コミュニケーション研修の内容・階層別のカリキュラム例を紹介

コミュニケーションは業務の質を左右する重要なスキルです。本記事では、コミュニケーション研修の目的や効果、具体的なカリキュラム例までを紹介します。
01コミュニケーション研修とは
コミュニケーション研修とは、業務内外における円滑なやり取りを実現するために、正確で効果的な伝え方・受け取り方を学ぶ研修です。上司と部下、他部署、顧客など多様な関係性において、誤解やすれ違いを防ぎ、信頼関係を築くスキルとして注目されています。
厚生労働省が実施した「令和5年度 能力開発基本調査」によると、全体の38.6%の企業がコミュニケーション研修を導入しています。これは多くの企業が、業績や組織運営における基盤として、コミュニケーション能力の強化を重視していることを示しています。
02コミュニケーション研修の目的
コミュニケーション研修の目的は、ビジネスにおいて必要不可欠なコミュニケーション能力を習得・向上させることです。相手の意図を正しく理解し、自分の考えを適切に伝える力は、業務のあらゆる場面で求められます。
コミュニケーション能力を高めることで、良好な人間関係の構築が可能となり、社内の連携や意思決定のスピードが向上します。結果として、業務効率や生産性の改善、さらには組織全体のパフォーマンス向上にもつながるのです。
03コミュニケーション研修を実施するメリット
コミュニケーション研修を実施するメリットは、以下の通りです。
- 1:社員同士の関係性が向上する
- 2:情報共有の活性化
- 3:業務の生産性が向上
- 4:離職率の改善も可能
- 5:取引先や顧客との関係性の向上
コミュニケーション研修には、社内外の関係性や業務効率の改善につながる多くの利点があります。社員同士の信頼関係が深まり、報連相が活性化することで、情報共有のスピードや正確性が向上します。その結果、業務の重複やミスを防ぎ、生産性や定着率の向上、顧客満足度の向上など、企業全体の成果にも好影響を与えます。
社員同士の関係性が向上する
社員同士の関係性が向上することで、連携が強まり業務効率が高まります。日常的なコミュニケーションが活性化すると、チームワークの強化や職場の雰囲気改善にもつながります。
情報共有の活性化
コミュニケーションが活発になると、業務に関する情報共有も促進されます。報告・連絡・相談が自然と行われる環境が整えば、ミスやトラブルの未然防止にもつながります。
業務の生産性が向上
業務の重複や抜け漏れを防ぐためには、日頃からの連携と情報のやり取りが欠かせません。研修を通じてそれらの仕組みを整えることで、全体の生産性向上が期待できます。
離職率の改善も可能
人間関係によるストレスや孤立感は、離職の大きな要因のひとつです。職場内の信頼関係を深め、相談しやすい雰囲気を醸成することで、社員の定着にも効果が見込めます。
取引先や顧客との関係性の向上
社外の関係者と円滑なやり取りを行うためには、伝え方や傾聴力、提案力といった総合的なスキルが求められます。コミュニケーション研修は、その基礎を体系的に学べる有効な手段です。
04コミュニケーション研修の内容
コミュニケーション研修では、業務の生産性やチームの信頼関係を高めるために、段階的かつ多角的なスキル習得が求められます。ここでは、ビジネスマナーから論理的思考、傾聴、コーチングまで、目的別に整理された講座をご紹介します。
スキルタイプ | 講座 | 時間 |
コミュニケーション基礎(ビジネスマナー) | 令和版みなおしビジネスマナー | 60分(1コマ) |
仕事がデキると思われるビジネスマナーの基本 | 5時間(5コマ) | |
デキる若手の報連相 | 2時間(2コマ) | |
ビジネスコミュニケーションの教科書 | 7時間30分(9コマ) | |
言葉の温度を届けるテキストコミュニケーション | 1時間(1コマ) | |
ロジカルコミュニケーション | 論理的なコミュニケーションの基礎 | 1時間40分(2コマ) |
ロジカルな人の口グセの法則 | 1時間(1コマ) | |
ロジカルシンキングで雑談力を上げる | 1時間 | |
相手にスッと伝わる やわらかロジカルシンキング | 1時間 | |
アサーティブコミュニケーション | ホンネが分からない相手に“踏み込む“スキル | 2時間(2コマ) |
「正しく伝わる」上司の会話術 | 1時間(1コマ) | |
“遠慮しがち”を脱するコミュニケーション | 1時間30分(2コマ) | |
話し方・伝え方 | 仕事がデキる人はお願いがうまい | 1時間(1コマ) |
なぜか頼みを聞いてもらえる人の「ことば術」 | 50分(1コマ) | |
損する伝え方・得する伝え方 | 1時間(1コマ) | |
傾聴力 | 指名されるインタビュアーの「聞く」技術 | 1時間(1コマ) |
ビジネスを成長させる「聞く」技術 | 3時間(3コマ) | |
心を許したくなる聞き方のコツ | 2時間(2コマ) | |
質問が苦手を克服する3つの基本ステップ | 1時間(1コマ) | |
コーチング・フィードバック | コーチング 目標設定のための4ステップ | 40分(1コマ) |
チームと共に成長するリーダーの コーチング実践法 | 3時間(3コマ) | |
組織を育てるリーダーの コーチング思考と対話法 | 3時間 | |
パフォーマンスをアップする「ポジティブフィードバック」 | 2時間 | |
ビジネスコーチング スキル・マインドセットと実践例 | 3時間(4コマ) | |
関係構築 | 関係性デザイン - 人間関係が今より面白くなる | 1時間(1コマ) |
人間関係が上手くいく双方向コミュニケーション | 1時間(1コマ) | |
外国人の同僚と楽しく働くコツ | 1時間(1コマ) | |
チームの雰囲気を明るくするための、コミュニケーションのコツ | 40分(1コマ) | |
令和版「飲みニケーション」の極意 | 45分(1コマ) | |
人間関係のモヤモヤをなくす科学的な方法 | 45分(1コマ) | |
ソーシャルタイプ診断でわかるコミュニケーション法 | 1時間(1コマ) |
コミュニケーション研修では、業務を円滑に進めるために必要なさまざまなスキルを体系的に学ぶことが求められます。ビジネスマナーや話し方・聴き方に加えて、論理的な伝え方や適切な自己主張の仕方、関係構築のコツ、部下へのフィードバックなど、実務に直結する内容で構成されていることが望ましいでしょう。
1:コミュニケーション基礎(ビジネスマナー)
社会人として欠かせない基礎力である「ビジネスマナー」は、すべてのコミュニケーションの土台になります。挨拶・報連相・敬語といった基本を身につけることで、相手に信頼感を与えることができ、仕事を円滑に進めるための第一歩となります。若手社員だけでなく、基本を見直したい中堅層にも有効です。
2:ロジカルコミュニケーション
論理的に考え、相手にわかりやすく伝えるスキルは、ビジネスのあらゆる場面で求められます。筋道立てて話す力や、主張と根拠のバランスをとる力を学ぶことで、説得力のある発言ができるようになります。会議やプレゼン、交渉などで活かせる実践的なスキルです。
3:アサーティブコミュニケーション
相手の意見を尊重しつつ、自分の意見もきちんと伝える「アサーティブ」な姿勢は、職場の人間関係を良好に保つために重要です。遠慮しすぎず、押し付けすぎず、誠実に意思を表明するスキルを学ぶことで、上司・部下・同僚との健全な関係性構築につながります。
4:話し方・伝え方
単に話すだけでなく、相手の理解を促す「伝え方」の工夫が求められます。お願いの仕方や言葉選びの工夫、印象に残る話し方など、実践的なスキルを習得することで、社内外の信頼関係を構築しやすくなります。営業やマネジメント業務において特に重要な力です。
5:傾聴力
コミュニケーションの質を高めるうえで欠かせないのが「聴く力」です。相手の話を深く理解し、共感を示す姿勢は信頼関係の構築に直結します。インタビュー力や質問力、表情や相づちの工夫なども含め、受け身ではない“能動的な聴き方”を学びます。
6:コーチング・フィードバック
部下やチームの成長を促すためには、相手のやる気を引き出す関わり方が求められます。目標設定の支援や成果に対するフィードバックの方法など、信頼と成果を両立するコミュニケーションの技法を学びます。管理職やリーダー層の実践力強化に直結します。
7:関係構築
チームワークを発揮するためには、日常的な信頼関係が不可欠です。価値観の異なる相手ともうまくやっていくための工夫や、職場の雰囲気づくり、外国人メンバーとの接し方など、幅広い状況に対応できる対人スキルを高めます。多様な職場環境に対応するための基礎力です。
05コミュニケーション研修の階層別カリキュラム例
コミュニケーション力は職種や役職に応じて求められるスキルが異なります。ここでは、新入社員・若手〜中堅社員・管理職の3階層ごとに効果的な研修内容を整理し、それぞれの成長段階に応じたカリキュラム例を紹介します。
1:新入社員向けカリキュラム例
新入社員には、社会人としての基本を身につけるために、ビジネスマナーや社内外での適切な振る舞い方、円滑なコミュニケーションの土台となるスキルを学ぶ研修が効果的です。電話・メール・チャットなどのツールの使い方や、挨拶・自己紹介・傾聴など、基本動作を通じて信頼関係を築く方法を学びます。以下は、Schooで受講できる新入社員向けのカリキュラム例です。
第1回 | 仕事がデキると思われるビジネスマナーの基本 |
時間 | 60分×5コマ |
研修内容 |
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第2回 | ビジネスコミュニケーションの教科書 |
時間 | 50分×9コマ |
研修内容 |
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2:若手社員・中堅社員向けカリキュラム例
若手〜中堅社員には、業務上のやり取りを円滑に進めるための実践的なコミュニケーションスキルが求められます。ここでは、論理的に伝える力に加え、相手を尊重しながら主張する「アサーティブコミュニケーション」、チャットやメールなどのテキストでの表現力、そして対話の質を高める質問力を体系的に学ぶカリキュラムを紹介します。
第1回 | 論理的なコミュニケーションの基礎 |
時間 | 50分×2コマ |
研修内容 |
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第2回 | “遠慮しがち”を脱するコミュニケーション |
時間 | 45分×2コマ |
研修内容 |
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第3回 | 言葉の温度を届けるテキストコミュニケーション |
時間 | 1時間×1コマ |
研修内容 |
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第4回 | 質問が苦手を克服する3つの基本ステップ |
時間 | 1時間×1コマ |
研修内容 |
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3:管理職向けカリキュラム例
管理職層には、部下やチームをまとめ、育成するためのマネジメントスキルとしてのコミュニケーション力が求められます。このカリキュラムでは、職場の雰囲気づくりに役立つ関係構築のコツ、コーチングを通じた育成型の対話力、そして成果を引き出すフィードバックの手法まで、マネジメントの土台となる対人スキルを体系的に学びます。
第1回 | チームの雰囲気を明るくするための、コミュニケーションのコツ |
時間 | 40分×1コマ |
研修内容 |
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第2回 | 組織を育てるリーダーの コーチング思考と対話法 |
時間 | 60分×3コマ |
研修内容 |
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第3回 | パフォーマンスをアップする「ポジティブフィードバック」 |
時間 | 60分×2コマ |
研修内容 |
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06コミュニケーション研修の事例
SOMPOコミュニケーションズ株式会社では、新入社員の関係構築とアサーティブ・コミュニケーション力の向上を目的に、Schooを活用したチーム型研修を実施しました。
新入社員を3チームに分けて異なる講座を視聴させた上で、発表に向けてグループワークを行う構成とし、計画性や協調性、主体性の育成にもつなげました。他チームの発表を聞くことで学びの視野を広げる効果もありました。
研修後には、意見を尊重し合う姿勢が育まれたという声も上がり、社員同士の交流促進や学習習慣の定着にも好影響を与えました。
07コミュニケーション研修を効果的に行うためのポイント
コミュニケーション研修を効果的に行うためのポイントは、以下の通りです。
- 1:各階層に適した研修を実施する
- 2:社員それぞれの課題に応じた内容にする
- 3:研修で学んだことを実践する
効果的なコミュニケーション研修を実現するためには、階層や役割に応じた内容設計が欠かせません。一律の研修ではなく、個々の課題に即したテーマ設定や、実践機会の設計を通じて、学びを行動につなげていくことが重要です。
各階層に適した研修を実施する
コミュニケーションに求められるスキルは、社員の階層や役職によって大きく異なります。たとえば、新入社員には「報連相」やビジネスマナー、中堅社員にはロジカルコミュニケーション、管理職にはコーチングや関係構築などが求められます。対象者の業務や役割に即した内容にすることで、学んだスキルが実際の現場で活かされやすくなり、研修の効果を高めることが可能です。
2:社員それぞれの課題に応じた内容にする
一律のプログラムでは、個々の弱点に届かないこともあります。フィードバックが苦手な人もいれば、コーチングに課題を抱える人もいます。現場の課題に合わせて内容を最適化することで、実務への定着度が高まります。
3:研修で学んだことを実践する
知識の習得だけでは変化は生まれません。ロールプレイやケースワークなど、実践を通じた学びの場を設けることで、行動変容につながります。受講後に振り返りや職場での応用を促す仕組みも重要です。
08コミュニケーション研修|Schoo for Business

Schoo for Businessは、国内最大級9,000本以上の講座を保有しており、コミュニケーション研修に適したコンテンツも揃っております。
導入企業数は4,000社以上、新入社員研修からDX研修まで幅広く活用いただくだけでなく、自律学習の支援ツールとしてもご利用いただいております。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
大企業から中小企業まで4,000社以上が導入

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
09コミュニケーション研修のよくある質問
ここからは、Schooのコミュニケーション研修についてのよくある質問を、Q&A形式でご紹介します。
質問:コミュニケーション研修の内容について教えてください。
回答:Schoo for Businessを使ったコミュニケーション研修では、コミュニケーションスキルの基礎や部下に対するコミュニケーションなどの講座がよくご利用いただいております。研修を通じて、各社員のフェーズに応じたコミュニケーション力の向上を図ります。
質問:授業はどのように選んだらよいですか?
回答:スクーでは職種別・階層別に様々な研修パッケージをご用意しています。研修パッケージはいくつかの授業によって構成されており、目的や対象に合わせて研修パッケージのテンプレートを選択するだけで簡単に研修を開始することができます。コミュニケーション研修パッケージの一例をご紹介すると、「コミュニケーション入門研修パッケージ」や「部下とのコミュニケーション向上研修パッケージ」などがあります。
質問:当社の状況を踏まえたコミュニケーション研修パッケージは作れますか?
回答:授業を組み合わせてオリジナルの研修パッケージを作成することが可能です。 またスクーでは階層や職種に応じて様々な研修テンプレートをご用意しているので、1から研修を作る手間をかけずに社員に合った研修を始めることもできます。まずはお気軽にご相談ください。<お問い合わせフォーム>
10まとめ
コミュニケーション研修の目的は、職場でのやり取りを円滑にし、業務の生産性を向上させることにあります。コミュニケーション力が不足していると、情報共有や意思疎通が滞り、結果として業務効率の低下を招く恐れがあります。こうした課題に対して、効果的な研修を実施するには「階層別に適した内容で行うこと」と、「信頼構築・傾聴・伝える・相互理解」という4つのステップを意識した構成にすることが重要です。