公開日:2023/05/15
更新日:2023/05/23

人材戦略とは|人材戦略立案の4ステップと策定のポイントを解説

人材戦略とは|人材戦略立案の4ステップと策定のポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

少子高齢化により労働人口が減少し、人材の獲得競争は激化しています。加えて、働き方改革が推進されるなど労働に対する価値観が多様化し、企業はこれまでの人材戦略の見直しを迫られることもあります。本記事では、人材戦略の概要と立案のステップ、策定のポイントまで解説します。

 

01人材戦略とは

人材戦略とは、経営目標を達成するために立案される、人事・人材面の戦略全般を指します。企業は経営目標を達成するために、さまざまな側面から戦略を構築します。「営業戦略」「組織戦略」「事業戦略」といったものです。いずれの戦略実現においても、「人」の存在が欠かせません。人材戦略の内容は、必要な人員の確保や適正な配置、育成によりスキルを向上させることなど多岐にわたります。所属する人材が、最大限にパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが、事業成長に欠かせない要素となるのです。

人材戦略と経営戦略の関係性

人材戦略は、経営戦略と連動していることが求められます。両者の整合性がとれていることにより、経営資源の一つである「人」の力が最大化されるためです。経営戦略と人事戦略がかみ合わない場合、「必要な人材が必要なポジションにいきわたらない」「必要なスキルを持たない人材が配属される」などの不具合が生じます。事業運営が滞るばかりか、人材流出の原因となるため、人材戦略は常に経営戦略の実現を踏まえて策定する必要があります。

 

02人材戦略が重視される理由

近年、人材戦略が重視される理由には、主に以下が挙げられます。

  • ・経営戦略にマッチした人材の確保と定着が求められるため
  • ・タレントマネジメントが普及したこと
  • ・人事制度との連携が求められるため

労働力確保の競争激化にともない雇用の流動性が加速していることが挙げられます。優秀な人材をできるだけ多く採用し、自社で活躍し続けてもらわなくては、事業運営そのものが危うくなるでしょう。経営戦略実現のためには、人材の力を最大限活用することが必要なのです。

経営戦略にマッチした人材の確保と定着が求められるため

自社の経営戦略を実行・実現するための人材の確保と定着は、企業の根幹を左右する重要な課題です。経営目標の実現に向け、必要な人員数を確保しなくてはなりません。加えて所属する人材を育成し、スキルを最大限に発揮してもらうことも必要です。しかし、雇用の流動性が高まる中、多くの企業は社員の離職による戦力の低下やノウハウ・ナレッジの流出に頭を悩ませています。適切な人材戦略なしにはこうした変化に対応できず、人材面から経営をサポートするのが難しくなるでしょう。

タレントマネジメントが普及したこと

近年では、より企業としての競争力を高めるために人材の個性を活かし能力を発揮してもらうことが重視されるようになりました。タレントマネジメントの考え方が一般化されたのです。タレントマネジメントとは、個々の人材が持つスキルや特性を企業が把握し、管理・情報共有することにより総合的に活用することを指します。適材適所の人員配置により個々の人材がより能力を発揮できる環境の構築や、社内で不足するスキルやノウハウが明確化されるなど、人材育成の方針決定にも役立てられます。

人事制度との連携が求められるため

人材戦略とは前述の通り、「経営目標を達成するために立案される、人事・人材面の戦略全般」のことです。つまり、企業における人事関連の取組みはすべて人材戦略に紐づけて行う必要があります。 人事評価や目標管理制度を人材戦略に連動させることで、人材に対し、一貫性のある施策を講じることができます。たとえば、全社の事業効率化を図るための方針として「DXリテラシーを基礎スキルとして全社員に保有させる」といった指針があれば、その方針と一致した目標の設定や評価基準の構築が可能になるでしょう。組織が目指す方向性と日々の業務行動をリンクさせることで、効率的な人材戦略の実現が図れるのです。

 

03人材戦略の4要素

人材戦略は、「採用」「育成」「配置」「定着」の4つの要素で構成されます。入り口である採用から育成を経て、適材適所の配置により能力を発揮してもらいます。そして定着を図り、長期間にわたり活躍してもらえることが理想です。それぞれの要素を解説します。

採用

採用は人材戦略において、もっとも重要な要素といえます。必要な人員数を確保するだけでなく、自社にマッチした人材を選抜することが必要です。そのためには、経営戦略と照らしあわせ、求める人物像を中長期的な視点から設定することが求められます。組織の現状を見渡し、将来必要とされる人物像を定義するとよいでしょう。そのうえで、求める人材に対するアプローチや、採用プロセスを構築していきます。

育成

求める人材が採用できたとしても、すぐに活躍できるわけではありません。とくに新卒一括採用をおこなう企業では、多くの時間とコストを費やし、必要なスキルと求める人物像に値する資質を身に着けてもらわなくてはなりません。すでにスキルを持つ中途採用者には、自社の理念や社内ルールを教育する必要があります。研修の実施や自己啓発を支援するなど、継続的に取り組むことで社員が意欲的に学習し、スキルアップを図る環境を整えられます。

配置

人材は適したポジションに配置されることにより、パフォーマンスを最大化します。適材適所の人員配置がなされることで、個々の人材は力を発揮し、組織全体も活性化するでしょう。人員の配置は経営戦略の実現を念頭に置き、戦略的におこなう必要があります。単に業務内容と資質のマッチングだけではなく、将来的に必要なスキルが身に着けられる環境に配置するなど、人材育成の観点から検討することも必要です。

定着

経営戦略の実現には、人材が定着し活躍し続けてもらうことが欠かせません。人材の離職は採用・育成コストの損失にとどまらずノウハウやナレッジ流出につながる、もっとも避けるべき事態です。そのため各種サーベイを活用し、社員の不満を事前に察知し、対策を講じる企業もあります。社内FA制度や異動自己申告制を導入するなど、人事異動に社員の希望を反映できる仕組みも有効です。人材育成に注力するなど、エンゲージメントを高めることも検討すべきでしょう。

 

04人材戦略立案の4ステップ

経営戦略の実現に向けた人材戦略の構築には、次に挙げる4つのステップを踏むことが望ましいといえます。それぞれのステップを解説します。

  • ・経営戦略を理解する
  • ・経営戦略の実現に必要な人材を定義する
  • ・現状を把握しあるべき姿を明確にする
  • ・人材戦略実現のプロセスを明確にする

経営戦略を理解する

人材戦略は、経営戦略の実現に密接に関わるものです。経営戦略との整合性がとれていなければ、望むような効果を期待できません。経営層と意見交換をおこない、経営戦略を十分に理解したうえで人材戦略を策定することが必要です。近年では、CHRO(最高人事責任者)を設置する企業もあります。CHROは経営層の一員として、人事の視点から経営戦略の策定に携わります。こうした役職を設置すれば、より深く経営戦略に人事的な要素を反映できるでしょう。

経営戦略の実現に必要な人材を定義する

次のステップでは、経営戦略実現のために必要な人材像を定義します。人材に求めるスキルや、どのような志向を持った人物が適しているかを洗い出す作業です。あわせて、どのような役割を担う人材が、何人必要かも検討します。その際には、現場の状況を正確に把握しておくことも大切です。人員不足や過多を招かないために、現場とのバランスを考慮する必要があるためです。

現状を把握しあるべき姿を明確にする

会社が将来目指したい姿と現在の経営状況を把握し、そのギャップを埋めるためにはどのような人材戦略が適しているか検討するプロセスです。社内の状況だけでなく競合他社を含めた市場動向や、労働市場など外部要因も加味し、人材戦略の達成目標を明確化します。適切な達成目標を設定するためには、現状把握が正しくおこなわれる必要があります。理想論に偏りすぎないよう、現場の視点を加えることも忘れてはいけません。

人材戦略実現のプロセスを明確にする

人材戦略の達成目標を設定したら、次は実現のための具体的なプロセスを検討する段階に移ります。具体的には「採用手法の改善」「人材育成・教育制度の見直し」「適正な人員配置の再考」を検討していきます。その際、注意すべき点は組織の現状を意識することです。現状とかけ離れた施策を実施すると、現場が混乱しエンゲージメントの低下をもたらす恐れがあるためです。

 

05人材戦略策定の際に確認すべきポイント

人材戦略策定の際には社会情勢など、いくつか確認しておくべきポイントがあります。十分に機能する人材戦略にするためには、以下の4点を意識するとよいでしょう。

  • ・働き方の多様化
  • ・ダイバーシティ
  • ・社会変化への対応社会変化への対応
  • ・タレントマネジメント

働き方の多様化

テレワークが急速に普及したように、働き方の多様化が加速しています。時短勤務や時差出勤、フレックスタイム制度など、勤務時間に自由度を与える施策も目立ちます。副業や兼業を推奨する企業もでてきました。これらは、個人の事情に寄り添い、働きやすい環境を提供するための施策といえます。人材不足の昨今、これまで活用してこなかった層の人材にもアプローチする必要があります。働き方の多様化に対応する人事戦略が求められるのです。

ダイバーシティ

人材活用の幅を広げるという視点で、無視できないのがダイバーシティです。ダイバーシティとは、性別や国籍、年齢、価値観やライフスタイルなど内面的なものまで含め、多様性を広く受け入れるといった考え方です。これからの人材戦略では、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が、安心して働ける環境の構築が求められるでしょう。

社会変化への対応

社会的な様々な変化への対応も意識する必要があります。昨今ではSDGsへの取り組み姿勢が企業の評価指標となるなど、企業の社会的責任を重視する風潮が強くなりました。加えて、DX化が加速するといった、社会変化への対応は重要な経営課題となっています。人材戦略の策定には、こうした変化に対応しつつ、「将来起こりうる変化にも適応できるか」といった視点も重要になってきます。

タレントマネジメント

タレントマネジメントの仕組み作りは、これからの人材戦略において欠かせない要素といっても過言ではありません。タレントマネジメントとは、個々の人材の持つスキルや経験を把握・管理し、人事施策に活用する手法です。こうしたデータを活用すれば、より精度の高い適材適所の人員配置や育成が可能になります。個々の人材は自身の強みが最大限に活かせるため、高いモチベーションで業務にあたります。人材の意欲を引き出すことは、人材戦略においてもっとも大切なポイントかもしれません。


 

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06まとめ

さまざまな変化への対応を求められるこれからの企業経営にとって、人材戦略は企業の存続を左右する重要な課題といえるでしょう。人材の持つ力が最大限に発揮されることが、企業と人材にとって理想的な状態であることは間違いありません。人材戦略において、教育・育成は大きなウェイトを占めるものです。新たな取り組みをぜひ検討してみてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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