公開日:2022/01/26
更新日:2022/06/17

特性論の代表的な理論やメリット・デメリット|ビジネスに活用する方法を解説

特性論の代表的な理論やメリット・デメリット|ビジネスに活用する方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

特性論にはさまざまな理論があり、社員の多様な価値観を活かし、企業の経営理念や経営方針に沿った人材の育成にも活用されています。本記事では、特性論とはどのような理論か、その概要と代表的な理論やそのメリット・デメリット、ビジネスに活用する方法について解説します。

 

01特性論とは

主にリーダーシップの研究において、大きな成果を収めた優れたリーダーに共通する性格や個性などに着目して、個人の特性を把握するための理論です。具体的には、特性をいくつかの要素に分け、その要素がどの程度備わっているのかという観点から、性格や個性をとらえていきます。

特性論の歴史

リーダーシップ特性論は、古代ギリシャ時代から研究され、1920年代のドイツで発展しました。このことよって、優秀なリーダーは、才能以外の要因による影響が大きいことが明らかになります。その後、1930年代後半からアメリカの研究において、リーダーを形成する行動に焦点が当てられ、特性論を初めて体系化したのがオールポートです。さらに1980年代には、性格を構成する複数の特性に関する理論の研究が行われ、ルイスゴールドバーグが提唱したビッグファイブがさまざまな研究者によって展開されました。そのほか、アイゼンクの提唱した3特性やキャッテルの提唱した12特性などがあります。

 

02特性論の代表的な理論

代表的な理論には、以下のようなものがあります。

  • ・オールポートの理論
  • ・キャッテルの理論
  • ・アイゼンクの理論

そのぞれの理論について、分かりやすく解説します。

オールポートの理論

オールポートは、「重要な特性は必ず言語として表現される」という仮説を立て、観察者の判断を統一させることを目的に、辞書にある単語の中から、性格特性に関する単語を約18,000個も選び出しました。さらに、類似・重複のある言葉を排除することで「実際的な特性を表現する語群」を約4,500個の分析を行いました。 その結果、人の性格特性を「共通特性」と「個人的特性」の2種類に分類しました。14の共通特性を他の人と比較することにより、個人の特徴を容易に理解できるよう視覚化(サイコグラフ)させたのです。

キャッテルの理論

キャッテルは、オールポートの考えを受けて独自の特性論を考案しました。個人の特性を「共通特性」と「独自特性」の2種類に分類し、さらに独自特性を観察可能な「表面特性」と観察不能な要因「根源特性」として研究しました。根源特性は表面特性の根底にあって、表面特性に影響を与えると考えたのです。 そして、根源特性を因子分解して、いくつかの因子を見出すことに成功しました。この根源特性に基に開発されたのが、16パーソナリティ因子質問紙(16PF)という性格検査がです。

アイゼンクの理論

アイゼンクは、性格特性を「階層的反応水準」「習慣反応水準」「特性水準」「類型水準」の4つの階層の水準でとらえています。 また、性格研究に実験的方法を導入し、従来とは異なるクライテリオン分析を用いて、性格特性の因子分析を行いました。その結果として、性格には「内向-外向」「神経症傾向」「精神病傾向」の3つを最高次の「類型」の次元と位置づけたのです。これを基に開発されたのが、モーズレイ人格目録(MPI)という性格検査です。

 

03現在最もよく使われているビッグファイブの理論

ビッグファイブは、世界各地で積極的に研究がなされているため、研究者によって内容に差異があるものの、文化差など豊富な知見が蓄積されています。 なかでも、現在最もよく使われている理論が、コスタとマックレーによって提唱されたモデルです。人の特性を5つの基本特性次元からとらえています。ここでは、5つの因子を確認された順に解説します。

神経症的傾向

プレッシャーや不安からくるストレスといった、ネガティブなことに対する感情の反応を測定し、その不安定さを表します。 神経症的傾向の高い人は、ネガティブなこと対して動揺しやく、精神や身体の健康にも影響が出ます。人よりも感受性が高いのです。一方で神経症的傾向の低い人は、感情が安定していて、ネガティブなことにあまり影響を受けません。そのため、悩むことやストレスを感じることが少ないのです。いわゆる、メンタルが強いタイプが該当します。

外向性

ポジティブなことに対する感情の度合いを測定し、社交性や積極性、活発さを表します。外向性といっても明るさを示すものではありません。周囲で起こっていることに対して興味・関心、関わろうとする力が、その人の外側か内側のどちらに向かうのかをとらえます。 つまり、外向性の高い人は、新しい出会いや周囲の人との関わりを好み、押しが強く、リスクやスリルを好むタイプです。一方で外向性の低い人は、比較的1人の時間を好み、思慮深く行動するタイプです。

開放性

新しいことへの興味関心の度合いを測定し、知的好奇心の強さや想像力の豊かさなど、新しいことへの親和性の傾向を表しています。 開放性の高い人は、新しいものやアイデアを生み出すことを好み、芸術的なものへの関心が高く、想像力豊かで革新的なタイプです。一方で開放性の低い人は、保守的で慎重に行動をするタイプです。

調和性

周囲との協調した行動の傾向を測定し、人への共感力や配慮、思いやりの傾向を表します。 協調性の高い人は、協力的で他人に親切で道徳的な傾向があり、争いや対立を避けるタイプです。一方で協調性の低い人は、周囲の人に関心を示すことがなく、孤立や孤独をいとわず、他人の気持ちを理解できるものの、それ自体に重要性を感じないタイプです。

誠実性

感情や行為をコントロールする力や、良心性、責任感を測定し、責任感や勤勉さ、まじめさの度合いを表します。 誠実性の高い人は、責任感の強さから自己抑制ができ、公平・公正であろうとする傾向が強くなります。そのため、こだわりの強い人や完璧主義な人が多いことが特徴です。一方で、誠実性の低い人は、感情的で直感的な行動を好む傾向があり、計画性が乏しいともいえます。しかし、気の向いたものには柔軟に対応できるタイプです。

コスタとマックレーによる性格検査

コスタとマックレーによって開発された性格検査には、NEO-PI-R(Revised NEO Personality Inventory)があります。人格の生涯発達研究に基づくもので、日本では1994年に導入され、通常版と短縮版があります。主な内容は、健康な成人の人格特性を5つの次元で測定し、包括的な人格の測定を可能にしています。

 

04特性論のメリット・デメリット

特性論は、人の特性を重視することによって、メリットとデメリットが存在します。ここでは、それぞれ分かりやすく解説します。

メリット:個人の詳細な特徴の把握が可能

統計的根拠に基づいて、個人特性と共通特性について、客観的に個人の詳細な特徴を把握することができます。また、共通特性は誰もが持っている特性で、当然個人差があり、特性論であれば比較も可能です。つまり、個人と個人の共通特性の得点が高いか低いかによって比較が容易になります。

デメリット:個人の全体像の把握が困難

メリットがある反面、個々の特性から全体像をつかむことが難しい点がデメリットです。例えば、その人全体の性格を◯◯タイプと、一括りに表すことができません。そのため、各因子を集めたという印象になりがちで、その人にしかない独創的なな特性を見落としてしまう可能性もあります。

 

05特性論をビジネスに活用する方法

特性論は、ビジネスにおいても活用することができます。ここでは、特性論の活用方法をご紹介します。

リーダーの資質や特性を見い出す

特性論は、リーダーの資質や特性を見い出すための基本として活用されています。そもそも特性論は、大きな成果を収めた優れたリーダーに共通する性格や個性などに着目して、個人の特性を把握するための理論であることをご紹介しました。そのため、特性論に基づいて、社員の特性を測定し評価することで、リーダーとしての要素がどの程度備わっているのかを知ることができます。

効率的な人材育成ができる

全ての社員の特性を把握し、それに基づいて人材育成を行うと、効率的な人材育成が可能になります。社員の特性を知ることで、適した指導方法が管理職や人材育成担当者にとって理解しやすくなるためです。また、コミュニケーションなどの接し方にも有用で、指導法が適していても、接し方が合っていなければ、信頼関係がなかなか築くことができず、人材育成につながらないというケースもあるでしょう。

人材採用に導入できる

採用における性格診断に導入することができます。応募書類や面接などでは把握しきれない応募者の資質や適性を知る際に有用です。特に、大勢の人の性格を統一した規格で評価したい場合に、評価のばらつきがありません。応募者にとっても、同一基準で評価されることは、選考の対する信頼感や納得感を得られやすくなるでしょう。


 

研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする


■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

Schoo_banner
 

06まとめ

本記事では、特性論とはどのような理論か、代表的な理論やそのメリット・デメリット、ビジネスに活用する方法について解説しました。特性論は、大きな成果を収めた優れたリーダーに共通する性格や個性などに着目して、個人の特性を把握するための理論です。ビジネスには、リーダーの資質や特性を見出すことや人材育成、人材採用に活用することが可能です。ビジネスに活用する際には、メリットやデメリットを理解し、自社に必要な人材の育成を目指してみてください。

  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE

20万人のビジネスマンに支持された楽しく学べるeラーニングSchoo(スクー)
資料では管理機能や動画コンテンツ一覧、導入事例、ご利用料金などをご紹介しております。
デモアカウントの発行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

お電話でもお気軽にお問い合わせください受付時間:平日10:00〜19:00

03-6416-1614

03-6416-1614

法人向けサービストップ