チェンジエージェントとは?変革の担い手の役割を徹底解説!
この記事ではチェンジエージェントという言葉について解説します。組織開発の専門スキルを活用して組織変革に貢献するチェンジエージェントの役割と機能、および必要能力を理解することができます。
- 01.チェンジエージェント 用語の由来
- 02.チェンジエージェントの役割
- 03.組織開発とは
- 04.チェンジエージェントには誰が相応しいのか?
- 05.シーン別のチェンジエージェントの手法
- 06.チェンジエージェントに必要な知識と能力
- 07.まとめ
01チェンジエージェント 用語の由来
「チェンジエージェント」という言葉が世に登場したのは、著名な経営学者、P・Fドラッガーの著書、「ネクストソサエティ」のなかで、「変化に対応し、成功するには企業はチェンジエージェントにならなければならない」と説いたことがきっかけであると言われています。 一方、エドガー・シャインなどに代表される組織開発の世界でも、チェンジエージェントという言葉は使われており、組織開発の実践者を指して「チェンジエージェント」という意味で使われています。 具体的には「組織構成員や組織の変革の手助けをする専門家」という意味で使われていることが多いのです。 当記事では、組織開発分野での「チェンジエージェント」について解説します。
02チェンジエージェントの役割
「チェンジエージェント」の役割は、変革の主体者(リーダー)ではなく、ファシリテーターであるといえます。 具体的には、変革の方向性や中身を熟知し、組織のプロセス面(ソフト面)の変革を実現するための促進者としての役割を果たすことが、「チェンジエージェント」の役割です。 そのため、組織開発の知識をもち、変革のための施策の設計・運用ができることが必要です。
03組織開発とは
ここで改めて、「組織開発」とは何かについて解説します。 組織開発とは「組織内の構成員が、その組織を良くしようとする取り組み」のことを言います。 そのために「組織のプロセスに働きかける」とよく言われますが、具体的には、個々人に働きかけるのではなく、組織全体の場や、関係性に働きかけるのです。この点は、人材開発と比較するとよく分かります。 人材開発は、「人(個人)」に働きかけ、個人の行動変容を促します。一方組織開発は、組織内の関係性や、会議などの場、組織内部のプロセスに働きかけ、組織の活性化を促します。
04チェンジエージェントには誰が相応しいのか?
チェンジエージェントは、組織開発の知識・スキルをもっている人が担うのが相応しいといえます。 社内でそのような人材を抱えていれば、その人を中心にチェンジエージェントの役割を担ってもらうのがいいでしょう。 組織開発の専門コンサルタントも存在するため、そのような外部人材や外部組織に相談するのも手段の一つです。
社外のチェンジエージェントのメリット/デメリット
社外のエージェントに頼むメリットは、専門知識を活用できること、客観的に自社を捉えて意見具申してもらえることです。社内に専門知識がない場合は、社外のエージェントを検討するべきでしょう。 一方で、組織開発手法を用いた組織改革プロジェクトは、長期間に及ぶことも少なくないため、長期間に外部人材を活用するとコストがかかるというデメリットもあります。 また、外部企業や外部コンサルタントが長期間にわたるプロジェクトにコミットするのも、なかなか難しいという問題もあります。 外部コンサルタントを使う際は、できるだけ内部人材にノウハウを吸収してもらい、いつかは自走できるように付き合うのが理想的です。
社内のチェンジエージェントのメリット/デメリット
社内のチェンジエージェントを中心に運用するメリットは、社内人材で長期的に組織開発の取り組みが継続できることです。 一方で、社内に精通しているが故に本質的な改革と遠ざかってしまう可能性があること、手段が目的化してしまい、だらだらと継続してしまうことが問題として挙げられます。 社内のチェンジエージェントを活用する際は、外部からのノウハウの吸収など、チェンジエージェントのレベルを維持向上させる努力と、社内にいながら客観的な視点から提言する姿勢を養うことが必要です。
05シーン別のチェンジエージェントの手法
具体的に、チェンジエージェントの仕事のなかで用いる手法などを解説します。 企画段階、現場導入、現場支援の実行の各段階について解説していきます。
企画段階:現状把握力とファシリテーション
企画段階で必要なことは、現状把握力とファシリテーション力です。 まず、組織開発の視点で課題設定することが必要で、そのためには現状を把握しなければなりません。 一般的に用いられるのは、アンケートやインタビューで、事前に仮説をつくって検証する形が一般的です。 また、企画の細部をまとめていくにあたり、対象組織の意見、改革オーナーや対象組織のマネージャーなど、ステークホルダーと話し合ってまとめていくこともあります。 その際に、ファシリテーションを実施して、先方のリクエストや懸念点への対応も盛り込みつつ、こちらの客観的な視点での対応策を受け入れてもらうようにします。 このように、企画段階では現状把握力とファシリテーション力が必要です。
現場導入:現場のキーマンを掌握する関係構築力
対象組織の現場に入り込んで支援する際は、その組織のキーマンを掌握する必要があります。 組織開発としてのフィードバックは、フィードバックされる人にとっては耳の痛い話も多く、受け入れてもらう関係性の構築が必要です。 また、現場に入り込んで施策を展開するときは、マネージャーなどの管理職がパートナーとなることが多いので、理解/納得を得られないと、施策展開自体が難しくなります。 具体的には相手の悩みも聞き、受け止めたうえで、こちらのフィードバックを受け入れてもらうという順番で話すことで、早期に関係性を構築します。 このように、現場に施策を展開する初期のタイミングでは、対象組織のキーマンと早期に関係性を構築する必要があります。
現場支援の実行:組織開発手法を使いこなす
いよいよ現場への支援を本格化するタイミングでは、さまざまな組織開発手法を駆使して、場を最適にデザインし、運営するスキルが必要です。 ワークショップの設計を例にあげると、ディスカッションのさせ方、一定の結論の導き出し方、現場実践へのつなぎ方など、無限の組み合わせが発生します。 そのため、対峙する組織にもっとも合う方法で、目的に到達させるための方法として適切なものを選択して設計する必要があるのです。
06チェンジエージェントに必要な知識と能力
続いて、チェンジエージェントの役割を完遂するにあたり、必要な能力とその内容について解説します。
ファシリテーションスキルとインタビュースキル
チェンジエージェントには、ファシリテーションスキルとインタビュースキルが必要です。 前章でも説明したように、ワークショップにおけるファシリテーションは当然ですが、現場とのミーティングやインタビューも多く発生するため、至るところでファシリテーションを行い、インタビューを行う機会があるといえます。 講師の経験が豊富な方のなかには、自分の話をいつまでしてしまう人がいます。そのような人は、このような細かなファシリテーションやインタビューが往々にして苦手です。ついつい自分のことを話して時間が超過してしまうからです。 また、組織開発の基本的な考え方として「引き出す」ことは重要な概念です。ファシリテーションやインタビューは「引き出す」ためにあります。 自分のことを語るのではなく、相手の考えを引き出すようなスキルを身につけましょう。
論理構成とコミュニケーション能力
組織開発という分野だからこそ、論理的なコミュニケーションが必要です。 組織開発において、正解を求めるのは難しいといえます。だからこそ、なぜそれが課題なのか、課題の重要度はどの程度か、といった論理的な思考と、相手に伝えるためのコミュニケーションスキルが必要です。 また、組織開発手法を好む人と、好まない人が明確に存在します。好まない人も組織開発の対象になっていることが多いため、そのような人にも論理的にコミュニケーションを実施すれば伝わる可能性があります。
組織開発手法の設計力と運営力
ここでは、代表的な組織開発手法を「大道具(大仕掛けな内容)」と「小道具(細かい内容)」に分けて紹介します。 実際は、「大道具」「小道具」を組み合わせて使用することが多く、ワークショップやセッションに使える時間も短くなる傾向があります。そのため、これらを組み合わせる際のバランス調整はさらに重要になります。
組織開発手法の大道具
・AIアプローチ(アプリシエイティブ・インクワイアリー)
組織の真の価値を構成員で検討し、今後の可能性を最大化させるというコンセプトのワークショップです。ポジティブアプローチとも呼ばれます。 組織の真の価値(ポジティブコア)を導き出し、それを活用したうえで、その可能性が最大化した未来を描き、その達成のためのアクションを設計するものです。 手法としては、相互インタビュー、即興芝居などを使用します。
・OST(オープンスペーステクノロジー)
参加者が「責任」をもって話し合いたいテーマが取りあげられ、オープンな話し合いによってアクションプランが生み出されるというコンセプトのワークショップです。 話し合いたいテーマは粒度が異なる場合もあり、それも許容するという意味で「オープン」という名がついています。 別名、ホールシステム・アプローチとも言われます。
組織開発手法の小道具
・チェックイン/チェックアウト
チェックインはセッションの冒頭、参加者がセッションに入りやすくすることを目的に、今の気持ちを正直に語ってもらうという手法です。 チェックアウトでは、参加者にセッションの終了にあたって気づいたことや次へのアクションを話してもらいます。
・アクションラーニング
質問を中心としたセッションの運営手法です。チェンジエージェントは、各グループでのセッションが効果的になるように質問をファシリテートします。
・ワールドカフェ
ワークショップなどのグループ間のダイナミズムを演出する手法です。別名ギャラリーウォークとも呼び、グループ間の成果物や話し合った結果を発表で共有するのではなく、参加者が各々歩き回って成果物を見に行く、という手法です。
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07まとめ
組織開発におけるチェンジエージェントの役割と、必要なスキルについて解説しました。 環境変化が激しいがゆえに、組織としてのパワーを今こそ高める必要があるのではないでしょうか。 これを機に、組織開発の検討、チェンジエージェントの育成に取り組まれてはいかがでしょうか。
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