公開日:2021/12/02
更新日:2022/12/19

米空軍発祥のOODAループとは?構成する要素や導入するメリットを解説

米空軍発祥のOODAループとは?構成する要素や導入するメリットを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

OODAは近年注目されている意思決定のフレームワークの一つです。 不確実性の高いVUCAの時代とも言われるような、将来を予測することが困難な変化の激しい昨今において注目されています。 OODAは意思決定の速度を上げるという点で、より実践的な現場に即していると言えます。 当記事ではOODAについて、どのようなフレームワークなのか。 また、どんな時に用いるべきなどを踏まえて紹介していきます。

 

01OODAとは

OODAとは、Observe(観察)・Orient(状況判断)・Decide(意思決定)・Act(実行)の頭文字を取ったものです。アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐により提唱され、 元々は空軍での実践的な理論でしたが、古くは孫子の兵法や、宮本武蔵の五輪書まで通じる内容があり、その汎用性の高さから一般理論にまで通用するといわれています。 また、通常呼称される場合はOODAループと言われます。

OODAループとは

OODAを利用することを、一般的にOODAループと呼びます。 PDCAサイクルと比較されることも多いOODAループですが、OODAループはなんといっても、改善までの意思決定の速さが特徴的です。 迅速かつ、正しい意思決定を行うためにも、是非OODAループを有効活用していきましょう。

 

02PDCAとの違い

OODAと似た言葉として、PDCAが挙げられます。PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字をとったもので、これら4つを継続的に実施していくことで、スキルや能力、業務などを改善する方法です。PDCAは、Plan・Do・Check・Actionの順にサイクルを回しながら改善に向かっていくため、PDCAサイクルと呼ばれています。PDCAサイクルはPlanに基づき、1周するのに対して、OODAループは、必要に応じて途中で前の箇所に戻ることができるのが主な違いです。そのため、PDCAサイクルと比較して、OODAループは変化に対応しやすく、改善のスピードが早いことが特徴です。

 

03OODAの主な手順とは

OODAとは、Observe(観察する)、Orient(情勢判断)、Decide(意思決定)、Act(行動) この4種の頭文字をとった略称となります。特徴として、空軍での実践的な理論から生まれたというように能動的な手順になっています。それぞれの手順がどのようなものなのか、4種の項目にわけて詳細を説明していきます。

観察

OODAの最初の項目として、Observe(観察)は、対象(人・事象・市場)の状態を観察し、情報を集めることです。 まずは今置かれている状況を正しく認識するため、現状把握をおこないます。その際に先入観が強い場合、情報を正確に集めることが困難になるため、できるだけフラットに幅広く情報を収集するよう心がけましょう。可能であれば、第三者的立場の人に情報収集を頼めるとより客観的に整理ができます。どのようなアクションをすべきかを決める上で重要な項目となるため、俯瞰して整理することが重要です。

状況判断

状況判断OODAの2番目の項目であるOrient(情勢判断)は、観察で集めた情報から、自分たちのおかれている現状を理解し、仮説を構築します。 本項目がOODAループの中でも最も肝要な箇所になります。自分たちの価値観や判断基準を基に、得られた情報から何をどうすべきかなどの仮説構築を行います。 ここでは一つの項目に縛るといった必要などはなく、集めた情報から良いと思われるものを幅広く検討していきましょう。

意思決定

意思決定OODAの3番目の項目として、Decide(意思決定)があります。構築した仮説から、どれを実行すべきかを選択します。 仮説構築が終わったら、その仮説の中でどれを行うのが一番自分たちのためになるのかを検討していきます。 OODAの最大の特徴でもある迅速な意思決定にもあるように、前段階の、観察、状況判断の準備が正しくできている場合、あまり悩むことなくアクションプランを決定することができます。 しかし、ここで詰まってしまった場合は前段の情報が不足している状況のため、観察に戻ることもあります。

行動

行動OODAの最終項目として、決定した仮説を実行に移す「Act(行動)」があります。 観察し、判断し、決定し、行動を行い、その行動の結果を振り返りまた観察していくという流れを繰り返します。これらがOODAの基本的な流れになり、OODAループと呼ばれるものです。

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【関連記事】OODAループ思考入門

 

04OODAループのメリット

OODAループはビジネスの経営層の判断から、現場での判断まで幅広く用いることが可能です。正しく理解し用いることで業務の意思決定をより素早く行えます。 本項目ではOODAループを用いる際の特徴的なメリットを3選、絞ってお伝えしていきます。

1.変化に柔軟で強い

OODAを用いるメリットの1つとして、計画までが早いため、手戻りなどの影響が少ないことが挙げられます。観察して、判断するため事前の入念な計画などが不要となり、仮説構築まで素早く実行できるのです。 この素早いというのが非常に大切で、変化が激しい業態や、トラブル対応など、入念に計画を立てていてはそもそも間に合わない状況などに適しています。 仮に、仮説が間違えていた場合でも、再度の観察、状況判断から素早く立て直せるため、変化にも柔軟に対応できるのはメリットの一つと言えるでしょう

2.素早い意思決定ができる

OODAは実行のための手順が短いため、素早く行動ができることもメリットです。 OODAは、PDCAのように事前の調査を入念におこなうのではなく、対面する状況下を観察、そこで意思決定、取捨選択したうえで実行するアクションを選定します。そのため、柔軟性が求められる状況ではもちろんのこと、目の前の状況に合わせた適切な行動を適宜選択することができます。

3.個人の裁量が増える

OODAでは、現場の判断力を重視するため、裁量が増えていきます。OODAループで大切なのは意思決定までの早さです。 意思決定を行う際に、上司や周囲への確認、実行への合意などを行っていては折角の意思決定の速さが無駄になってしまう可能性があります。それらを防ぐためにも、担当者へはある程度の裁量が与えられることが多いです。 OODAループを上手く回していくためには実行者にある程度の裁量を与える必要があり、裁量を与えることにより、より社員が組織のことを自分のこととして考えるようになります。

 

05OODAループのデメリット

OODAループは、変化への柔軟性の高さや意思決定の速さといったメリットがありますが、デメリットもあります。次では、主なデメリットについて解説していくので、OODAループを取り入れる際に注意するべきポイントを押さえていきましょう。

1.観察・判断の精度によっては失敗確率が高くなる

OODAループは置かれている状況を観察したうえで意思決定をおこないアクションしていきます。PDCAと異なり、入念に調査をおこなったり、振り返りをおこなうわけではないので、最初の観察を見誤ると「間違った結果に向かってアクションを起こしている」という状態に陥ってしまいます。

2.計画策定時には向かない

先ほど解説したようにOODAループは仮説を策定したうえでアクションを起こしていきます。そのため、結果が見えづらい新規事業や起業などで何か行動を起こす際には適していますが、中長期的な計画を策定する際は、結果を確認しながら試行錯誤していくPDCAの方が向いていると言えます。

 

06OODAループを用いる際の注意点

OODAループは優れた意思決定のフレームワークではありますが、なんにでも使える万能なフレームワークというわけではありません。 ここではOODAループを実際に利用する際に留意しておきたい注意点を2点説明します。

ルーティン業務への不向き

ルーティン業務はその名の通り繰り返し業務や、定期的な業務のことを指します。OODAループの最大の特徴は迅速な意思決定にありますが、繰り返し業務などのある程度型化されてしまっている業務などの場合は安定しているため、迅速な意思決定が必要とされる場面が少ないといえるでしょう。 これらの業務に関してはOODAループは不向きと言えます。

長期的な目線の欠如

OODAループは、現状況を観察し状況判断を行います。 状況観察の段階で未来の情報や環境なども正しく推測することが出来れば問題はありませんが、大抵の場合は素早い情報収集のために現状と少し先の範囲に留まる可能性が高いため、長期的な計画に用いる場合は注意が必要です。 状況観察が完璧にできていれば問題はありませんが、OODAループを用いる場合は突発的な状況などで素早く判断したい状況が主となるため、あまり観察に時間をかけていられない場合も多々あります。 素早いがゆえに、やや短期的な目線になる可能性が高いことは抑えておきましょう。

不確定要素への対応

PDCAと比較すると、OODAは不確実性への対応がしやすいという利点があります。 PDCAサイクルは、Plan(計画)を入念に立てるため、そのPlanの前提が崩れてしまうとその後のサイクルが成り立たず、もう一度計画に戻る、または計画を改善したうえで修正をこなうこととなります。 それに比べ、OODAは現状把握をしながら、適切な行動を選択するものとなるため、想定しない状況が発生した場合も対応がしやすいといえます。 また連続的にサイクルを回していく場合においても、OODAループは、変化が発生した場合に、観察、状況判断、また観察と柔軟に対応を行うため、一定期間に取り組むプロジェクトなどにおいても、立て直しや軌道修正を行いやすいといった利点があります。


 

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07まとめ

本記事では、OODAの概要からOODAループの活用について説明しました。 OODAループとPDCAサイクル、よく比較されることが多い両者ですがそれぞれの特徴と良さがあります。 マクロな視点で捉えるのがPDCAサイクル、ミクロな視点で捉えるのがOODAループといっても問題ないでしょう。 どちらが優れたフレームワークではなく、最適なフレームワークを選ぶことが大切です。 特性や違いを理解した上で、OODAループを有効活用していきましょう。

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