組織行動論とは?主なテーマや高める方法について解説する
組織構築において、組織行動論が注目されています。なぜ、組織行動論が企業において有効な概念なのでしょうか。本記事では、組織行動論の概念やそのテーマについて解説しています。今後の組織構築における手法として、ぜひ活用していきましょう。
- 01.組織行動論とは
- 02.組織行動論のテーマ
- 03.組織行動論を取り入れるメリット
- 04.組織行動論の具体例1|モチベーション理論
- 05.組織行動論の具体例2|リーダーシップ理論
- 06.組織行動論を高める方法
- 07.まとめ
01組織行動論とは
「組織行動論」とは組織における人間の行動を調べ体系的に研究する学問を指します。人の行動を通して、行動した結果だけでなく、行動を起こした要因を明らかします。そこから人を正しく行動させる方法や、組織の動かし方について検討していくことです。具体的な例では、新しい人材の参加により、部署の雰囲気に変化が起きるなどの事象が起きた場合に、その雰囲気が変わった要因を人間の行動を分析します。そして、よりよい方向へ導くヒントを具体化していきます。組織の成長のために行動を分析していくことが組織行動論だと理解しましょう。
組織行動論の目的
企業において組織行動論を用いる目的は、組織で業務に従事している人の行動や考え方を理解することです。業務に従事している人とは、上司や同僚、部下を始め短期間労働者やアルバイトなど、業務を行っているすべての人を示します。業務を行う上で、どうしてそのような行動を取るかを理解することは、一緒に働く上で相手の意図を理解するためにも重要です。相手を理解し、相手と共に業務を円滑に行うことで、より業務のしやすさや成果をを期待できます。このように、実際に日常で行っていることを学問として整理しているのが組織行動論となります。
02組織行動論のテーマ
組織行動論を整理する上では、3つテーマをもとに実践していきます。この3つのテーマで相手の行動を分析することで、より理解しやすくなります。実際には、この3つのテーマの中でどれかに重きをおいて、組織に影響を与える行動の原因や結果について調べていくことになります。
説明
組織行動論における説明とは、組織の成功や失敗がどうしておきたか、その原因や要因を分析することです。その分析を通して、潜在的な問題、潜在的な課題を発見し、それらの解決策を導く(明らかにする)ことを意味しています。説明により潜在的な課題を発見した場合には、それに至る行動の背景までを精査することで、行動の抑制や是正、発展につなげていくことが可能になります。
予測
組織行動論における予測とは、ある特定の人物がかかわることにより、組織への影響度合いを分析することです。新入社員や中途社員などの新しいメンバー、人事異動などの影響で組織がどう変っていくか、どういう影響をもたらすかを予測し結果を調べていきます。人材の配置を検討する際などに用いられ、良い影響をあたえ結果を残せる組織づくりを行う際に有効なテーマになります。
統制
組織行動論における分析、研究した結果をもとに、組織が正しい方向へ動き、良い結果を残せるように働きかけることです。説明や予測の結果をもとにする場合も多く、潜在的な人間関係なども意識した分析を行う必要があります。組織行動論においては、統制が最も難しいと言われており、さまざまな角度での分析をもとに実施をする点に注意が必要です。
03組織行動論を取り入れるメリット
次に、組織行動論を取り入れるメリットについて解説します。組織行動論を用いることで、具体的なメリットを理解し自社において取り入れるべき理論であるかを検討する材料にしてください。組織行動論を取り入れる際には、事前に準備が必要な点を踏まえ、メリットの内容についてもよく吟味をする必要があると理解しておきましょう。
組織力の向上
組織行動論の目的である、「組織で従事する人の行動や考え方を理解すること」は、目標達成に向けたベクトルを合わせたり、組織力の向上に向けた働きかけに有効です。組織力が向上することができれば、目標達成に向けた協力体制の構築やモチベ―ションの維持に有効です。このように、組織行動論を用いることで組織力全体の底上げが可能です。
包括的視点で物事を把握できる
行動や考え方の理解が促進されるだけではなく、その原因や結果予測ができることができれば、小さな視点ではなく包括的視点で物事の把握が可能になります。人の行動や考え方の全てを把握するということではなく、大きな傾向がわかれば、それをもとにどのようなアプローチが有効であるのか、どうすれば目標達成が可能になるかを推測することができます。
多角的視点での業務分析力が高まる
ミスが起きた場合には、どうしてそのミスが起きたのかを分析していくことが必要です。組織行動論を用いた場合には、どうしてそのミスを起こす行動に至ったかを把握することが可能になり、業務分析がしやすくなります。業務分析を行う際には端的な視点ではなく、人の行動や考え方を理解する多角的な視点を持つことが重要です。
04組織行動論の具体例1|モチベーション理論
組織行動論のひとつがモチベーション理論です。正しい行動へ進むための原動力が人間には必要であり、その考え方には自発的な「ドライブタイプ」と受動的な「インセンティブタイプ」があります。人によっては自発的、受動的が有効であるかが異なる点にも注意し、個人に合わせたアプローチが必要です。
ドライブタイプ
ドライブタイプとは、「個人」の気持ちで行動に動くタイプのことです。向上心や好奇心、探求心などがモチベーションの原動力になります。自身の内側から湧いたエネルギーが原動力となるため「内的動機づけ」と呼ばれることもあります。相手の得意としていることや、仕事で果たしたい目標をもとに、それを叶えるマネジメントが有効です。そのためには、メンバーの気持ちを理解しサポートしすることが有効です。
インセンティブタイプ
インセンティブタイプは「報酬や条件」が行動の原動力になります。社内での評価、給料や恵まれた労働環境などがこれに当てはまります。ドライブタイプの内的動機付けに対して、外的動機づけと呼ばれます。インセンティブタイプには、労働環境の整備、公平な評価制度の導入などが有効な施策になります。
05組織行動論の具体例2|リーダーシップ理論
次にリーダーシップ理論です。組織の目標達成や成功のために、リーダーがどう動くべきかを研究し正しい行動とは何かを理解していきます。目標達成のためには、正しくメンバーを指導し結果を導く必要があります。個人に信頼され個人を動かすリーダーを育てていく上で必要な概念になります。
オーセンティック・リーダーシップ
自身の考えをベースにチームを引っ張るタイプが、「オーセンティック・リーダーシップ」です。リーダー自身の中に確固たる考えが「自分について来てほしい」「自分と一緒に目標達成してほしい」という強い感情を生みます。このタイプは、倫理観を重要視し協調性を大事にする傾向にあります。正しい組織には、自分自身の確固たる目標や信条が必要と考えます。
サーバント・リーダーシップ
組織を引っ張るよりも、メンバーと協力し助けあうことに重点をおいているのが「サーバント・リーダーシップ」です。立場ではなく、メンバーと一緒になって目標へ向かっていくことを信条とします。常に相手の気持ちに寄り添い、ともに考え、工夫することが大切だと考えます。正しい組織には、リーダーとメンバーの信頼関係が最も大切だと考えていくと理解しましょう。
06組織行動論を高める方法
最後に、組織行動論を高める方法について解説していきます。組織行動論が有効であることを理解した上で、導入する際には、その効果をより高める方法について理解し実施していきましょう。効果を高める方法は、一つよりも複数を組み合わせて行うことがより有効です。その点もふまえて検討していきましょう。
職場環境の整備
職場環境の整備をすることは、多くの業務従事者の満足度を向上させる施策の1つです。整備された環境で働くことは、従業員の満足度を向上させるだけではなく退職率の低下など、企業が抱える経営課題の解決にも有効です。組織行動論を高める上で、人材の充足感やエンゲージメントを向上させることは非常に重要なことがわかるでしょう。
成功体験の蓄積
成功体験の蓄積は、従業員の自信とやる気に直結します。成功体験を通して、自信がつくことで、より良い行動がその後も積み重ねられるようになります。一度、成功したらもう一度成功したい、評価されたいと考えるようになり、行動が変化すると周囲を巻き込むなど組織内の変化も期待できるでしょう。このように、成功体験の蓄積は、組織行動理論の中でも大切な要素であると言え、組織行動理論の中に取り込みたい概念です。
目標設定と理解度の向上
組織行動理論の中でも、明確な目標を設定し理解した場合と、そうでない場合の行動の変化は顕著です。明確な目標の設定は、人の行動を明確に定めて実施できる要素になります。また、その目標に対する意志の決定は考え方も統一化することにつながります。このように、目標が定まることは人の行動を統一化するだけではなく、自分がどのような結果を期待されるかを理解することになり、組織全体の方向性合わせを実現します。
マネジメント力の強化
最後に、マネジメント力の強化です。組織行動理論を展開する上では、その組織を運営する者のマネジメント力が欠かせません。組織行動理論で分析することは、決して他人のことだけではなく自分自身のことでもあります。マネジメントを行う上で必要な力とは、他人の管理だけではなく自分自身の行動や考え方の理解も必要だと考えておきましょう。
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07まとめ
本記事は、組織行動理論について考え方や向上する方法に関して解説しています。組織行動理論は、組織の活性化やベクトル合わせを行う上でも活用できる考え方です。企業成長を実現するためには、こうした概念を理解し活用することで、スピード感ある対応を心がけていきましょう。
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1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。