ポジティブフィードバックとは?実行時のメリットと注意点の解説

ポジティブフィードバックは、フィードバックの時の手法の一つです。 フィードバックの仕方一つで、社員の成果からやる気まで幅広く影響を及ぼすため、フィードバックの手法はとても大切になります。 当記事ではポジティブフィードバックに関して、実行するさいのフレームワークの紹介、およびポジティブフィードバックを上手く行うためのポイントを解説していきます。
- 01.ポジティブフィードバックとは
- 02.ポジティブフィードバックの種類
- 03.ポジティブフィードバックの主なフレームワーク
- 04.ポジティブフィードバックのメリット
- 05.ポジティブフィードバックのコツ
- 06.ポジティブフィードバックの注意点
- 07.まとめ
01ポジティブフィードバックとは
ポジティブフィードバックとは、「相手の成長のために、相手の存在、行為や結果について肯定的な言葉で行う、思いやりを持った良質なコミュニケーション」のことです。ただ褒めるのではなく、「見ているよ」・「認めているよ」というような、相手の存在を承認するような言葉を肯定的に伝えることが、ポジティブフィードバックでは重要とされています。
この定義は、「国際エグゼクティブコーチが教える|人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック」の著者であるヴィランティ牧野祝子氏が、オンライン学習サービスSchooの「パフォーマンスをアップするポジティブフィードバック」という授業内で述べていた内容です。研修・人材育成担当者であれば、こちらの授業を含むSchooの7,500本の授業を視聴できるデモアカウントを配布しております。ご希望の方はコチラからご連絡ください。
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国際エグゼクティブコーチ
株式会社グローバル・キャリアデザイン 代表取締役。ポジティブフィードバックを活用したコーチングが好評を博し、法人、個人問わず、グループ面談やセミナーなどを提供。最近は、企業から依頼を受け、経営者、リーダー等にポジティブフィードバックを始めとするビジネススキルを伝承している。
フィードバックとポジティブフィードバックの違い
ポジティブフィードバックは、「相手の成長のために、相手の存在、行為や結果について、肯定的な言葉で、思いやりを持った良質なコミュニケーション」をとることを言います。一方で、フィードバックは、上手くいかなかったことや、改善すべき点についてフォーカスすることが多く、いわば批判されているような感覚を受ける人も少なくありません。一方でポジティブフィードバックは肯定的な言葉を用いるので、部下の承認欲求を満たすことにも繋がるのです。
「行動量は申し分ないが、クロージングが上手くいかず、営業成績が目標に届かなかった人」を例にしてみます。フィードバックは、「君はクロージングに課題がある。もっと相手と握らないとダメだ」というコミュニケーションになりますが、ポジティブフィードバックであれば「君の行動量はすごいね!来期はその行動量を活かして、お客様のスケジュール管理も細かくやってみたら、クロージングが先延ばしにならないかもよ」というように、相手の強みを承認し、肯定的な言葉でフィードバックを行います。
ネガティブフィードバックとは
ポジティブフィードバックとセットで出てくることが多いのが、ネガティブフィードバックです。ネガティブフィードバックは、ネガティブつまり否定的に相手にフィードバックを行うことを指します。叱咤激励と考えていただければイメージがしやすいでしょう。
有効な手法の一つではあるのですが、ネガティブフィードバックを行うことで心が離れる従業員なども多数いるといった近年の状況のため、あまり行われないフィードバックといえます。しかしながら、フィードバックの一種ではありますので、抑えておくと良いでしょう。
02ポジティブフィードバックの種類
ポジティブフィードバックには、結果承認・行為承認・存在承認・可能性承認の4種類(承認)があると、ヴィランティ牧野祝子氏は述べています。

この章では、ポジティブフィードバックの4種類の違い、それらをどのように使い分けすべきか、「パフォーマンスをアップするポジティブフィードバック」という授業の内容を抜粋して紹介します。
結果承認
結果承認とは、成果・結果に対して承認することを指します。強みや得意にフォーカスして承認をするポジティブフィードバックの種類の1つです。
例えば、営業職であれば「新規顧客の受注に大きく貢献してくれた。助かったよ」・「チームのゴールを達成したね」のように何らかの形で結果になった際に使用します。
行為承認
行為承認とは、結果が出ているかに関わらず、相手の行為に対して承認することを指します。行っているプロセスに着目するというのが特長です。
営業の例を続けると、行為承認の場合は「成約はできなかったけれど、プレゼン資料がとってもわかりやすかった。緊張しないで話せるようになれば次は大丈夫」であったり、「ゴールには達しなかったけれど、チームメンバーがやりがいを持って楽しそうに働いているね」という言葉になります。
存在承認
存在承認とは、相手の存在を承認し、大切に扱うことを指します。1人の人間としてリスペクトするというのが、存在承認の特長です。
例えば、「おはよう」と笑顔でちゃんと顔を見て挨拶をする。これだけのことでも、メンバーが話しかけやすかったり、意見の言いやすい職場環境を作ることができます。
可能性承認
可能性承認とは、将来の可能性を信じ、期待して、肯定的に応援をするポジティブフィードバックの種類の1つです。これは一般的にネガティブフィードバックと言われるものと同義です。
ただし、可能性承認の場合は、相手の可能性を信じて一言添えるのがポイントです。例えば、「プレゼン資料のエビデンスとして、ちゃんとデータを入れてほしい。分析力のある君なら出来るとわかっているよ」のように、至らない部分や直してほしい部分だけでなく、相手の可能性を承認する言葉を一言添えます。この一言を添えることによって、自分のことを見てくれているんだという気持ちになり、言われた側も前向きに業務に取り組めるようになるのです。
03ポジティブフィードバックの主なフレームワーク
ポジティブフィードバックを行う上で、効果的なフレームワークがいくつかあります。ポジティブフィードバックをする際にも、厳しい内容を伝達しなければいけない時など、フレームワークを理解し実行することで、より効果的にポジティブフィードバックを行うことができます。ここでは代表的な五つの型をご紹介します。
サンドイッチ型
最初のフィードバックの型は、サンドイッチ型と呼ばれています。ネガティブな本当に伝えなければいけない内容を、ポジティブな内容で挟み込むといった手法です。人は一番最初に伝えられた内容に感情を引きずられがちなので、ネガティブになりがちな事象を、ポジティブな事象で最初と最後に挟み込むことで相手のモチベーションの低下といった悪影響を抑えることができます。
ペンドルトン型
二つ目のフィードバックの型は、ペンドルトン型と呼ばれています。話し手が一方通行で物事を伝えるのではなく、受け手側にも自分がどうするべきなのかを一緒に考えてもらい、行動を促します。どちらかというとコーチングに近い手法となりますが、この方法の良い点として、受け手が自分で反省点を振り返れるところと、自分で行動を決定するため、やらされ感などが薄れ積極的な行動に期待できるでしょう。
SBI型
三つ目のフィードバックの型は、SBI型と呼ばれています。Situation(状況)、Behavior(行動)、Impact(影響)それぞれの頭文字をとった方法ですが、これらを順番に相手に伝えていくことで相手に客観的な視点で説明できます。この方法の優れている点として、主観を混ぜる箇所とそうではない箇所を正しく区別して伝えることで、相手に納得感を生むことができるでしょう。
FEED型
四つ目のフィードバックの型は、FEED型と呼ばれています。Fact(事実)、Example(FB理由)、Effect(実際の影響)、Different(改善策)の4つの頭文字を取った方法です。SBI型と似ていますが、最後のDの部分で改善策を伝えているため相手に対して行動の変化を起こしやすいと言えます。
KPT型
最後のフィードバックの型は、KPT型と呼ばれています。Keep(良かったこと)、Problem(悪かったこと)、Try(これから試したいこと)の3つの頭文字をとった方法です。これらを書き出し、双方で確認を行うことで簡単に振り返りが行えます。今までのフィードバックがどちらかというと1on1を想定しているものだとすると、本手法は集団的なフィードバックに用いられることが多いです。
04ポジティブフィードバックのメリット
ポジティブフィードバックは、部下を持つことになった人や、育成を行う立場の人であれば必ず抑えておいた方が良い手法です。本項目では、ポジティブフィードバックを理解し実行することが何故必要なのかといったメリットを詳しく解説していきます。
モチベーションの維持や向上が期待できる
ポジティブフィードバックでは、改善点など伝えるべきところは正しく伝えながらも、相手の能力や気持ちを尊重することを大切にする必要があります。適切に行うことで、現状以上に業務に対するやる気を促すことができるでしょう。
上司と部下の関係構築を促進する
ポジティブフィードバックを定期的に行うようになることで、上司と部下との会話の機会が増えます。単純に会話の機会が増えるだけでも、お互いの信頼関係といったものは構築されていきますが、ポジティブに伝えることによって相手はこの人に肯定されている、受け入れられているという認識が芽生えます。
目標達成までの確認が行える
ポジティブフィードバックでは、その特性上一方的な会話になりづらいため、お互いで会話を行いながらすすめていきます。会話を行うため、一方的な依頼になりづらくどのように目標達成していくかなどをお互いが正しく認識したうえで相互理解が進むため、業務上の手戻りなどが少なくなります。
自発的な行動を促すことができる
ポジティブフィードバックでは、話を行いながら最終的に自分たちはこれからどうするかといった話に着地することが多いです。その際に相手からどう行動するかなどを引き出すことにより、自発的に行動してくれます。
05ポジティブフィードバックのコツ
ポジティブフィードバックは現代のフィードバック手法としてとても優れています。ポジティブに伝えようと思うだけで、ある程度の効果は見られますが、より効果的に伝えることも可能です。本項目ではポジティブフィードバックを実行する際のコツをご紹介します。
感謝の気持ちを根底に持つ
フィードバックを行うさいに、内容次第では責める気持ちが最初にくる可能性があります。しかしまずは結果はどうであれ、対応してくれたことに対しての感謝の気持ちを持ちましょう。感謝の気持ちをもって接することで、伝え方が柔らかくなり相手からしても感謝されて悪い気はしないので、すなおに話を受け入れてもらいやすくなります。
iメッセージを意識する
物事を伝えるときなどに、言い切りの形で伝えてしまうと相手からすると命令されたような印象を受けてしまいます。例えばですが、進捗報告が欲しい時に「進捗報告をください。」というのはとても簡単ですが、これは相手の都合などを考えておらず指示になります。iメッセージという、主語を相手ではなく自分に行う手法で言い換えると、「進捗報告をいただけると嬉しいです。」となります。iメッセージを活用して伝えることで、相手は命令ではなくお願いとして受け取りやすいためより自発的に行動を行ってくれるようになります。
05ポジティブフィードバックの注意点
ポジティブフィードバックは、汎用性が高く、どのような場面でも用いやすいフィードバック方法ではありますが、使う時に気を付けなければいけない点などもあります。本項目ではポジティブフィードバックを実行するさいに、注意すべき点をご紹介します。
曖昧な伝達を行わない
ポジティブフィードバックを行う中で、良かった点、悪かった点、目標の確認、今後の行動などを話す場面が必ず訪れますが、その時に曖昧な伝達を行ってはいけません。曖昧に話してしまうと、受け手側はこの人解ってるのかな?といったような疑問を持ってしまいます。お互いの信頼関係が大切になりますので、曖昧な表現などは避けるようにしましょう。
主観的な褒め方をしない
偏見や独断が混じった主観的な意見をベースに褒めることは行ってはいけません。感想程度であれば問題はありませんが、褒めるときには定量的なデータや全体の総意として褒めているということを意識して伝えるようにしましょう。
時間経過しすぎないようにする
フィードバックを行う時は、可能な限り素早く行いましょう。忙しくてなかなか時間が取れずに、後回しになってしまいがちですが、時間が経てば経つほど、当人はその時の状況を忘れていきます。忘れた話をあとから言われても、ピンと来ないため効果が激減してしまいます。発生直後などに細めにフィードバックを行うことが大切です。
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06まとめ
本記事では、ポジティブフィードバックの概要からフレームワーク、実行時のメリットやコツ、注意点に関しての解説を行いました。人と関わる上で、フィードバックを行うことは避けて通れません。そんな時にポジティブフィードバックを理解しているか、していないかで対人関係から、チームの生産性、ひいては組織構築など幅広く影響を及ぼします。現代のビジネスマンの必修スキルとも言えるポジティブフィードバックですが、練度を上げるためには日常的な修練が必要です。まずは考え方の基礎を学び、通常業務やプライベートなどで積極的に挑戦してみましょう。