労務管理とは?労務管理の基礎と注意点について解説する
労務管理とは、従業員の賃金や福利厚生など、労働に関することを管理する仕事のことを指します。これらは人事管理とはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、労務管理に関する基本的な業務内容から、その注意点について解説していきます。
- 01.労務管理とは
- 02.労務管理の基礎となる法定三帳簿
- 03.適切な労務管理のポイント
- 04.労務管理を整備するメリット
- 05.まとめ
01労務管理とは
人事が行う労務管理とは、従業員の賃金や福利厚生など、労働に関することを管理する仕事のことを指します。労働時間の管理、賃金システムの見直しやその管理などが業務に含まれます。これらが基本的な業務とされますが、現在で求められる仕事はそれだけではありません。今どのような役割が求められるのか、その点についても詳しく見ていきましょう。
労務管理の役割
現在の日本では、「成果主義賃金制度」の導入が進み、従来の人事制度とは異なる労務管理を必要とする時代となっています。こうした変化を受け、労務管理に求められることにも変化が訪れています。現在の労務管理には、「コンプライアンス」「就業環境の変化により管理方法の修正」が求めらえています。もともと、労務管理とは従業員のは働く環境や従業員しのものを管理する役割があります。この管理に、これらが加わってきたと考えることが分かり易いでしょう。
人事管理との違い
人事管理とは、労務管理とは異なり企業で働く人材を管理する業務を行うことを示しています。その主な業務は、採用、育成、評価に加え人材配置など直接従業員に関わる業務を指し、労務管理は裏方の業務である環境の整備などに対応するとの違いがあります。このように直接的な管理を人事管理、そうでない管理を労務管理と呼ばれる違いについて理解していきましょう。
02労務管理の基礎となる法定三帳簿
労務管理を行う基礎となる帳簿に、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」があります。この帳簿を合わせて「法定三帳簿」と呼び、労務管理において重要な役割を担います。これらの帳簿には、保管期間なども法令で定められており原則として3年間、退職金に関するものは5年、そして、用保険の被保険者資格に関するものは4年間、安全衛生に関するものも一定期間の保存などです。
労働者名簿
従業員それぞれの情報をまとめたものが労働者名簿です。一般的に、氏名、生年月日、性別、住所、雇用年月日、業務の種類、異動などの履歴、退職の日付と理由などを記載して保存します。入社時に提出された履歴書などをもとに作成することが一般的で、情報に変更があれば、随時、書き足して修正を行い常に最新にしておくことが必要な書類になります。
賃金台帳
賃金台帳は、従業員それぞれの賃金の支払状況をまとめたもの書類になります。氏名、性別、賃金の計算期間、就業日数、就業時間、残業時間、深夜残業時間、休日労働時間、基本給、手当などの項目と金額、控除項目と金額が必須項目となり、常に整理をしておくことも必要です。助成金の申請などにおいては、添付書類として提出することも多い書類となります。
出勤簿
従業員の出勤状況を記録したものが出勤簿です。雇用主が出退勤の状況を確認したり、従業員がタイムカードで記録したりしたものを出勤簿として保管します。労働日数、労働時間、時間外労働などの確認にも使用し、給料計算の元資料として利用することになります。出勤簿については、システム化して管理している企業も多く、残業時間の分析なども行う大切な資料になります。
03適切な労務管理のポイント
適切な労務管理を行うポイントについては、厚生労働省でもマニュアル化をして指導を行っています。労務管理とは、国が定めた規則を適切に守り行うことも必要です。根本は、従業員の働きやすい環境を構築するものです。ここでは、そのために必要となる厚生労働省が定める労務管理のポイントについて解説していきます。
参考:厚生労働省 「適切な労務管理のポイント」
URL:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/roumukanrinopointo_1.pdf
賃金の支払い
労働者が安心して働き生活を行うためには、賃金や退職金が適切に支払われることが必要です。法令では、「賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③全額を、④毎月 1 回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければなりません。(労働基準法第 24 条)」と定義されています。賃金の支払いが遅れてしまうこと支払われないことは、労働者の生活に大きな影響を与える事態です。こうした事態が起きないために、企業には責任があり適切な支払いを行う義務があると理解しておきましょう。
労働条件の通知と変更
従業員を雇用する際、求人票を出す際には、正しい雇用条件を労働者に提示する必要があります。求人票と実際の雇用条件に差があることは、違法とされている点にも注意が必要です。求人については、特に求職者にとって不利な事態にならないように保護をする必要があること、相違があれば早期退職につながる可能性があるなどの点を意識しておきましょう。
解雇・雇止め
解雇や雇止めは、従業員の生活を保護する観点から、できるだけ避けておきたい事象です。しかし、経営不振なにより、解雇などをしなければいけない事態が起きる可能性はあります。そうした場合には、適切な手段をもって対応を行うことも人事部門の役割です。解雇や雇止めは裁判にもなる可能性が高い事例であるため、慎重あな対応が必要だと理解しておきましょう。
04労務管理を整備するメリット
次に、労務管理を整備することでおきる企業メリットについて解説していきます。労務管理は、どのような企業でも行うべき事項です。その整備を行うことでは、どのようなメリットを期待することができるのでしょうか。どのようなメリットを得られるかを理解することで、自社で期待できること、その目的を整理していきましょう。
労働環境の改善による定着率の向上
労働環境の改善は、従業員の働きやすい環境作りに影響します。この働きやすさが改善されるのことで、従業員の満足度の向上が期待できるでしょう。この満足度の向上は、長く勤めていたいと感じ定着率の向上につながります。こうした一連の効果は、経営課題である人材不足を解消し、企業成長につながるメリットがあります。
従業員満足度の向上によるモチベーションアップ
働きやすい環境が構築されることは、従業員の満足度向上に影響を与えます。この働きやすい環境は、労働条件などに満足するということだけではなく、従業員のモチベーション自体にも良い影響を与える事象です。モチベーションアップが実現することは、業務への集中率の向上や、自己成長へつながる活動に結びついていきます。高いモチベーションを持つ組織については、相互間での協力、情報交換の活性化、新サービスなどの創出などさまざまなメリットが期待できます。こうした一連の活動を通して、企業成長や顧客満足度に貢献できる組織への変化を実現していくでしょう。
企業ブランド力の強化による信頼度の向上
職場環境の整備は、社内だけに影響するものではありません。環境の変化や、情報発信の精度があがっていくことは、社外へも影響を与える事象です。企業において、顧客を始めとするステークホルダーの信頼を勝ち取ることは、継続した企業成長に欠かせない活動となります。労務管理にステークホルダーとの信頼関係には関係ないと思われがちですが、職場環境の変化により従業員のモチベーション向上、新サービスの創出などは、顧客へのサービス力をアップすることにつながります。 この一連の流れにより、企業ブランド力を強化し顧客の信頼度の向上を実現していきましょう。
労務管理を整備する際の注意点
次に、労務管理を整備する際の注意点について解説していきます。労務管理を整備するメリットとその注意点を意識することで自社に最適で効果的な労務管理を実現していくことが必要です。自社において、最適な労務管理とは何かについて検討を重ねて体系だった構築地を実現していきましょう。
就業規則などの整備と周知
就業規則の整備なども労務管理を行うには必要なプロセスです。社内の規則については、作成をすればいいということではありません。作成されたものを従業員に公開し、周知すること、理解してもらうことが必要です。作成しただけの規則では、守られることができないと考えられるためです。特に労務管理については、従業員一人一人に関わる管理についての取り決めとなります。そのため、知らないというこでの不利益を起こさないことも人事部門として行う対応の一つになります。こうした整備や周知については、従業員を守るだけではなく企業責任を果たしている証明となる点も含めて、計画的に実施をしていくことにしましょう。そして、法令の改正などを含めて必要に応じて定期的な見直しを整備を行うことも必要になります。
従業員の理解度の促進
労務管理において人事部門が行うことは、従業員に正しく理解してもらう必要があります。正しく理解をしてもらわないことでは、管理を正しく行えない可能性も秘めています。そうしたことが起きないためには、何故に管理を行うかについての理由も含め従業員に説明を行い理解を促しておくことが必要だと理解しておきましょう。
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05まとめ
本記事では、労務管理をテーマに管理の目的やメリットについて解説しています。自社の労務管理を正しく行うことは、企業の成長にも欠かせない必要な管理となります。人事部門における重要な業務であるため、対応についての検討や整備は必須です。本記事を参考に自社における労務管理の整備を行い従業員を守る組織作りを行っていきましょう。