーケティング責任者」のことを意味し、経営層の一員として経営戦略をマーケティング戦略へ落とし込むなど、さまざまな手段で企業のマーケティング活動を最適化する役割を担う役職だとわかりました。 SNSなどの普及で消費者行動モデルが変化する中、顧客の気持ちを企業へと代弁し、最新のマーケティング手法を用いて顧客の「購入したい気持ち」を作る必要があるため、CMOには高いスキルが求められるでしょう。 この記事も参考にし、ぜひCMOという役職について理解を深めてみてください。

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