更新日:2025/05/07

内発的動機づけとは|外発的動機づけとの違い・社員のやる気を高める方法を紹介

内発的動機づけとは|外発的動機づけとの違い・社員のやる気を高める方法を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

人材育成において「動機付け」が重要視されています。この動機付けによりモチベーションのアップを高め育成を促進させることを目的として活用されますが、そのうち「内発的動機」の重要性とはどのようなものなのでしょうか。本記事では、内発的動機に関して着目し人材育成に欠かせない理由について解説していきます。

 

01内発的動機づけとは

内発的動機づけとは、物事に対する強い興味や探求心など「人の内面的な要因によって生まれる」動機づけのことです。内発的動機は、仕事に対する興味や関心、そこから生まれるやりがいや達成感などといった自分自身の内からなる動機により行動に結びつきます。結果として、行動をすること自体が目的になるので、高い集中力の発揮、質の高い行動を自ら進んで長期間に渡り続けられるというメリットがあります。内発的動機が生まれる前提条件として「その仕事に対する好奇心や探求心、向上心」が必要となるため、実施方法が明確でなく、短期的には効果が出にくいというデメリットがあります。

内発的動機の構成要素

“内発的動機の構成要素

内発的動機づけは、「自主性」「有能感」「関係性」という3つの骨子で構成されています。まず、自主性は自分の意思で行動できるという感覚で、個人が選択や決定を自ら行えることが重要です。有能感は自分の能力を信じ、挑戦的な課題に取り組む中で成功体験を得ることで高まります。最後に、関係性は他者とのつながりや信頼関係を感じることで、人はサポートされていると実感し、動機づけが強化されます。この3つの要素が揃うことで、人は内発的に動機づけられ、より深く関与し、持続的に取り組むことができるようになります。

内発的動機の具体例

内発的動機の具体例には以下があります。

  • 新しい知識を得ることが楽しく、自己成長のために積極的に本を読む。
  • スポーツにおいて記録を伸ばしたり技術を向上させることにやりがいを感じて練習する
  • スキル向上を目的に、外部の評価ではなく自分のために資格の勉強をする。
  • 音楽やアートなどで、表現すること自体に充実感を感じ、創作する

いずれも外的な報酬を目的とせず、自分の楽しみや成長のために自発的に行動する例といえるでしょう。

 

02内発的動機と外発的動機の違い

“動機づけの種類

動機づけには内発的動機づけと外発的動機づけの2つがあります。

外発的動機づけとは、報酬や評価、罰則や懲罰といった「外部からの働きかけによる動機付け」です。外発的動機づけにおいては、実施方法が「報酬を与える」「罰を与える」などシンプルで分かりやすいため、強い関心や興味がない人のモチベーション向上には有効に働き、短期間で効果が表れやすいです。一方で、外発的動機づけでは「効果が長続きしない」「自主性や創造性を妨げる可能性がある」「仕事そのものの価値や貢献度を高めにくい」などが挙げられます。

そのため、外発的動機は短期的な効果は見込めるが持続性は期待できない。一方で、内発的動機は短期的に変化を促すのは難しいが、持続性があり、効果も外発的に比べて高いという違いがあります。

 

03内発的動機が注目されている理由

内発的動機づけが企業に必要な理由とは、どんな理由なのでしょうか。内発的動機づけを企業が重要視する理由にはいくつかありますが、その主な理由をここではご紹介します。動機付けの必要性として理解していきましょう。

1. パーパス経営への関心

パーパス経営とは、企業が利益追求だけでなく、社会的使命や価値を明確にし、従業員がそのビジョンに共感することでモチベーションを高める経営手法です。内発的動機づけは、従業員が自分の価値観と企業の目的を一致させることで、仕事に対する情熱や意味を感じるため、パーパス経営において重要な要素とされています。

2. 働き方の多様性や流動化

働き方が多様化し、フリーランスやリモートワークが広がる中で、従業員は自分に合った働き方を選べるようになっています。そのため、報酬や昇進だけでなく、内発的動機づけが従業員のモチベーションを維持する重要な要素となります。内発的動機づけにより、自分にとって意味のある仕事を選ぶことが可能となり、企業にとっても有能な人材を長期的に維持するために有効です。

3. 従業員エンゲージメント向上による企業成長

内発的動機づけは、従業員のエンゲージメント(仕事への情熱や満足度)を高めることができ、エンゲージメントが向上すると、従業員は自分から積極的に貢献しようとします。この積極的な姿勢が企業全体の成長を促進し、結果として企業の競争力を高めることに繋がります。従業員が会社の目標に共感し、自発的に働く環境が企業の長期的な成功を支えるのです。

4. 生産性と創造性の向上

内発的動機づけは、従業員が自分の成長や達成感を重視して行動するため、仕事への没頭度が高まり、生産性が向上します。また、自らの興味や情熱に基づいて働くことで、創造的な解決策やアイデアが生まれやすくなり、イノベーションを推進することができます。このように、内発的動機づけは企業の生産性や創造性を引き出す原動力となります。

 

04内発的動機のメリット・デメリット

内発的動機は人の内面的な要因によって生まれるので、高い集中力の発揮、質の高い行動を自ら進んで長期間に渡り続けられるというメリットがあります。その一方で実施方法が明確でなく、短期的には効果が出にくいというデメリットがあります。ここでは内発的動機における具体的なメリット・デメリットを紹介します。

内発的動機のメリット

内発的動機のメリットには以下があります。

  • ・持続性が高い
  • ・創造性向上
  • ・満足感の向上

持続性が高い

内発的動機は、個人の興味や価値観に基づいて行動するため、外部からの報酬や強制に頼らずにモチベーションを維持しやすい点が特徴です。この持続性は、困難な課題に直面しても継続的に取り組む姿勢を支える重要な要因となります。例えば、自己成長や新しいスキルの習得を目指す際に、内発的動機はやる気を高め、結果として目標達成への意欲を高めます。

創造性向上

内発的動機は、自分が興味を持つ分野や好きな活動に取り組む際に発揮され、創造性を高める効果があります。自由な発想を促し、柔軟な思考や新しいアイデアが生まれやすくなるため、課題解決やイノベーションの推進に貢献します。

満足感の向上

内発的動機で行動する場合、行動そのものが楽しい、やりがいがあると感じられます。その結果、達成した際には、外的報酬に依存しない深い満足感や自己効力感を得られます。この満足感は、次の挑戦への意欲を生むだけでなく、日々の仕事や学びにおいて幸福感を高める重要な要素です。

内発的動機のデメリット

内発的動機のデメリットには以下があります。

  • ・外部の影響を受けにくい
  • ・興味の偏りがある
  • ・即効性が低い

外部の影響を受けにくい

内発的動機は個人の内面に基づくため、外部からのフィードバックや影響を受けにくいです。このため、チームや組織の方針と個人の動機が一致しない場合、協調性や柔軟性の面で組織に影響を及ぼす可能性があります。また、内発的動機だけでは組織の目標達成への寄与しにくいという側面もあります。

興味の偏りがある

内発的動機は、個人の興味や好奇心に大きく依存するため、特定の分野に偏りが生じることがあります。これによって、業務全体や組織として必要なスキルや知識が不足する可能性があります。その結果、バランスの取れた能力開発や業務配分が難しくなる場合があるので対策が必要です。

即効性が低い

内発的動機は長期的な効果を持つ一方で、即効性に欠ける場合があります。個人が内発的に動機付けされるまでに時間がかかるため、緊急性が求められる課題や短期間での成果を期待される状況では不利になることがあります。この点で、外発的動機と比べてスピード感に欠ける場合があるといえるでしょう。

 

05内発的動機を高める7つの方法

内発的動機を高める方法には以下の7つがあります。

  • 自己分析の機会を設ける
  • 意思決定の機会を与える
  • 目標設定に対する理解度の向上
  • 個人の適性に応じた業務配分を行う
  • アンダーマイニング効果を避ける
  • 主体的なキャリア形成の支援をする
  • 管理職のマネジメント能力向上

それぞれの方法を解説します。

自己分析の機会を設ける

内発的動機づけを促すには、自分自身の興味・関心や価値観を自己認識する必要があります。そのため、1on1やキャリア面談を通じて、自分がどんなことに興味があるのか、どんな仕事を面白いと感じるのかなどを読み解くための自己分析の機会を設けるといいでしょう。また、自分の特性に気づいていない社員も多く存在します。「特技がない」と答える日本人は多く、これは他者と比較してしまうことに起因しているようです。このような場合は現場の管理職が「君のこういうところが良いよね」・「他部署の人がこういうところを褒めていたよ」などと、周りから気づきを与えてあげることも効果的です。

意思決定の機会を与える

意思決定の機会を与えることは、内発的動機に繋がりやすいと言われています。意思決定には多少のストレスがかかります。これは多くの意思決定をしている管理職であれば体感していることかもしれません。ストレスがかかる一方で、自分で意思決定をしているという実感は、内発的動機に繋がりやすいのも事実です。自分の意見を承認してくれているという一種の承認欲求も満たされているのかもしれません。そのため、一定の裁量を与えたり、フィードバックの際も答えを教えるのではなく「どうしたら良かったと思う?」と自分の言葉で語らせたりすると効果的です。

目標設定に対する理解度の向上

面談の場などを通して、期待していることや良い点、伸ばして欲しい点などを伝えることで評価されていること、期待されていることへの興味関心がわき、内発的動機に繋がります。面談の場での伝え方などは、人事部門から面接者への指導を行い適切な対応を取れる様にする必要があります。

個人の適性に応じた業務配分を行う

得意、不得意、適性を把握し、やりがいを感じやすい業務を担当させることも内発的動機に繋がりやすい方法です。得意としていることは、言い換えると好きなこと、関心があることです。それを活かした業務配分を行うことでストレスを軽減しながらも、パフォーマンスの発揮に期待が持てます。得意なことと適性が異なる場合もあります。その様な場合には、適性を活かし業務配分を行います。ただし、配分に関して適性を勘案したなどの説明を行い納得できるサポートが必要です。

アンダーマイニング効果を避ける

アンダーマイニング効果とは、内的な達成感や満足感などを得るために自ら行っていたことが、お金など他人から報酬を受けることで、目的にすり代わり、本来の内的な動機が失われることです。その他にも 外的動機づけの評価に繋がらないとやる気を削がれるなどを避ける必要もあります。これだけやっているのだから、昇給するだろうなどと考えていた結果、そうなった場合にはモチベーションは下がってしまいます。そうならないためには、努力はしているが不足している部分が何かを指導し、より一層頑張っていけるフォローを行う必要があります。普段から高い評価をし続けることも内発的動機を下げる要因になります。評価されることが当たり前となり、評価されないことに不満をもつ認識となればそれは外発的要因となります。

▼アンダーマイニング効果について詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】アンダーマイニング効果とは?内発的動機つけで社員のやる気をアップさせる方法を解説

主体的なキャリア形成の支援をする

社員に対してキャリア研修を実施したり、キャリアの棚卸しを手伝うなどをして、社員それぞれのキャリアデザインを描いてもらうよう支援することで、内発的動機づけを高めることができます。個々の強みや興味を自己分析することで自己理解が深まり、仕事に対するやりがいを感じることができます。

管理職のマネジメント能力向上

管理職による業務アサインや目標設定、権限委譲やフィードバックによって、メンバーの内発的動機を引き出すことができます。また、従業員の自主性を尊重し、彼らが自分の仕事に意味を見いだせるような環境を作ることが重要です。そのためにはコーチングスキルや目標設定方法についても正しい方法を理解し実践することが重要になります。

 

06内発的動機付けの促進に活用できるSchoo for Business

Schoo for Business

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。管理職が部下の内発的動機を高めるために必要なコーチングスキルやマネジメントスキルを学べる授業も多数ご用意しています。

また、アーカイブされた動画を視聴する研修方式なので、忙しい管理職の方でも自身の好きな時間や場所で研修を受講できます。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 9,000本
※2023年3月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,650円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております

Schoo for Businessの資料をダウンロードする

管理職研修のプログラム例

Schoo for Businessは上述の通り、9,000本のアーカイブ動画の中から育成項目に応じて研修内容を作成することができます。この章では、管理職研修のプログラム例を紹介します。

急成長を導く『マネージャーの型』

急成長を導く『マネージャーの型』

  • 株式会社EVeM 代表取締役CEO

    リクルート、DeNA、ハウテレビジョンを経てベンチャーマネージャー育成トレーニングを行うEVeM設立。DeNAでは広告事業部長、株式会社AMoAd取締役、株式会社ぺロリ社長室長兼人事部長などを担当。2020年株式会社EVeMを設立。マネジメントナレッジの展開やマネジメントプログラムの提供を通じてベンチャー企業を中心とした組織能力の向上を支援している。
授業名 急成長を導く『マネージャーの型』
時間 1時間
学べること
  • ・マネジメントの型とは
  • ・関与の型
  • ・進捗の可視化/共有/報告
  • ・相互理解の型
  • ・部下育成の型
 

組織を育てるリーダーのコーチング思考と対話法

組織を育てるリーダーのコーチング思考と対話法

授業名 組織を育てるリーダーの コーチング思考と対話法
時間 180分(60分×3コマ)
学べること
  • ・職場でコーチングを活用するメリット
  • ・コーチングを効果的に活用するためのポイント
  • ・コーチングの考え方で実践する「聴き方」の具体例
  • ・行動促進のスキル
 

ハラスメントの対処法-管理職向け-

ハラスメントの対処法-管理職向け-

授業名 ハラスメントの対処法-管理職向け-
時間 100分(25分×2コマ,30分×1コマ,20分×1コマ)
学べること
  • ・職場トラブルの相談件数の推移と「いじめ・嫌がらせ」が増えた背景
  • ・管理職とハラスメント
  • ・相談された場合の初期対応 3つのポイント
  • ・自分が当事者だと言われた場合の初期対応のポイント
  • ・ハラスメントが起きやすい職場の特徴
  • ・ハラスメントが起きない職場づくりのポイント
 

Schoo for Businessの資料をダウンロードする

 

07まとめ

本記事では、内発的動機をテーマに動機付けや企業メリットなどを解説しています。自らの内からでてくる内発的動機は長期的に良好な影響を与え、かつ、企業にとっても大きなメリットを産む動機付けです。動機付けを行う際には慎重な対応が必要ですが、従業員の成長のために人事部門が主体となり内的動機付けの実施を行っていきましょう。

【無料】自律型組織の作り方〜人的資本時代のリーダーシップと人材育成〜|ウェビナー見逃し配信中

自律型組織の作り方〜人的資本時代のリーダーシップと人材育成〜
 

自律性を持った人材を育てる「自律型組織」についてのウェビナーアーカイブです。トップダウンの統率による組織に限界を感じ、ボトムアップで社員が自律的に動けるよう組織開発を行う企業が増えています。Zホールディングスにて次世代リーダー開発を担う伊藤羊一氏をお招きし、現代に適応した自律型の組織の作り方についてお話いただきます。

  • 登壇者:伊藤 羊一 様
    Zアカデミア学長 / 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長 / Voicyパーソナリティ

    日本興業銀行、プラスを経て2015年よりヤフー。現在Zアカデミア学長としてZホールディングス全体の次世代リーダー開発を行う。またウェイウェイ代表、グロービス経営大学院客員教授としてもリーダー開発に注力する。2021年4月に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)の学部長に就任。代表作に56万部超ベストセラー「1分で話せ」。ほか、「1行書くだけ日記」「FREE, FLAT, FUN」など。

アーカイブを無料視聴する

  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE
この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
執筆した記事一覧へ

20万人のビジネスマンに支持された楽しく学べるeラーニングSchoo(スクー)
資料では管理機能や動画コンテンツ一覧、導入事例、ご利用料金などをご紹介しております。
デモアカウントの発行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

お電話でもお気軽にお問い合わせください受付時間:平日10:00〜19:00

03-6416-1614

03-6416-1614

法人向けサービストップ