公開日:2022/01/26
更新日:2022/06/21

復職とは?私傷病による復職トラブルを回避する方法について解説

復職とは?私傷病による復職トラブルを回避する方法について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

病気や怪我で一定期間仕事を休んだ従業員が復職を希望する場合、復職の判断や手続きは慎重に行う必要があります。 特に、メンタルの病気の場合は「治癒」の判断が難しく、早すぎた復職で病状が悪化するといったトラブルに発展するケースが多いようです。 当記事では私傷病からの復職、なかでもメンタル不調による休職からの復職で、発生しやすいトラブルの回避方法を解説します。

 

01復職とは

病気や怪我で一定期間仕事を休んだ従業員が、仕事を再開することを復職といいます。 仕事を再開するには病気や怪我から回復(治癒)し、仕事を再開しても良いという判断が必要です。 内臓の疾患や外傷の場合は「治癒」した状態が分かりやすく、比較的復職の判断はしやすいでしょう。 しかし、メンタル疾患の場合「治癒」した状態が分かりにくいため、判断が難しいといった特徴があります。 復職のタイミングを見誤ると病気が再燃するなど、トラブルに発展するケースもあるため、判断は慎重に行わなくてはなりません。

 

02休職制度とは

休職とは、病気や怪我で業務遂行が困難な場合、雇用関係は継続した状態で一定期間休み、治療に専念することです。 休職に関する条件は法律上の決まりはなく、各企業が独自に休職制度として就業規則に定めることが通例とされます。 休職制度の設計では、休職期間の上限を定めることが重要です。 長期にわたる治療が必要な場合や、治癒の見込みがない場合など、従業員との雇用関係を一旦リセットしなくてはならないケースもあるためです。

休職の理由

休職は休職を希望する従業員の申し出により、手続きが始まります。 一般的には医師の診断書を添えて休職届などの書類が提出されます。会社は提出された書類をもとに休職の可否と期間を決定し、本人に休職を命ずるという流れです。 医師の診断書には「病名」と「療養期間」が記載され、その病名が「休職の理由」、療養期間が「休職期間」となることが一般的です。

休職の理由が外傷や内臓疾患などの場合は、病名や怪我の状態から治療期間は推察しやすいため、トラブルに発展することは少ないようです。 特に怪我の場合は、診断書には「全治◯カ月」と記載されることが多く、復職は比較的判断しやすいといえます。

メンタル不調

メンタル不調による休職の場合は、本人の状態を見ても病気かどうかの判断がつきにくいことが多くあります。 周囲のメンタル不調に対する理解が浅い場合、「怠けている」と見られてしまうなど、トラブルに発展しがちです。 また、病気の原因が分かりにくいため、労働災害との線引も難しいといった側面もあります。 「治癒」状態の判断がつきにくい点も、復職時のトラブルにつながりやすい理由です。

 

03休職期間中のサポート

休職から復職にいたるプロセスでトラブルを生じさせないためには、休職期間中のサポートが重要になります。親身に接することで、信頼関係を築くことがポイントです。

定期連絡

休職期間に入る前に本人に定期的な連絡を入れる旨、了承をとります。 窓口は直属の上司や同僚など、職場の親しい関係の人物が担当すると望ましいでしょう。場合によっては人事スタッフなど、普段本人と直接接点がない第三者のほうが良いこともあります。 いずれの場合も、定期的な電話連絡や訪問で治療の進捗や病状を確認し、情報を収集していきます。

主治医との連携

可能であれば、主治医との連携を許可してもらうとフォローがしやすくなります。本人の同意があれば、主治医から病状の説明や復職時の留意点など、アドバイスを受けられます。 また、主治医と産業医で意見交換できる状況ができれば、より手厚いフォローが可能になるでしょう。

 

04復職の判断

本人から復職の申し出があった場合、会社は関係者の見解を集約し判断する必要があります。実務的には、主治医の診断書に準じることが多いため、復職の判断は主治医がしているように誤解されがちです。 しかし、「休職を命じたのが会社であれば、復職を判断するのも会社」という考え方が正しいといえます。

主治医の役割

復職の判断に際して、主治医は重要な役割を果たします。主治医の診断が復職検討のスタートとなるためです。 主治医は医学的な知見から、復職の可否を判断、復職可能であればその旨が記載された診断書を発行します。 診断書には、残業時間の上限など就業制限が盛り込まれる場合もあります。

産業医の役割

産業医の役割は、主治医の判断の検証です。主治医は一般的な医学的知見から復職の可否を判断します。しかし主治医は、具体的な業務内容を把握しているわけではありません。 その点、産業医は自社の業務内容を良く知っているため、復職後業務に対応できるか、より精度の高い判断を下せます。 業務内容や就業環境まで含めた、総合的な意見を述べるのが産業医の役割です。

人事部門の役割

人事部門を中心に、最終的に会社として復職の可否を判断します。 主治医の診断と産業医の見解をもとに、本人および、ケースによっては家族同席で面談を実施し、復職の可否を総合的に判断します。

 

05復職面談のポイント

復職面談は可能な限り実施したほうが良いプロセスです。 可能であれば、同居の家族に同席してもらうと良いでしょう。療養中の生活状況といった、より多くの情報を得られるため判断がしやすくなります。 以下に挙げる点を観察ポイントとして面談を実施します。

就業の意欲があるか

働く意欲があるかどうかを見極めます。求職者の多くは、「早く仕事に復帰したい」と焦る気持ちから復職面談に臨んでいるので、面談の時点では就業意欲があるといえます。 しかし、見極めるべきポイントは、「その意欲が継続できる状態か」という点です。 特にメンタル不調による休職の場合は、慎重な判断が必要です。 安易な判断で復職を許可して、病状が悪化し再度休職を余儀なくされるケースも多くあります。

生活リズムが整っているか

生活リズムが整っているか、十分に観察して判断する必要があります。 療養期間中に就寝・起床のリズムが、就業時間とズレている可能性があります。調整をしないまま復職した場合、本人の体に大きな負荷となるため、必ず確認しておきたいポイントです。 可能であれば、同居の家族にヒアリングし確認すれば確実でしょう。

体力が回復しているか

業務に対応できる体力が回復しているかも重要なポイントです。 療養生活は想像以上に体力低下を招きます。体力の衰えは集中力や判断力にも影響するため、慎重に判断しなければ、業務中の事故や怪我につながる恐れがあります。 本人の顔色や様子を十分に観察して、不安があれば復職延期の判断も必要です。

通勤できるか

通勤に関する配慮も必要です。 特に車通勤の場合は処方されている薬の内容を確認して、運転に支障がないか判断しなくてはなりません。 公共交通機関を用いる場合も、実際に通勤してみたら車内の混雑が想像以上にストレスになり、体調を悪化させる場合もあります。 慣らし期間を設けるなどして、慎重に判断しなくてはなりません。

職場に適応できるか

メンタル不調による休職の場合は、特に復職後の職場に適応できるのかを慎重に判断する必要があります。復職面談の最重要ポイントといえます。 復職後、以前従事していた業務に復帰するのか、新しい部署で別の仕事をするのか、ケースはさまざまでしょう。 いずれにせよ、復職後一定レベルで業務に対応できなければ、周囲のスタッフの負担になります。最悪の場合、休職と復職を繰り返すといった状態になるため、最初の復職判断は慎重にならざるを得ません。

 

06復職トラブル回避のポイント

メンタル不調による休職からの復職は、トラブルに発展しやすいことは前述の通りです。トラブル回避には、会社からの十分な配慮と慎重な判断が必要となります。 安易な判断で復職を許可し、病気が再燃することは避けなくてはなりません。

復職ルールを明確にしておく

復職ルールを明確にしておく必要があります。できれば「復職規程」を作成することが望ましいでしょう。 復職手続きのフローや、復職可とする「治癒」の基準、産業医の面談を義務付けるなど、会社が合理的な判断を下せるルールを制定します。

就業場所の配慮

復職時の就業場所に対する配慮も必要です。 休職前の職場で、従来の業務にあたってもらうことが原則です。しかし実際には配置転換をしたほうが良い場合もあるため、慎重な判断が求められます。 可能であれば「本人の希望を考慮して検討する」といった配慮があれば、より望ましいでしょう。

復職支援プログラムの整備

復職規程を定める場合は、復職支援プログラムを盛り込むと良いでしょう。 いきなりフルタイムで復職するのではなく、短時間勤務や時差出勤ができるような仕組みを整備します。 試し出勤や、慣らし出勤の期間を設けることで、より慎重な判断が可能になります。 その期間に不調が再燃した場合は、再度休職を命じられるようなルールにしておくと良いでしょう。

復職後の職場のフォロー

メンタル不調者がスムーズに復職するためには、職場全体のフォローが必要です。 メンタル不調は病気であるという認識のもと、周囲が適切にフォローすることで復職者も安心して業務に復帰できます。 いきなり100%の業務を求めるのではなく、徐々に調子を整えていけるような配慮が望ましいでしょう。

リモートワークの検討

近年では、リモートワークによる復職も検討すべきかもしれません。 業務内容によっては、あえて通勤の負荷をかけることなく、スムーズに仕事を再開できるケースもあるでしょう。 慣らし期間をリモートワークで勤務してもらうといったことも考えられます。 リモートワークによる復職は今後、制度として整備を検討する必要がありそうです。


 

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07まとめ

私傷病、特にメンタル不調からの復職は、会社として慎重に判断する必要があります。トラブル回避には、主治医や産業医との密な協力関係の構築が欠かせません。 無用なトラブルを発生させないためには、対象者との信頼関係が大切です。 休職の始まりから休職期間中、復職のタイミングまで、十分な配慮のもと対応していきましょう。

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