公開日:2022/02/01
更新日:2024/03/28

ビロンギングとは?注目の新概念「ビロンギング」を徹底解説

ビロンギングとは?注目の新概念「ビロンギング」を徹底解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ビロンギング(Belonging)は、「自分らしさを発揮しつつ、組織に関わる心地よさ」を意味します。本記事では、ダイバーシティ&インクルージョンをベースとした、新しい概念として注目されているビロンギングの定義や注目される背景について、解説します。

 

01ビロンギングの定義と関連のあるキーワード

ビロンギングとは、ダイバーシティ&インクルージョンが推進された先に、従業員一人ひとりが、「自分の個性を活かせる居場所はここにある」と心地よく感じられている状態を指します。 単に企業に「所属している」状態ではなく、心理的安全や信頼を感じることこそ重要です。周囲の支えがあってはじめて、安心して自身の持つ能力を発揮できることにつながります。 「Diversity, Inclusion and Intersectionality Report 2018」の調査によると、ビロンギングが職場でのコミットメント・モチベーションと強い相関関係があり、従業員の定着、プライド、モチベーションに直結することがわかっています。 ここからは、ビロンギングと関連のある4つのキーワードについて詳しく解説します。

  • 参考:Indeed Japan

ダイバーシティ 

ダイバーシティとは、多様性のことで、性別や年齢、国籍、文化、価値観など、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が企業に存在している状態です。ダイバーシティには、表層的と深層的のふたつが存在します。 前者は、性別や年齢、人種といった自分の意思で変えられない外見で識別できるもの、後者は、性格や宗教、考え方など外見からは判断できないものを指します。 グローバル化・労働力不足・消費者のニーズの多様化に伴い、企業を取り巻く環境が急速に変化しています。多様な人材の確保は、企業における重要な人材戦略のひとつです。

インクルージョン

インクルージョンとは、「包摂・包括・包含」という意味で、さまざまなバックグラウンドをもつ従業員が互いに認め合い、能力を十分に発揮できる状態を言います。個々の従業員が期待される成果を生み出すためには、安心して「違い」を発揮できる環境の整備が必要不可欠です。 一人ひとりが「自分の居場所がここにある」と、心地よく感じられている状態を指すビロングングは、ダイバーシティ&インクルージョンが推進された先に存在するものです。

エクイティ

エクイティとは、「公平」という意味があります。全従業員のスタート地点は同じではなく、自分にとっては利点であっても、他者にとっては障壁となる可能性があります。企業側は、その不均衡に対して是正することを保証し、公平性が担保されてはじめて、従業員は組織に受け入れられていると感じ、能力を発揮できるのです。 公平性の担保は、ダイバーシティ&インクルージョン&ビロンギングを実現するうえでの大前提となります。より公平であるための重要な施策がなければ、多様なチームを構築し、維持することは非常に困難です。

ユニークネス

ユニークネスとは、他者と異なる独自の能力のことです。異なる多様性をもつ従業員同士の相乗効果によって生まれた独自性は、企業の強みとなるでしょう。人材の多様性を活かし、企業価値を高めるダイバーシティ&インクルージョンにおいては、ビロンギングとユニークネスが重要であるといえます。

 

02ビロンギングが求められる背景

ビロンギングの定義とダイバーシティ、インクルージョン、エクイティ、ユニークネスとの関係性について解説しました。ここからは、ビロンギングが求められる背景について考えていきましょう。 昨今、多くの企業がダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでいるものの、思うように成果が上げられていない現状や、多様化にのみ注力している点についてみていきます。

産業構造の変化

正社員として採用した従業員を、定年まで雇用し続ける終身雇用制が一般的であった日本企業においては、従業員が企業に対して所属感や安心感を持っていました。 しかし、年功序列の見直しをはじめとする成果主義や年俸制の導入、雇用形態の多様化、転職による人材の流動化などでビロンギングが不足しやすい状況が生まれたのです。

D&Iに注力するも成果が得られていない

多くの企業は、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に取り組んでいますが、成果を上げている企業はそう多くはありません。たとえば、米国のフォーチュン誌が年1回編集・発行するリスト「フォーチュン500」の企業のうち、CEOの女性は40人、黒人は4人、黒人女性についてもわずか1人でした。 このように、CEOをはじめ、最高幹部レベルの状況からも思うほど成果が見られず、あらゆる業界の企業が課題を抱えているといえます。ただし、女性管理職や障害者雇用の割合だけに注力し、数字の達成だけに気を取られるのは本末転倒です。単なる数字合わせに終わっしまっては、取り組み自体が形骸化しかねません。 D&Iを追及したうえで、生産性に影響を与えるビロンギングをも満たす必要があると考えられます。

多様化にのみ注力している

多様化にのみ、注力し過ぎている点も問題です。ダイバーシティはもちろん重要ですが、従業員一人ひとりがビロンギングを感じ、帰属意識を高めることこそが重要と捉えます。たとえ、会社でのポジションを受け入れたとしても、帰属意識を感じることがなければ、企業に長く留まるとは限らないためです。

 

03ビロンギングが果たす効果

ビロンギングが多くの企業にもたらすメリットについて考えます。ビロンギングは、自社に対する帰属意識が高まり、早期離職を防ぐ効果があります。また、企業のブランディング強化につながる可能性も考えられます。詳しくみていきましょう。

帰属意識が高まる

米国の経営学誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」によると、帰属意識が高い社員は懸命に仕事に取り組み、意欲的であるという調査結果が出ています。職務におけるパフォーマンスは56%向上し、病気による欠勤日数は75%も減少しています。 強いビロンギングの意識を持つ従業員は、自分がここにいる意味を強く自覚でき、それに伴い、成果を上げる意欲も高まっていくのです。

早期離職を防ぐ

ビロンギングが高い社員は積極的に仕事に取り組み、意欲的であるため、離職率は低下し、定着率が高まります。従業員一人ひとりが「社内で受け入れられている」安心感と、心地よく働ける環境こそが重要といえます。 米国の経営界では、ビロンギングの重視こそが「人材確保の鍵」になるという意識が拡大しています。また、求人情報検索エンジンのIndeed(インディード)では、誰でも働きやすい環境を作るため、アジアではじめて「ダイバーシティ、インクルージョン&ビロンギングのビジネスパートナー」という役職が設けられました。

企業のブランディングが強化される

自社が、多様な候補者にとって働きやすいというアピールは、企業としてのブランディングの強化につながります。企業ブランドイメージがアップすると「この企業で働きたい」と思う人も増えるはずです。多くの求職者が集まると、優秀な人材に出会う機会もおのずと増えるでしょう。 従業員が強いビロンギングを感じることこそ、企業の競争力の源となります。ビロンギングが高い従業員は、低い従業員よりエンゲージメントとロイヤルティが高く、その会社を働きやすい職場として宣伝してくれる可能性も高いといえます。

 

04ビロンギングを自社の企業文化に根付かせるためには

ビロンギングが果たす効果を理解できたところで、ビロンギングを自社の企業文化に根付かせるためには、具体的にどのような取り組みが必要なのでしょうか。企業側は実現したいビジョンを明確にしたうえで、全従業員に対して継続的な教育が必要です。

企業が実現したいビジョンを明確にする

企業は他の重要なビジネス目標と同じように、ビロンギングについても戦略的に考え、実現したいビジョンを明確にしましょう。この際、ビジョンを単なる標語で終わらせるのではなく、目指すべきゴールや価値観、また重要性を説きます。 自分が属する組織が何を最重要課題にして、どこを目指しているのかが明確になると、人は安心して仕事に打ち込めるものです。さらに、従業員一人ひとりが自分の仕事は何に役立っているのか、どのように組織へ貢献できるのかを真剣に考えられるようになるでしょう。

継続的な教育を行う

ビロンギングを企業文化に根付かせるためには、一時の研修や教育だけでは不十分といえます。単なるPR目的のためだけではなく、ダイバーシティ&インクルージョンの発展形ともいえるビロンギング教育を、継続的に行っていきましょう。

教育は全従業員を対象にする

ビロンギングの教育では、幹部社員をはじめ、すべての従業員に対して教育環境を整える必要があります。従業員みずからが学習できるように、教育リソースを積極的に提供することも重要なポイントです。自社の企業文化に根付かせるためには、一部の従業員のみがビロンギングの教育を受けても意味がないのです。


 

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05まとめ

ビロンギングの概要や効果について解説しました。全従業員にとって、働きがいのある職場を提供するビロンギングとダイバーシティの構築は、すぐに達成できるものではないかもしれません。本記事を参考に、ビロンギングのアクションを実行してみてはいかがでしょうか。

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