課題発見力とは?課題発見力を高める教育について解説
課題発見力とは、「現状に満足せず、今よりもっと良くできないか」と課題を見つけ出す能力とされ、多くの有能なビジネスマンがもつスキルといわれています。当記事では課題発見力が求められる背景と、高めるために必要な教育について、さらに課題発見力が活かされる組織風土について解説します。
- 01.課題発見力とは
- 02.課題発見力が求められる背景
- 03.課題発見力がある人の特徴
- 04.課題発見力を高めるための考え方
- 05.課題発見力を高めるために身に着けたいスキル
- 06.課題発見力を最大限に活かし企業が発展するには
- 07.課題発見力を研修で習得|Schoo for Business
- 08.まとめ
01課題発見力とは
課題発見力は「現状を分析し目的や課題を明らかにする力」と定義されます。これをビジネスや仕事に置き換えると、日常の業務が滞りない状態であっても「現状よりさらに改善できることはないか」と新たな課題を見つけ出す力が課題発見力であるといえます。 例えば、「月間のノルマは問題なくクリアする実績を上げているが、この実績を今より1.5倍に延ばす方法はないか」と思考するようなことです。
課題解決力との違い
よく似た言葉に「課題解決力」というものがあります。課題解決力は要求される水準に満たない現状の「ギャップ=課題」を解消しようと働きかける力です。 これに対し課題発見力は、要求される水準を十分に満たしているが、「この現状をさらに良くすることはできないか」と新たに課題を探し設定する能力のことです。
平常時にこそ課題発見力が必要
滞りなく日常業務が回っている平常時においてこそ、課題発見力が発揮されるべきです。大きなトラブルに発展する前に、見落としている課題が放置されていないか気づく必要があります。 また企業が継続的に発展していくには、現状に満足せず「未来に向けた次の一手」を考え、実践しなくてはなりません。発展のための課題を抽出し施策を存分に実施できるのも平常時であるといえます。
02課題発見力が求められる背景
次に課題発見力が求められる背景について見ていきます。変化が激しく人々の価値観やニーズが多様化した現代において、従来の画一的な製品やサービスでは顧客満足を獲得できない状況があります。 このような環境において企業が継続的に発展していくためには、課題発見力を従業員一人ひとりがもつ必要があります。現状に満足せず「より良い未来に向けて何をすべきか」という問いかけを常に忘れないことです。
変化が激しいビジネス環境
変化が激しいビジネス環境において、昨日まで「正解」とされていたものが、今日も「正解」であるとは限りません。価値観の多様化により、人それぞれが自分なりの「正解」をもっているのが現代社会であるといえます。 こうした不確実な要素が多い現代において、企業が継続して発展していくには、一つの「正解」ではなく、多くの人に受け入れられる「最適解」が求められます。その「最適解」を求めるスキルが課題発見力であるといえます。
価値観の多様化で見えない課題が増えている
価値観が多様化し見えない課題が増えている現代において、企業は従来の考え方に固執せず柔軟な発想で未来を考える必要があります。これまでの前提を疑い、仮説を立て未来に発生するであろう課題を検証するのです。不確実な未来において企業が発展していくために課題発見力は不可欠であるといえます。
イノベーションが求められる
企業が世の中に価値を認められるためには、これまでに存在していないサービスや製品を世の中に提供し、社会に変革をもたらすイノベーションが求められます。イノベーションを起こすために必要な力が課題発見力であるといえます。 現状に満足せず、もっと良くしたいという思考や行動が新たな課題を設定し、イノベーションを起こすのではないでしょうか。
人生100年時代の社会人基礎力の一つになっている
政府も必要な社会人基礎力に課題発見力を挙げています。経済産業省が平成30年に公表した「人生100年時代の社会人基礎力について」という資料を公表しました。資料の中では、今後はこれまで以上に社会・企業・組織との関わりが長期化することから、各ライフステージで活躍し続ける能力の一つとして、課題発見力を挙げています。このことから課題発見力は、企業成長に貢献する側面だけでなく、個人が長く活躍するために必要な能力であると考えられます。
▶︎参考:社会人基礎力|経済産業省
03課題発見力がある人の特徴
課題解決力がある人には以下のような特徴が見られます。
- 1.相手と信頼関係を築くことができる
- 2.深いレベルで相手を理解できるようになる
- 3.周囲の人との人間関係が良くなる
- 4.会話を通して自分自身を客観的に理解できる
ここでは、上記についてさらに詳しく解説していきます。
好奇心が強い
課題発見力がある人は、好奇心旺盛であり、未知の事柄や新しい情報に対して常に興味を持っています。彼らは新しい分野やトピックにも積極的に触れ、それに対して深く掘り下げようとします。好奇心があることで、自分の枠にとらわれず、広い視点で物事を捉え、隠れた課題や問題点に気付くことができるのです。
物事に疑問を抱くことができる
物事をそのまま受け入れるのではなく、常に疑問を持つことも特徴です。「なぜそうなのか」「他の選択肢はあるのか」といった疑問を抱くことで、見落とされていた問題点を発見したり、新たな視点を得ることができます。このように疑問を持つ力が、課題発見の第一歩となります。
事実やデータを分析する能力がある
課題発見力がある人は、事実やデータを重視し、それをもとにした分析力を持っています。感覚や経験だけに頼らず、データを収集し、根拠のある判断を行うことで、正確な問題の把握が可能です。データの裏側にあるトレンドや異常値に気付き、そこから新たな課題や改善点を導き出す力が必要です。
現状に満足せずより改善点を見つけられる
現状がうまくいっている場合でも、その裏に潜む潜在的な問題や将来のリスクを見逃しません。常に「もっと良くできる方法はないか」と問い続けることで、持続的な成長と進化を実現し、新たな課題を発見する能力が培われます。
04課題発見力を高めるための考え方
企業が継続的に発展していくために、課題発見力が求められる背景について見てきました。 ここからは、課題発見力を高めるために必要な思考や心構えについて解説していきます。
現状に満足しない
現状に満足することは思考が停止する危険をはらんでいます。このような状態は未来へ向けた危機感が欠如している状態であるといえます。 現状はうまくいっているが、「もっと良くなる方法はないか」「何か間違っていることはないか」と思考することが重要です。何事も「このままで良いのか」と問いかけをする思考パターンは、課題発見力を高めるために必須のものです。
ゼロベース思考
既存の枠組みに固執していたのでは、新たな課題の発見は困難なものとなります。常識となっている前提を一度、疑ってみることです。 例えば、「現状の売上を維持している既存客がすべていなくなったらどうするか」というように、今あるものをないものとして捉え、現状を好転させる方法を考えます。この思考法を身につけることにより、今まで考えつかなかった課題が発見され、新たなアイデアを思いつくきっかけとなります。
評論家にならない
トラブルが発生してから「自分はその危険性を予想していた」と批評する評論家タイプは、課題発見力を発揮できません。トラブルに発展することを予想していたのであれば、周囲にその指摘をして、トラブルを未然に防ぐべきです。 些細な違和感を課題として捉え、将来大きなトラブルの原因になるのではないかとさまざまな可能性を考慮する習慣が、課題発見力を高めることにつながります。
05課題発見力を高めるために身に着けたいスキル
ここまでで課題発見力を高める思考法や心構えについて見てきました。ここからは課題発見力を高めるために身につけると良いスキルについて確認していきます。課題発見力を高めるには、以下に挙げるようなスキルを身につけてもらう教育が必要となります。
ヒアリング力
ヒアリング力は課題発見力を高めるために必要なスキルです。ビジネスで関わるさまざまな人とのコミュニケーションにおいて、相手が自分でもはっきりと気づいていないような潜在的な課題を、会話により引き出すスキルがヒアリング力です。このヒアリング力を駆使することで、さまざまな人との関わりから、新たな課題についてのヒントを得ることができます。
クリティカルシンキング
前提や思い込みを一旦ゼロにして考えるゼロベース思考を実践するには、クリティカルシンキングを身につけることも有益です。クリティカルシンキングは批判的思考という意味で、自分の主観や先入観にとらわれず物事を考える力のことです。一度、自分の主観や先入観を疑うことでゼロベース思考を実践できます。
仮説思考
課題発見力は不確実な未来を自分なりの仮説のもと、予測する習慣により高められます。現状が永遠に続くとは考えず、今手元にある情報を駆使して近い未来の仮説を立て、そこから課題を導く習慣を身につけることで高められます。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
06課題発見力を最大限に活かし企業が発展するには
課題発見力は現状に満足せず、さらに良い未来を目指して改善すべき課題を見つけ出す力です。この課題発見力を最大限に活かして企業が発展していくためには、課題の発見から解決に至るプロセスがスムーズに進む必要があります。 さまざまな考えをもつ人々で構成されている企業においては、現状に満足せず課題発見力を発揮し改善を図ろうとする人もいれば、それを良く思わない人もいます。両者の軋轢を生むことなく課題発見力を最大限に活かしていくためには、次に挙げるような組織風土を育む必要があるのではないでしょうか。
コミュニケーションが活発な組織
コミュニケーションが活発で風通しの良い組織においては、課題発見力と課題解決力が十分に発揮されます。上司と部下、異なる部門間のコミュニケーションが活発であれば率直な意見交換が活発に行われるでしょう。こうした環境では、未来における課題の発見と解決に向けた取り組みが積極的、かつスムーズに行われます。このような組織は一体感があり、さまざまな課題をしなやかに解決し発展を続けるのではないでしょうか。
セクショナリズムが無い組織
セクショナリズムとは企業全体の利益や効率を考えず、自部門の利益や権利にこだわることです。場合によっては他部門に対して非協力的で排他的な態度をとるようなネガティブな状態に陥ることもあります。セクショナリズムが根強く残る組織においては、課題発見力と課題解決力は発揮できないでしょう。 本質的な課題が発見されてもそれを解決することが自部門にとって不利益になる場合、改善を阻害しようとするかもしれません。そのようなときに、セクショナリズムは大きな弊害となります。こうした状況は早い段階で解消する必要があります。
若手人材が発言しやすい組織
キャリアが浅く社会人経験の乏しい若手人材であっても自由に発言できる環境であれば、課題発見力は十分に発揮できるでしょう。若手人材は、組織の中枢を担う幹部クラスが思いもよらないようなアイデアをもっている可能性があります。日常業務における上司や幹部との対話から、若手人材の考えを引き出すことも重要です。 またワークショップなどを開催し、未来の課題について若手人材に積極的に議論してもらうような仕組みづくりも効果を発揮するでしょう。
07課題発見力を研修で習得|Schoo for Business
Schoo for Businessは、国内最大級8,500本以上の講座を保有しており、課題発見力を向上させるコンテンツも揃っております。
導入企業数は4,000社以上、新入社員研修からDX研修まで幅広く活用いただくだけでなく、自律学習の支援ツールとしてもご利用いただいております。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 8,500本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
大企業から中小企業まで4,000社以上が導入
Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
課題発見力に関する研修カリキュラム例
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,500本以上の講座を取り揃えております。この章では、課題発見力の習得に役立つ授業を紹介いたします。
課題設定力の磨き方~本質的な課題を導き出す方法~
第1回 | ロジカルに課題の精度を上げる方法 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第2回 | ラテラルに課題の精度を上げる方法 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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本授業では、生産性やアウトプットの質を高める上で重要な「課題設定力」をどのように磨いていくか、そのノウハウについて学ぶことができます。
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株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長
大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの変革プロジェクトをリード。 2005年に当時の社長から命を受け、コンサルティング&SI事業の人材開発部門リーダーとして育成プログラムを設計導入。2013年に独立し執筆・講演活動を開始。
論点思考[入門]
第1回 | 良いイシューで業務成果を高める |
時間 | 40分 |
研修内容 |
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本授業は、イシューがなぜ重要であるか、適切な論点の原則はなにか、といった業務業界に関わらず使える論点思考の入門レベル授業です。
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職場のコミュニケーション研究家
株式会社メイクセンス 代表取締役。IT企業で情報通信システムの開発や提案業務に携わったのち、コンサルタントに転身。NTTデータ経営研究所や日本アイ・ビー・エムで民間企業に対する情報戦略や組織戦略領域のコンサルティング、中央省庁や地方公共団体、業界団体からの委託による調査・研究を行う。その後、総合人材サービスグループ傘下のシンクタンクの上席主任研究員として、働き方改革、第4次産業革命による雇用への影響、個人の生産性やクリエイティビティ向上を目的としたマネジメントのあり方などの研究に携わる。現在は、組織人事コンサルタントとして、人材教育や制度改革のコンサルティングなど、組織人事領域から企業の支援に取り組む。
マッキンゼー流 仮説思考の一枚フレームワーク
第1回 | トップコンサルタントの仮説の持ち方 |
時間 | 45分 |
研修内容 |
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本授業は、少ない情報、少ない時間の中でベストの仮説を作るために、どのように情報を組み立てたら良いのかを学ぶことができます。紙一枚に書き出すことで仮説立てができるようになるフレームワークを紹介しています。
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人材戦略コンサルタント・ライフデザインコーチ
科学的データをもとに、人と組織が幸せに成果を出す人材開発・組織作りをサポート。マッキンゼーなどの外資系コンサル会社などで、経営戦略、組織開発、リーダー育成プログラム開発などのコンサルティングやに従事。2001年に独立。経営幹部への戦略コーチング、チームビルディング、リーダーシップ開発を実施。一部上場企業を中心に経営者、役員、幹部に対し100名以上へのコーチング実績を持っている。
08まとめ
課題発見力を発揮し企業が発展していくためには、個人の課題発見スキルを磨くことが重要です。しかしそれ以上に課題発見力が存分に発揮できる企業風土を醸成することが求められます。課題発見力に優れた人材は企業にとって貴重な存在です。大事に育成しその力を存分に発揮できる環境を整える必要があるのではないでしょうか。