公開日:2021/07/20
更新日:2022/09/21

メンタリングとは?メリットや導入の際のポイントについて解説

メンタリングとは?メリットや導入の際のポイントについて解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

人材育成の手法のひとつであるメンタリングを、制度として取り入れる企業が増えています。人手不足が叫ばれる中、人材育成への取り組みは重要なポイントです。本記事では、メンタリングの概要やメリット、導入の際のポイントについて解説します。

 

01メンタリングとは?OJTやコーチングとの違い

人材育成の手法として、メンタリングの他にも「OJT」「コーチング」などがあります。混同されることもありますが、それぞれに違いがあります。ここでは、メンタリングの概要と、OJTやコーチングとの違いについて解説します。

メンターがメンティーを指導する人材育成の手法のひとつ

メンタリングとは、メンターがメンティーを指導する人材育成の手法のひとつです。メンターは指導者としての立場を表し、主に上司や先輩社員が任命されます。メンティーは、新入社員や若手社員など指導を受ける立場のことです。 メンタリングでは、継続的なマンツーマンのコミュニケーションによる指導が行われます。ただし、メンターによる一方的な指導ではなく、メンティーを主役と捉えて、メンティの可能性を引き出す指導が行われます。メンティーが自ら考え、気づくことによって成長が促されるのがメンタリングのポイントです。 また、仕事に関する指導だけではなく、メンタル面やキャリア面など多岐にわたる悩みにも対応し、職業人または社会人としての成長をサポートします。

メンターの語源は古代ギリシャ叙事詩の登場人物に由来する

メンターの語源は、古代ギリシャ叙事詩「オデュッセイア」に登場する「メントル」であると言われています。メントルはオデュッセウス王の旧友で、王の息子であるテレマコスを指導して人間的に大きく成長させた人物です。 メントルが若いテレマコスにとって良い指導者、理解者、支援者になったことから、メントルのような役割を果たす人材を任命し若手社員を指導する「メンタリング」が、制度として普及するようになりました。

OJTは実務を通して人材を成長させること

メンタリングが普及し始めた2000年頃は、OJTと同様の意味で捉えられることが多くありました。OJTとは「On the job training」の略称で、主に新入社員を対象に行う業務指導や実務指導を指します。OJTにおいて指導者となるのは、同じ部署内の先輩社員や上司で、実務を通して必要な知識や技術の習得をサポートします。 OJTが実務に重きを置いているのに対し、メンタリングはメンタル面の悩みなどにも対応する点で、大きな違いがあります。また、メンタリングの指導者は、配属部署を問わずに、年齢の近い社員などが選ばれます。さらに、長期的なサポートを行うメンタリングに対し、OJTは短期的である点で、異なる指導方法であると言えるでしょう。

コーチングとの違いはテーマとする領域

メンタリングと混同されやすい人材育成の手法として、コーチングを挙げることができます。マンツーマンの指導で、指導される側の気づきや自発的な行動を促すという点で、メンタリングと共通している部分があります。 しかし、メンタリングは、社会人または職業人としての成長という広い領域をテーマとしてサポートするのに対し、コーチングは業務上の目標達成やプロジェクトの成功など、部分的に絞られた領域をテーマとする点で違いがあります。また、コーチングは経営者や経験豊富な社員を対象にすることがあり、サポート期間も比較的短期間である点で相違点があります。

 

02メンタリングの2つの機能

メンタリングには、メンティーの目標達成とキャリア支援を行う外面からのサポートと、心理社会的な支援を行う内面からのサポートの2つの機能があります。

目標の達成とキャリア支援

メンタリングの機能のひとつに、メンティの目標達成とキャリア支援が挙げられます。メンティの昇格、昇給やキャリア認識の促進をすることで、プロジェクトの成功やメンティの成長のために協力します。 具体的には、キャリアにおけるメンティの目標を明確化し、達成までのプロセスを支援します。これには、メンティーの目標達成のために関係者の協力を得たり、途中経過をフィードアップしたりすることも関係しています。また、上長への報告を行い、メンティーの存在をアピールすることも含まれます。

心理的・社会的支援

メンタリングの機能には、メンティーの心理的、社会的支援も含まれます。業務にかかわる技術やノウハウを教え込むことも大切ですが、社会人としてのモラルなど、他にも重要なことがあります。そこで、メンタリングによって、メンタル面のバックアップを行い、社会人として成長するようサポートします。 メンターには、仕事だけでなく、生活全般の悩みを受け入れて、メンティとの信頼関係を築くことが求められます。自身の成功体験を語ったり、実際に手本を示したりして、メンティの役割モデルを務めます。メンティに役立つ本や会合の紹介を行うこともあります。

 

03メンタリングを導入するメリット

人材育成の手法として、企業がメンタリングを導入するメリットは数多くあります。ここでは、メンタリングを導入する4つのメリットを解説します。

従業員の主体性を促進する

メンタリングを導入することで、従業員の主体性を促進することが期待されます。メンタリングは、メンティーが自ら考え、気づくことで、自力で課題に取り組むサポートを行います。自ら考えることが習慣づくため、受け身ではなく主体性をもって業務に取り組むようになることが考えられます。 メンタリングにより主体性が身に付いた従業員は、その後も上司からの指示を待つのではなく、自ら考えて業務に積極的に携わり、組織全体の生産性向上にも繋げることができるでしょう。

メンターの人材育成にも繋がる

メンタリングはメンティーの支援を目的としていますが、指導を行うメンターの人材育成にも繋がるメリットもあります。これを「メンター効果」と呼び、若いメンターの場合にさらに効果が増すと言われています。メンターは、先輩として指導や支援を行う過程で、自らも励みを得ることができます。 また、メンティーに指導をしながら、自身も業務への理解を深めることができます。メンターとしての経験は、リーダーシップやマネジメント能力を磨くのにも有効です。

社内コミュニケーションが活性化する

メンターとメンティーの上下のコミュニケーションが改善されると、社内全体でのコミュニケーションの活性化にも繋がると考えられます。メンタリングの実施にあたり、部署間の枠を超えた組み合わせをすることも多く、関係者を含めてメンティーをサポートする取り組みが行われるため、広範囲での相乗効果が期待できます。

従業員満足度の改善と離職率低下に繋がる

メンタリングの導入は、従業員満足度の改善と離職率の低下にも繋がると考えられます。新入社員や若手社員にとって、社内に信頼のおける先輩社員がいることは、精神的な支えになります。困ったときやわからない時に相談相手がいることで、不安やストレスを感じることなく業務に集中できるでしょう。 また、普段からコミュニケーションが活発になるため、社員の異変にも気づきやすく、早期対応が可能になります。メンタリングの定着により、風通しの良い職場環境が築かれると、社員のエンゲージメントが向上し、離職率の低下にも繋がるでしょう。

 

04メンタリングを導入する流れ

メンタリングを導入するためには、事前の準備が必要です。ここでは、メンタリングを導入する流れについて解説します。

メンターとして必要になる準備をする

メンターを選ぶにあたり、メンターの役割を理解し、必要なスキルを身に付けるための準備が必要です。密接なコミュニケーションを必要とするメンタリングでは、メンターにかかる負担が多くなります。そのため、事前に研修を行うなどして、メンティーの目標や悩みにどう向き合うか、対処が難しい場合の対策なども確認しておくようにしましょう。

メンティーに疑問点などを考えてもらう

メンタリングにおいて、主役はあくまでメンティーであることを、メンティー自身に自覚してもらう必要があります。自身の成長のための大切な機会であることを認識し、自発的に相談するよう促すことができるでしょう。事前に、疑問点や不安に思っていることをリストアップしてもらうことも、メンタリングのスムーズな導入に有効であると考えられます。

運用方法の検討と整理

メンターとメンティーで、メンタリングの運用方法を検討し、整理しておくことも大切です。実施期間や頻度、フィードバックの方法などについても話し合っておくなら、スムーズな運用を可能にすると考えられます。

 

05メンタリング導入の際のポイント

最後に、メンタリング導入の際のポイントについて解説します。

信頼関係のないメンタリングは効果が薄くなりやすい

メンタリングを効果的に行うには、メンターとメンティーの信頼関係が欠かせません。信頼関係を築けない状態で進めたとしても、うわべだけの雑談や、メンターの一方的な指導で終わってしまうことが考えられます。 年代の近い、または何かしらの共通点がある先輩社員や上司をメンターとして任命するなど、信頼関係が築きやすい組み合わせをすると良いでしょう。経過を観察して、相性が良くないと判断した場合には、組み合わせを変更することも検討できます。

メンタリング導入の目的を双方が理解する必要がある

メンタリングを始める前に、導入目的をメンターとメンティーの双方が理解しておく必要があります。正しく理解しないうちに始めると、メンティーは遠慮して自ら相談したり報告したりせず、メンターはメンタリングの優先順位を下げてしまうことも考えられます。

メンタリングの主役はメンティーであることを忘れない

メンタリング導入の際の大切なポイントとして、主役はメンティーであることを忘れないことも挙げられます。人材育成の手法であるため、メンターは指導に重きを置き、自身のやり方を押し付けたり、答えを出したりして、メンティーが自ら考える機会を奪ってしまうことも考えられます。 メンターには、メンティーの気持ちを引き出す質問をするなど、時間をかけてじっくりと話を聞く姿勢が大切です。

定期的な振り返りとフィードバックを行う

メンタリングを始めてからは、定期的な振り返りとフィードバックを行うことが重要です。メンターによる的確にフィードバックは、メンティーの意識を高め、早く結果を出しやすくする効果があります。また、最初に設定した目標を再確認しながら、次の改善目標が立てやすくなります。


 

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06まとめ

メンタリングを導入するメリットや、導入の流れとポイントについてまとめました。キャリア支援だけでなくメンタル面での支援も行うメンタリングは、人材育成の効果的な手法として多くの企業に注目されています。メンティのみならずメンターの人材開発にも繋がるため、企業全体の能力の底上げも期待できるでしょう。

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    1998年に大学卒業後、味の素株式会社に入社し、営業マーケティングに従事。2006年にヤフー株式会社へ転職し、新規ビジネス開発・サービス企画のリリースを経験するかたわらで各種組織活性プロジェクトを推進。2016年に希望して人事部門に異動後、全社の人材開発・組織開発を担当。1on1ミーティングをはじめとしたピープルマネジメントツールの推進や管理職のマネジメント支援と並行して、現場の組織課題解決をサポート。2019年に個人での組織開発アドバイザリー事業と組織開発エバンジェリストとしての情報発信を開始。2020年に株式会社ZOZOテクノロジーズ(現・株式会社ZOZO)へ転職し、現在は全社およびクリエイター部門の人事企画・人材開発・組織開発に携わっている。

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