バーチャルチームとは?メリットや成功させるために必要なスキルを解説
「働き方改革」やコロナ渦によるテレワークの増加で、「バーチャルチーム」のメリットが注目されるようになりました。本記事では、バーチャルチームの概要やメリット、成功させるために個人またはチームとして必要な知識やスキルを、導入事例とともに解説します。
- 01.バーチャルチームの概要
- 02.バーチャルチームのメリット
- 03.バーチャルチームの克服するべきデメリット
- 04.バーチャルチームを成功させるために必要な知識やスキル
- 05.バーチャルチームの導入事例
- 06.まとめ
01バーチャルチームの概要
テレワークの導入で注目されるようになった「バーチャルチーム」の概要を解説します。
メンバーが物理的に離れた場所でITツールなどを活用して機能するチームのこと
バーチャルチームとは、物理的に離れた場所で、ITツールなどを活用して機能するチームのことです。一般的に、チームメンバーが各自自宅で勤務することを意味し、全国または世界各地に拠点を持つことから、「分散型」のチームとも呼ばれています。 バーチャルチームは、実際に会社に出勤して毎日顔を合わせる「オンサイトチーム」とはタイプが異なり、コミュニケーションの向上や業務効率化のための工夫が必要となりますが、場所や時間、文化などの制約を受けないことから、メリットの多い働き方としても注目されています。
バーチャルチームが増加傾向にある背景
バーチャルチームが増加傾向にある背景に、企業のグローバル化を挙げることができます。海外に拠点を設置する海外進出だけでなく、海外市場をターゲットにしたり、訪日外国人によるインバウンド需要などにより、ビジネスのグローバル化が進んでいます。その中で、海外にいる人材とバーチャルチームを組んで、ビジネスを展開させることが考えられます。 また、昨今の新型コロナウイルス感染拡大や、手不足による人材獲得の課題の対策として、テレワークを導入してバーチャルチームで活動する企業も増加しています。
02バーチャルチームのメリット
ここでは、バーチャルチームのメリットを大きく4つのポイントに分けて解説します。
地理的な制限を受けない人材採用
バーチャルチームの導入には、地理的な制限を受けてない人材採用ができるメリットがあります。従来のオンサイトチームでは、拠点の近くの通勤可能な人材を探す必要がありますが、自宅など場所を問わずに業務の遂行が可能なバーチャルチームでは、全国または海外も含めて多様な人材の獲得が可能になります。 人手不足が問題になっている昨今、企業にニーズに合った優秀な人材の獲得は簡単ではありません。この点でも、居住地ではなく人材のスキルや能力を考慮したチームづくりができるのは大きなメリットとなるでしょう。
異なるタイムゾーンを活かして24時間体制のサポートが可能
バーチャルチームを活用して、24時間体制のサポートを可能にすることもできます。場所を選ばずに人材採用ができるため、海外の異なるタイムゾーンに住む人材をチームに迎えることで、顧客のタイムゾーンに合わせたサポートができます。 チームの全体ミーティングは、早朝や深夜になることがありますが、通常業務はタイムゾーンに合わせて柔軟に対応できるため、メンバーの健康やコンディションに配慮することにも繋がります。
ワークライフバランスの実現
バーチャルチームは、社員のワークライフバランスの実現にも繋がると期待できます。自宅で業務を行うため、長時間の通勤から解放され、自身の自由時間を増やすことができます。また、子どもの学校の送り迎えや、介護の必要がある家族と暮らしている人でも、柔軟な働き方が可能です。
本来の業務への集中による生産性向上
各社員がITツールを使用して業務を行うため、集中力を高めて生産性が向上するメリットもあります。オフィスで作業をする際にありがちなお喋りや、本来の業務以外の雑用を任されることもなくなり、周囲に気を使うことなく自身が集中できる環境で働けます。
03バーチャルチームの克服するべきデメリット
バーチャルチームには、克服するべきデメリットもあります。ここでは、3つのポイントを解説します。
そ場にいる人にちょっとした相談ができない
バーチャルチームは、基本的に自宅で一人で仕事をしているため、わからないことがあるときなど、その場にいる人にちょっとした相談ができないことがデメリットになります。また、直属の上司と勤務時間にズレがあり、不安に感じるケースも考えられます。 それで、社員が安心して業務を遂行できるよう、チャットツールなどを導入して、いつでも質問できるようにすると良いでしょう。また、わからないことを自力で解決できるよう、社内FAQなど情報共有のツールの導入も検討できるでしょう。
メンバーの様子が表情から汲み取れない
オンラインで繋がるメンバーとは、業務中の様子が表情から汲み取れないデメリットもあります。顔と顔を合わせることがないため、コミュニケーションの質が低くなり、理解の共有や感情面のフォローが難しくなることも考えられます。 コミュニケーションの前提不足、誤解、遅延が起こりやすいデメリットもあるため、事前にルールを徹底することや、顔合わせの機会を設けて信頼関係を築くなどの対策が必要になるでしょう。
メンバーの適切な評価が難しい
メンバーば離れた場所で業務を行っているため、オンサイトチームのようなイベントやアクティビティを行うのが困難となり、自身が評価されていないという不安から孤独を感じることも考えられます。 チャットツールなどで日頃から業務への感謝を表現することに加えて、実際に顔を合わせる機会を設けたり、賞品や特典を用意するコンテストを開催したりして、メンバーが適切に評価されていると感じられる環境づくりを検討できるでしょう。
04バーチャルチームを成功させるために必要な知識やスキル
バーチャルチームの課題となるデメリットを補うために、プロジェクトを成功させるために必要な知識やスキルを身につけるようにしましょう。ここでは、個人レベルと組織レベルに分けて、必要な知識やスキルについてまとめます。
個人レベルで必要な知識やスキル
バーチャルチームに必要な知識やスキルとして、以下の5つのポイントを解説します。
セルフマネジメント
上司や同僚の目のないところで一人で業務に取り組むには、セルフマネジメントが必要です。自ら目標を立てて達成すること、適切な行動への動機づけを行うことで、業務効率や生産性を高めることができるでしょう。
コミュニケーション
適切なツールや手段を選んで、メンバーや上司とのコミュニケーションスキルを高める必要があります。直接顔を合わせることがないため、聞き返しによる時間のロスや誤解を防ぐため、適切な言葉で用件を伝えなければなりません。また、メンバーの言いたいことを察知して理解するスキルも大切なポイントです。
信頼の構築
お互いが見えないからこそ、メンバー同士の信頼の構築が必要不可欠になります。仕事に対する責任感や相互依存性などをベースにして、行動により信頼を築くようにしましょう。これには、チャットやメールをきちんと返信することや、ビデオ会議での参加姿勢など、普段の小さな行為の繰り返しも含まれます。
ITリテラシー
ITツールを活用した業務において、各メンバーにはITリテラシーも求められます。ネットワークやセキュリティに関する正しい知識を理解し、機密情報の漏洩や、SNS上での投稿が炎上し企業のイメージダウンに繋がる事態を防止する必要があります。
文化差への気遣い
グローバルな人材でバーチャルチームが構成されている場合は、文化差への気遣いも必要です。世代や家族構成だけでなく、時差や言語、宗教の違いによりコミュニケーションの制約が生じることも考えられます。特に、チームリーダーには、メンバーのライフスタイルやワークスタイルへの関心と、メンバーのリズムに合わせた対応が必要になるでしょう。
チームレベルで必要な知識やスキル
チームレベルで必要な知識やスキルは以下の4点です。
チームの目的や規範の確立
バーチャルチームの立ち上げに伴い、目的やルールを明確にしてメンバーの合意を得る必要があります。また、指示や規範を明確にしてメンバーが理解した上で業務を遂行できるようにします。情報共有の方法やタスクの優先順位も明確にします。
チームの問題解決や葛藤への対処
バーチャルチームにおいても、問題や葛藤が生じる場合があるため、それらを解決するための対処力や交渉力が必要となるでしょう。また、早い段階での気づきにより、問題や葛藤が大きくならないうちに摘み取ることも大切なポイントです。
チーム学習
チーム内で相互に学び合う環境を作ることも大切です。わからないことや困ったことを気軽に相談できる環境を作り、問題解決のヒントとなる情報を共有するようにしましょう。学習体験の共有により、メンバー同士が刺激を与え合い、強いチーム作りに貢献できます。
業務を超えた関係性の構築
業務を超えた関係性の構築も、バーチャルチームを成功させるために重要なポイントとなります。それで、チームビルディング会議や直接顔を合わせる機会を作るなど、関係性の構築の取り組みを検討できるでしょう。
05バーチャルチームの導入事例
最後に、バーチャルチームの導入事例を紹介します。
株式会社ニット
世界中から集まる約400名のメンバーがリモートワークを行っています。チーム制を取り入れ、1つのタスクを複数のメンバーで担当することで、コミュニケーションの減少や業務の属人化を防ぐようにしています。また、タスクの見える化で、チームがフォローし合って良い関係を築くよう取り組みを行っています。社長自ら「1日1褒め」を心がけて、メンバーとのコミュニケーションを大切にしている点も参考になります。
株式会社GA technologies
インナーコミュニケーションで社員同士が知り合い、交流する機会を設けています。特に力を入れているのが、社内報の「GA NEWS NETWORK(GNN)」です。年間約5万PVを誇る「GNN」では、社員一人ひとりにフォーカスした社員名鑑を作成し、チーム外の社員も知る機会を作っています。また、「GNN」に1年間アクセスしていない社員にはモチベーションの状況を上長にヒアリングして、モチベーション低下防止の取り組みも行っています。
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06まとめ
バーチャルチームのメリットや、成功させるために個人またはチームとして必要な知識とスキルをまとめました。企業のグローバル化やコロナ渦の影響、「働き方改革」への取り組みなどで、テレワークの導入はこれからも増加すると考えられます。バーチャルチームがスムーズに機能するためにも、必要なスキルを磨く機会を今から作っておくのは大切なポイントだと言えるでしょう。