公開日:2022/02/01
更新日:2022/08/24

スクラム採用とは?注目される背景やその導入メリットやデメリットを解説

スクラム採用とは?注目される背景やその導入メリットやデメリットを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

近年、スクラム採用という採用方法が注目を集めており、導入する企業が増えています。スクラム採用が注目されている背景や、導入するメリットはどのような部分にあるのでしょうか。また、デメリットが存在するのでしょうか。この記事ではそれぞれについて解説していきます。

 

01人事通達とは?主に2種類に分けられる

スクラム採用とは、社員主導型の採用活動のことです。言葉の由来はエンジニアのチーム開発手法の1つである「スクラム開発」に由来しています。また、ラグビーでスクラムを組むように、採用における目標の達成に向けて、所属する部署関係なく全社員が一丸となって採用活動に取り組む方式のことです。

株式会社HERPによって定義づけされた

スクラム採用は、株式会社HERPによって提唱された採用に関する概念です。HERPの代表取締役CEO庄田氏によって提唱された後、ベンチャー企業を中心に広がりを見せている採用手法で、社員全体が共に採用活動を行うのが特徴です。採用活動の権限を人事部門以外の部署、例えば営業担当社員やマーケティング担当社員に付与して、社員主導で採用活動を実施します。

 

02スクラム採用を構成する3要素

スクラム採用には、先述のように「現場への権限委譲」「成果の可視化」「採用担当のプロジェクトマネージャー(PM)化」という3つの構成要素があります。これらの要素を、現場の社員主導でPDCAサイクルを回して成功に繋げていきます。 それぞれの要素は、これまでの日本企業の採用活動とは大きく異なった特徴を持っています。つまり、採用活動完了までの綿密な計画を作成し、その計画通りに実行して成果を達成するという、従来の採用スタイルと対比されることが多いのです。

現場への権限委譲

スクラム採用の構成要素としてまず挙げられるのが、現場への権限移譲です。採用活動のワークフローを分解して業務を細分化し、各フローでの権限を最適な部署・社員に委譲するこの取り組みは、各職種ごとの最適な採用方法に関して現場の意見を取り入れ、現場目線で候補者を絞り込んでいくことができます。 そのため、社員主導でPDCAを回す際にも具体的な成果や振り返りに繋がりやすく、より良い採用活動に繋がる成果を得られる可能性を高めます。

成果の可視化

次に挙げられる成果の可視化とは、採用活動を通して得た成果、つまり採用活動の結果を社内の全社員にフィードバックすることです。全社員が採用活動に関わっている状態を作ることができている場合、「自分ごと」として採用活動を振り返ることに繋がり、採用担当者を中心に、振り返りと次回への改善提案が同時にできている状況を生み出すことができるのです。

採用担当のPM化

そして3点目は、社内の採用担当者が採用活動の各フローにおいてプロジェクトマネージャー(PM)としての機能を持つという点です。社員採用に関する知識・ノウハウを持ち合わせている採用担当者が、そのノウハウを現場社員に伝えていくことで、「採用活動への意欲を高める役割」と「社員自身の成長を促す役割」を担うことができ、社員が大きく成長するのです。

 

03スクラム採用が注目されている背景

それでは現在、スクラム採用が注目されている背景には何があるのでしょうか。 近年、各社の採用活動は、離職率の高止まりなどを背景に、自社にマッチングした人材の確保が急務となっています。このような社会情勢には、特に3つの変化が注目されています。

求職する側の変化

まず挙げられるのは、求職する側のニーズの変化です。これまでは、給与や福利厚生面、ネームバリューを就職先を検討する際の最優先事項に挙げる求職者が多い傾向にありました。 ところが近年では、「やりがい」や「休日」人間関係」等のこれまでにない応募基準を重視する求職者が、多く現れるようになりました。つまり、会社の社会的認知度よりも、求職者の希望する条件に合った就業場所で、就きたい業務に就けることを求職者に伝える必要性が高まっているのです。

情報発信方法・集約方法の変化

採用に関する情報発信方法も、近年では変化してきています。就職情報サイトや自社サイトでの採用活動のみならず、SNS上での募集や、オンラインでの説明会、面接を求める求職者が増加傾向にあります。 求職者の情報の取得方法が変わりつつあるため、個別のニーズへの対応が求められる採用活動は、一括採用よりも、会社一丸となったスクラム採用の方がより具体的な情報を出すことができるため注目されています。

企業体質の変化

そして、採用する側の企業体質が、社会情勢に対して柔軟に変化してきたことも注目される背景にあります。これまでは、採用活動といえばエントリーシートを出して集団面接、個人面接を行うプロセスを辿るのが当たり前の環境でしたが、それが「個々に合わせた採用」へとニーズが変化してきたことが、スクラム採用のような方法が注目される要因となっています。

 

04スクラム採用を行う3つのメリット

スクラム採用を取り入れることのメリットは一体なんでしょうか。スクラム採用の大きな特徴は、業務への理解度が高い現場の社員が採用活動を行うことです。つまり、実際の現場の業務をよく理解できていない社員が採用を行うことで発生するアンマッチを防げる点が大きなメリットになります。それは自社で長く勤務してくれる人材を確保できる可能性を高めることに繋がります。

様々な採用方法を活用できる

スクラム採用を実施するメリットとしてまず挙げられるのが、応募者の個性を活かせるような、さまざまな採用方法を活用できることです。 スクラム採用は、現場の社員が応募者に対して個別のアプローチを行う採用活動となるため、これまでに存在しなかった方法を用いて応募者の個性を活かせる採用手法を実施することができます。 従来と異なる代表的な採用方法を2つご紹介します。

社員紹介採用(リファラル採用)

まず、社員紹介を活用したリファラル採用です。社員が会社に応募者を紹介する方法は、合格して内定を出した際に、入社まで決めてもらえる可能性も高く、入社後のモチベーションも高く保ちやすかったり、ある程度の人柄がわかった上での採用になるため勤続してもらいやすいメリットがあります。

SNS採用(ソーシャルリクルーティング)

また、SNSを活用した採用活動にも、従来と異なる側面があるといえます。 昨今の求職者は、SNSを活用している割合が非常に高い傾向にあり、まさにデジタル時代が到来したといえます。また、情報発信も情報収集も、SNS上で行うという人が増えています。SNS上で面接や採用に向けてのスカウティングなどを実施する、SNS採用を取り入れることは、スクラム採用の実施後、良い候補者を見つけた際にすぐにスカウティングに繋げることができ、早期の囲い込みを実現できるでしょう。

社風と人材のマッチを客観視することで効率を上げる

スクラム採用のメリット2点目は、採用活動における業務フローを細分化し、複数の部署や社員に振り分けることで、採用担当者の業務負担を軽減できることです。しかし、制度運用時には採用担当者がプロジェクトマネージャーとして機能できるかが重要になります。つまり採用担当者が当事者としてではなく、客観的な第三者としての目線で採用を見通すことで採用活動全体を管理できるよことが精巧のために重要となります。 上手く機能すれば、求職者目線から見た自社の採用活動を見直すことに繋がり、求職者と自社のマッチング具合を同じ基準で考えることにも繋がるので、採用活動の成功率が向上します。

社員のモチベーション向上につながる

そして、社員が自ら採用活動に関わるため、会社の魅力やビジョンへの理解が深まり、結果的に社員のエンゲージメントが高まります。 スクラム活動は、自社の魅力を応募者に伝える活動を通じて社員が再確認し、優秀な人材の獲得に向けた協力によって、更なるエンゲージメントの向上が期待できます。「この採用に関わりたい」と感じる社員を増やすことが、結果として社員の仕事に対するモチベーション向上に繋がっていくのです。

 

05スクラム採用を行うデメリット

一方で、スクラム採用の導入にあたっては、大きく分類すると3つのデメリットを挙げることができます。しかし、デメリットを分析し、改善につなげていくことでより効果的なスクラム採用に繋げることが可能です。

従業員の負担が増加する

そもそも スクラム採用は、それまで人事部だけで行っていた採用活動を、複数の部署や社員が関わる形に変化させたものです。そのため、通常業務に採用業務が加わり、日々の業務が煩雑化することが考えられます。採用に関する明確な役割分担や適切な情報共有ができていないと、かえって採用担当者の負担が大きくなることには注意が必要です。

管理コストが増える

採用に関わる情報の管理コストが大きくなることもデメリットのひとつです。多くの社員が採用に関わるため、個人情報や企業の機密情報管理の体制維持にコストがかかります。また、採用業務に関わることの意義を社員全員で持つ必要があるため、社員のモチベーションを適宜確認する必要性も生まれます。

明確な目標が共有されないと失敗してしまう

また、採用活動は会社にとって重要な業務であると同時に、明確な目標が必要とされる業務のひとつです。特にスクラム採用においては、「 何を目標に据えた採用活動なのか」を事前に共有して業務に入らなければなりません。そのため、役割分担や進捗状況の共有方法など、採用業務遂行のルール管理が大切になり、採用担当部署の社員には、目標に向かっていくマネジメント能力が求められることになります。

 

06スクラム採用を活用している企業事例

それでは、さまざまな問題点を解決し、実際にスクラム採用を導入して社員採用に活用している企業の事例を紹介します。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリでは、創業当時からリファラル採用に力を入れていた歴史があります。そのため、社内文化として社員全員が採用活動に参加することにハードルが低い特徴がありました。 同社は、採用の施策に関して「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションのもと、「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be Professional(プロフェッショナルであれ)」という3つのバリューを軸に社員と情報共有しています。 各領域のプロフェッショナルが直接応募者に関わることで、より将来性がある即戦力人材の採用に成功しています。

BASE株式会社

BASE株式会社は、経営陣・人事部主導の採用手法からスクラム採用への転換を図り、それを実現した企業です。 まず、スクラム採用の必要性を現場社員に理解してもらうことを最重点施策として捉え、採用業務を現場社員と共に実施するようにしました。つまり、人事部が企画・実施していた説明会などの業務に現場社員を巻き込み、当事者として関わりを増やしていきました。また、同時期に「内定判定会議」を導入することで、面接時の合格基準や採用人数の検討などを現場社員とすり合わせ、アンマッチな採用を極力減らすように努めました。 さらに、社内関係者へ求職者が内定を承諾した報告をする際には、採用を主導したチームマネージャーから行い、現場の成果がよりリアルに伝わるように工夫しています。


 

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07まとめ

スクラム採用は、社員一丸となって採用活動を実施していくことであり、会社全体の業務モチベーションを上げる効果も期待できる注目の採用手法です。 また、採用した社員に対しての愛着も強くなり、入社後の人間関係も良好になる傾向もあります。成果を得られるまでに時間と努力を要する方法ですが、優秀な人材を確保する方法のひとつとして検討してみても良いでしょう。

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