調整力とは|ビジネスで求められる場面や高める方法を解説

ビジネスで調整力を求められる場面は多くあるものです。ステークホルダーが増えたり、役職が上がったりするとその機会はさらに増えるでしょう。当記事では、そんな「調整力」について、求められるそもそもの理由や身につけ方まで解説していきます。
- 01.調整力とは
- 02.調整力がビジネスで求められる場面
- 03.調整力が高い人の特徴
- 04.他部署との調整の具体例
- 05.調整力を高める方法
- 06.調整力を動画で学ぶ|Schoo for Business
- 07.まとめ
01調整力とは
調整力とは、立場や意見の異なる人々の利害をすり合わせ、全員が納得できる着地点を見出す能力です。ビジネスの現場では、自社と取引先、あるいは部署間でも利害が衝突する場面が多々あります。そうした場面で一方的に主張を通すのではなく、信頼と対話を通じて合意形成に導く力が、真に求められる調整力といえるでしょう。
02調整力がビジネスで求められる場面
調整力がビジネスで求められる場面は、以下の通りです。
- 1:他部門と意見が食い違う時
- 2:メンバーの意見・主張が異なる時
- 3:顧客との交渉
- 4:外部パートナーとの連携
調整力は、他部門との意見の対立やチーム内の意見の食い違い、顧客との条件交渉、外部パートナーとの協業など、あらゆるビジネスシーンで求められます。立場や利害が異なる関係者同士を円滑にまとめ、共通のゴールに導くこの力は、現代の複雑な業務環境において不可欠なビジネススキルです。
1:他部門と意見が食い違う時
部門ごとに業務目標やKPIが異なることで、判断基準や優先順位に差が生まれやすくなります。営業部門が納期短縮を重視する一方で、開発部門は品質確保を優先するといったケースがその一例です。調整力があれば、それぞれの立場を理解しながら妥協点を見出し、両者にとって納得できる解決策を導くことが可能になります。
2:メンバーの意見・主張が異なる時
チームでプロジェクトを進める際には、立場や経験、考え方の違いから意見が割れることもあります。そのような時、調整力のある人が間に立つことで、メンバー全員の声を公平に汲み取りながら合意形成へ導くことが可能です。対立を生産的な議論に変え、チームの結束力を高めるためにも重要な役割を果たします。
3:顧客との交渉
納期や価格、仕様など、顧客の希望が自社の方針と合致しないことは少なくありません。調整力があれば、顧客の期待を丁寧に汲み取りながら、自社の実現可能な条件も提示し、双方が納得できる形に落とし込むことができます。交渉が対立ではなく協業に変わり、長期的な信頼関係の構築にもつながります。
4:外部パートナーとの連携
業務委託やアライアンスといった外部パートナーとの連携では、組織文化や業務プロセスの違いが障壁になることがあります。調整力の高い人材は、相手の背景や事情を踏まえて対話を重ね、互いの期待をすり合わせていくことが可能です。結果として、スムーズな連携体制の構築や業務全体の質の向上につながります。
03調整力が高い人の特徴
調整力が高い人には、以下の特徴があります。
- 1:コミュニケーション能力が高い
- 2:相手の立場に立って考えられる
- 3:リーダーシップを発揮できる
調整力が高い人は、状況を客観的に見極めながら対話を重ね、関係者の信頼を得ていきます。共感を大切にしつつ、場の空気を読みながら納得感のある合意形成へと導く姿勢が特徴です。行動力と柔軟性を兼ね備えており、自然と周囲を巻き込む存在として組織を支えています。
1:コミュニケーション能力が高い
調整力のある人は、相手の話を丁寧に聞き、自分の意見もわかりやすく伝える力を持っています。言葉選びやタイミングにも配慮できるため、誤解を生まずスムーズに合意形成を進められます。また、相手の反応を見ながら対応を変える柔軟さもあり、対人関係を良好に保ちやすい点が特徴です。
2:相手の立場に立って考えられる
調整力が高い人は、相手の事情や気持ちを理解しようとする姿勢を持っています。一方的に自分の考えを押しつけるのではなく、相手が置かれた状況や背景を想像しながら対話を進めるため、相手に安心感や信頼感を与えます。この共感力が、対立する意見をまとめる際の土台となります。
3:リーダーシップを発揮できる
調整力のある人は、全体を見渡しながら必要な判断や行動を取る力も備えています。場の空気を読みながら意見を取りまとめ、関係者に的確に働きかけていく姿勢は、自然と周囲を巻き込むリーダーシップにつながります。指示型ではなく、信頼に基づいた導き方ができる点が強みです。
04他部署との調整の具体例

Schooの講座「『他部門の社員』の攻略法」から、他部署との調整方法を紹介します。
調整を行う際には、段階的なアプローチが効果的です。まず相手の価値観やミッションを把握し、その理解をもとに共通の目的を見出しましょう。次に、相互の立場を尊重しながら落としどころを探り、双方が納得できる形での調整を目指します。どうしても合意が難しい場合には、最終判断を上位者に委ね、全体最適を図る選択も視野に入れるとよいでしょう。
▶研修・人事育成担当者限定!「『他部門の社員』の攻略法 」を無料で視聴する1:相手の価値観・ミッションを理解する
他部署との調整では、まず相手がどのような目的や使命を担っているかを理解することが出発点となります。相手の業務目標やチームの役割を把握することで、自分たちとの違いを認識し、対話の前提が整います。背景を知らずに意見をぶつけても、調整は進みにくくなります。だからこそ、最初に相手の価値観を尊重する姿勢が求められます。
2:落としどころを探す

相手の価値観を理解した上で、双方にとって納得のいく「落としどころ」を探ることが重要です。まずは共通の目的を確認し、対立ではなく協力の余地を見出します。そのうえで、条件や要素を追加して調整の選択肢を広げることが有効です。ゼロサム的な交渉から脱却し、両者の価値を引き出す合意形成へとつなげます。
3:合意が難しい場合はトップダウンで調整
どれだけ丁寧に対話を重ねても、立場の違いや利害の対立から合意に至らない場合もあります。その際は、経営層や部門長などの上位者の判断を仰ぎ、トップダウンによる調整を行う選択も必要です。現場で解決できないからといって放置せず、最終的な判断を委ねることで、プロジェクト全体の停滞を回避できます。
05調整力を高める方法
調整力を高める方法は、以下の通りです。
- 1:コミュニケーション能力が高い
- 2:相手の立場に立って考えられる
- 3:リーダーシップを発揮できる
調整力を高めるには、日々の業務の中で意識的に実践することが大切です。目的思考を持ち、相手の意見や立場に寄り添いながら、冷静なコミュニケーションを行うことが求められます。また、自分たちだけで解決が難しい場合は、上司を巻き込むことで全体最適の視点から調整を進めることも可能になります。
1:目的思考で考える
調整の場面では、目の前の利害関係にとらわれず、最終的な目的を軸に判断することが重要です。自部門だけの目標にこだわるのではなく、プロジェクト全体の成功や顧客満足など、大局的な視点を持つことが求められます。目的が明確であれば、関係者の合意を得やすくなり、調整もスムーズに進みます。
2:相手の立場や意見を理解する
調整を成功させるためには、相手の立場や置かれている状況に配慮することが不可欠です。まずは相手の意見に耳を傾け、背景や意図を汲み取る姿勢が求められます。共感を示しながら対話を進めることで、信頼関係が築かれ、互いの歩み寄りが生まれやすくなります。
3:アサーティブコミュニケーションを心掛ける
自分の意見を主張しつつ、相手の意見も尊重するアサーティブな姿勢は、調整場面で特に有効です。感情的にならず、冷静かつ誠実に意見交換を行うことで、相手にも安心感を与えます。自己主張と配慮のバランスが取れたコミュニケーションは、円滑な合意形成を促します。
4:上司をうまく巻き込む
自分たちだけでは調整が難しい場合には、上司を巻き込む判断も重要です。状況を適切に整理し、事実や課題を明確に伝えることで、上司からの効果的な支援が得られます。また、上司が関与することで調整のスピードが上がり、組織全体としての一体感も高まります。
06調整力を動画で学ぶ|Schoo for Business

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調整力・交渉術を学べるコンテンツ一覧
研修内容 | 時間 |
元NHKキャスターが教える「話し方」「聞き方」「伝え方」 | 2時間 |
情報収集で差をつける Win-Win交渉術 | 1時間 |
“遠慮しがち”を脱するコミュニケーション | 1時間30分 |
なぜか頼みを聞いてもらえる人の「ことば術」 | 50分 |
悪徳商法から学ぶYESと言わせる交渉術 | 40分 |
仕事がデキる人はお願いがうまい | 30分 |
タイプ別のコミュニケーション攻略法 | 3時間 |
07まとめ
調整力は、自分以外の関係者が存在する限り必要になってきます。 この社会に生きて仕事をしている以上、一人だけでは仕事はできないものです。必ずどこかで誰かと関係し、多かれ少なかれ調整力が求められる場面は訪れるでしょう。 そして調整力が求められる場面は、関係者が増えてくる大きなプロジェクトや、役職が上がって関わるチームの規模が大きくなると増えていくはずです。 ぜひこの機会に、自分がもつ調整力はどの程度なのか、また社内で調整力をもつ人材をどうやって増やしていくか、考えてみてください。