公開日:2022/01/26
更新日:2022/06/17

職務分析の方法は?4つの手法と職場での活かし方を徹底解説

職務分析の方法は?4つの手法と職場での活かし方を徹底解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

仕事の生産性を最大限に高めたいと考えるならば、職務が生み出す価値を分析・理解し、測定評価する必要があります。当記事では、職務分析の方法や職場での活かし方を解説します。これから職務分析を導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

01職務分析とは

職務分析とは、職務の情報を広く調査・分析し、職務内容を明確化することです。具体的には、職務に求められている仕事の内容を洗い出したうえで、当該職務の遂行に必要な知識や能力、経験、責任、権限または職務の難易度などを明らかにします。 職務分析の結果は職務記述書として整理され、職務評価のみならず、採用や配置、昇進・昇格管理、人事考課、職務給の決定、教育訓練の基礎資料として広く活用することができます。

職務評価との違い

職務評価とは社内の職務内容を比較し、その大きさを相対的に測定する手法です。職務評価を実施することで、該当の業務が企業内でどの程度の重要性を占めているのか、相対的な価値を決定づけられます。 職務評価では、あくまでも職務を評価することを目的としており、人に対する評価は行いません。会社における職務の相対評価を行い、その職務に対する対価決定などに活用されているため、職務を分析することで人事戦略につなげる職務分析とは異なります。

職務分析・評価ともにパートタイムにも適用される

働き方改革関連法が成立し、同一企業内における正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止されました。 これにより、職務分析・評価共にパートタイムにも適用されるようになり、パート従業員や派遣社員を雇用している企業はパートタイムにも職務分析を行うことが求めれらています。

 

02職務分析の4つの手法と職務評価

職務分析にはさまざまなアプローチがありますが、主な方法には、「観察法」「面接法」「記述法」「体験法」の4つがあります。ここではそれぞれの手法の特徴を詳しく紹介します。自社に適した実施方法を検討する際の参考にしてください。

観察法

分析者が実際に業務の行われている現場に出向き、仕事内容を観察する方法です。 現場作業系の仕事であれば、半日程度観察をすることで大体の職務分析を行えます。一方、デスクワークの場合は、観察するだけでは職務内容を把握しづらいため、メールやチャットの共有や管理を行うことで職務内容の把握を行います。

面接法

調査・分析担当者が対象者と面接を行い、その場で直接ヒアリングしていく方法です。観察だけでは汲み取れない業務や、アンケートだけでは掘り起こせない部分まで深掘りすることができます。しかし、ひとり一人に面接時間を設けなければならないため、調査に多くの手間と時間を要する点がデメリットとして挙げられます。

記述法

ヒアリングしたい質問項目を準備し、アンケート形式で回答してもらう方法です。今回紹介した4つの調査方法のなかでは最も簡単で効率的な調査方法で、細密な質問を準備することで、より的確な調査が可能になります。職務分析手法のなかで、もっとも用いられている調査手法といえます。

体験法

従業員が行っている仕事を、分析者みずからが試してみて分析する方法です。職務遂行時における意識や疲労度にまで踏み込んだ調査ができるメリットがあります。一方で、調査にかなりの労力と時間を要します。そのため、上記3種類では緻密な調査が困難な職種にのみ、体験法を実施することをおすすめします。

職務評価の4つの手法

職務評価には「単純比較法」「分類法」「要素比較法」「要素別点数法」の4つがあります。それぞれの手法に一長一短があるため、ここで職務評価の実施方法についての理解を深め、自社に適した評価を行えるように努めましょう。

単純比較法

社内の職務を一対一で比較し、職務の大きさが同じかあるいは異なるかどうかを評価します。比較の際には、職務も細かく分解せずに、全体として捉えて比較します。要素に分解することがなく、シンプルである反面、なぜその位置づけになったのかを明確に説明しづらいデメリットがあります。

分類法

社内で基準となる職場を選び、詳細な職務分析を行ったうえで、それをもとに「職務レベル定義書」を作成します。職務レベル定義書に照らし合わせ、全体としてもっとも価値する定義はどのレベルかを判断し、職務の大きさを評価します。

要素比較法

あらかじめ定めておいた職務の構成要素別に、レベルの内容を定義します。職務を要素別に分解し、もっとも合致する定義はどのレベルかを判断することで職務の大きさを評価します。分類法のように職務全体として評価判断するよりも客観的な評価が可能です。

要素別点数法

要素比較法と同様に、職務の大きさを構成要素別に評価する方法です。評価結果を要素比較法のようにレベルの違いで表すのではなく、ポイント数の違いで表す点が特徴です。要素別にレベルに応じたポイント数を設け、その総計ポイントで職務の大きさを評価します。

 

03職務分析の目的

職務分析は、職務評価の妥当性を担保するという目的のほかに、「採用」「育成」「配置」「処遇」といった企業の人事活動に応用することができます。ここからは、職務分析の目的と、そのメリットについて紹介します。

適切な人材配置

職務分析を実施し、業務内容や求められる権限責任の程度が構造的に整理されることで、人材の配置転換が適切かどうかを判断することができるようになります。正社員だけでなく、パートタイムを含むすべての人員を適切に配置することができれば、企業全体の生産性向上を期待できます。

昇進・降格の判断

職務分析は、職務に必要な能力や調査対象である従業員のスキルを細かく把握することができるため、昇進・昇格判断時に役立ちます。企業に貢献している従業員には昇給や昇格など適切な待遇を与えることで、従業員同士の不公平感をなくし、会社へのエンゲージメントを高められます。

人材育成方法の決定

職務分析を通じて、その職務の特徴を理解しつつ、自社に不足している点を客観的に把握することは、今後どのような人材をどのように育成するかを検討する足掛かりになります。会社の方針や理念に基づいて効率的に人材を育成することができるため、人材育成制度がより良いものになっていきます。

不合理な待遇差の解消

職務分析によって現場の現状を客観的に把握し、従業員を一定の基準で公正に査定することができれば、不合理な待遇差の解消が可能です。従業員側も評価基準が明確になることで、自身の改善点や目指すべきビジョンを明確に把握できるようになります。

職務評価の前に行うことで先入観をなくせる

職務分析は、職務評価の前に実施することで「学歴」「年齢」「性別」など本人のスペックに関する先入観に基づいた評価を防止できます。「難関大学出身だから仕事ができる」「若いから経験が浅い」「男性だからリーダーにふさわしい」など、本人の資質とは無関係の先入観によるエラーを未然に防ぎ、客観的かつ総合的な視点で人事考課を行えます。

 

04職務分析スキルを高めるためには

ここまでは、職務分析の概要や主な実施方法について解説してきました。職務分析を実施する際には、当該職務の洗い出しはもちろん、職務ごとの難易度の調査など考慮すべき点がいくつかあります。以下で職務分析スキルを高める方法を解説しますので、実施時の参考にしてみてください。

職務説明書を使用した職務分析

職務分析では対象となる社員の業務の内容や権限、責任の程度を洗い出すことが求められますが、これらの要素を詳細に洗い出すことは難しく、職務内容の整理にも手間がかかります。 そこで従業員一人ひとりの職務説明書を用いて職務分析を行うことで、各人の業務の内容や権限、責任の程度について網羅的に把握することができるようになります。 職務について棚卸しすべき要素がフォーマット化されているため、評価者自身の負担も軽減でき、社員一人ひとりの職務内容把握に注力することができます。

職務構造表を使用した職務分析

あらかじめ階層ごとに職務内容を記載することが決められている「職務構造表」を用いて職務分析を行うことで、組織における階層間の職務の関連性を把握することができます。 この職務構造表では、組織の階層ごとに職務内容を書き込むため、職務の構造をより詳細に理解することができ、その後の職務評価での公平性を高めることにも役立ちます。

厚生労働省のオンラインセミナー

厚生労働省は、職務分析・職務評価の実施促進のために、定期的なオンラインセミナーを開催しています。 参加については、必要事項を明記の上、事前に申し込みを行うことでインターネットからセミナーに参加できるようになります。受講料金は無料となっているため、気になる方はぜひ参加してみてください。

外部研修会社に依頼する

外部研修会社に依頼をするのも有効な手法です。全体セミナーとは異なり、個別の問い合わせにも回答してくれるため、法改正のポイントや効果的な進め方など、職務分析を実施するうえでの不明点を解消しながら企画・実施することができます。 現在はオフライン・オンラインともに多数の外部研修が用意されています。予算や自社の目的と照らし合わせながら、最適な研修会社を選択してください。


 

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05まとめ

今回は、職務分析の方法や職場での活かし方について紹介しました。職務分析を行うことで、企業は適切な雇用管理を行い、組織を効果的に機能させることができるようになります。ぜひ当記事を参考に職務分析を実施し、より良い会社運営に活かしてください。

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