公開日:2021/08/26
更新日:2022/09/22

evpとは?注目される背景からメリットや設定方法を解説

evpとは?注目される背景からメリットや設定方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

evpとは、企業が従業員に対して提供できる価値のことを指します。本記事では、evpの策定により従業員および企業が得られるメリットや、実行に向けてのステップなどを解説します。evpの導入を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

 

01evpとは?

evpとは、「Employee Value Proposition」の頭文字を取った言葉であり、直訳すると「従業員への価値の提案」という意味です。具体的には、企業が従業員に対してどのような価値を提供できるかです。 evpには、給与面などの目に見えるものと、やりがいなど目に見えないものの両方が含まれます。求職者が「この企業で働きたい」と思えるように、また従業員が「長く働きたい」と感じられるような制度づくりが、他社との差別化を図る重要なポイントとなります。従業員に対して、企業独自の価値を見出せるよう明確に提示することが重要です。

 

02evpが注目される背景とは

evpが注目されるようになった理由は、現在の日本が抱える労働環境の変化に伴う問題が関係しています。具体的にどのような問題なのか、さらに詳しく掘り下げてみると、注目されるようになった時代背景が見えてきます。

労働力不足に伴う人材の確保が難しい

日本で長く採用されてきた終身雇用制が崩れ、転職するのが当たり前になっているうえ、少子高齢化による労働者不足も、人材不足に拍車をかける結果につながっています。evpを、企業のアピールポイントとすることで、優秀な人材を確保する取り組みが求められます。 さらに、従業員の帰属意識を高め、離職率を下げるためにも、企業独自の魅力あるevp構築が欠かせなくなっているのです。

働き方の変化により従業員が企業に求めるものが多様化している

従業員は、働くうえでプラスになるためのさまざまな環境を、企業に求めるようになっています。給与面だけでなく、働き方そのものに満足できるよう、福利厚生の活用やワークライフバランス、各種休暇の取得奨励などが行いやすい環境を構築する取り組みが必要です。 近年では、従業員の多様性を受け入れて企業間の競争力を高める「ダイバーシティ」の考え方も浸透しています。この考え方を活用するためにも、evpが欠かせないのです。

 

03evpがもたらすメリットとは

evpの導入により、企業だけでなく、従業員や求職者に対しても多くのメリットを享受することができます。従来の福利厚生制度だけでなく、evpを導入すると、次のようなメリットが生まれます。ひとつずつ詳細を解説します。

従業員の企業エンゲージメントが高まる

evpの導入は、企業の経営理念や目標などを明確にする手段です。これにより、従業員が目標を明確にでき、企業に対する満足度が上がることでモチベーションの向上につながります。 さらに、愛着心を意味するエンゲージメントも高まり、企業に貢献しようという意欲をわきたてられるようになります。これらの姿勢がそのまま顧客満足度にもつなげられ、企業の業績向上を目指せるのです。 従業員の考えや希望を理解する企業は、従業員にとって魅力的であり、長期的な雇用につながることもメリットです。

離職率の低下につながる

企業に対する満足度が高まると、その企業で長く働こうとする気持ちが強まり、離職率の低下にも寄与します。離職率が下がることは、顧客に対する担当者が長く続くことを意味するため、顧客への信頼感にもつながります。 さらに、離職率が下がると、採用コストも抑えられますので、カットできた採用コストを従業員への還元に充てることも可能です。研修費用や資格取得などの助成に充てられれば、従業員が企業に貢献できるスキルを身につけてもらえるため、企業と従業員の双方にとって有益だといえます。

求職者やステークホルダーに自社のevpをアピールできる

今いる従業員だけでなく、これから入社を希望する求職者やステークホルダーに、自社の取り組みをアピ―ルするためにも、evpは有効的な手段です。現在日本国内のみならず、世界中から注目を集めているevpを導入していると、従業員を大切に思っていることが伝わり、求職者にとって魅力のある企業だと認識されます。その結果、優秀な人材の確保につなげられる可能性が高まります。 ステークホルダーに対しても、evpを浸透させることで経営理念を広める効果があり、より良い関係性が築けるといえます。

 

04代表的なevpの項目とは

evpを高めるための項目は、企業によって若干異なるものの、大まかな内容は次の通りです。これらの内容に、企業独自の戦略を盛り込み、企業風土全般が伝わりやすくなるようにすると良いです。それぞれについて解説します。

報酬や人事評価制度

業務内容に見合った給与はもちろんのこと、企業オリジナルの特別報酬を盛り込むことも、戦略のひとつです。業績および売上に応じた手当や、従業員の能力や行動に合わせた昇給があると、従業員のモチベーションが高まります。 併せて、人事評価の内容が、誰もが納得できて公平感のあるものでなくてはいけません。不公平な評価では、evpの成果は期待できないおそれがあります。

福利厚生

福利厚生は、従業員だけでなく、従業員の家族の生活に潤いを与えるのに、重要な役割を果たします。福利厚生制度が充実していると、企業に対する満足度を大きく高めることができ、他社との差別化にも役立ちます。 福利厚生の内容が十分でないと、それだけで従業員のモチベーションが下がってしまいがちです。他社の福利厚生制度と比較しながら、変えられる点は変えていき、従業員にとって魅力のある福利厚生制度の構築を目指してください。

キャリアアップのための資格取得支援制度

従業員がスキルを高めて成長するためには、キャリアアップへの取り組みが欠かせません。この方法のひとつとして、資格取得への支援制度があげられます。 資格取得支援制度を導入し、資格講座などの受講料を助成するのもおすすめです。さらに、取得後は資格手当を支給すると、頑張りが認められたと実感でき、従業員のさらなるキャリアアップを目指せます。

ワークライフバランスを考慮した勤務形態や休暇制度

短時間勤務やフレックスタイム制度、リモートワーク、サテライトオフィスの設置など、働きやすいと思える勤務形態を増やすのも、evpの有効な手段です。ワークライフバランスを考慮して、柔軟な働き方の導入を進めてください。これらの取り組みは、企業のBCP対策としても効果があります。 さらに、有給休暇を取得しやすくしたり、企業オリジナルの休暇制度を設定するのも、独自性を高める方法のひとつです。evpの強化を図るために、新たな休暇制度を設ける企業も増えています。

メンター制度など従業員のサポート

最近はうつ病など、メンタルのバランスを崩して退職・休職してしまう従業員が少なくありません。例え給与や福利厚生がしっかりしていても、精神的な満足感を得られない職場は、evpの効果が現れているとは言えないでしょう。メンター制度やサポート窓口を設けるなどして、従業員のフォローやケアに努める必要があると考えられます。

IT機器や設備が充実した職場環境

業務を効率良く行うには、IT機器や設備が整った職場環境が必要です。最新の設備を導入したり、通信環境を整えたりするなどして、業務がスムーズに行えるようにすると、従業員の作業効率向上を図れます。職場環境の良し悪しはevpに直結するため、優先的に整備するのが良いと考えられます。

 

05evp設定で踏むべきステップとは

evpを設定するには、適切なステップを追っていくとスムーズに構築できるようになります。次に紹介するステップで進めていくことで、自社に合ったevpが見出せます。順を追って説明しますので、ぜひ参考にしてください。

自社が求める人材をターゲッティングする

まず、自社がどのような人材を求めているのか、ターゲットを分析します。そのためにはペルソナを設定し、ペルソナに対してどのように自社の価値を見出していくのかを明確にします。 ペルソナを設定するには、自社の経営方針や企業戦略をふまえたうえで、それらにマッチするよう心がけます。

社内アンケートやヒアリングで自社に必要なevpを定義する

従業員のニーズを的確に把握するため、アンケートやヒアリングを行います。経営側の従業員では、異なる意見や考え方もあり、新たな気づきや発見につながるケースが多く見られます。結果をもとに、自社に必要なevpの内容を定義し、策定します。

evp設定をし社内外に周知する

必要なevpが定義できたら、設定に向けて話し合いを行います。このとき、できればさまざまなポジションの従業員から意見を取り入れると効果的です。 設定が完了したら、SNSや自社HP、社内イントラなどを通じて社内外に周知し、理解を求めつつ実行に移していきます。

evpの効果を測定し適宜修正を加える

evpは、一度設定したらそのまま継続するのではなく、世論の反応や時代の流れに合わせて修正していく必要があります。最初から完璧なevpを作るのは困難であるため、効果を測定しながら少しずつ改善を行い、より自社に即したevpを作成するようにしてください。


 

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06まとめ

evpは、仕事に対する従業員のモチベーションを高めるだけでなく、求職者への企業PR、ステークホルダーに対するアピールなど、さまざまな目的を持っています。共通していえるのは、evpの設定がその後の企業成長に大きな影響を与えるという点です。 ここで解説した内容を参考にしていただき、企業をあげたevpへの取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

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  • 登壇者:荒川 陽子 様
    Great Place to Work® Institute Japan 代表

    2003年HRR株式会社(現 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業職として中小~大手企業までを幅広く担当。顧客企業が抱える人・組織課題に対するソリューション提案を担う。2012年から管理職として営業組織をマネジメントしつつ、2015年には同社の組織行動研究所を兼務し、女性活躍推進テーマの研究を行う。2020年より現職。

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