公開日:2022/01/21
更新日:2024/03/24

ダブルループ学習とは?シングルループとの違いやメリット、フレームワークを紹介

ダブルループ学習とは?シングルループとの違いやメリット、フレームワークを紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ダブルループ学習とは、枠組みを超えるために組織を上げて、根本的に改革を行うための組織学習です。本記事ではダブルループ学習が注目される背景やメリット、定着させるために必要な取り組みなどについて紹介します。これからダブルループ学習を導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

01ダブルループ学習

ダブルループ学習とは、アメリカ・ハーバード大学の名誉教授であったクリス・アージリスが提唱した学習法で、既存の枠組みを取り払うことで、これまで行ってきた行動や考え方にとらわれず、新しい行動や考え方を取り入れる学習プロセスを指します。過去の成功体験に縛られることなく、常に価値観を刷新していくため、組織が進化を遂げるために必要不可欠だと言われています。 ダブルループ学習を取り入れたとされるビジネスの変化には、次のような事例があります。 ・営業マンが訪問するスタイルから、EC サイトを開設しオンライン上での販売を始めた ・電話でアポを取るスタイルから、SNS広告やセミナーを活用した営業に切り替えた このように、今までの取り組みを客観的に見直し、問題の解決策を根本から変えていく手法です。

シングルループ学習との違い

ダブルループ学習と反対の意味を持つ言葉に「シングルループ学習」があり、2つの学習方法を合わせて「組織学習」と呼びます。シングルループ学習は、既に行われている方式や考え方に沿って問題を解決し、業務の効率を上げる方式です。シングルループ学習の方式でよく知られるのが「PDCAサイクル」であり、行動と結果という2つの行為を繰り返すため、シングルループと呼ばれるのです。 シングルループ学習で懸念されるのは、設定されている目的や目標が合っていない場合に、PDCAサイクルを何度繰り返しても効果が期待できない点です。また、軌道修正ができないため大きな変革を起こすのは難しく、急速な成長が見込めない・ 壁にぶつかっても乗り越えられないなどの点も、シングルループ学習の弱点と言えるでしょう。

 

02ダブルループ学習が注目される背景

シングルループ学習のみを進めている組織では、ダブルループ学習も並行して行っていくことで、両方の学習のメリットを享受できるようになります。ダブルループ学習で、幅広い選択肢があることを学び、シングルループ学習によって行動を起こすという流れです。 ダブルループ学習を平行して行いたいのは、次のような理由でダブルループ学習が注目されているためです。

社員の成長を促し組織の成長を図るため

ダブルループ学習は、既存の枠組みを取り払い、大きな変化を生み出すことができます。これにより社員の成長が見込め、組織の成長をも目指せるようになるのです。変化というのは、目に見える行動や結果のみならず、変化の過程の中で怒る精神的な成長も含まれています。 また、ダブルループ学習は壁にぶつかった時にもさまざまな解決策を考えるため、柔軟な発想が生まれます。この発想が、社員および組織の成長を大きく促すことも考えられるのです。

急激に変化する市場や競合に対応するため

企業を取り巻く現状は日々変化しており、過去の成功体験による固定観念を活用するシングルループ学習だけでは、変化に順応して生き残ることが徐々に難しくなっていきます。 ダブルループ学習の導入により、常に最新の価値観を構築し、企業が進化を続ける姿勢が必要不可欠なのです。

 

03ダブルループ学習のメリット

先に紹介したシングルループ学習が「改善」と表されるのに対して、ダブルループ学習は「改革」という意味が込められています。ダブルループ学習の実施で改革を進めることで、どのようなメリットが得られるのか、代表的なものを2つ紹介します。

前例や慣習にとらわれない問題解決の方法を考えられる

これまで紹介してきたように、ダブルループ学習の一般的な定義は、既存の枠にとらわれないという点が大きな特徴です。ダブルグループ学習を取り入れると、幅広い視点から問題解決の方法を考えられるようになります。 この効果から急激な売り上げアップが望める場合もあり、企業にとって見逃せないメリットではないでしょうか。

個人の成長速度がアップし競争優位性を高められる

個人レベルにおいても、ダブルループ学習の実行により、目標や条件そのものを設定し直すことで、それまで越えられなかった壁を超えられる可能性が一気に高まります。こうなると社員個人の成長速度がアップし、企業全体のレベルアップも見込めるため、他社との競争において優位性を高められるようになるのです。

 

04ダブルループ学習を定着させるには

ここまでダブルループ学習の効果を紹介してきましたが、効果を活かして企業の成長を目指すには、ダブルループ学習の習慣を企業へ導入し、定着させることが重要です。どのような取り組みを行うと定着が見込めるのか、詳しく見ていきましょう。

既存の枠組みに縛られない目標を設定する

ダブルループ学習によって既存の枠組みを壊すには、現在の取り組みでは到底達成できないような、規格外の目標を設定するのが効果的です。 例えば売上を20%伸ばすという目標では、現在の取り組みを少し改善したり、勤務時間を伸ばしたりすれば、目標が達成できる可能性は高いでしょう。しかし、売上目標を現在の10倍にするという設定をすると、これまでと同じ方法では達成できる可能性が低くなります。販売方法や広告を出すタイミングなどを、根本から見直すところから始める必要があります。

部下や上司に関係なくブレインストーミングをする

ブレインストーミング(ブレスト)とは、参加者が自由にアイデアや意見を出し合える会議であり、1950年頃から始まったとされています。上司や部下などの役職や年次に関係なくディスカッションを行い、お互いを刺激し合うことで想定外の発想が見込めます。 始めたばかりの段階では同じ役職同士でブレインストーミングを行い、意見が出やすくなるような工夫も大切です。参加者同士のアイデアを聞くことで、新たな発見があったり、1人では考えられないアイデアが浮かんだりする効果があります。 ブレインストーミングのメリットには、チームや部署のまとまりや信頼感が生まれる点が挙げられます。一見すると、自分の意見を自由に述べているだけに見えるかもしれませんが、個々のアイディアを尊重することで信頼が芽生え、チームの結束力が生まれるのです。

上司がマネジメントし実行に移す

ダブルループ学習は、現状で行っている前提や取り組みを疑うところから始まります。しかし、「疑う」という行動が難しいものであり、内容によっては部下から上司に言いにくいときもあります。 ダブルループ学習を定着させるためには、最初に上司や管理職、経営者などが行動を起こし、部下に問いかけることが、大きなターニングポイントとなり得るのです。 例えば売上目標が達成されなかった時に、目標が妥当だったか・効果的な営業方法が他にあるかどうかなどを問いかけ、部下に意見を求めます。そして部下から意見が出れば、意見を出したという行為に対して、部下を褒めることが大切です。このサイクルを繰り返していくうちに、部下が意見を出しやすい環境が出来上がり、ダブルループ学習の効果が現れてくるでしょう。

 

05ダブルループ学習に役立つ3つのフレームワーク

実際にダブルループ学習を行うとき、次に紹介する3つのフレームワークがとても役立ちます。どのフレームワークも、視野を広げるきっかけにできるものばかりで、ダブルループ学習についてのさらなる理解を深められます。それぞれについて見てみましょう。

リフレーミング

リフレーミングとは、物事をそれまでと違う視点で捉えることで、プラスに解釈できるようになるためのフレームワークです。有名な例えとして、水が半分入ったコップの話が用いられます。水が半分「しか」入っていないと捉えるか、半分「も」入っていると捉えるかという視点ですが、後者の方が満足と感じることができます。 このように、何事もポジティブに捉えると、行動や結果が大きく変わり、新しい考え方が理解できるようになるのです。

技術的問題と適応課題

技術的問題が、知識やスキルの習得によって解決できる問題であるのに対し、適応課題は、周囲との関係性の変化が解決の糸口となる問題を指しています。例えば、仕事の場面でプロジェクトがうまく進行しない時に、プロジェクトの内容そのものではなく、職場の人間関係(適応課題) が原因となる場合があることには、なかなか気づけないものです。このように、あらゆる原因が考えられることを理解すると、ダブルループ学習の題材となりえます。

クリエイティブ・テンション

創造的緊張と訳される言葉であり、理想と現実のギャップがあると、理想に近づこうとして真剣に取り組むため、成長を促すエネルギーや緊張感が生まれるという考え方です。理想に近づくという目標が達成できた時に、大きな成長につながります。


 

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06まとめ

ダブルループ学習は、社員および企業の成長を目指すのに、必要不可欠な学習方法です。今回紹介した方法を参考にし、意識的にダブルループ学習を実行していただけると幸いです。また、ダブルループ学習をさらに効果的に学ぶには、研修を受けるのもひとつの方法といえます。まずは、管理者が率先して、社員のさまざまな意見に耳を傾けるところから始めてみましょう。

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働き方に関する制度改善を多数行ってこられた株式会社クロスリバー 代表取締役 越川慎司氏をお招きし、「残業削減ではない方法で働き方改革を行い、社員の自発性と意欲を著しく向上させ、離職率を低下させるための自律学習の制度設計」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。同社の調査・分析内容と自律学習の制度設計を深堀ります。

  • 登壇者:越川 慎司様
    株式会社クロスリバー 代表取締役

    ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。

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