公開日:2021/12/02
更新日:2024/03/24

企業風土とは?会社にもたらす影響や改革する際のポイントを解説

企業風土とは?会社にもたらす影響や改革する際のポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業風土とは、会社で働く人の気質や文化に影響を及ぼす、その企業特有の環境を指し、目には見えないながらも、会社へ大きな影響をもたらす重要な概念です。本記事では、企業風土について具体例や混同されがちな言葉との違いを挙げながら解説するとともに、その改革を目指す際のポイントについてご紹介します。

 

01企業風土とは

企業風土とは、「そこで働く人の気質や文化に影響を及ぼす、その企業特有の環境」のことを指します。ただ、厳密な定義があるわけではなく、実際に使われる場合は環境だけでなく、それによって醸成された社員の行動様式や価値観、暗黙のルールなどを含めて指すことが多いようです。

企業風土と企業文化の違いとは

企業風土と似た言葉として、「企業文化」があります。同じような文脈で使われることが多いため混同されることもあるのですが、企業風土が環境によって自然に形成されるものであるのに対し、企業文化は企業理念に則って導入された制度や、社員に対して行われる人材育成によって形作られた結果としての価値観を指します。つまり、企業風土のほうがより自然発生的でコントロールが難しく、企業文化は企業の理念や戦略に沿ってある程度デザインが可能なものであると言えます。

企業風土と社風の違いとは

社風も、企業風土と似通ったニュアンスで使われることが多い言葉です。就職活動の際にもよく聞く言葉ですね。こちらは企業風土や企業文化によって醸成される、企業の「雰囲気」と理解するとよいでしょう。企業風土も社風も自然発生的なものですが、企業風土は長年の企業活動によって少しずつ蓄積されるものであり、社員が自覚を持っていないことも多くあります。対して社風は「そこで働く人がどう感じているか」がベースとなるのが大きな違いです。

 

02企業風土を構成する要素とは

ハード的要素

企業風土を構成するハード的要素は、企業内で明文化された考え方・ルールのことを指します。具体的には、下記などが代表的な例です。

  • ・企業理念
  • ・社是・社訓
  • ・経営計画
  • ・人事制度
  • ・組織体制

社員はこれらの理念や方針、規則に沿って業務を遂行する中で、自然とその価値観や行動に対して影響を受けていくことになります。

ソフト的要素

企業風土を構成するソフト的要素は、そこで働く人の関係性や価値観といった、目視することができないものを指します。例えば、下記などが該当します。

  • ・職場内の人間関係
  • ・従業員エンゲージメント
  • ・明文化されていない暗黙のルール
  • ・社員の価値観や行動様式

これらは独立しているものではなく、相互に影響を与えあい、多くの場合はその結果さらに強固なものとして確立されていきます。悪い例で言えば、人間関係が悪い職場の従業員満足度(エンゲージメント)が下がり、心の余裕がなくなった結果更に人間関係が悪くなる、といったようなケースです。 社員ひとりひとりに内面化されているため、変えることが難しい要素です。

 

03企業風土が及ぼす影響とは

さまざまな要素から構成される企業風土は、その有り方によって良くも悪くも企業へ大きな影響を与えることとなります。どのような影響があるのか、それぞれ解説します。

社員の心理面や行動へ与える影響

同じ環境で働き続けているうちに、社員が似通った行動様式をとるようになったり、その心理面へ影響を受けることがあります。その例のひとつとして、「人事評価制度の仕組み×職場のチームワーク力」の二つの軸が与える社員への影響を見てみましょう。 成果主義の傾向が強く、仕事の結果を重視して人事評価を行う企業の場合、社員同士が結果を競い合う行動様式を取る傾向があります。人間関係がよく、チームワークを重んじる環境であれば、互いに切磋琢磨し活気のある雰囲気となっていく可能性が高く、社員の向上心やモチベーションにもよい影響を与えるでしょう。しかしそうでない場合は、成果の出にくい業務や仕事のミスを押し付け合うような行動様式につながってしまうことがあります。このような環境では社員の感情面においても、イライラが募ったり他者への協調性が失われたりといったマイナスの影響が生じてしまいます。

企業全体の生産性や業績へ与える影響

生産性や業績の向上という、常に企業が追い求めるべき項目においても、企業風土がそれを左右することがあります。 例えば企業規模が大きく、意思決定がトップダウン型の企業を例に挙げましょう。このような企業においては、現場からの意見が通りにくい傾向があります。その結果として職場全体の業務改善に対するモチベーションが失われ、生産性が下がってしまうことがあります。また、上層部の顔色を伺う傾向が根付いてしまった結果、顧客の求めるものとは乖離した企業活動によって業績が低迷してしまうといった影響も考えられるでしょう。

株主や消費者等からの企業の社会的評価に与える影響

株主や消費者など、企業活動の上で重大な役割を持つ第三者からの社会的評価にも、企業風土は影響を与えます。 例えば、人事制度や組織構造、職場における風通しの悪さが、「ミスを許容せず、一度の不手際がその後の長きにわたってその人の評価に大きく影響を与える」ような企業風土を作り上げてしまった会社があると仮定します。そのような会社においては重大なミスであればあるほど報告が先送りされ、発覚した時には取り返しのつかない状況になっているようなことも考えられます。 時折、リコール隠しや粉飾決算といった企業の重大なコンプライアンス違反がニュースで報じられることがあります。当然、その企業の社会的評価は急落するわけですが、それはこのような企業風土が生んだひとつの結果として見ることもできるでしょう。

 

04企業風土の改革が必要となるケース

企業に対してよい影響、悪い影響の双方を与えうる企業風土ですが、次のような場合は、その改革を喫緊の課題とする必要があります。

業績低迷や離職者の増加

業績の低迷や離職者の増加は、企業が戦略的に採った選択肢によって一時的に起こることもあります。しかしそうではなく、漫然とそれらの現象が続いている場合は、企業風土による悪影響が原因となっている可能性が高いため、対応が必要です。

企業風土が企業戦略を阻害している

企業風土はそれまでの企業活動に伴って醸成されるものなので、企業戦略にフィットした形となっていることが多いものです。しかし、企業が新たに戦略を打ち出す場合、特に社員の行動様式や暗黙のルールといった無意識レベルで浸透している企業風土は急に変えることが難しく、阻害要因となってしまうことがあります。企業活動の方針を従来からがらりと変えるような場合は、企業風土の改革がセットであると考えてよいでしょう。

時代の変容に対応するための足かせとなっている

現状特に問題が見受けられない企業風土であっても、時代の変容へ適合するための足かせとなりうる場合は、改革を行う必要があります。 近年は特にVUCAと呼ばれる、環境が常に目まぐるしく変容し先の見通しを立てることが困難な時代へと突入し、企業は、そしてそれを構成する社員は、次々に起こる変化へ臨機応変に対応し強かに生き抜くことが必要です。それが難しいと思われるのならば、企業風土の改革に取り組む意義は十分にあります。

 

05企業風土の改革に挑戦する際の3つのヒント

変えることは簡単でないとされる企業風土ですが、実際にその改革に挑戦する際は何に注意すればよいのでしょうか。特に重要なポイントを3点紹介します。

時間と労力を要する取り組みとなることを認識する

長きにわたる企業活動の中で醸成されてきた企業風土を変えることは、人間でいうと自身の性格を変えることにあたり、非常に難しい挑戦です。改革に取り組もうとするメンバー自身の中にもそれまでの企業風土は確かに根付いているはずであり、それを自覚し自分自身が変容するところから始めなければなりません。 企業風土の改革においては、すぐに成果が出なくとも悲観せず、じっくりと腰を据えて取り組む粘り強い姿勢が必要です。

目指す姿を明確に設定し、社内での共通理解を得る

企業風土を改革しようとする場合、それを通じて実現したい企業のあり方があるはずです。ここで重要なのは、その目指す姿を平易な言葉で明確に設定し、社内でしっかりと合意をとること。経営層はもちろん、現場レベルまでの共通理解を得ることが必須です。 企業風土の改革過程では、社内の制度を大きく変え、社員の行動や意識の変革を狙うことになります。このとき、その変更が何を意図してのものなのか、それによって企業のあり方をどういうものにしたいのかということが伝わっているか否かで、効果は大きく変わってくるでしょう。

現場の「本音」を引き出す工夫をし、丁寧な現状分析を行う

さまざまな要素が複雑に絡み合って形成されている企業風土を目指す姿に近づけるためには、それらの要素を解きほぐし、実態を的確に把握することが必須となります。 組織風土の構成要素のうち、中期計画や制度といったハード的要素はわかりやすく、分析も比較的容易です。しかし暗黙のルールや社員の心理面、行動様式といった明文化されていないソフト的要素は目に見えないにもかかわらずより根深く、影響が大きいものであるため、地道で丁寧な現状把握が必要となります。ソフト的要素は社員が働く現場にこそ現れるものなので、組織診断ツールや無記名アンケートを用いるなど、社員の率直な本音を拾う工夫をしましょう。またその際、具体的な記載内容だけでなく、回答率や回答内容の傾向も重要なヒントとなります。例えば、同じく職場環境の不具合を指摘するコメントでも、建設的な意見が多いのか、単なる不平不満が多いのか、という傾向が見られることがあります。この傾向からは、社員の職場改善に対する当事者意識の度合いを測ることができるでしょう。


 

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06まとめ

企業風土は、その企業の外的環境や現在までのさまざまな選択、企業活動の積み重ねによって醸成されるものであり、一朝一夕に変えられるものではありません。 それだけに、望ましい企業風土を作り上げることができれば、非常によいサイクルを生み出すことが期待できます。意識的に振り返らないと自覚できないものでもあるので、自社の企業風土がどのようなものか、ぜひ一度自己点検をしてみてください。

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    ループス・コミュニケーションズ 代表取締役

    1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。

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