公開日:2022/01/21
更新日:2022/09/22

ヒューマン・アセスメントとは?目的や代表的な手法を解説

ヒューマン・アセスメントとは?目的や代表的な手法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ヒューマン・アセスメントとは、従業員の能力や特性、職務の適性、業績測定などを評価することです。本記事では、ヒューマン・アセスメントの目的や代表的な手法を解説します。メリットについても説明しますので、ヒューマン・アセスメントについて検討している人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

 

01ヒューマン・アセスメントとは

ヒューマン・アセスメントとは、従業員の能力や特性、職務の適性、業績測定などを外部委託して評価してもらうことです。まず、ヒューマン・アセスメントを活用する目的について考えていきます。主に、昇進・昇格の審査や部署やプロジェクトでのリーダー選出の際に利用します。

ヒューマン・アセスメントを構成する3要素

ヒューマン・アセスメントは、下記の3つが必要不可欠な要素です。   ・演習課題 ・アセッサー ・ディメンション 演習問題とは、360度評価や適性検査、インバスケット演習などを指します。アセッサーとは、対象者の観察および評価・査定を行う人で、アセッサー自身も一定のトレーニングや試験を受けています。アセッサーの経験値やスキルにより、ヒューマン・アセスメントの精度に大きな影響を及ぼします。 ディメンションとは、能力要件もしくはコンピテンシーと呼ぶこともあります。ディメンションは、会社や組織、あるいは階層において求められる能力要件を、会社ごとに定義し、設定をすることが原則です。 この3要素がそろって、はじめて精度が高い人材アセスメントを実施できるのです。

ヒューマン・アセスメントの指標

ヒューマン・アセスメントの指標には、厚生労働省が公表している業種別・仕事別の職業能力開発基準があげられます。また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)には、IT技術者やITを利用活用する企業に求められるスキルなどを定義した、iコンピテンシ ディクショナリがあります。 IT技術者については、iコンピテンシ ディクショナリにもとづくタスクの定義に従い、顕在的な能力である業務スキルや業務遂行力を、指標に従い評価します。 そのほかの職種においては、全職種共通項目と、職種ごとの項目のなかで定められた、能力ユニットと該当レベルの基準項目ごとに、企業評価と自己評価を行います。人材育成・能力開発、人事評価、採用時、検定試験の基準書としてなど、職業能力開発基準は、さまざまな場面において活用できます。 潜在能力である行動特性や資質については、個人特性分析ツールなどを用いて、職務適性を判断します。

人事評価・人事考課との違い

従来行われている人事評価・人事効果は、評価の対象となる従業員の業務の成績や能力などを踏まえて、直属の上司などが評価を行います。このような手法では、上司の主観的な判断が評価に影響を及ぼすことも多く、評価に対して納得しない従業員も出てしまう点が課題といえます。 ヒューマン・アセスメントでは、外部機関による適性検査や演習をもとに、本人の現在の業務以外の能力を活かせる分野や、潜在している能力についても客観的な結果を得られます。主観的な評価に加えて、客観的な評価を実施することが重要です。

 

02ヒューマン・アセスメントの目的

ヒューマン・アセスメントの目的は、係長職、課長職、部長職、役員職への登用といった「昇進・昇格の審査」や、「部署やプロジェクトでのリーダー選出」をするためです。最近では、次世代リーダーの発掘や選抜、新卒の採用、人事異動、キャリア研修、適材適所の配置の参考情報として活用するなど、その範囲は拡大しています。

昇進・昇格の審査

従業員の昇進・昇格を審査する際、現在顕在化している業務スキルや経験をチェックします。それに加え、潜在的な行動特性や性格が、次のポジションで求められる要件・能力・資質を満たしているか、今後満たせる可能性が高いかを判断します。

部署やプロジェクトでのリーダー選出

部署やプロジェクトリーダーを選出する際、ヒューマン・アセスメントを活用することで、客観的な資質について診断できるようになります。その結果、従来であれば、その部門のスキルがないという理由から、検討の範疇に入っていなかった部門や部署から、適性のある人材の抜擢につなげられます。

次世代リーダーの発掘

次世代リーダーの候補者を見極める際にも、ヒューマン・アセスメントは有効です。注意点として、すべての側面を一度に見て判断するのではなく、段階的かつ多面的に候補者を見極めるようにしましょう。 候補者には次世代リーダーに必要とされる学びを得る場や、現場で自身の能力を存分に発揮できる機会を積極的に与えます。期待と現状を伝えて、候補者に動機づけを行ってください。科学的に検証された手法のヒューマン・アセスメントは、通常の業務だけでは気づけない、今後活躍する期待値・可能性をも測定できるのです。

 

03ヒューマン・アセスメントのメリット

ヒューマン・アセスメントには、客観的な判断ができ、対象者の新たな強みやスキルの発見につながるメリットがあります。適材適所への配置や効率的な人材活用は、社員のモチベーションが上がるとともに、能力を存分に発揮できます。その結果、企業の業績アップにつながっていくはずです。

第三者からの客観的な判断が可能になる

従業員の評価を、社外の第三者に依頼することで、バイアスがかかった評価ではなく、客観的な判断が可能になります。上司の主観に左右されやすい評価に比べて、第三者からの評価は信頼性が高く、評価される社員側にとっても納得が得られやすいといえます。

対象者の新たな強みやスキルの発見につながる

客観的な視点で見ることによって、対象者の新たな強みやスキルの発見につながります。日常業務だけでは、上司や同僚も気づかない、新しい強みやスキルの発見は、企業にとっても大きな武器となります。また、優秀な人材を埋もれさせない対策としても有効です。

適材適所に社員を配置できる

適材適所に従業員を配置できる点もメリットです。上司や人事部の固定観念や、先入観で配置をしていると、従業員の適性と業務内容にギャップが生じ、能力が十分に発揮できないおそれがあります。企業にとって大切な経営資源である人材の現状を把握し、能力を存分に発揮できる適切な場所への配置こそ、企業の業績向上には欠かせないものです。

 

04ヒューマン・アセスメントの代表的な手法

ヒューマン・アセスメントの目的やメリットについてみてきました。ここからは、ヒューマン・アセスメントの代表的な手法である、グループ討議・グループワーク、360度評価、適性検査、インバスケット演習、面接演習について詳しく解説します。それぞれの手法の特徴を押さえておきましょう。

グループ討議やグループワーク

ヒューマン・アセスメントで最初に行うことの多い、グループ討議やグループワークについて説明します。グループのなかでの行動を観察し、その人となりの全体像をアセッサーがチェックします。与えられた条件下において、意思決定、コミュケーション能力、リーダーシップ能力などを発揮できているか否かをチェックします。

360度評価

360度評価は多面評価とも呼ばれ、上司や同僚、部下といった立場や対象者との関係性が異なる複数の評価者が、多面的に評価する手法です。他者からの評価と同時に自己評価を行うことで、自分の強みや弱みを多面的に把握できます。360度評価を活用すると、気づきにくい対象者の特性を把握でき、人物評価の信頼性や妥当性を高めることにつながります。

適性検査

適性検査はテスト形式で行われ、対象者の知的能力や性格特性、興味・関心などの測定に用いられます。個人の能力や性格を定量化でき、人物像を理解しやすくなります。採用時や人材配置、昇給・昇格時など活用シーンは多岐にわたります。

インバスケット演習

インバスケットとは未処理の案件が入っている箱を意味し、設定人物になりきって、業務上起こり得る案件を、制限時間内にできる限り多く処理していく演習です。インバスケット演習では素早く対処する能力や優先順位をつけて仕事をこなしているか、問題発見力や問題解決力が発揮されているかをチェックします。また、意思決定力や、戦略的な思考力についても確認します。

ロールプレイング演習

受講者のさまざまな特性や能力側面を引き出すため、ロールプレイングで、問題解決の能力を測ります。アセッサーが部下や上司、顧客などを演じ、受講者は決められた時間内に、相手を説得したり、問題解決の助言をしたりする演習です。


 

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05まとめ

ヒューマン・アセスメントの目的や代表的な手法について解説してきました。ヒューマン・アセスメントは、従業員を客観的かつ公平に評価でき、従業員からも納得されやすい制度といえます。ぜひ活用して、従業員の能力を最大限引き出すとともに、組織のパフォーマンスを上げていってはいかがでしょうか。

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    株式会社壺中天 代表取締役

    立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。その後、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、人材マネジメントの領域に「夜明け」をもたらすために、アカツキ社の「成長とつながり」を担う人事企画室を立ち上げ、2020年「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立し代表と塾長を務める。

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