ロミンガーの法則とは?「70:20:10」の法則の内容を徹底解説

ロミンガーの法則とは、「人が成長する7割は業務経験、2割が薫陶、1割は研修である」という個人の能力開発についての影響度合いを示すものです。本記事では、ロミンガーの法則(70:20:10の法則ともいう)の内容を徹底解説します。また、人材育成に優れた上司の特徴についても言及しますので、ぜひ参考にしてください。
- 01.ロミンガーの法則とは?
- 02.7割を占める「業務経験」を活かすためには
- 03.2割を占める「薫陶」を活かすためには
- 04.研修や読書が重要である理由
- 05.ロミンガーの法則に則った人材育成に優れた上司の特徴とは
- 06.まとめ
01ロミンガーの法則とは?
米国の人事コンサルタント会社であるロミンガー社は、経営幹部などリーダーシップを発揮するために有効であった要素の調査・分析を行いました。その結果、7割が業務経験、2割が薫陶、1割は研修であることが判明し、これをロミンガーの法則と名付けたのです。「70:20:10の法則」とも呼ばれる業務経験・薫陶・研修は、すべてのバランスがとれてこそ、効果を発揮します。それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
業務経験
「業務経験こそ学びの7割を占める」との分析結果は、納得の結果といえそうです。新入社員のときに比べ、経験を積み場数をこなすと自信がつき、できる仕事も増えていくものです。自分自身の経験で得られた知識や技術は、忘れにくく成長につながるはずです。
上司や先輩からの指導(薫陶)
自身の経験を通して成長することは確かですが、上司や先輩からの指導も重要な要素のひとつです。部下の自主性を尊重するのは良いことではありますが、放任したままでは、7割程度の成長しか期待できません。 上司は部下に対して、適宜アドバイスをする、難しい案件に対して力添えをするなど、要所要所での助言をすると良いでしょう。部下はそうした薫陶に対して反発せず、素直な気持ちで受け止めて仕事に活かすと、より成長が加速するはずです。
研修や読書
残り1割の要素である研修の受講やeラーニング、読書も欠かせない要素です。研修は、スキルアップにつながるだけでなく、視野が広まるなど、大きな刺激になるはずです。eラーニングや読書は、日業業務の忙しい隙間時間を使って効果的に学べるでしょう。ただし、研修を受けただけ、読書しただけで満足してはいけません。学んだ知識を漫然とインプットするだけでなく、自分の頭で考え抜き、持論の形成こそが重要です。
027割を占める「業務経験」を活かすためには
7割を占める業務経験を活かすためには、現状に甘んじないストレッチ目標を掲げ、効率的な仕事方法の模索が重要なポイントです。それに加えて、将来なりたい自分像を描いて仕事にあたることも必要不可欠です。詳しく解説します。
現状に甘んじないストレッチ目標を掲げる
ただ漫然と日々の仕事をこなすだけでは、効果的な業務経験をしているとは言えません。経験を成長につなげるためには、届きそうでなかなか届かない適度なストレッチ目標を掲げて、仕事にあたります。目安として、自身の現在の能力に対し2、3割割増しした目標を設定し、取り組んでいきましょう。個人の成長が、ひいては企業の発展へとつながるはずです。
効率的な仕事の進め方を模索する
無駄な作業はないか、業務のやり方を見直す、効率的な仕事の進め方を模索することも成長には欠かせない要素です。たとえば、今行っている実務が、本当に必要な作業であるのか否かを見極めます。「前任者が行っていたため」という理由だけで、そのまま業務を引き継いでいるケースが少なくありません。 カットしても問題のない作業や、さらに効率のよい進め方があるかもしれません。漠然と目の前の作業に取り組むのではなく、一つひとつの作業の意義を理解しながら、改善ポイントがないかを考えていきましょう。
将来なりたい自分像を描いて仕事にあたる
将来なりたい自分像を描き、仕事に向き合うことも重要なポイントです。自分のキャリアプラン、将来目指すべきポイントが定まっていると、今すべきことが明確になってくるはずです。今の自分に不足している部分を補うため、スキルや知識を磨いたり、専門的な資格の取得を目指すなど、行動指針を定められます。
032割を占める「薫陶」を活かすためには
「薫陶を受ける」とは、「人徳や品格のある人物から影響を受け、人格が磨きあげられること、 感化されること」です。成長の2割を占める薫陶を活かすためには、上司からのアドバイスに対し聞く耳を持ち、成功・失敗経験の内省が重要です。
聞く耳を持つ
自らの業務経験だけでは、主観的になりがちであるため、上司や先輩からの助言は大変貴重なものです。自分の仕事のやり方の良い点・悪い点を評価してもらい、アドバイスを積極的にもらいましょう。ときには手厳しい指摘や、耳の痛い話もあるかもしれませんが、顔を背けず、素直に聞き入れることが重要です。
成功・失敗経験の内省をする
成功や失敗経験から学びを見いだすために、自分自身で主体的に経験の振り返りをすることをリフレクションといいます。失敗経験を振り返る際、ただ自分を責めたり、他人のせいにしたりしていると、適切な学びは得られません。 冷静に客観性を持って振り返ってこそ、成長につなげられます。リフレクションは、良い経験も悪い経験も客観的な振り返りがポイントです。経験をそのまま放置するのではなく、リフレクションをし、教訓を得てこそ次の実践に活かせるはずです。
人とのかかわりのなかで成長することを認識する
今まで、親をはじめとして教師や、先輩など多くの人から薫陶を受けきたはずです。社会人生活においても同様であり、人とのかかわりを通して成長していくものです。同僚をはじめ上司、取引先など仕事を通じて知り合った人たちは、さまざまな情報や意見を提供してくれるでしょう。そのようななかから得られる気付きこそ、自分の課題を知り、成長を促進してくれます。
04研修や読書が重要である理由
ここでは研修や読書が重要である理由について考えていきましょう。研修や読書は、経験から得た知識の定着や、違った角度からの見方を身につけるために有用です。とはいえ、単なる研修の受講や読書だけでは、効果的に成長できるとは限りません。詳しく解説します。
経験から得た知識を体系的に定着させるため
実務を通して多くの経験をし、知識やスキルを身につけています。研修とは、こうした実務で身につけた知識やスキルを含めた自分の仕事を体系的に学習し、日常業務だけでは経験できない知識を補完するための絶好の学習機会です。
違った角度からの見方を身につけるため
研修受講や読書は、「物事を違った角度からの見方」や「多角的に考える力」を養うことにつながります。多角的な視点をもち、今までの自分の固定観念を打ち破ると、新たなアイデアの創出や、イノベーションを起こせるかもしれません。
得た情報に自身の考えを付け加える習慣をつける
インターネットが普及している昨今では、誰もが必要な情報を簡単に得られます。情報を得るだけで満足するのではなく、得た情報をもとに、自分なりの解釈や考えを付け加える習慣をつけることこそ重要なのです。研修や読書で得た情報や知識は、時代とともに変化する可能性があり、将来にわたり、同じように通用するとは限らないためです。
05ロミンガーの法則に則った人材育成に優れた上司の特徴とは
「部下に業務経験をさせてさえいれば、勝手に成長してくれる」ほど人材育成は簡単ではありません。ロミンガーの法則に則った人材育成に優れている上司は、どのような特徴があるのでしょうか。上司の立場にある方はぜひ参考にし、効果的な人材育成に取り組んでください。
フィードバックを丁寧に行う
問題点ばかりを厳しく指摘していては、部下のモチベーションは下がる一方です。結果に至るまでのプロセスにおいて、良かった点も見つけて褒めるなど質の高いフォードバックを丁寧に行います。日常業務において、成長できた点を伝えてあげるのも良いでしょう。
成長につながる目標の設定を行う
部下の成長につながる目標設定を行います。ここで参考にしたい目標設定方法が「SMARTの法則」です。 ・Specific(具体性) ・Measurable(計量性) ・Achievable(達成可能性) ・Relevant(関連性のある) ・Time-bound(期限) 具体的かつ計量でき、達成可能な目標を設定します。この際、たやすく達成できる目標だけでなく、部下本人の実力より少し高いストレッチ目標にすると、さらに成長が見込めるでしょう。 また、何のために目標を達成するのかを明確にし、期限を設定します。最後に、目標を与えて終わりではなく、管理を適切に行うようにしましょう。
部下との信頼関係を構築する
日頃から部下との円滑なコミュニケーションをとり、信頼関係の構築も重要です。相談しやすい雰囲気をつくるなど、適宜、進捗状況を報告させる時間を設けるようにしましょう。部下が一人で問題を抱え込まないようにするのがポイントです。
裁量を与える
力を最大限発揮してもらうため、部下にある程度の裁量を与えることも有用です。ただし、部下に仕事を丸投げしないように注意してください。裁量を与えたからといって、上司が自分には関係ないという態度をとってはならないのです。部下に仕事を任せるときには、部下に成長の機会を与えているという事実を忘れず、効果的なサポートをしましょう。
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06まとめ
ロミンガーの法則の概要から、人材育成に優れた上司の特徴まで詳しい内容を解説しました。業務経験・薫陶・研修は、比較して順位付けられるものではなく、セットとして捉えるべきです。この3点のバランスがとれてこそ効果を発揮するものです。ぜひ、本記事を参考に貴社の効果的な人材育成に役立ててください。