公開日:2021/09/10
更新日:2023/12/06

ラテラルシンキングとは|鍛え方やおすすめの研修について紹介

ラテラルシンキングとは|鍛え方やおすすめの研修について紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ラテラルシンキングとは、既存の常識にとらわれない自由な発想法として注目を集めています。先を見通すことが難しい現代において、環境変化に柔軟に対応する革新的なアイデアを生み出す思考法として、必要性を感じている企業は多いようです。当記事ではラテラルシンキングの概要と鍛える方法について紹介します。

 

01ラテラルシンキングとは

ラテラルシンキングとは、思考の制約となる既成概念や固定観念を取り払い、水平方向に発想を広げる思考法です。

近年のビジネスを取り巻く環境は変化が激しく、先を見通すことが困難になっています。このような社会背景の中で、企業は固定観念や既成概念に囚われずに、イノベーションを創出する必要性があり、ラテラルシンキングはそのための思考法として注目が高まっているのです。

ラテラルシンキングはマルタ共和国の医師、エドワード・デボノ氏により提唱されました。従来の論理的思考や分析的思考を「垂直思考」として、これに対して、多角的な視点から物事を検証し、既存の概念にとらわれない発想を「水平思考(ラテラルシンキング)」と位置づけたのです。

 

023つの思考法の違いと活用法

ラテラルシンキングと同様に、ビジネスにおいて必須となる思考法にロジカルシンキングとクリティカルシンキングがあります。この3つの思考法は互いに相反するものではなく相互補完の関係にあります。

ロジカルシンキングにおける前提を、クリティカルシンキングにより批判的に検証したり、ラテラルシンキングにおける自由な発想を、実現可能であるかロジカルシンキングにより論理的に検証したりということもできます。一つの思考法にこだわるのではなく、必要に応じ使い分けることで相互に補い合う関係にあるといえます。

ロジカルシンキングとラテラルシンキングの違い

ロジカルシンキングは複数の論理をつなぎ、推論を重ねることで一つの結論を導き出す、または、多くの事実の考察から類似点を見つけ結論を導き出す思考法です。 ロジカルシンキングにおいては多くの場合、導く結論は一つです。その結論に納得性をもたせるために、既成の概念に沿った論理を構築するための思考法であるということもできるでしょう。ロジカルシンキングとラテラルシンキング、どちらも課題解決に役立つフレームワークですが、ラテラルシンキングは、ロジカルシンキングをする上で必要な「前提」の幅を広げることができます。

クリティカルシンキングとラテラルシンキングの違い

クリティカルシンキングは「批判的思考」とも呼ばれます。物事の前提や常識に対しまず疑問をもつという思考法です。前例や踏襲に対し「本当にこれでいいのか」と考え、価値観の偏りを排除し、発想を自由にしていく手法です。ラテラルシンキングの基本的な考え方の1つとして、「前提を疑う」というものがありますが、クリティカルシンキングを活用すれば、「前提を疑う」ことの精度が増し、より高度な思考ができるようになります。

 

03ラテラルシンキングのメリット

ラテラルシンキングは、既成概念にとらわれず自由な発想をするために使われます。具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 1:問題解決策の多様化
  • 2:コミュニケーションの改善
  • 3:抽象的な問題の解決
  • 4:結論発見の早期化

ロジカルシンキングがドリルのように課題を要素分解していくものとするなら、ラテラルシンキングは課題の捉え方を多角的にする思考法です。そのため、問題解決の糸口を広げたり、抽象的な問題の解決に寄与することがあります。

1:問題解決策の多様化

ラテラルシンキングは、問題を異なる角度から見ることができます。そのため、より多様な解決策を見出すことができ、アイデアの組み合わせや融合によって、従来の思考では見過ごしていた解決策を見つけることもできます。また、導き出される結論は一つとは限らず、まったく異なる角度からの結論が、複数導き出されることもあります。 閉塞感がある現状を打破したり、画期的な新商品や新サービスのアイデアを生み出したりする可能性が高い思考法であるといえます。

2:コミュニケーションの改善

ラテラルシンキングを活用し、多様なアイデアを出し合うことで、組織におけるコミュニケーションを改善することができます。各人が自由に発想をすることで、新しいアイデアや視点を共有し、より創造的な解決策を見出すことができるのです。

3:抽象的な問題の解決

ラテラルシンキングは、抽象的で複雑な問題に対しても効果的です。ラテラルシンキングを活用することで、問題を小さな部分に分割し、それらを組み合わせて総合的な解決策を見出すことができます。

4:結論発見の早期化

論理を積み上げるロジカルシンキングとは違い、従来の思考にとらわれずに多様なアイデアを出し合って、論理を飛躍させる思考法であるため、結論を導くまでの時間が短縮されるといった特徴もあります。しかし、結論を早く導き出すことを目的としてラテラルシンキングを行うわけではなく、創造性や問題解決の多様性を重視するアプローチであることには注意が必要です。

 

04ラテラルシンキングの使い方・手順

ラテラルシンキングは「飛躍的な発想」という点が強調されるため、「天才的なひらめき」が不可欠であるかのような印象をもつ人もいるかもしれません。ラテラルシンキングは、以下のステップに挙げたような思考を訓練すれば、誰にでも習慣化できるものです。

1:不満に気づく

最初のステップは現状の不満に気がつくことです。なんとなく過ごしている日常において不便さを感じていることなど、些細なもので構いません。まず現状の不満に気がつくことから、それを解決しようという思考が生まれます。

2:なぜを追求する

次のステップでは、気がついた不満が「なぜ」生じているのかと問いかけます。その際は、既成概念や常識の枠を取り払い思考を巡らせることが、飛躍した思考につながり複数のアイデアが生まれる下地となります。

3:ならばと考える

「なぜ」と問いかけることで不満の原因に対し、いくつかの仮説が立てられます。次のステップではその原因に対し「ならば」どのような状態になれば理想なのかを考えます。 この際も理想とする状態は一つでなくても構いません。複数の理想の状態を考えることで画期的なアイデアが生まれることもあります。

4:どうやって解決するか

次のステップでは「どうやって」と解決策を考えます。不満が解消した状態を理想として、現状を理想に近づけるために、「何をどのようにすれば良いのか」解決策を出していきます。このステップにおいても発想を広げて、複数の解決策を考えていきます。

5:さらに不満はないか?

1〜4までがラテラルシンキングの手順です。業務だけでなく日常生活においても、このステップを意識した思考を繰り返すことで、ラテラルシンキングは身につきます。 しかし、ラテラルシンキングはここで終わりではありません。不満が解決した理想の状態に対し、さらに不満がないかをもう一度考え、ステップ1〜ステップ4の過程をループさせるのです。そうすることでラテラルシンキングはさらに強化され習慣化されるでしょう。

 

05ラテラルシンキングの鍛え方

ラテラルシンキングは固定観念や常識から離れ、自由な発想でアイデアを創造する思考法です。企業にとっては、将来を担う若手人材に身につけてほしい思考法ではないでしょうか。 企業が継続的に発展するためには、若手人材による画期的なアイデアが必要になる局面が訪れることもあるでしょう。若手人材の思考力を鍛える取り組みは、早急に手をつけるべき教育課題であるといえます。

研修で学ぶ

若手人材の「考える力」を鍛えるためには研修を実施して、ラテラルシンキングをはじめ、あらゆる思考法について、知識として知ってもらうことから始めると良いでしょう。さまざまな思考法の特徴や違いを知識として習得し、演習を通じてあらゆる発想法を体験してもらいます。 ラテラルシンキングについては、まず知識として学び、演習を通じて体験することで興味をもってもらうことから始めます。

発想法を習得する

常識にとらわれない柔軟な思考回路を養う発想法があります。こうしたことも知識として研修で学び、業務や日常生活で訓練することがラテラルシンキングを鍛えることにつながります。 ・ランダム発想法 物事を一定の基準で選んだり考えたりせず、無作為に選ぶまたは考えることで思考の幅を広げていく方法 ・刺激的発想法 物事に対して、常識では考えられないような人が驚くような発想をすることで、思考を広げていく方法 ・挑戦的発想法 あらゆる物事に対して、ひたすら「なぜ」という問いかけを繰り返し、疑問を根本から考えることで問題解決のアイデアを生み出す方法 こうした発想法を意識し実践する習慣をつけてもらい、発想力を鍛えていきます。

多様な情報を収集する

ラテラルシンキングを行うためには、多様な情報を収集することが重要です。例えば、インターネットや書籍、雑誌、映画などから様々な情報を収集し、自分の知識や視野を広げることが大切です。また、自分の興味のある分野以外の情報も積極的に取り入れるようにしましょう。

自分の思考パターンを意識する

ラテラルシンキングを鍛えるためには、自分の思考パターンを意識することが大切です。従来の思考パターンにとらわれず、新しいアイデアや視点を見つけるためには、自分の思考パターンを変えてみることが必要です。まずは、自分が普段どのような思考パターンを使っているかを把握していきましょう。自分の思考パターンを把握することで、自分がどのような思考をしているかを客観的に見ることができます。その上で、逆説的な思考をし、自分が普段使っていない思考法を取り入れてみたり、アウトプットを増やして、自分の思考プロセスを客観的に見ることがおすすめですよ。


 

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06ラテラルシンキングの例題

この章では、ラテラルシンキングを練習するための例題を紹介します。

ただし、ラテラルシンキングには1つの正解があるわけではないので、頭の体操として活用ください。

例題1:13個のオレンジ

例題:13個のオレンジを3人で等しく分ける方法を考えてください

単純な割り算では割り切ることができないことは、すぐにわかるでしょう。この例題はいかにラテラルシンキングを用いて、柔軟に方法を思考できるかを問われる問題です。

例えば、「ジュースにして3等分にする」という方法であったり、「まず4つずつ分けた上で、余った1つを3等分する」という方法もあります。このように発想を飛躍させてみる訓練に効果的な例題です。

例題2:紙コップの売上

例題:紙コップの売上を伸ばす方法を考えてください

この例題のポイントは、紙コップという状態から発想を飛躍させられるかです。例えば、利用後や製造過程を考えていくと、さまざまな回答が見つかります。

また、市場の発想を変えるというのもポイントです。どうしても想像しやすい日本における、自分自身の周りで紙コップを使う場面を考えてしまいますが、例えば海外であったらどうか、お年寄りや子供で利用できる場面はないかなどを考えるのもラテラルシンキングを鍛える訓練になります。

ウミガメのスープ

例題:「ある男がとある海の見えるレストランで『ウミガメのスープ』を注文。スープを一口飲んだ男は、それが本物の『ウミガメのスープ』であることを確認し、勘定を済ませて帰宅した後、自殺しました。一体なぜ?」

この例題は前提となる条件がないため、ロジカルシンキングで結論を導き出すことはできません。そのため、結論を導き出すためには創造性が必要とされます。ぜひ一度、自身で解答を考えてみてください。

 

07ラテラルシンキング研修|Schoo for Business

Schoo for Business

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約8,000本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。ラテラルシンキング研修はもちろんのこと、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングなどの思考法からアイデアの創出方法まで幅広いコンテンツで全ての研修を支援できるのが強みです。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 8,000本
※2023年5月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,500円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております
 

Schooはeラーニングによる研修受講となるので、社員1人ひとりが好きな時間や場所、タイミングで研修を受講することができるます。そのため、研修受講に時間を割くことが難しい社員が多かったり、リモートワークを導入している企業や多拠点展開している企業におすすめです。

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大企業から中小企業まで3,500社以上が導入

Schoo導入企業ロゴ

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで3,500社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。

導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。

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ラテラルシンキング研修のカリキュラム例

この章では、Schooが保有する8,000の授業の中から、ラテラルシンキング研修におすすめの授業を3つ紹介します。

ラテラルシンキング入門

ラテラルシンキング入門

第1回 ラテラルシンキングでアイデアを生み出す(前編)
時間 60分
研修内容
  • ・3つの思考法と使い方
  • ・類推法を実践する
  • ・ラテラルシンキングのフレームワーク
  • ・シネクティクス法を使う
第2回 ラテラルシンキングでアイデアを生み出す(後編)
時間 60分
研修内容
  • ・仮説法を実践する
  • ・SCAMPERを使う
  • ・まとめ
 

このコースでは、これからラテラルシンキングを取り入れようと思っている人を対象に、どんな考え方をすればよいか、そのプロセスやフレームワークを学ぶことができます。

  • 外資系コンサルタント

    外資系コンサルティングファーム勤務。専門領域における日本支社の実務責任者を務め、IT部門に対するコンサルティングを手がける。「クラウド」×「インフラ」×「サービス管理」を専門分野とし、ファシリテーションやコーチングにも造詣が深い。著書に『図解作成の基本』・『資料作成の基本』・『フレームワーク使いこなしブック』・『外資系コンサルのビジネス文書作成術』・『外資系コンサルの仕事を片づける技術』などがある。

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09まとめ

ラテラルシンキングは先行きが不透明な現代ビジネスにおいて、企業が安定し継続して発展するために必要になるスキルであるといえます。次世代を担う若手人材には、積極的に習得して鍛えてもらう必要があります。緊急性を感じている企業はまだ少数かもしれませんが、早急に取り組みを始めるべき教育課題ではないでしょうか。 また、企業は若手人材の柔軟な発想の芽を摘むことなく、自由に発言できる環境を整えておくべきでしょう。自社の取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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