人事施策とは?企業が行う人事施策の種類と方法について解説する
人事施策とは、人事部門が行う採用から人材管理、育成など人事業務における施策全般のことを意味します。具体的には、どのような種類や方法があるのでしょうか。本記事では、人事施策の概要やその種類、それぞれの方法について解説します。
- 01.人事施策とは
- 02.法改正による人事施策とは
- 03.多様な働き方を促進する人事施策とは
- 04.人事施策を見直すメリットとは
- 05.人事施策を見直す方法
- 06.まとめ
01人事施策とは
人事施策とは、人事部門が行う採用から人材管理、育成など人事業務における施策全般のことを意味します。人事部門においては、企業における人材に関わる事柄を一手に引き受ける部署です。この人事部門における業務全般を総称して人事施策と呼ぶ場合もあることを理解しておきましょう。
人事施策の重要性とは
人事施策の重要性とは、企業運営に関わる社員(人員)全ての管理を行うことにあります。採用、労務管理、人材育成などの多岐に渡る業務の一つ一つを体系だてて、行うことが人事施策となります。そして、働く社員が高いパフォーマンスを発揮できる環境を構築するための基盤となる管理の総称と理解することができます。社員が継続して働くことで、始めて企業の運営が成り立ちます。このように人事施策が確立されていないと、企業運営事態にも影響を与えると理解しておくことが必要です。
02法改正による人事施策とは
人事施策については、法改正により対応を行うべき事柄も含まれています。人事施策とは、決して企業だけが行うことではなく、法令の改正による対応も含まれていることを理解しておく必要があります。ここでは、法制改正について解説していきますので、人材施策を行う際に留意する点として理解しておきましょう。
同一労働同一賃金
仕事の成果や能力を適切に評価し、意欲を持って働き続けることを目的としているのが同一労働同一賃金の基本的な考え方です。対象となるのは、正規労働者員と非正規雇用労働者との間における賃金差を無くすことで、非正規雇用労働者に対する不合理を無くすことを目的としています。そのため、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の改正が行われ、より働きやすい職場環境を構築するために企業への義務化を行っています。
36協定見直し
労働者の保護を目的とした36協定の見直しでは、年間の時間外労働は720時間以内としたり、月の上限を100時間以内とするなどを法令を定めています。その他にも2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月いずれにおいても平均80時間以内とするなど、過度な労働時間にならないように配慮する義務を設けています。決められた時間内での業務を行うことを目的とし、その手法として生産性の向上をはかる必要があるとされています
職業安定法
求人者と求職者の間で労働条件が異なるなどのトラブルを抑制し求職者を守るために求人情報、募集情報の適性化をはかることを目的としています。特に、求人票に明記する項目、労働契約書に明記する項目を明確にし、相互間での十分な確認を促しトラブルを未然に防ぐ方法を明確にしている点に注意が必要です。絶対明記事項として、明記する項目を定めたことで多くの企業で労働契約書などの整備を行っています。
無期雇用転換
有期労働契約について期間の定めのない労働契約への転換が定めらています。平成25年4月1日以降、同一の使用者との間で有期雇用契約が1回以上更新、かつ5年を超えて反復継続している労働者からの申込みがあれば有期雇用契約から無期雇用契約に転換できる定められ長期的に働ける環境作りを行っています。
03多様な働き方を促進する人事施策とは
現在では、働き方が多様化していると言われています。人事施策についても、この多様化された働き方に対応する必要があります。次に、多様化する働き方を企業が促進するための施策として何があるかをご紹介していきます。企業においては、社員が今まで以上に働きやすい環境を構築する義務があります。こうした施策を講じることで、人材の確保を促しより一層の発展ができる環境を構築していきます。
65歳定年制
65歳定年制とは、従来からあった定年60歳を65歳まで引き延ばすことです。この制度により、社員が長期的に働くことが可能となり、安定した老後を迎えれる期待が持てます。また、人生100年時代と言われる時代になり、老後に向けた準備を行える期間を延長することも現実化する方法として多くの企業が取り入れています。
リモートワークの促進
コロナ感染予防により一層加速しているのがリモートワークの促進です。リモートワークの導入により、子育て、介護を行っている人材の長期的な勤務が可能になったり、遠隔地の優秀な人材の確保などを可能にしています。リモートワークの導入には、担当している業務の整理などを行えるなど、生産性の向上にも期待が持てるため、多くの企業が積極的に導入を行っています。
副業・兼業の増加
従来であれば、副業・兼業を禁止する企業は、8割以上ありました。しかし、社会全体として見た場合には、オープンイノベーションや起業の手段としても有効な方法であること、都市部の人材を地方でも活かすという意味を含め地方創生にも寄与できる施策として政府にっより推奨が開始されています。効果としては、経済成長にもつながると考えられるだけではなく、多様な働き方の1つとして導入する企業が増えてきています。
短時間社員制度導入の増加
短時間社員制度とは家庭の事情により、所定労働日数または所定労働時間の就業が困難な場合に、原則として職務および職責はそのまま、勤務日数・時間を短縮することができる制度です。就業における阻害要因を取り除き、就業促進・継続、活躍推進をすることは、優秀な人材の退職などを避け、企業運営に大きな損失が起きないことを期待されています。
04人事施策を見直すメリットとは
人事施策を見直すメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。次に、人事施策を見直すメリットについて解説していきます。企業におけるメリットを理解することで、自社における有効性の検証や制度の導入を行うかの判断基準になります。メリットの中で、最も期待する効果についても検討し、期待効果の整理を行うことも大切です。
社員の満足度向上による離職率の低下
人事施策を立案し実施することで、社員の働きやすさを高めることができます。働きやすさが向上したと感じることは、社員の満足度の向上につながるだけではなく、この企業で働き続けたいと考えるきっかけとなります。こうした効果は、離職率の低下にもつながり、経営課題である人材不足を解消する効果も期待できるでしょう。社員の満足度の向上は、ブランド力を高め、企業の競争力をアップさせるなどの効果にもつながるとされています。
モチベーションアップによる生産性の向上
人事施策を講じることで、社員の働きやすさを改善することができれば、モチベーションの向上にも期待を持つことができます。この効果は、社員の生産性の向上にもつながります。人は働きやすいと感じることで、集中力をアップした成果を発揮していきます。こうしたことは、高いモチベーションの維持にもつながり、長期的な効果を期待することができできます。
ノウハウや技術の蓄積による競争力の強化
人は働きやすいと感じることで、長期的に働き続けたいと考えます。そうすることで人材の定着につながり、ノウハウや技術を社内に蓄積されていきます。こうした技術やアセットの蓄積は、企業の競争力を強化し、他社とは異なる価値提供や事業の成長を促すことにつながるでしょう。その結果、従業員にとっての満足度を高めながら、企業価値を向上することがで期待できます。
05人事施策を見直す方法
目的の整理と経営ビジョンとのすり合わせ
人事施策を見直すのは、人事部門だけで行うことではありません。企業全体にも大きく影響を与えるため、経営層、経営ビジョンとのすり合わせを行い企業が目指すべき姿に近づけるための方法として企画立案していきます。また、短期的な計画では効果を測定することはできません。こうした事柄を意識した計画を立案していくことが必要です。
実施内容の整理と社員への周知
次に、実施する内容を整理しより具体的な計画を立案していきます。この計画については、社員への周知も必要です。人事施策の立案や改訂は、働く社員にとっても大きな影響を与える事柄です。そのため、周知をし理解をしてもらうことで、その効果をより一層発揮することができるようになる点も理解しておきましょう。
規則の改訂と周知
人事施策を見直す際には、社内にある規則についても改訂を行います。この改訂については、実施内容と同様に社内へ周知を行います。周知としては、その目的をトップダウンメッセージなどによる発信も活用し、より理解を促していくことが必要です。規則については、常に社員が確認でき内容を理解できる方法を確立しておきましょう。
人事施策の見直しと振り返り
人事施策の改訂や追加を行った場合には、定期的な効果測定、見直しを実施していきます。一度構築した人事施策だとしても、導入後に不具合や調整が必要になる可能性があります。こうした見直しを繰り返し行うことで、自社にマッチした施策とは何かを吟味し精度の向上をはかっていきましょう。
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06まとめ
本記事では、人事施策をテーマにその種類やメリット、実施方法について解説しています。人事施策とは、一つのことを実施したからゴールとなる訳ではありません。法令などを理解し従業員を守ること、企業の発展において必要な事柄を整理し自社にあった施策を構築していくことが必要です。法令の遵守なども意識した施策を講じ、より一層企業が成長できる施策の確立を行っていきましょう。