公開日:2021/09/09
更新日:2022/06/10

リバースメンタリングとは?導入するメリットや企業事例を紹介

リバースメンタリングとは?導入するメリットや企業事例を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

リバースメンタリングは、若手の育成や良質な人間関係づくりに寄与する点が評価されて、昨今では注目を集めている考え方です。本記事では、リバースメンタリングの基本的な考え方を確認するとともに、導入のメリットや企業事例を紹介していきます。

 

01リバースメンタリングとは

リバースメンタリングとは、若手社員がメンターとなって、メンティーである上司や先輩社員に助言や指導を行う人事育成方法です。メンターとは助言と相談を行う役割のことで、メンティーは反対にメンターの助言を受ける役割を意味します。

メンタリングとの違い

メンタリングは、知識と経験が豊富な上司や先輩社員がメンターとなって、メンティーである若手社員に助言や指導を行う、伝統的で一般的な人事育成方法です。リバースメンタリングにおいては、メンターとメンティーの位置づけがメンタリングとリバース(逆)の関係にあることこそが、「リバース」メンタリングと呼ばれる所以です。 また、メンタリングの実施目的は、シニアの知識や経験の若手社員への共有であるのに対して、リバースメンタリングでは若手社員の潜在的な能力が企業に革新と推進力を与える可能性に期待が寄せられます。 このように、リバースメンタリングとメンタリングには、メンターとメンティーの位置づけと実施目的という、2つの違いがあるものとなります。

リバースメンタリングの歴史

リバースメンタリングを最初に考案して自社に導入したのが、ゼネラル・エレクトリックの元CEOであるジャック・ウェルチ氏です。彼はCEO時代、「若手社員をメンターに任命して、最先端のICTの動向や使い方を学ぶように」とトップクラスのマネージャーたちに指令を出しました。このリバースメンタリングの導入のおかげで、ウェルチ氏自身も、当時はまだ普及していなかったインターネットを学べたといいます。 その後は、ICTの知識の学習という目的で、多くの企業がゼネラル・エレクトリックに追随するかたちで、リバースメンタリングを導入しました。ICTが国際的に普及した最近では、ダイバーシティやバイオエネルギー、インクルージョンに関する知識を全社的に共有する目的のもと、リバースメンタリングが導入されるようになっています。

 

02リバースメンタリングを導入するメリットとは

リバースメンタリングを導入することで、上司が若手社員から知識を学べるばかりでなく、若手社員自身の成長や、上司と部下の良好な関係構築が実現されます。ここではリバースメンタリングを取り入れると、どのようなメリットがもたらされるのかをみていきます。

上司が最先端の知識を学ぶことで視野が広がる

新しいことに対する好奇心や吸収力が高い若手社員は、DXやICTに関する知識を理解することに長けています。このような最先端の知識を上司に共有することで、上司の知見と視野の広がりが期待されます。また、若手社員が持っている多様な価値観や考え方を上司が学ぶことで、働き方改革や福利厚生制度のアイデアにつなげられる可能性もあるのです。

若手社員と上司のコミュニケーションが活発になる

通常のメンタリングであれば直にコミュニケーションを取ることがなくても、リバースメンタリングでは若手社員と上司とのコミュニケーションが活発になる効果が生まれます。その結果、上司と若手社員が気兼ねなく意見を交わし合える環境に変化し、縦方向の力関係が緩和された平等な社風が創出される可能性大です。

管理者のマネジメントスキルが向上する

若手社員と上司のコミュニケーションが活発になることで、上司は若手社員が抱える不安や要望、価値観を理解する機会が増えます。若手社員の内情を知ることで、部下をマネジメントする際にどのような点に気を遣うべきか、またどのようなマネジメントを部下が希望しているのか、理解できるようになるかもしれません。リバースメンタリングを通して、管理者のマネジメントにおける視点が間接的に広がるとともに、マネジメントスキルも向上するといえます。

若手社員のエンゲージメントが高まる

リバースメンタリングにおいては、若手社員がメンターとして上司や先輩社員に対し、自分が有している知識や考え方を伝えます。若手社員が自分の知識が役立っていると実感すると仕事に対してやりがいや達成感を抱き、エンゲージメントの高まりにつながる可能性があります。若手社員のエンゲージメントが高まれば、仕事のモチベーションアップにつながって、生産性の向上や離職率の低下など、副次的効果も期待できるのです。

 

03リバースメンタリング実施時の留意点とは

リバースメンタリングを効果的に実施するために、注意すべきポイントがいくつかあります。リバースメンタリングの計画段階でこれらの留意点に配慮しつつ、リバースメンタリング運用中に留意点が遵守されているかどうかをモニタリングするようにしてください。

リバースメンタリングの実施目的を明確に示す

リバースメンタリングには、いくつかのメリットがあります。自社で導入するリバースメンタリングにおいては、どの目的を重視するのか、明確に示すことが重要です。また、目的が明確になれば、達成基準や導入効果も測定しやすくなります。 リバースメンタリングの効果を高めるためにも、あらかじめ目的を明確に決めておいて、メンターとメンティーにしっかり共有し、理解してもらうように心がけてください。

メンター・メンティーが価値観の違いを尊重し合う

メンターとメンティーは、お互いの年の差がかなり離れている場合が珍しくありません。年の差がある分、世代の違いによる価値観や考え方の違いの発生が懸念されます。リバースメンタリングにおいては、このような価値観の違いを学ぶことも目的であるため、メンターとメンティーが相互に価値観の違いを尊重し合うことが重要です。自分には考えられないような考え方や価値観であったとしても、一度そのまま受け止めて、尊重するようにしてください。

メンターとしての貢献度を人事評価に反映させる

メンターは、通常の業務に加えてメンターの業務を行うケースがほとんどです。メンターとしての業務が人事評価に反映されなければ、メンター本人にとってはメンターの仕事はただの重荷となってしまうかもしれません。したがって、リバースメンタリングを実施するうえでは、人事評価にメンターとしての貢献度や成果を反映するようにしてください。

 

04リバースメンタリングの導入事例とは

リバースメンタリングは現時点ではあまり浸透していませんが、既に導入事例がいくつかあり、それぞれの企業で重視する目的や効果は異なるものです。ここでは、リバースメンタリングの導入事例について、各企業の実施内容や狙いを紹介します。

P&G

日本におけるリバースメンタリングの最初の事例は、2004年のP&G日本本社の取り組みです。この取り組みは、P&G日本本社に在籍する外国人社員がメンターとなり、米本社の役員に対して、子育てと仕事を両立する社員の声を伝えるというものです。メンティーである役員には仕事を優先した理由で子どもがおらず、労働環境や人事福利厚生制度を考えるうえで参考にするために、リバースメンタリングを活用しました。 その後も同社では、若手の女性社員が上司に助言を行うかたちで、リバースメンタリングを継続的に実施しています。仕事と家事の両立、育児の悩みについて情報共有を行うことで、上司は部下の悩みや問題を理解しやすくなり、マネジメントに活用できる狙いがあるようです。
参考:「リバースメンタリング|富士通総研」

資生堂

資生堂は、「最新のICTに関して上層部の理解が進まない」「事業部間の交流が少なく縦割り組織になっている」という問題を解決すべく、2017年にリバースメンタリングを導入しました。この取り組みは、「若手社員が自分とは異なる事業領域の役員のメンターとなり、マンツーマンでITツールの知識や使い方を教える」ものです。 このリバースメンタリングを実施したおかげで、役員のICTに関する知識が向上しました。さらに、役員が統括する事業におけるICTの活用方法を提案する役割を若手社員が担っているため、事業戦略に大きく反映できたと高く評価されています。
参考:「若手社員が役員にIT指南! リバースメンター制度が資生堂にもたらした変化とは?|TECH+」

住友化学

住友化学は、2020年から試行的にリバースメンタリングを実施しています。メンティーとなる経営幹部にとっては知識のリニューアルや視野の広がり、メンターである若手社員にとってはロイヤリティやモチベーションの向上というメリットを狙っての導入です。 同社のリバースメンタリングにおいては、最新のIT知識や最近の若手の職業観がメンタリングの対象となっています。また、3か月程度の期間ごとにメンターとメンティーの組み合わせをチェンジする工夫がなされていて、マンネリ化対策を取っているのです。
参考:「若手社員が経営幹部に“逆指導”? 若手から学ぶ研修制度導入の狙いを住友化学に聞いた|FNNプライムオンライン」


 

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05まとめ

リバースメンタリングは、社員の知識やモチベーションを向上するだけでなく、若手の知識や最新の価値観を事業戦略に活用できる可能性があります。また、リバースメンタリングを通して縦方向の序列が弱まり、風通しの良い社風が生まれれば、社内の意見交換のさらなる活性化を期待できるでしょう。 人事育成方法の一環として、また企業戦略の一環として、リバースメンタリングを自社に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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