チャンクダウンとは?意味からビジネスコミュニケーションでの活かし方まで詳しく解説
コーチングやカウンセリングなどで用いられる、心理学を使ったコミュニケーション手法の1つにチャンクダウンがあります。ビジネスではマネジメントで良く使用される手法ですが、課題解決や目標達成に役立つため、この記事では意味から活用方法まで詳しく解説します。
- 01.チャンクダウンとは?
- 02.チャンクダウンを行う目的
- 03.チャンクダウンを行うメリット
- 04.チャンクダウンを行う手順
- 05.企業で効果的にチャンクダウンを狙うポイント
- 06.まとめ
01チャンクダウンとは?
チャンキングとは、物事をより小さな断片に分割したり、大きな断片にまとめたりすることを指し、英語で塊を示すChunkから名付けられました。 チャンキングの中で物事をより小さな断片に分割し、具体的にしたり細分化したりすることをチャンクダウンと呼びます。チャンクダウンは課題の明確化や、物事を掘り下げて考えたい場合に用いられることが多いでしょう。 元々は心理学の用語ですが、物事が覚えやすくなるため記憶術として使用されることもあります。
チャンクダウンとチャンクアップの違い
チャンキングの中で物事をより大きな断片にまとめ、抽象化したり全体の方向性を見出したりすることをチャンクアップと呼びます。チャンクアップは議論が停滞してしまった際に、議論の目的を思い出して論点のずれを解消するために用いられることが多いでしょう。 これらのことから、チャンクダウンは事実の確認や物事の具体化のために用いられるHOW(どのように)の思考、チャンクアップは目的の共有や視野を広くするために用いられるWHY(なぜ)の思考とも言われています。
チャンクダウンとスライドアウトの違い
スライドアウトとは、水平に視線を移動させ、あるチャンクと同じレベルに位置する別のチャンクを見つけることを指します。思考の幅を広げ、選択肢を広げるためにチャンクアップ・チャンクダウンと組み合わせて使用するとより効果的だと言われている手法です。 スライドアウトを使うと並列的な視点で物事を捉えることができるので、別の事柄にも焦点を当てたい時に用いてみましょう。
02チャンクダウンを行う目的
企業の中でチャンクダウンを行う目的は、課題の具体的な解決策を見出し行動を明確化することです。 例えばチームの目標が抽象的な場合、チームメンバーの中には何から手を付けてよいかわからない人も出てきますが、ここで目標をチャンクダウンしてみることで、具体的なアプローチ方法を見出し、数字に繋げることができるようになります。
03チャンクダウンを行うメリット
ビジネスの場でチャンクダウンを行うメリットを3つご紹介します。
課題解決のために何をするかが明確化できる
組織やチームにおいては、抽象度の高い課題や目標に対してどのように取り組めば良いのかすぐに理解できる人ばかりではありません。 この状態で放置しておくと、その課題や目標を「自分事」として捉えるチームメンバーは少しずつ減少するため、チームとして課題解決や目標に取り組む前に諦めてしまうという結果に繋がりかねないでしょう。 そのため、このような時にチャンクダウンを行い、課題解決や目標への過程を小さく分解していくと、チームメンバーが各自どのような行動を取るのが望ましいかが明確化し、前向きに課題解決や目標達成に取り組むことができるようになるのです。 このように、組織やチームを運営する上でチャンクダウンを活用すると、チームメンバーに業務上で何をするべきかを共有しやすくなります。
行動への動機付けができ気軽に取り組むことができる
チャンクダウンでは物事をより小さい要素に分解して考えるため、ビジネスにおいて活用すると、1つ1つの小さな行動が大きな目標達成に繋がるのが理解しやすくなります。そのため、日々の小さな行動へのハードルは下がり、チームメンバー全員が気軽に目標達成へと取り組むことができるようになるのです。 抽象的で大きな目標がチームメンバーに提示されると立ち止まってしまう人も出てきますが、チャンクダウンすることでモチベーションの低下を防ぎ、協力しながら業務をこなすことができるようになるでしょう。
相手の本当の悩みが可視化する
組織で課題解決に取り組むためには、その原因を追求する必要がありますが、大概の課題には原因が複数あり、多数の人が関わっているほど複雑化していることも多いでしょう。 この時チャンクダウンを行うことで課題の原因1つ1つを可視化したり、言語化したりしやすくなります。また、原因を追求していく過程で新たな課題に気が付いたり、課題についての本質的な悩みをチームメンバーで共有したりすることができるでしょう。 チャンクダウンで原因を突き止め、チームメンバーで新たな解決策を協力しながら探るのは、所属するチームメンバー同士の絆を深め、信頼関係の構築にも繋がります。
04チャンクダウンを行う手順
企業においてチャンクダウンを行う際は、チャンクダウン用のシートなどを準備し、各項目を記録しながら少しずつ分解していくのが良いでしょう。 チャンクダウンを行う手順を3つの段階に分けてご紹介します。
ビッグチャンクを設定する
ビッグチャンクとはチャンクダウンを行うテーマを指します。 例えば、チームに与えられた抽象的でわかりにくい目標や、現状のままでは解決しにくい課題を設定すると良いでしょう。ビックチャンクを達成したいゴールと捉えると、その後のチャンクダウンが行いやすくなります。 シートに記載する際は、大きく目立つ位置にビッグチャンクを設定するようにしましょう。
ミドルチャンクに分解する
ビッグチャンクとして設定したテーマを、構成する要素をミドルチャンクと言います。企業においては、ビッグチャンクを達成するためのタスクだと捉えるとわかりやすいでしょう。 チームメンバーからさまざまな意見が出る段階のため、試行錯誤が必要となりますが、まずは思いつくままミドルチャンクとしてシートに記載することが大切です。
スモールチャンクに分解する
ミドルチャンクがチームメンバーから出尽くしてシートを再度確認すると、ミドルチャンクには、ビッグチャンクを具体化したキーワードが含まれているのがわかります。 例えばビッグチャンクが「売上目標前年度比120%達成」だとしたら、「新しくSNSマーケティングの施策を行う」「Web広告の出稿タイミングを見直す」などのミドルチャンクが考えられますが、この場合であれば「SNSマーケティング」「Web広告」などがキーワードになるということです。 これらのキーワードを構成する要素が、スモールチャンクです。 例えばSNSマーケティングを構成する要素であれば、「LINE公式アカウントでメール送信を週1回行う」Web広告を構成する要素であれば「リスティング広告を月に1回出稿する」などが、スモールチャンクとして挙げられるでしょう。 スモールチャンクは、具体的な行動を意識できる表現でシートに記載するのがコツです。ミドルチャンクの段階で行われる複雑な作業をより細分化して、15分程度を目安に行えるようなタスクにすると、チームメンバーがより行動しやすくなります。 チームメンバーがストレスを感じることなく、スモールチャンクに分解されたタスクに取り組むことができるかどうかを考えながら、チャンクダウンを行うことが大切です。
05企業で効果的にチャンクダウンを狙うポイント
企業において効果的にチャンクダウンを行うためのポイントを3つご紹介します。
チャンクダウンを行う内容の選び方を工夫する
チャンクダウンは、抽象的な目標や複雑化した課題の解決を目的に行うのが効果的ですが、チームメンバーが先延ばししたいと感じてしまうような内容ほど優先的にチャンクダウンを行い、行動に繋げていくという方法もあります。 例えば、チームとして取り組むために目標に掲げてはいるものの、複雑で手間がかかるために毎年のように先延ばしを繰り返してしまい、未着手のまま期末を迎えてしまう業務がチームの中にはいくつか存在するでしょう。 このような業務ほど期初に優先的にチャンクダウンを行い、チームメンバーに具体的な作業として意識づけを行うと先延ばしせず、期末までに終えることができます。また、業務の移管などでそのチームで初めて行うような業務も、優先順位を上げてチャンクダウンしておくことで、取り組みへのハードルを下げることができるでしょう。 チャンクダウンを行う際は、チームで内容を精査し優先順位を決めて行うと、より業務の効率化に繋げることができます
スモールチャンクをより具体的にする
チャンクダウンを行う際は、スモールチャンクをすぐに実行できるレベルのタスクにまで具体化することが大切です。 具体化というのは、チームメンバーの誰が、何を、いつまでにどうするということが決まっている状態を指します。日々の行動において、チームメンバーがタスクを行ったかどうかが可視化できる状態まで細分化することで、より行動しやすくなるでしょう。
チャンクの大きさをチームメンバーのレベルに合わせる
チャンクダウンを行う際は、チャンクの大きさをチームメンバーの知識や経験、スキルなどのレベルに合わせて設定することが大切です。 例えば、チームメンバーがスキルや経験の豊富な中堅社員のみで構成されている場合と、新入社員が含まれている場合では、スモールチャンクの大きさが異なるということです。 そのため、スモールチャンクを設定する際は、スムーズに行動を起こせる大きさのチャンクとなっているかどうかを、チームメンバー全員に確認しながら調整していくのが望ましいでしょう。
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06まとめ
チャンクダウンとはチャンキングの中で物事をより小さな断片に分割し、具体的にしたり細分化したりすることを指しますが、企業においてはチームの課題解決や目標達成のために、それぞれのメンバーが具体的にどのような行動を取れば良いかがイメージしやすくなるとわかりました。 業務の効率化やチームメンバーの悩みの解決にも役立つので、ぜひチャンクダウンを積極的に活用してみてください。