公開日:2022/01/26
更新日:2023/01/17

委嘱とは?その意味や主な例から類似語との違いについて解説

委嘱とは?その意味や主な例から類似語との違いについて解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

委嘱(いしょく)とは、専門的な知識が必要な仕事やその役割を外部の人へ任せることを指します。しかし、企業内ではその他にも「委託」や「任命」など意味を混同しやすい言葉も少なくありません。本記事では、委嘱の意味やその例、また類似した用語との違いについて解説します。

 

01委嘱とは?

委嘱(いしょく)とは、仕事や役割を外部の人へ任せることを指します。あらゆる仕事に対して利用できるのではなく、専門的な知識が必要となるために外部の人へ任せる際に利用される言葉です。 例を挙げるなら、監査役などによく利用されます。常に自社に常駐していなくても、必要に応じて専門性が高い業務を行うことから、委嘱という形態が利用されます。この他にも、講師による勉強会などで自社に来てもらう場合にも委嘱という言葉が利用されます。

委嘱の反対語である解嘱とは

委嘱は仕事や役割を外部の人へ任せることに対して、反対の意味を持つとして「解嘱」という言葉があります。解嘱(かいしょく)とは、委嘱した仕事の依頼を解くことを指します。 委嘱と同様に専門的な知識が必要とされる仕事が対象となるため、監査や研究などの業務の担当を解任するときや審議会や、調査会のメンバーとしてその行政機関に属していない公務員や民間人を解任するときに解嘱という言葉を用います。


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02委嘱の類似用語との違い

企業、またその人事内では「委嘱」という言葉と意味が混同されやすく、似た用語が多くあります。例えば、「委託」「受嘱」「嘱託」などです。それぞれの定義やその例を整理し、「委嘱」との違いについて解説します。

委託との違い

ここからは、類似語との違いを見ていきましょう。まずは委託(いたく)です。委託も仕事や役割を外部の人へ任せることを指しますが、委嘱と異なり業務内容に専門性が必要ありません。相手との間で契約を結ぶことができれば、委託とみなすことが可能です。 良く利用される「委託」という言葉としては、「業務委託」が思い当たるのではないでしょうか。業務を企業から個人や外部企業へ任せる場合に利用され、業務の専門性は問いません。業務委託の業務のなかには、人事や経理といった専門性が高い業務が含まれることもあります。しかしこの場合には、委嘱ではなく委託という言葉を利用しても問題ありません。契約内容に応じて、適切な言葉を利用できるようにしましょう。

受嘱との違い

受嘱(じゅしょく)とは、委嘱を受けることを指します。委嘱をしている側ではなく、委嘱を受けた側を示す言葉です。多くの場合、企業は委嘱する側となるため、受嘱という言葉を利用するシーンは少ないのではないでしょうか。 一定期間企業から、専門業務を請け負った場合に「業務を受嘱している」などの表現で利用されます。また、委嘱・受嘱は行政機関でよく利用される言葉です。組織された委員会に外部の人が加入する場合に、委嘱や受嘱といった言葉で人の動きが紹介されます。

嘱託との違い

委嘱は、特定の役割や業務を担う人に利用されるのに対し、嘱託(しょくたく)は一定の業務を正規の社員以外に任せる際に利用されます。役職者ではなく、正社員でも無い場合には嘱託が利用されると認識しておくのが良いでしょう。 「嘱託」という言葉が利用される例として、最も耳にするのは「嘱託社員」という言葉ではないでしょうか。嘱託社員とは、正規社員とは異なる人へ業務を任せる場合に利用されます。定年退職した後、それまで勤務していた企業と再度雇用契約を結んで同じ会社で働き続ける、という場合に嘱託社員となるケースが多いようです。その性質上、正規の社員となる可能性は高くない雇用方法です。 近しいものに契約社員があります。契約社員も有期雇用契約を結んでいるという観点では共通していますが、契約社員はフルタイム、嘱託社員は非常勤であることが多いという点に違いがあります。

 

03企業以外で用いられる委嘱の類似用語

「委嘱」という言葉は主に企業で利用されるものですが、似た用語は上述した「委託」「受嘱」「嘱託」以外にもあります。その中には企業ではなく、政府や行政で用いられる用語があります。本項では「任命」「管掌」「主任」について、それぞれの定義やその例を整理し、「委嘱」との違いについて解説します。

任命との違い

任命(にんめい)は、公務員でない人に公務員の立場を与える際に利用される言葉です。特定の公務員に対して、昇進などの際に役割を与える場合などに利用されます。一般的な職種の人には利用されない言葉となっているため、注意が必要です。 公務員の身分を与える際などに、任命という言葉が利用されます。一般的な職種の場合には利用される言葉ではないことを認識しておけば、企業内で働く人は使うシーンがないことが理解できるのではないでしょうか。

管掌との違い

管掌(かんしょう)は、自分の職務を責任をもって取り扱うことを指します。言い換えるなら、「自身の業務を扱う」ということと同義として利用されます。 管掌は自身の業務について利用される言葉であるのに対し、委嘱は他者へ業務を任せる際に利用される言葉です。自分と他者という点で、対象が真逆であると考えることもできるでしょう。政府や行政などの業務を説明する際に利用されます。「政府管掌」や「〇〇市管掌」など、個人ではない時に利用されることも多い言葉です。

就任との違い

就任(就任)は、ある役職や任務に就くことを意味します。委嘱は他者あるいは他社によって業務を任されたといったニュアンスで利用しますが、就任は自身から見た言葉として利用することが可能です。 役職に就いた際に利用されることが多く、「取締役に就任した」などといった文章で利用されます。委嘱した結果、就いた役割を説明する言葉として認識しておくと相違がないでしょう。

 

04委嘱状とは?

委嘱に関わる言葉として、耳にすることが多いものに委嘱状があります。委嘱状には、委嘱された期間と役割、委嘱した人とされた人の名前が記載されます。 委嘱状は文章を交付するという形式で渡されます。委嘱開始時に交付される場合がほとんどです。細かな業務内容が記載されるのではなく、大枠の内容が記載される形となります。委嘱の際に委嘱状を手渡す会として、委嘱式が開催される場合もあります。

辞令書との違い

辞令書は、従業員に対して重要事項を伝達する際に利用される書面です。委嘱状が他者または他社に対して交付されることに対し、辞令書は自社の社員に対して交付されます。 また、一般的には任期は記載されておらず、役職名などが記載されます。昇進や昇給、もしくは入社の際に利用されます。毎回の異動のたびに辞令書が手渡されるケースは非常に珍しいでしょう。小さな昇給などではなく、特筆すべき大きな昇給や昇進時に利用される書面です。

委任状との違い

委嘱状と似ている書面として、委任状があります。委任状は、本人が委任していることを証明する書面です。ほかの書面は業務がある際に交付されるものですが、委任状は手続きの際などに代理人が本人の意思を尊重する書面として利用されます。

 

05委嘱を理解する上で重要なポイント

委嘱という言葉を正しく理解し、活用するために重要なポイントを整理しました。その他の似た用語と区別するためにも、下記3つをおさえておきましょう。

誰が依頼している仕事なのか

まず考えるべきは、誰が依頼している仕事なのかという点です。委嘱という言葉は、自社の社員ではなく、外部の人に対して利用されます。自社の社員に利用したい場合には、依頼するなどのシンプルな言葉が適切です。 また、ポジションを設けて依頼する場合は「就任」となります。役職や任務を設けないか、外部の人に依頼するものであるかを整理して用いるようにしましょう。誤った指示や言葉を使ってしまい、無用な混乱を招かないようにしなければいけません。

常時発生する業務は対象としない

常時発生する業務の場合には、委嘱という言葉は利用されません。委嘱は常時ではなく、時折発生する業務に利用する言葉と理解しておくのが正しいでしょう。 業務を外部に依頼する場合、その業務はどれくらいの期間、どれくらいの量が発生するのかを冷静に判断し、適切な方法で依頼することが大切です。委嘱は、監査などの専門性が求められるうえに常時発生するわけではない業務に対して使われる言葉である、と覚えておきましょう。

専門的な知識を有しているか

発生する業務には、専門的な知識やスキルが必要か否かが「委嘱」を判断するのに役立ちます。専門知識を有する場合は、委嘱という言葉が最適だといえます。 専門性の度合いにもよりますが、特定の資格を有していなければできない仕事を依頼する場合は「委嘱である」、と認識していて間違いないでしょう。例えば人事や経理などの業務は業務自体の専門性は高ものの、資格が必須というわけではありません。そのため、この場合は委託といった表現が適切となります。


 

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06まとめ

一見すると似ているように見える言葉も、意味を確認するとまったく異なる言葉であることを理解いただけるのではないでしょうか。 使う相手や使うシーンが異なるため、使う場面を誤ってしまうと、社内外に無用な混乱を引き起こしかねません。場合によっては、契約に関わる問題に発展してしまう可能性すらもあるでしょう。そうならぬよう、日ごろからそれぞれの言葉の意味をきちんと覚え、正しく活用できるようにしましょう。

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