公開日:2022/01/26
更新日:2022/09/21

組織の壁を解消するには?その原因と対処法について解説

組織の壁を解消するには?その原因と対処法について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

日本企業の問題点として、「組織の壁」がよく挙げられます。組織の壁は会社に様々な弊害を生じさせ、適正な成長を妨げる要因となります。本記事では組織の壁による問題点や組織の壁が生じる要因、対策について解説しています。

 

01組織の壁とは

組織の壁とは組織において部門間の連携が妨げられている状態を指します。どんな会社でも利益を上げるために日々改善を積み重ね、効率化を図っていますが、組織の壁がその弊害となることがあります。組織の壁は大企業の問題と捉えられがちですが、一定規模以上の中小企業の多くも悩んでいます。確かに基本的には組織が大きくなればなるほど専門性を持った部署ができ、自部門の役割を果たすことが最優先となってしまうなどにより組織の壁ができます。とはいえ、小さな組織であっても複数の部署があるとやはりその中での縄張り意識などにより、組織の壁を作ってしまうことがあります。

 

02組織の壁による問題とは

組織の壁が生じてしまうことで、企業内の活動には様々な影響があり、適切な企業経営や運営がしづくらくなってしまいます。実際に組織の壁がどのような問題を引き起こすのか、具体的に紹介していきます。

生産性の低下

まずは会社としての生産性の低下が挙げられます。会社が成長するためには常に改善を行い、生産性を上げていく必要があります。そのためには各部門が連携して目標達成に向かっていくことが必須ですが、組織の壁はそれを阻害し、結果的に会社の生産性を低下させてしまいます。組織の壁があることにより自部門の利益のみが優先され、組織全体としての最適が見えなくなってしまうことがあります。具体的には複数の部署で同じような投資をしてしまったり、資産の有効活用ができずに余計な費用が発生するなど無駄が生じてしまいます。また、情報共有不足により間違いが生じてしまったり、確認に多くの時間がかかってしまったりします。

会社の成長スピードが低下する

会社が成長するには大きなプロジェクトを進めたり、新規事業を立ち上げたり、今まで以上に事業規模を拡大させたりする必要があります。そのような際、部門間の連携は必要不可欠といえます。例えば事業規模を拡大させる際には新たな商品を開発し、コストを試算し、営業を行い、技術検討し、実際に製造するなどの多くのプロセスがあります。ある程度以上の規模の組織であればこれらは別々の部門が担当し、随時課題出しなどの情報共有を速やかに行うことが大切です。組織の壁があるとこれらが遅延し、結果として会社が成長していくスピードに大きく悪影響を与えてしまいます。

マネジメントコストが大幅に増える

組織の壁はマネジメントコストの増大を引き起こします。組織の壁が無く風通しの良い会社であれば、会社の方針に向かって目標を設定し前向きにマネジメントしていくことができます。しかし、組織の壁があると目標を達成するために、まずはその壁を壊したり、壊さなくても協力してやっていける目標にするなど対応が必要となります。また、情報共有が本来なされるべき部署通しでされずに遠回りとなったり時間がかかってしまうことがあります。このように、組織の壁により多くの時間と人がそれらをマネジメントするために使用されるという状況に陥ってしまうのです。

 

03組織の壁に直面する要因とは

組織の壁は会社に悪影響を与えますが、そもそもなぜ組織の壁は発生するのでしょうか?組織の壁が発生してしまうその要因について、1つずつ詳細を確認していきましょう。

縦割りでの業務遂行

縦割りでの業務遂行は組織の壁を引き起こしやすいです。縦割りの組織とは、例えば様々な製品を販売する大企業でその開発商品ごとに「事業」が存在し、「事業」毎に異なる動きをする場合や、会社内で「調達」「販売」「生産」「経理」などと業務ごとに分けた組織で過度な専門化の状況になっている場合などがあります。これらの場合業務遂行は基本的には縦割りで行うため、組織の壁が生じやすくなっています。現在多くの会社ではこのような縦割りの仕組みがありますので、多くの企業が組織の壁に悩んでいたり、解決するために様々な工夫を行っていたりします。

自部署のみの利益を追求

自部署のみの利益を追求すると組織の壁が生まれやすくなります。誰しも他から評価されたい、いい成績を残したいと思うもののの、その考えが行き過ぎて自部署のみの利益を追求してしまうことがあります。自部署の利益ばかりを考えると、他の部署とのコミュニケーションが少なくなり、また他部署の業務へ悪影響を与えてしまい、組織の壁を生じさせてしまう要因となり得ます。会社は様々な部署が力を合わせて成果を出すので、こういう考えは風土としても望ましくないといえるでしょう。

会社全体の動きや役割を知らない

会社全体の動きや役割、目的などを把握できていないと組織の壁を生じさせてしまうことがあります。自部署のみしか気に掛けることができないと会社が向かっている方向性や目標に沿わない行動を取ってしまい、本来連携すべき部署に対しても攻撃的な態度で接してしまったり、会社全体としての方向性と違う対応をしてしまうでしょう。例えば、製造業で自分の部署が品質を担当している事例を紹介します。品質は製造業の生命線ですので、品質を上げるために多額の投資をしたとします。結果として品質が向上したとしても、もしも会社全体として経費削減を一大プロジェクトとして進めていた場合、特に品質向上の効果が大きくなかった際には咎められてしまうかもしれん。

 

04組織の壁を解消するための方法とは

組織の壁があると、なかなかうまく仕事がはかどりません。しかし悲観しすぎることは無く工夫により解消することが出来ます。続いては組織の壁を解消する方法について解説していきます。

社員全員が共通の目標や意識を持つ

組織の壁を生じさせてしまう要因としては社員が会社全体としての動きや目標、方針などを認識していないことが挙げられます。そのため、社員全員が共通の目標や意識を持つことで組織の壁を解消できることがあります。社員全員に共通の目標や意識を持たせるためには経営者の声を伝えることが重要です。社内の電子掲示板や朝会、社内報や通達などを活用しましょう。経営者自身が発信した目標や言葉を受け入れると社員は全社一丸となって共通の目標に向かうきっかけとなり、その結果組織の壁は解消される方向に向かいます。

部署間での連携構築を行う

組織の壁は部門間で起こるため、意識的に連携構築を図ることも重要です。部門連係はただ「部門間で連携すること」と指示を出してもなかなか進まないことも多いです。連携をするには、例えば一旦プロジェクト的に行ったり、共同で取り組んで改善出来たことを社内の表彰制度でアピールしたりするなど工夫が必要です。また、いきなり業務のみでの連携が難しい場合は社内イベントに一緒に参加したり、食事会を開催して親睦を深めてみてから開始してもいいでしょう。

ローテーションや組織変更をする

ローテーションや組織変更をすることも有効です。まずローテーションについては、例えば今までA課にいて、B課に異動した場合、A課の事情を知ったうえでB課の業務をすることになります。お互いの状況を理解できているため、互いの主張の真ん中に立って最善策を講じることができるはずです。また、組織変更も一つの手です。少々強引ですが例えば関係があるが別行動をしていた2つの課を合同にすれば、共通の目標に向かって動かざるを得なくなります。マネジメント側としても2つの部署それぞれで存在していた管理者が一人ですんだり、重複業務がなくなるなどの効率化も期待できます。

 

05組織の壁が引き起こす主な事例

最後に、組織の壁が引き起こす主な事例を紹介していきます。主に企業内でどのような事態を引き起こし、結果的に影響を及ぼすのか、事例から確認し対処法を講じておきましょう。

外回りと内勤で情報共有ができていない

組織の壁により、外回りと内勤で情報共有ができないことがあります。例えば、営業がお客様に対して提案した条件や、お客様から言われた要望が内勤に伝わらない場合などです。その場合、お客様が外回りの営業がきっかけで契約を結ぼうとして内勤者が作成した書類に目を通すと、外回りの担当と話していた内容と異なる事態を引き起こしてしまうことがあります。本来一つの会社ですので、誰か一人に伝えた内容は他の部署とも共有されるべきですが、組織の壁があるとこの様に伝達漏れが生じてお客様の迷惑となってしまいかねません。他には、営業の方法を変更する方針が出され、内勤者に周知後、本来であれば内勤者の関係者から営業担当に情報を出すべきところなのに漏れてしまい、古い対応をずっとしてしまうといったケースもあります。

トラブル事例が共有されずに再発する

組織の壁は対お客様だけでなく、社内でも大きな問題を引き起こす場合があります。例えば製造業で生産トラブルが発生した場合、本来トラブルを起こした製造職場が技術部門に伝え、技術部門が開発部門と連携して原因追及と対策を講じる仕組みがあるとします。組織の壁があり、技術部門に上手く情報共有ができていないといつまでたっても対策がなされずに同じトラブルが再発してしまうでしょう。


 

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06まとめ

組織の壁は適正な企業環境を阻害するとともに、社内の雰囲気も悪くなります。もしも組織の壁があると感じた場合は原因を追求し、風通しのよい職場を作っていけるように進んでいきましょう。

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    ループス・コミュニケーションズ 代表取締役

    1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。

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