更新日:2026/01/27

社外取締役とは?期待される役割や相応しい人物像について解説

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日本においても上場企業を中心に、社外取締役を設置する企業が増加傾向にあります。社外取締役の設置は企業の成長や健全経営に繋がるものの、具体的な役割についてわからない場合もあるようです。本記事では、社外取締役に期待される役割や相応しい人物像について解説します。

 

01社外取締役とは?

社外取締役とは、社外から招かれた取締役で、企業の業務執行に関する重要な意思決定を担います。社内の利害関係に左右されにくい立場から、客観的な視点で役割を果たせる点が特徴です。欧米では社外取締役の設置が一般的で、日本でも改正会社法を背景に、上場企業を中心に導入が進んでいます。

社内取締役との違いは「客観性」

社外取締役と社内取締役の大きな違いは「客観性」であると言えるでしょう。社内取締役は、通常社内で昇進した社員がその立場に就任します。それに対して、取り引きや資本関係のない社外から取締役を迎えることで、他の取締役や企業との利害関係を一切持たずに、第三者の視点で経営状況に意見することができます。

社外取締役の歴史はコーポレートガバナンスの歴史であるとも言える

バブル経済が崩壊する前までは、融資関係にある銀行が企業経営に大きな影響を与えていました。しかし、規制緩和や資金調達手段の多様化に伴い、株主の影響力が強くなりました。そこで、コーポレートガバナンスを強化するため、つまり企業が法令を守り不正行為を行わないよう監視するための施策のひとつとして、社外取締役が設置されるようになりました。 2014年の改正会社法では、大企業は社外取締役を設置しない場合、株主総会で理由を説明することが義務付けられました。また、2015年から金融庁と東京証券取引所が取りまとめたコーポレートガバナンスコードが適用され、上場企業では社外取締役を2名以上設置することが必須ととなりました。 2018年以降は、社外取締役を2名以上選任している企業の比率は90%以上となり、2021年の改正会社法では、上場企業に対して社外取締役の選任が義務付けられることになりました。

社外取締役の平均報酬は世界と比べて低いのが現状

日本における社外取締役の平均報酬は、近年やや増加傾向にあるものの、米国や欧州と比べると依然として低水準が続いているのが現状です。WTWの2025年調査によると、日本の社外取締役の中央値報酬は約1,790万円で、米国(約4,920万円)や欧州主要国と比較してかなり下回っています。 また、株式報酬の付与率も米国ではほぼ全社で一般的なのに対し、日本では約14.5%にとどまり、報酬構成や総額の面で差があることが示されています。 こうしたギャップは、日本企業がグローバル人材を引きつけるうえでの課題にもなっており、今後の報酬制度設計の検討材料として注目されています。

▶︎参考:日米欧社外取締役報酬比較


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02社外取締役を置くメリット

社外取締役を置くことで、社内の利害関係に左右されない客観的な監督が可能となり、経営の透明性が高まります。また、外部視点を取り入れた戦略議論が活性化し、株主・投資家からの信頼向上や、適切なリスク対応にもつながります。こうした社外取締役を置くメリットについて解説します。

経営の透明性・監督機能が強化される

社外取締役を置く最大のメリットは、経営に対する独立した監督機能が強化される点です。社内で昇進した取締役とは異なり、社外取締役は社内の人間関係や過去の経緯に左右されにくく、客観的な立場から経営判断を検証できます。これにより、重要な意思決定の妥当性やプロセスが可視化され、説明責任が高まります。不正や恣意的な判断の抑止にもつながり、ガバナンスの実効性向上に寄与します。

経営戦略の質が高まる

社外取締役の存在は、取締役会に多様な視点や知見をもたらし、経営戦略の質を高めます。社内だけでは発想が固定化しがちな中、外部の経験や異なる業界視点が加わることで、戦略の前提やリスクを改めて問い直す機会が生まれます。短期的な業績に偏らず、中長期的な企業価値向上を意識した議論が促進される点も重要です。結果として、意思決定の幅と深さが増します。

株主・投資家からの信頼が向上する

社外取締役の設置は、企業が株主利益やガバナンスを重視している姿勢を示すシグナルとなります。独立性のある取締役が経営を監督していることは、経営の恣意性や利益相反リスクが抑制されていると投資家に伝わります。これにより、企業の透明性や信頼性が高まり、資本市場からの評価向上につながります。長期投資家との対話においても、社外取締役の存在は安心材料となります。

経営リスクへの対応力が高まる

社外取締役は、リスクを過度に恐れる経営や、逆に楽観的な判断に偏ることを防ぐ役割を果たします。外部の視点から事業リスクや投資判断を検証することで、リスクとリターンのバランスを冷静に見極めることが可能になります。また、不祥事や環境変化など突発的なリスクへの対応においても、第三者的な意見が経営判断の質を高めます。結果として、持続的な成長を支えるリスク管理体制が強化されます。

 

03社外取締役が必要とされる会社とは

すべての企業が社外取締役を設置しなければならないわけではありません。ここでは、社外取締役が必要とされている会社について解説します。

上場企業

2015年に施行されたコーポレートガバナンスコードにより、上場企業は社外取締役2名以上の設置が必須となりました。それにより、2019年には99%の上場企業が社外取締役を2名設置するようになりました。 コーポレートガバナンスコードは、東京証券取引所内のルールとして施行されているに過ぎませんでしたが、2021年3月1日に改正会社法が施行され、上場企業における社外取締役の設置が義務となりました。 すでに大半の上場企業が社外取締役の選任を行っていますが、法律で義務化されたため、欠員となった場合の対策として、常に複数人の社外取締役を選任しておく必要が生じています。

▶︎参考:コーポレートガバナンス・コード

株式上場を目指す会社

現時点で社外取締役の設置義務化が適用外の会社であっても、将来的に株式上場を目指すのであれば、社外取締役の設置が必要となるでしょう。上場審査で、社外取締役の設置状況が問われる可能性もあるので、上場決定前から設置しておくことで、手続きがスムーズになると考えられます。

ベンチャーキャピタルから出資を受ける場合

高い成長が予想されるとして、ベンチャーキャピタルから出資を受ける企業も少なくありません。この場合、ベンチャーキャピタルから社外取締役が派遣されることもあります。ベンチャーキャピタルは、企業が成長して上場することにより利益を得るため、社外取締役を派遣することで、経営ノウハウの提供や、企業価値を上げるチャンスに敏感に対応することができます。

 

04社外取締役の具体的な仕事と期待される役割

ここでは、経済産業省が公開している「社外取締約の在り方に関する実務指針」をもとに、社外取締役の具体的な仕事内容や、期待される役割について解説します。

▶︎参考:社外取締役の在り方に関する実務指針|経済産業省

経営の監督と経営陣の評価

社外取締役の最も重要な役割は、経営陣に対する独立した立場からの監督です。経営戦略や業績の進捗が企業価値の向上につながっているかを検証し、CEOをはじめとする経営陣の評価や報酬、再任・解任といった判断にも関与します。社内の利害関係に左右されない視点で、経営の妥当性や説明責任を問い、取締役会の実効性を高めることが求められます。

経営戦略の立案と多角的な視点の提供

社外取締役は、社内では見落とされがちな視点や外部環境の変化を踏まえ、経営戦略の議論を深める役割を担います。業界動向や他社事例、資本市場の期待などを踏まえた多角的な意見を提示することで、戦略の質を高めます。自ら意思決定を主導するのではなく、議論の幅を広げ、より合理的で中長期的な判断を促す存在として機能します。

利益相反の監督と株主利益の保護

社外取締役は、経営陣や特定の株主との間で生じ得る利益相反を監督し、一般株主の利益を守る役割を担います。支配株主との取引や経営陣の自己利益につながる判断に対し、独立した立場から慎重な審議を求めます。こうした監督機能は、経営の透明性を高め、企業への信頼を維持・向上させるうえで不可欠です。

適切なリスクテイクの後押し

社外取締役は、リスクを単に抑制する存在ではなく、成長に必要なリスクテイクを適切に後押しする役割も果たします。新規事業や投資判断において、戦略との整合性やリスク管理体制を確認したうえで、合理的な挑戦を支援します。過度な慎重姿勢による成長機会の逸失を防ぎ、長期的な企業価値向上につなげることが期待されます。

h3>資本市場との対話と取締役会の活性化

社外取締役は、投資家との対話を通じて得た市場の評価や期待を取締役会に共有し、議論に反映させる役割も担います。これにより、経営戦略やガバナンスに対する外部の視点を内部に取り込みます。また、率直な発言や建設的な議論を促すことで、取締役会そのものの活性化と意思決定の質の向上に貢献します。

 

05社外取締役に相応しい人物像

社外取締役を選任するにあたり、相応しい人物を選出する必要があります。ここでは、社外取締役に相応しい人物像について解説します。

社外取締役として認められる人物像の要件がある

まず、社外取締役の要件があるため、それを満たす必要があります。要件については、会社法第2条15号に記載されており、要約すると、当該株式会社または親会社や子会社、経営陣などとの間に利害関係を待たない人物である必要があります。会社関係者を除外することで、第三者としての立場や透明性を求めることが可能になります。

▶︎参考:e-Gov 法令検索

経営のノウハウがある人材が多く選ばれている

前述の朝日新聞の調べによると、東証1部の社外取締役は約5,000人で、経営者や経営者としての経験を持つ人が約2,670人であることがわかっています。経営のノウハウがある人材を選任することで、業績向上または新規事業の拡大への貢献を期待することができます。

弁護士や公認会計士も多く選ばれている

経営のノウハウを持つ人物以外にも、弁護士や会計士、税理士も選ばれています。法律や税金に関する専門知識は、企業を運営するために欠かかすことができません。コーポレートガバナンスを強化するための、最善のアドバイスが期待できるでしょう。


 

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06まとめ

社外取締役の具体的な仕事や期待される役割、相応しい人物像についてまとめました。改正会社法で上場企業における社外取締役の設置が義務化されたこともあり、その重要な役割が再確認されています。それと同時に、人材不足により候補者が少ないことも多くの企業にとって課題となっており、限られた人材の中から如何に自社に相応しい人物を選任するかも大きなポイントとなっています。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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