カルチャーフィットとは?採用時の見極め方やカルチャーを定着させる方法をご紹介
採用における企業と人材のミスマッチによって引き起こされる問題の多くは、カルチャーフィットという概念を意識することで避けることができます。 本記事ではカルチャーフィットの概念や採用時の見極め方、企業にカルチャーを定着化させる方法をご紹介します。
01カルチャーフィットとは
「カルチャーフィット」とは、企業独自の文化に人材が馴染めていること、うまくフィットしている状態を指します。 カルチャーフィットがうまくいっているかどうかで、採用した人材が社内で活躍していけるか、長期的に働いてくれるかどうかが左右されます。 逆にカルチャーフィットがうまくいかないことにより、人材が定着せず早期離職に繋がってしまうことも少なくありません。
カルチャーフィットとスキルフィットの違い
カルチャーフィットとよく似た言葉に、「スキルフィット」という言葉があります。 カルチャー(文化)ではなくスキル(能力)が、採用後の業務に適しているかどうか判断する指標として用いられるため、意味が異なります。 スキルフィットだけが高い場合や、カルチャーフィットだけが高い場合など、片方だけに偏ってしまうと、結果として企業とうまくマッチすることができないため、人材の定着のためには両方に一定の高さを持てるような採用、育成がとも重要になります。
採用時のカルチャーフィット切りとは
採用時における「カルチャーフィット切り」とは、カルチャーフィットしない社員を採用時に見極め、採用しないということを指します。 マイナスなイメージを持たれがちですが、カルチャーに適していない人材を採用したとしても、早期離職に繋がりやすくなるなど、企業と求職者双方にとっていい結果に繋がりにくいため、採用時にはカルチャーフィット切りも大切な視点だといえます。
02カルチャーフィットが重要視されている背景
カルチャーフィットが近年重要視されてきている背景にはどういったものがあるのでしょうか。2つ挙げて解説します。
早期退職率の高さによる人材不足
まず挙げられるのが、早期退職率が高まっていることによる人材不足を背景に、カルチャーフィットが重要視されている点です。 早期退職率とは、入社してから3年以内に退職した人の割合を指しますが、この値が平均3割以上と言われており、非常に高い数値になっています。 100人採用したとしても、30人が3年以内に退職してしまっては、企業として人材不足の課題は解消されません。採用者の早期離職には様々な原因がありますが、企業文化とのミスマッチも原因の1つであるため、カルチャーフィットが重要になっています。
リモートワークの普及によるコミュニケーション不足
働き方の多様化や、コロナウイルスの世界的な流行により、リモートワークの普及が急速に進んでいます。それに伴い、コミュニケーションの機会が以前より減ってしまい、社内の文化にマッチすることが難しくなってきています。 出社をして働いていれば企業文化もわかりやすく、適度にコミュニケーションを取れることで、最初はフィットしなかったとしても後からフィットするということもあり得ます。 しかしリモートワークが普及し、コミュニケーションが不足してしまいやすくなったことにより、企業が持つカルチャーに触れる機会が減ってしまっているのです。 後から企業文化にフィットさせることが難しくなっているため、採用時にフィットしているかどうかを重要視する傾向になっています。
03従業員がカルチャーフィットしないことによる弊害
従業員がカルチャーフィットしないことによる、企業への弊害にはどういったものがあるのでしょうか。いくつかの弊害が生じてしまうため、それぞれ解説します。
採用した人材が定着しない
まず第一に、カルチャーフィットしないことで、入社した人材が社内で居心地の悪さを感じることになり、企業に定着しないといった弊害が生じてしまいます。 入社直後は慣れない業務や人間関係の形成に苦労してしまうケースが多いです。そういった中で企業の文化とうまくフィットできていれば、先輩や上司に頼ったり相談もしやすくなるため、その後の定着につながります。 しかし、うまく企業文化とフィットできないと業務や人間関係の形成に引き続き苦労してしまい、いつまで経っても改善されていかない状況が続くと離職に繋がってしまいます。 このようにカルチャーフィットしないことで、人材がなかなか定着しないといった弊害が発生してしまいます。
社員間の連携がうまく取れず生産性が低下する
カルチャーフィットしないことは、社員間の連携にも影響が出てきます。 企業文化に適した社員が多ければ考え方や価値観も似ていることが多く、チーム間や部門間の連携は取りやすいです。 しかし、カルチャーフィットしない人材が多いと考え方や価値観も異なる場合が多く、社員同士の連携がうまくいかないといったことになりかねません。 社員同士の連携がうまくいかないと、企業としての生産性の低下にも繋がってしまいます。
会社への帰属意識が低くなりモチベーションが低下する
カルチャーフィットしている場合であれば、企業に対する帰属意識や愛着といったものも自然と湧いてきますが、フィットしない場合はなかなかそれらが生まれず、モチベーションの低下に繋がりやすくなる懸念があります。 帰属意識が低いとモチベーションの低下にも繋がってしまいます。モチベーションを高めるためにもカルチャーフィットは重要になってきます。
04企業内のカルチャーを醸成する方法
カルチャーフィットを考える前に、企業内にしっかりとカルチャーが定着されていなければ、フィットしているかどうかを確認することはできません。 企業内のカルチャーを醸成するための方法を3つご紹介します。
カルチャーを言語化し社内に周知させる
カルチャーというものには、言語化しづらい雰囲気や空気感が含まれることが多いです。しかし、言語化できないと人によって感じ方が異なるため、なかなか社内で定着しないでしょう。 社内で文化を定着させるためには、言語化しづらいものであっても、しっかりと言語化し明確にすることで社内に周知させる必要があります。 企業理念や行動規範などを文書化した「クレド」を作成し、社員に配ることは効果的であるため、周知する際にはクレドを活用するようにしましょう。
カルチャーに沿った社内制度を作成する
社内のカルチャーを言語化できたら、次はそれを社内制度に反映させると良いでしょう。カルチャーは社内制度などに具体的に反映されて初めて、社員の行動として定着化されます。 社員の交流が盛んなカルチャーであれば、定期的の交流会の開催や、個人のスキルアップを重要視するカルチャーであれば、月額で一定額を書籍購入費として支給するなど、具体的な制度を設けると良いでしょう。
定期的に社内研修を行う
社内研修を定期的に行うことで、社員に対して企業カルチャーを発信することも大切です。 企業のカルチャーは経営者や幹部陣が作り出すことが多いため、社内研修の場などにおいて企業理念や文化について直接伝える場を設けましょう。 カルチャーを作り出している本人から直接説明されることで、企業内でカルチャーが浸透しやすくなります。
05採用時にカルチャーフィットできるかどうかを見極める方法
カルチャーフィットしているかどうかが重要視されるようになっていますが、採用の段階でどうすれば見極めることができるのでしょうか。 4つの具体的な見極め方を紹介しますので自社の採用活動にぜひ活かしてください。
1DAYインターンの実施
1DAYインターンの実施は、カルチャーフィットを見極める上で非常に効果的な方法です。 企業カルチャーというのは実際に働いている場に身を投じてもらい、業務を体験し社員たちと交流する中でしか、感じてもらうことはできません。 1日といえど、実際に働く1日の流れの中ででカルチャーを肌で感じることができるため、求職者が企業にフィットしているかどうかを直接的に判断できます。
複数社員による面接の実施
自社のカルチャーにフィットしているかどうかの判断を、一人で行うことはできません。人によって感じ方が異なるため、カルチャーフィットしているかどうかを見極める際はなるべく複数の社員で面接を行いましょう。 またその際、可能な限り異なる部署・役職の従業員で面接を実施するようにしてください。営業候補だからと言って営業部の従業員だけで面接を実施するのではなく、複数の部門の人間で見極めるようにしましょう。
リファレンスチェックの実施
リファレンスチェックとは採用予定者の前職での人柄や勤務態度について、関係者に問い合わせるというものなのですが、面接では判断できない要素を判断することができます。 実際に前職で一緒に働いていた社員や採用を担当した人事担当に話を聞くことができれば、着飾っていない採用者の本当の姿を知ることができるでしょう。 そこから見えてくる人物像が自社のカルチャーにフィットしているかどうかをチェックすることで、よりカルチャーフィットを正しく判断することが可能になります。
カルチャーフィット診断の実施
カルチャーフィットしているかどうかを見分けるためには「カルチャーフィット診断」というものもあります。 適性検査の一種なのですが面接官の主観といったものではなく、AIを用いた客観的な判断になるため、より多角的に採用候補者を見極めることができます。 面接と合わせて実施するようにしましょう。
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06まとめ
カルチャーフィットしているかどうかは企業に人材が定着し、その後育っていくかどうかに関わる重要な要素となります。 採用した後にフィットしていないことが判明しても手遅れになってしまうため、採用時に正確に判断ができるようにしっかりと見極めましょう。