公開日:2022/01/26
更新日:2022/09/22

動機付け要因とは?衛生要因との関係性やモチベーションアップの方法を解説

動機付け要因とは?衛生要因との関係性やモチベーションアップの方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

動機づけ要因は、従業員のモチベーションに関わる、「二要因理論」という理論で解説されていますが、「いまいち使い方がわからない」という方は少なくないでしょう。本記事では、そんな動機づけ要因をわかりやすい解説していきます。衛生要因との関係性を理解することで、効率的に従業員のモチベーションを引き出せるでしょう。

 

01動機付け要因とは

動機付け要因とは、仕事の満足度を左右する要因のことです。動機付け要因は、アメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグが提唱した「二要因理論」において衛生要因とともに定義づけられました。動機付け要因の具体的な要素としては、「物事を達成すること」や「認められること」「責任や権威を持つこと」などがあります。社員の動機付け要因を満たしていくことで、高いモチベーションを維持させることができると考えられています。

ハーズバーグの二要因理論とは

動機付け要因が定義づけられた、ハーズバーグによる「二要因理論」について解説します。ハーズバーグの二要因理論においては、仕事の満足度を上げる要因と下げる要因が個別で存在すると考えられています。同一の要因が満たされると満足度が高まり、不足すると満足度が低くなるという考えではなく、仕事の「満足」につながる要因と「不満足」につながる要因がそれぞれあると主張したのです。また、ハーズバーグは「満足」「不満足」につながる要因をそれぞれ「動機付け要因」「衛生要因」と名付けました。

  • ・仕事の「満足」につながる要因…「動機付け要因」
  • ・仕事の「不満足」につながる要因…「衛生要因」

衛生要因とは

仕事の「不満足」につながる要因である「衛生要因」には具体的に、「給与条件」「社内の人間関係」「企業の方針」などがあります。これらの要素はどれも、満たされていないと仕事に対して不満を抱きやすくなります。一方、「衛生要因」はあくまで「不満足」に関係する要因であるため、「衛生要因」が満たされていても満足度の高まりには直結しません。たとえば、給与条件に関する不満が解消されても、満足度の向上にまではつながらないのです。そのため、従業員の満足度を高めるには「動機付け要因」「衛生要因」のどちらにもアプローチすることが大切です。

 

02動機付け要因の5つの要素

「動機付け要因」について理解を深めることで、効果的に社員のモチベーションを高められるようになります。ここでは、動機付け要因を構成する要素について解説します。組織においてどのようなシチュエーションが動機付け要因となっているのかを把握することで、的確な施策を練ることができます。動機付け要因の要素は主に以下の5つです。

  • 1.物事を達成すること
  • 2.認められること
  • 3.仕事に対する興味
  • 4.責任や権威
  • 5.自己成長・昇進

1.物事を達成すること

動機付け要因における1つ目の要素は「物事を達成すること」です。物事を達成することは、つまり仕事全般における達成感のことを指します。従業員に仕事における達成感を感じてもらうには、具体的な目標設定が重要です。従業員自身が業務に励んでも、目標が曖昧であったり、抽象度の高いものであったりすると成し遂げたという実感が湧きづらくなってしまいます。具体的な数値目標を設定することで、従業員が達成感を感じやすくなります。また、目標設定の際には、適度な難度の数値目標を設定することも大切です。努力の結果達成できた目標であれば、それに応じた大きな達成感を得ることができるためです。

2.認められること

動機付け要因における1つ目の要素は「認められること」です。「認められる」とは具体的に、同僚や上司、組織から評価され、称賛を浴びている状態を指します。同僚や上司など、共に働いている仲間から評価されることでモチベーションの向上につながります。従業員が「認められている」という実感を持つための施策としては評価制度の最適化や昇給・昇進、その他の賞与などがあります。

3.仕事に対する興味

動機付け要因における3つ目の要素は「仕事に対する興味」です。「仕事に対する興味」とは、従業員の、業務や所属組織に対する当事者意識・関心の高さです。自身が行っている仕事に関心がなければ、モチベーションを高く保つことはできません。従業員の興味・関心が仕事内容と共通していれば、自主性を持って仕事に臨むことができます。また、自分の関心分野が仕事となっていれば、自ら新たな知識・スキルのインプットを行うなど更なるレベルアップも見込めます。従業員の仕事に対する興味を強くするためには、組織の状況や方針、理念などについて理解を深めてもらう必要があります。企業理念の浸透を促すことはもちろん、経営方針や今後の展望などについて、定期的に組織全体での共有を行うようにしましょう。

4.責任や権威

動機付け要因における4つ目の要素は「責任や権威」です。「責任や権威」とは、従業員一人当たりに与えられた業務の重要性の高さや裁量のことです。過度に重要度の高い業務や大きすぎる裁量は、社員にとってプレッシャーになってしまうこともあります。しかし、適度な裁量を従業員一人一人に与えることで、仕事に対しやりがいを感じやすくなります。また、大きすぎないながらも責任を背負うことによって、当時者意識を持って業務に臨むことができます。

5.自己成長・昇進

動機付け要因における5つ目の要素は「自己成長・昇進」です。継続して高いモチベーションで仕事を行うには、従業員自身が仕事を通して成長できている実感があるということが大切です。また、優秀な人材であるほど自身の長期的なキャリアについて考えている傾向があります。昇進制度や表彰、社内認定制度などを活用して従業員の働きを積極的に評価することで、仕事を続けるモチベーションを与えることができます。

 

03動機付け要因を満たすと得られるメリット

ここでは、動機付け要因を満たすことで企業側が得られるメリットについて解説します。動機付け要因が満たされることで、人事領域を中心に企業側にも様々なメリットがあります。動機付け要因を満たすと得られるメリットは以下の3つです。

  • 1.離職防止
  • 2.組織の生産性向上
  • 3.エンゲージメントが高まる

離職防止

動機づけ要因を満たすことで得られる1つ目のメリットは、離職防止につながるという点です。これまで解説してきたように、二要因理論は動機づけ要因と衛生要因によって成り立つため、どちらか片方だけを満たしても効果を発揮することはありません。 ただし、仕事へのやりがいを感じられる職場であれば、従業員が転職を検討することもありません。衛生要因とのバランスに配慮しながら、動機づけ要因にも着目してみましょう。

組織の生産性向上

動機づけ要因を満たすことで得られる2つ目のメリットは、組織の生産性が向上するという点です。どんなに優れている人材でも、やはり達成すること、認められることでモチベーションを維持できるものです。また、高いモチベーションを維持できていることで、アウトプットをおこなうといった他者貢献の意識が芽生えることも期待できるため、組織全体の生産性を高めることにも繋がります。

エンゲージメントが高まる

動機づけ要因を満たすことで得られる3つ目のメリットは、エンゲージメントが高まるという点です。エンゲージメントとはもともと婚約などを意味する言葉ですが、ビジネスシーンでは企業への共感や思い入れの強さを示す言葉として用いられています。 従業員満足は、あくまでも企業や人事が従業員に与えるという概念ですが、エンゲージメントという言葉には従業員と企業や人事が互いに、「力になり思い合っている」という意味が込められています。

 

04動機付け要因によってモチベーションを高める具体例

ここでは、動機付け要因によってモチベーションを高めることのできる具体例を解説します。動機付け要因を満たすための具体例な施策を把握することで、自社にも積極的に取り入れていきましょう。動機付け要因によってモチベーションを高める具体例は以下の5つです。

  • 1.サーベイを実施して従業員の意見に耳を傾ける
  • 2.人事評価制度を見直す
  • 3,表彰制度などで仕事の成果を称える
  • 4.人材育成に注力する
  • 5.働きやすい環境を整える

サーベイを実施して従業員の意見に耳を傾ける

動機づけ要因を活用し、従業員のモチベーションを高める1つ目の方法が、サーベイを実施して従業員の意見に耳を傾けるというものです。サーベイとは、従業員に対して職場の環境や人間関係などの要因を調査し、従業員満足度を把握するためのものです。モチベーションアップなどの組織改善を目的としたアクションの、一歩目がサーベイを実施するというものです。

人事評価制度を見直す

動機づけ要因を活用し、従業員のモチベーションを高める1つ目の方法が、人事評価制度を見直すというものです。これまでに解説してきたように、動機づけ要因は賃金を上げる、福利厚生を充実させるなどの方法では満たされることがありません。人事評価制度を見直し、活躍している人材が認められる仕組みをつくることも意識することが重要です。

表彰制度などで仕事の成果を称える

表彰制度などで仕事の成果を称えることも、動機づけ要因を活用し、従業員のモチベーションを高める方法の1つ目です。表舞台に立つことが多い、営業に表彰の場を用意している企業が多い一方で、経理や人事などの部署に表彰制度がないということも珍しくありません。動機づけ要因は、すべての従業員のモチベーションに関わる論理であるため、表彰制度などで仕事の成果を称える場を準備することも大切です。

人材育成に注力する

動機づけ要因を活用し、従業員のモチベーションを高める4つ目の方法が人材育成に注力するというものです。部下を適切にマネジメントできるよう管理職への教育を施すのも動機づけ要因を満たすのに効果的です。よく教育された管理者は、部下のやる気をうまく引き出し、人間関係を改善し、職場全体のモチベーションを引き上げることができます。また、従業員が希望する資格取得を応援するといった企業姿勢も重要です。会社から期待され、応援されていると感じる従業員は動機づけ要因を満たすことができます。資格を無事取得できれば達成感も得られ、モチベーションをさらに上げることができるでしょう。

働きやすい環境を整える

働きやすい環境を整えることも、動機づけ要因を活用し、従業員のモチベーションを高める方法の1つです。短時間勤務や在宅勤務の制度を設ける、副業を認めるといった方法で、従業員が希望するライフスタイルを実現しやすい環境を提供してあげましょう。また、長時間労働や休日出勤によって、衛生要因に問題が生じていないかも常にチェックしておきましょう。動機づけ要因は、衛生要因とのバランスが非常に重要であるため、社員の働き方を認めながら、不満を排除する取り組みを進めていきましょう。


 

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05まとめ

本記事では、動機付け要因を中心に具体例を交えて解説しました。動機付け要因は、仕事を行う上での達成感ややりがいなど、社員のモチベーションに直接的に関係する重要な要因です。動機付け要因を満たすことで社員のやる気を高め、生産性の向上につなげることができます。一方で、動機付け要因はあくまで「満足」に繋がる要因です。モチベーションが高まるよう働きかけていても、不満が大きければ離職やモチベーションの低下を防ぐことはできません。動機付け要因は衛生要因と両立してこそ最大の効果を発揮するのです。社員のモチベーションを長期的に保つには。衛生要因を満たすことで定着率を高めながら、動機付け要因によって業務への意欲を高めることが大切です。

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    Great Place to Work® Institute Japan 代表

    2003年HRR株式会社(現 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業職として中小~大手企業までを幅広く担当。顧客企業が抱える人・組織課題に対するソリューション提案を担う。2012年から管理職として営業組織をマネジメントしつつ、2015年には同社の組織行動研究所を兼務し、女性活躍推進テーマの研究を行う。2020年より現職。

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