コンセンサスゲームとは?ビジネスマンに必要な力を楽しんで学べる研修の特徴を解説
コンセンサスゲームは、研修などでよく用いられる合意を得るプロセスを重視するゲームの一種です。 コンセンサスゲームに取り組むことで、ビジネスマンに必要とされている関係者との合意を得る力、コミュニケーションスキルやチームビルディング力などが身につくと言われています。 当記事ではコンセンサスゲームについて、概要から注意点、また実際に実施されているコンセンサスゲームの実例などを踏まえて紹介していきます。
- 01.コンセンサスゲームとは
- 02.コンセンサスゲームの流れ
- 03.コンセンサスゲームを実施する背景
- 04.コンセンサスゲームを行うときの注意点
- 05.コンセンサスゲームの実例とは
- 06.まとめ
01コンセンサスゲームとは
コンセンサスゲームには色々な種類がありますが、最も有名なのは、アメリカの社会心理学者ジェイ・ホール博士が1970年代のアポロ計画をもとに考案したNASAゲームです。 一見ビジネスに無関係な突拍子もない場面などが課題として出ることが多くなっています。
コンセンサスゲームの目的
ビジネスマンの基礎ともいえる、グループで考え協力することの大切さを学ぶ コンセンサスゲームは、グループで協力して導き出した答えは、個人で考えた答えよりも優れていることが多い。といったコンセプトで作られています。 三人寄れば文殊の知恵とも言いますし、組織は基本的に協同作業です。 そういった意味でもコンセンサスゲームは組織研修として優れていると言えるでしょう。
02コンセンサスゲームの流れ
コンセンサスゲームを実際に行うにあたり、人数規模にもよりますが1グループ4名~8名ほどに分けることができたら、後は問題を用意し各々で確認の上、課題を実行してもらうだけです。 また、人数を分ける際に社内などの場合は親しい人だけで固まらないように配慮などを行ってください。 それでは具体的な流れに移っていきます。
自分の考えをまとめる
まずは個人ワークで検討を行う コンセンサスゲームでは色々な問題がありますが、最初にすべきことは自分だったらどうするかを考えることです。 その際に、何故考えたのかまで説明を行えるようにしておきましょう。
グループディスカッションを行う
グループで意見をぶつけ合う コンセンサスゲームでは個人ワークが終わった後は必ずグループでの討議の時間に入ります。 ここでは、自分がどうしたかと、何故そうしたかの理由を発表していきます。 そして他のメンバーも同様に発表を行っていきます。
意見の発表を行う
最終的にチームとしての発表を行う コンセンサスゲームでは最後にグループディスカッションとしての結果を発表します。 その名が示すように、コンセンサス、つまり合意が取れているかが非常に大事になります。 ゲームとして答えが決まっているものもありますが、答えが不定のものもありますのでどういう過程でコンセンサスを取っていったかなども重要視されます。
03コンセンサスゲームを実施する背景
コンセンサスゲームは、コミュニケーションを取りながら個人の考えだけではなくグループの考えとして合意を得るプロセスを重視するゲームです。 そんなコンセンサスゲームを企業が活用できる場面として、本項目では代表的な2種の場面の説明を行います。
新規採用としての利用
人となりの判断ができる コンセンサスゲームに参加する姿勢を見て、その人がどんな人なのかを判断することが可能です。 自分の意見ばかり主張していないか、他の人の意見を引き出そうとしているかなどでコミュニケーション力を。 意見の説明をする際に理由を端的に解りやすく説明ができているかなどで、思考力を伺うことができます。 あくまで一例ですが、通常の面接での対応よりもより実践的なその人の性質が理解できると言えるでしょう。
現場研修としての利用
コミュニケーション量の増加や、アイスブレイクに用いる コンセンサスゲームは導入研修や、別部署との合同研修などに用いられることが多いです。特に日程が複数ある場合は初日に行うことで以降の研修の効果を引き上げる効果が期待されます。 理由として、コンセンサスゲームの種類にもよりますが単純に話すことにより会話量が増え、以降の心理的なハードルが下がるという点と、考え方を知ることでその人への理解が促進されることなどが上げられます。
04コンセンサスゲームを行うときの注意点
コンセンサスゲームを実施するうえで、気を付けなければいけない注意点がいくつかあります。 これらは、実施を行う前に進行役の方が事前ルールとして説明を行うことでより効果的に研修を行えますので詳細を見ていきましょう。
否定しない
相手の意見をまずは受け止めましょう。 コンセンサスゲームではゲームの特性上自分の意見を通したくなる場面などが訪れます。 その時に、自分に対して都合の悪い意見も出てくるのですがそれを頭ごなしに否定していては、話が進みませんし相手も嫌な気持ちになり発言をしなくなってしまいます。 相手が何故そう思ったのかをまず受け止めてから、意見を変更するか主張を通すかを決めディスカッションを行うよう促しましょう。
共同の目的意識を持つ
合意形成を行うことがゴールです。 コンセンサスゲームのゴールは、名前の通りコンセンサスを取ることです。 人は前提になる情報とその解釈、目的、価値観の相違があると、合意形成を行うことができないと言われています。 まずはゲームを行う際に、皆と合意形成を行うことがゴールという目標を正しく伝達するだけで、皆がゲームに参加しやすくなる環境が作れます。
最終的に皆で納得する
間違っていたとしても、チームで出した答えが正解です。 コンセンサスゲームをやる上で一番大切ですが、一番難しいのが本項目になります。 時間制限もある中、グループディスカッションが白熱してしまい時間が足りずに曖昧に決まってしまう項目や、多数決などで決定してしまう項目などもきっとあるでしょう。 そうならない為にも、上記のような状況にならないよう進行役の方は時間管理を正しく行いペース配分を行うとともに、多数決にならないよう釘を刺すことも大切です。
05コンセンサスゲームの実例とは
本項目では具体的なコンセンサスゲームをご紹介していきます。 コンセンサスゲームは非常に色々な種類があり、ここでご紹介するものは一番有名なものになります。
月で遭難したら?優先順位の決定
コンセンサスゲームの決定版、最も有名なNASAゲームです。 ゲームでは設定された状況、用意されたアイテムから重要となるものの重要度合を1~15の順位付けを行います。 設定状況は、以下です。
月面への母船に着陸をしようとしたが故障で距離が離れた場所へ不時着し、その衝撃で宇宙船は故障してしまいました。宇宙船に残された道具の中から、優先順位をつけ、母船に帰還しましょう。 残された道具は、水や宇宙食といった食料から、酸素ボンベなどのいかにも必要そうなものから、45口径銃2丁などの用途を考えそうなものまで幅広く15種用意されています。
このNASAゲームには、NASAの正式回答があり、NASAの選んだ順位との差分を合計し、0~70点で0に近い方が優秀となります。 回答が用意されているものの、点数ではなく何故メンバーはその優先順位にしたのかといった点に着目しましょう。 優先順位の違いは、前提になる情報とその解釈、目的、価値観から生まれます。 その違いを理解し受け入れ、よりよい回答をチームで導き出すのがコンセンサスゲームの狙いです。
船が衝突したら?行動順位の決定
続いてのコンセンサスゲームは、行動の目的に焦点をあてた船長の判断を紹介します。 ゲームでは設定された状況から、どう行動すべきかの順番を1~10まで選定します。 設定状況は、以下です。
貴方は旅客船の船長です。航海中に視界が悪くなり、別の船と衝突してしまいます。 貴方は船長として適切な処置を行う必要があります。 処置の順位付けを行い、船長としての責務を全うしてください。 行うべき処置は、非常通知やSOS、別の船の救助から音楽をかけるなど様々です。
このゲームにも回答が用意されていますが、重要視すべきは点数ではなく、何故その順番で行動するのかの確認です。 このコンセンサスゲームは、緊急時対応ということで船の衝突にしていますが火災などに置き換えることで職場の防災訓練的な意味合いを含むことも可能です。
誰が悪い?価値観の共有
最後にご紹介するコンセンサスゲームは、価値観に焦点をあてた聖夜のケーキ店です。 このゲームでは、登場人物が3名登場し、誰が悪いのか?を考えていきます。 設定状況は以下です。
クリスマスにケーキを200個作ってほしいオーナー、しかし店長は毎年オーナーの進言を無視して400個作ります。そのため、オーナーは売れ残ったら店長と店員の給料から天引きすると伝えていました。 クリスマスの当日に店長は400個作ると張り切っています。店員はオーナーの言葉を伝えるも店長はいうことを聞かず400個作り、結局200個しか売れずに給料から天引きされてしまいました。後日店長は、店員に謝罪し天引きされた給料を補填しました。
このコンセンサスゲームには答えがありません。そのため、各々の価値観がとても強く出ます。答えが出ないため、もやもやする可能性もありますが、上手に行えばお互いの価値観を共有し理解しあえるため、コミュニケーション力は強化されるでしょう。
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06まとめ
コンセンサスゲームを行う目的や背景、注意点や実例などについて解説してきました。 コンセンサスゲームを行うことで、ビジネスマンに必要とされている力を楽しく学ぶことができます。 コンセンサスゲームは、進行役の方の経験が必要にはなりますが、慣れてしまえば受講者の自主性に任せることができる研修です。 また、内容としてもとても面白く楽しめる研修になっていますので是非参考にしていただき実践してみていただければ幸いです。