公開日:2022/02/01
更新日:2022/08/24

エンプロイヤーブランディングとは?「選ばれる企業」になり、採用力を高めるためのポイントを解説

エンプロイヤーブランディングとは?「選ばれる企業」になり、採用力を高めるためのポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

近年、採用市場の競争激化等により、エンプロイヤーブランディング=雇用者としての魅力を高めるための取り組みへの注目度が高まっています。 本記事では、その概要や実際に取り組む際のステップについてご紹介します。

 

01エンプロイヤーブランディングとは

エンプロイヤーブランディングとは、その名の通りemployer=雇用者としてのブランディングのことです。企業は顧客や出資者、協力会社といったさまざまなステークホルダーとの関係の中で活動を行っています。エンプロイヤーブランディングはその中でも企業と社員との関係、つまり企業が持つ「雇用者」としての側面にフォーカスを当て、働く場としての魅力的な企業イメージ(エンプロイヤーブランド)を高める取り組みのことを指します。 例えば待遇や仕事のやりがい、職場の人間関係や社風といった職場としての条件が非常に魅力的な企業であっても、必ずしもエンプロイヤーブランディングに成功しているとは限りません。そのような魅力を戦略的に構築・発信し、その内外で「魅力的な職場環境の企業である」というイメージを高めることができて初めて、成功していると言えるのです。

 

02エンプロイヤーブランディングに取り組むメリット

エンプロイヤーブランディングに取り組むと、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。主要なものを3点ご紹介します。

採用への応募者の質・量を高めることができる

最も期待できるのが、企業の採用力が高まり、質の高い応募者を多く集められるようになることです。自社が職場として魅力的で価値があるということを求職者に発信すれば、それに惹かれて多くの応募者が集まるでしょう。また、求める人物像に沿って自社のエンプロイヤーブランドをデザインすることで、それに合致した人材が集まりやすくなるという効果も狙えます。

離職率の低下が期待できる

エンプロイヤーブランディングの効果は、社外だけではなく社内にも及びます。戦略的な企業イメージの構築によって社会からの評価が高まれば、そこで働く社員も自社への誇りを持ち、帰属意識が高まるでしょう。勿論、イメージだけでなく実際に働く場としての魅力が向上すれば、それは直接的に人材の定着を促し、離職率の低下につながるはずです。

採用活動におけるコストを低減できる

エンプロイヤーブランディングに成功した企業においては、採用活動にかかるコストを低減できる可能性が高くなります。質の高い応募者が集まれば選考プロセスはより効率的になり、応募者の辞退率が下がれば入社交渉や辞退者の穴を埋めるための選考に掛ける時間は短くなります。また、離職率が下がれば欠員補充のための採用活動を行う頻度も下がるでしょう。

 

03エンプロイヤーブランディングの重要性が高まっている理由

エンプロイヤーブランディングは日本においては特に、比較的新しい概念です。なぜこの言葉が近年注目され、重要度が高まっているのか。その理由を見てみましょう。

採用市場における競争の激化

少子高齢化の影響で労働人口が減少する半面、企業内においては仕事の高度化が進み、優秀な人材を取り合う採用市場の競争は年々激化しています。この競争を勝ち抜き、自社に必要な人材を確保するためには、求職者に訴求する企業としての魅力を確立することが必須となります。

求職活動のSNS化

少し前までは、入社を決めた企業の職場環境や社風の実際のところは、入社するまでわからないことが多かったものです。しかしながら、現在はSNSや転職口コミサイトなどの普及により、働く人が企業の内情を発信するハードルは非常に低くなっています。ネットにリアルな情報が溢れており、求職者はそれらを参考とするため、小手先の採用広報で外から見える部分を取り繕っても内情と乖離していればすぐに見抜かれてしまうのです。そこで、働く場としての魅力を実際に高め、それを発信するというエンプロイヤーブランディングの手法が必要となります。

 

04エンプロイヤーブランディングのステップ

実際にエンプロイヤーブランディングに取り組みたいと思った場合、どのように進めれば良いのでしょうか。具体的なステップを見ていきましょう。

アプローチしたい人材を設定し、彼らが求めているものを調査する

最初に行うべきは、エンプロイヤーブランディングによってアプローチしたいターゲットの設定です。 エンプロイヤーブランディングを行う大きな目的は、それによって求める人材の応募や入社後の定着を促し、自社の採用力を強化することです。 一口に求職者・社員といっても、その資質や志向によって、職場にどういった環境を求めるかということは様々です。そのため、まずは自社が求める人材を明確にしたうえで、彼らがどのような職場であれば魅力を感じるのか、ということを調査する必要があります。 例えば実際に入社し、活躍している社員に対してインタビューを行うことも有効でしょう。自社の選考や内定を辞退した応募者に話を聞いても、新しい視点が得られるかもしれません。このステップへの取り組み方によって、後の工程の精度が変わってくるため、丁寧に行いましょう。

採用戦略においてあるべき自社の姿(エンプロイヤーブランド)を固める

アプローチしたい人材とその人材が働く場所に求めるものの傾向がわかったら、それに適合したエンプロイヤーブランドを設定しましょう。すなわち、採用戦略においてあるべき自社の姿について、合意を形成するという工程です。 なお、この工程においては自社のコーポレートブランディングや商品イメージなどとの整合性に注意しましょう。これらと矛盾するエンプロイヤーブランドを設定してしまうと、その構築が上手くいかず、表面的なメッセージにとどまってしまう恐れがあります。

採用市場における現状の自社イメージを調査する

採用市場における現状の自社イメージを適切に把握することも、エンプロイヤーブランディングにおいては必須です。応募者に広くアンケートを取るなど、客観的かつ具体的な意見を多く集める工夫をしましょう。 社内の人間が持っている自社へのイメージと、外部からの印象とでは、往々にしてずれが生じるものです。そのずれを検証することで、自社の思わぬ武器が見つかるかもしれません。または、強みだと思っている部分が全く訴求できていないことに気づくこともあるでしょう。 客観的な自社イメージを把握し、構築したいエンプロイヤーブランドとの差異を分析することで、的確な戦略の策定・実行につなげることができます。

自社のEVPを分析する

EVPとはEmployee Value Propositionの頭文字を取ったもので、企業が社員に対して提供できる価値提案のことを指します。提供価値の具体例としては、給与や福利厚生などの待遇、仕事をしていく中で得られるスキルや仕事そのもののやりがいなどがあります。 現在自社が社員に対してどのような価値を提供できているかを洗い出し、それらの価値は市場においてどの程度の競争力を持っているものなのかを分析しましょう。

ブランディングのための戦略を策定し、実行する

ここまででご紹介したステップを踏めば、次の3つが把握できます。

  • ①採用市場における自社のあるべき姿(構築したいエンプロイヤーブランド)
  • ②構築したいエンプロイヤーブランドと現状の自社イメージとの乖離の度合い
  • ③自社が実際に社員へ提供できている価値

これらを踏まえて、現状の自社イメージと構築したいエンプロイヤーブランドとの差を縮め、あるべき姿に近づくための戦略を策定・実行していきます。 どのような戦略が有効かは、企業の現状によって異なります。社員への提供価値が既に十分であり、採用市場でのイメージと構築したいエンプロイヤーブランドとの乖離の原因が情報の発信の仕方によるところが大きい場合は、広報活動に軸足を置いて戦略を練るべきでしょう。 これに対して、構築したいエンプロイヤーブランドを踏まえた時に自社が現在提供できている価値の方向性が異なっている場合や、不足している場合は、働く環境そのものを変化させるための対策が必要です。

 

05エンプロイヤーブランディングにおいて注意すべきこと

最後に、エンプロイヤーブランディングを効果的に行うために、注意すべき事項についてご紹介します。

一貫性を持つ

エンプロイヤーブランドの構築は、元来短いスパンで効果を期待できるものではありません。そのため、短期の取り組みで結果が出ないからと言って、一度設定したエンプロイヤーブランドの方向性をすぐに変えても、また同じことに陥る可能性が高いのです。 腰を据え、一貫性のある企業イメージを発信し続けることが重要となります。

実態との乖離を避ける

エンプロイヤーブランディングにおいては、発信する企業イメージと実態が合致していることが重要です。 例えば、「ワークライフバランスがとれた、働きやすい企業である」という企業イメージを発信したとしても、それが実態と異なっていれば効果は激減します。なぜなら、転職口コミサイトやOB訪問などで実際に働く人の生の声を知る機会があれば、求職者はそちらを信じるからです。 また、仮に企業が発するメッセージを信じて応募者が増えたとしても、実際に入社した際の働き方が全く異なっていれば、採用のミスマッチにより人材が流出してしまうリスクがかえって高まります。

オンボーディングもセットで強化する

オンボーディングとは新入社員や中途採用者がスムーズに社内の環境に適応するために企業が行う施策のことで、研修や定期面談、メンターによるサポートといった一連のプログラムを包括して指します。 「働く環境」としての魅力が高まったとしても、入社間もない時期の、新しい環境に慣れるための心理的負荷は避けられません。その負荷を緩和し、スムーズに受け入れを行う体制を整えることで、新しいメンバーは職場に対して良いイメージを持ってくれます。 このことは、社員の定着率を高めるだけでなく、エンプロイヤーブランディングとの相乗効果を生むことができるでしょう。

社内への働きかけを重視する

ブランディングというと外部への発信が主のように感じられますが、エンプロイヤーブランディングにおいては内部=社員への働きかけが非常に重要です。 企業が働きやすい環境や公平性のある人事制度、やりがいのある仕事によって高い価値を提供することができれば、自身の能力を存分に発揮し、モチベーション高く働く魅力的な人材は自然と増えるはずです。そして「魅力的な同僚がいる」ということはエンプロイヤーブランディングにおける大きな武器となり、非常によいサイクルを生み出すことを期待できます。 また、働く環境に満足している社員がそのことを周りに伝えてくれれば、それは最も効果的なエンプロイヤーブランディングかもしれません。


 

研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする


■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など


Schoo_banner
 

06まとめ

エンプロイヤーブランディングは採用力の強化や人材の定着といった、現代の企業にとって非常に大きな課題を解決する糸口になる手法です。 効果が出るまでに時間のかかるものでもあるので、自社のありたい姿と現状を適切に把握し、粘り強く取り組むことが必要となります。

  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE

20万人のビジネスマンに支持された楽しく学べるeラーニングSchoo(スクー)
資料では管理機能や動画コンテンツ一覧、導入事例、ご利用料金などをご紹介しております。
デモアカウントの発行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

お電話でもお気軽にお問い合わせください受付時間:平日10:00〜19:00

03-6416-1614

03-6416-1614

法人向けサービストップ